
記事の要約
バリウム検査の費用は、受診する環境によって数千円から1万円以上もの差が生じます。全額自己負担となる人間ドックでは1万5000円前後が一般的な相場ですが、多くの自治体が提供する胃がん検診を活用すれば、無料から3000円程度まで費用を抑えることが可能です。
健康保険は「病気の治療」を目的としているため、症状のない予防目的の検診には基本的に適用されません。
40歳以上の方は、まず居住地の自治体補助制度を確認し、必要に応じて自費診療を組み合わせるのが賢明です。自身のリスクや目的に合わせた最適な受診方法を選ぶことで、経済的かつ効果的な健康管理が実現します。
バリウム検査の費用相場と自己負担の仕組み
バリウム検査にかかるお金は、どこで受けるか、どの制度を使うかによって支払い額が大きく変動します。
医療機関が定めた正規の料金をそのまま支払うのか、それとも税金による公的な補助を受けて受診するのかで、家計への影響は数千円から1万円以上も変わってくるのが現実です。
まずは代表的な3つの受診パターンにおける料金体系を正しく把握しましょう。自分がどの区分に当てはまるのかを確認することが、無駄な出費を抑えるための第一歩となります。
全額自己負担の場合の料金目安
会社や自治体からの補助を一切使わず、個人の意思で医療機関に申し込む「任意型検診」や「人間ドック単体」として受診する場合、費用はすべて自己負担となります。
このケースでは自由診療扱いとなるため、医療機関が独自に価格を設定できるのが特徴です。そのため、選ぶ施設によって料金にかなりの幅が生じることを知っておく必要があります。
一般的なクリニックや検診センターでバリウム検査単体を受ける場合の相場は、およそ1万2000円から1万8000円程度です。
この金額の内訳には、検査で飲むバリウム造影剤や胃を膨らませる発泡剤の実費、レントゲン撮影を行う技師の技術料、撮影された画像を医師が診断する読影料、そして施設を使用する料金などがすべて含まれています。
都心にある最新鋭の設備を備えた施設や、コンシェルジュが案内してくれるような高級健診クリニックでは、2万円を超える価格設定も珍しくありません。
一方で、地方の診療所などでは1万円前後で実施していることもあります。全額自己負担で受ける際は、ウェブサイトなどで複数の施設の料金表を見比べ、サービス内容と価格のバランスを検討することが大切です。
受診形態による自己負担額の違い
| 受診形態 | 費用目安(税込) | 特徴 |
|---|---|---|
| 人間ドック(全額自費) | 12,000円〜18,000円 | 日程や施設を自由に選択でき、快適な環境で受診可能 |
| 自治体検診(住民健診) | 無料〜3,000円 | 対象年齢や実施時期に制限があるが費用は格安 |
| 職場の定期健康診断 | 無料〜5,000円 | 企業が費用の大半を負担するため個人負担は少なめ |
自治体検診を利用した場合の費用
日本に住む40歳以上の方にとって、最も経済的な選択肢となるのが市区町村が実施する「対策型検診」としての胃がん検診です。
厚生労働省の指針に基づき、各自治体は住民の健康を守るために検査費用の大部分を公費(税金)で肩代わりしてくれます。そのため、窓口での支払いは驚くほど少額で済みます。
受診者が負担する金額は、多くの自治体で500円から3000円程度に設定されています。
例えば、東京都内のある区ではワンコイン(500円)で受診できる制度があったり、地方の自治体によっては住民の受診率を上げるために完全無料で提供していたりと、地域によって特色があります。
このお得な制度を利用するには、住民票のある自治体から郵送される受診券やクーポン券が必須です。
ただし、年度ごとに予算が決まっているため、受診できる期間が限定されていたり、定員に達し次第終了となったりすることもあります。広報誌やホームページで最新情報をチェックし、早めに行動することが節約の鍵です。
健康保険組合や職場の検診における負担額
会社員や公務員として働いている方、あるいはその扶養に入っている家族は、所属する健康保険組合や職場が実施する健康診断でバリウム検査を受けるチャンスがあります。
法的に義務付けられている一般的な定期健康診断にはバリウム検査は含まれていませんが、35歳や40歳以上の社員を対象とした「生活習慣病予防検診」や「人間ドック補助」のメニューとして用意されていることが多いです。
費用の負担割合は会社や組合によって様々ですが、受診者の持ち出しは1000円から5000円程度に収まるケースが一般的です。
福利厚生に力を入れている企業であれば、全額を会社が負担してくれることもあります。毎月の給与から引かれている社会保険料が原資となっている制度ですので、これを使わない手はありません。職場の担当者に確認し、利用できる権利をフル活用しましょう。
健康保険が適用されるケースと適用外の基準
バリウム検査で健康保険が使えるかどうかは、「病気の疑いがあるか」という一点で明確に線引きされます。予防目的の検査には保険は使えません。
自覚症状がある場合の保険診療
医師が診察の結果、医学的に検査が必要だと判断した場合に限り、バリウム検査は保険診療として扱われます。
具体的には、患者様さんが「胃が痛い」「胸焼けがする」といった明確な自覚症状を訴え、医師が胃潰瘍や胃がんなどの病気を疑って検査をオーダーするケースです。
保険が適用されると、患者様さんは医療費総額の1割から3割を窓口で支払うだけで済みます。たとえば、検査料や診断料の合計が1万2000円だった場合、3割負担の方なら3600円、1割負担の方なら1200円程度の出費で済む計算になります。
ただし、「ただ心配だから安く検査を受けたい」という理由で嘘の症状を伝えることはできません。
カルテには具体的な症状や疑われる病名が記録され、それが保険請求の正当な根拠となるからです。医師は医学的な見地から最適な検査方法を選ぶため、バリウムではなく胃カメラや薬の処方を提案することもあります。
保険診療の対象となり得る具体的症状
以下のような症状があり、医師が必要と認めた場合は保険が適用される可能性があります。
- 長期間続いている胃のキリキリとした痛みや不快感
- 食事中や食後に感じる胸焼け、酸っぱい液体がこみ上げる感覚
- ダイエットをしていないのに急激に体重が減った
- タールのような黒っぽい便が出た、または血を吐いたことがある
- 食べ物が喉や胸でつかえる感じがして飲み込みにくい
予防目的の検診における保険適用の限界
「今は特に症状はないけれど、念のために胃の状態を見ておきたい」という動機で受ける検査は、すべて「予防医療」に分類されます。
日本の公的医療保険制度は、あくまで病気や怪我の治療を支えるための仕組みです。そのため、健康な人が予防のために受ける検査には保険が適用されず、全額自己負担となるのが原則です。
早期発見はもちろん大切ですが、症状のない人全員に保険を使って検査を行うと、国の医療費が膨れ上がり制度が破綻してしまうという事情もあります。
したがって、健康診断や人間ドックの窓口で保険証を出しても、検査費用そのものが安くなることはありません。
ただし、検診を受けている最中に偶然病変が見つかり、その場で精密検査や処置に切り替わった場合や、後日改めて治療を受けることになった場合は、その時点から保険適用となります。
人間ドックのオプションとしての位置づけ
人間ドックは、体の隅々までチェックするために複数の検査をパッケージ化した検診サービスです。人間ドックそのものが自由診療であるため、そこに含まれているバリウム検査も当然ながら保険の対象外となります。
多くの人間ドックコースでは、基本料金の中にバリウム検査が含まれています。もしバリウムが苦手で胃カメラに変更したい場合や、検査自体をキャンセルしたい場合、料金がどうなるかは施設によって対応が分かれます。
ある施設では「バリウムなし」を選んでも料金は変わらない一方、別の施設では差額分を返金してくれることもあります。人間ドックを予約する際は、パッケージに含まれる消化器検査の詳細と、変更やキャンセルの場合の料金調整について、事前に規約をよく読んでおくことが大切です。
自治体による胃がん検診の補助制度と対象年齢
自治体の胃がん検診は40歳以上が基本ですが、費用やルールは地域ごとに異なります。お住まいの地域の最新情報を確認しましょう。
40歳以上を対象とした対策型検診
厚生労働省は、胃がん検診の対象年齢を「40歳以上」とし、原則として年に1回の受診を推奨しています。これを受けて、全国のほとんどの自治体では40歳になる年度から受診券を送付したり、検診の申し込みを受け付けたりしています。
40歳という年齢設定の背景には、胃がんの罹患率に関する統計データがあります。胃がんは40代から徐々に発症リスクが高まり始めるため、この時期から対策を講じることが最も効果的だと考えられているのです。
一部の自治体では、地域の実情に合わせて35歳や30歳から検診の対象としている場合もあります。特にピロリ菌の感染率が高い地域などでは、若い世代からの早期発見に力を入れていることがあります。自分の住む町が何歳から補助を出してくれるのか、広報誌などで確認しておきましょう。
年齢区分による補助内容の例
| 年齢 | 補助の有無 | 費用の目安 |
|---|---|---|
| 39歳以下 | 原則なし(一部例外あり) | 全額自己負担 |
| 40歳〜69歳 | あり | 500円〜3,000円 |
| 70歳以上 | あり(手厚い補助) | 無料の場合が多い |
多くの自治体で設定されている自己負担額
自治体検診での自己負担額は、「無料」「500円〜1000円」「数千円」の大きく3つのパターンに分かれます。
財政が豊かな自治体や、がん対策を最重要課題としている地域では、住民に受診を促すために無料化していることがあります。
一方で、利用者が費用の一部を負担すべきという考え方から、検査にかかる実費の1割から2割程度を徴収する自治体も多く存在します。
この自己負担金は、検診当日に会場や医療機関の窓口で直接支払います。現金しか使えない場所も多いため、当日は小銭の準備が必要です。なお、生活保護を受けている方や住民税非課税世帯の方は、事前に申請することで費用が免除される仕組みが整っています。
無料クーポンが配布される特定の年齢
国のがん検診推進事業の一環として、特定の年齢に達した方には「がん検診無料クーポン券」が送られてくることがあります。これは通常の自治体検診でかかる数百円の自己負担金すらも無料になる、非常に強力なチケットです。
胃がん検診においては、40歳、45歳、50歳、55歳、60歳といった「節目の年齢」を迎える方を対象にクーポンを配るケースがよく見られます。特に40歳は検診デビューの年として重要視されています。
無料クーポンには有効期限があり、多くの場合は年度末(3月31日)までとなっています。期限を1日でも過ぎると無効になり、通常の料金を支払わなければなりません。クーポンが届いたら、後回しにせずすぐに予約を入れることが、確実な受診と節約につながります。
年代別に見るバリウム検査の推奨頻度とコストパフォーマンス
検診費用は健康への投資です。年代ごとのリスクに合わせて、費用と頻度のバランスを調整することが重要です。
40代からの定期受診と費用のバランス
40代は仕事や家庭で重責を担う時期であり、同時に体の変化も感じ始める頃です。胃がんリスクも少しずつ高まってくるため、毎年の検診を習慣化する必要があります。
コスト面で見れば、自治体の補助制度が使えるようになるため、1回あたり数千円の出費で済みます。年に一度、飲み会1回分程度の投資で胃がんのリスクをチェックできると考えれば、コストパフォーマンスは非常に優秀です。
40代ではまだ自分の胃の中にピロリ菌がいるかどうを知らない人も多いでしょう。
一度は自費で数千円を追加し、血液検査などでピロリ菌の有無を調べておくこともおすすめです。もし陰性なら毎年のバリウムを基本にし、陽性なら除菌治療を行って胃カメラに切り替えるなど、戦略的な使い分けが可能です。
50代以降のリスク管理と検診投資
50代から60代にかけては、胃がんの患者様数が急増するピークの時期にあたります。この年代においては、検診費用を節約しすぎることのリスクが高くなります。
自治体検診をベースにしつつ、職場の検診や人間ドックなど、利用できる機会はすべて活用し、空白期間を作らないことが何より大切です。
もし自治体検診で「要精密検査」という結果が出た場合、二次検査は保険適用となりますが、それでも費用や時間はかかります。
しかし、早期に発見できれば、内視鏡治療など体への負担も金銭的負担も少ない治療で済む可能性が高まります。
50代以降はバリウム検査だけでなく、より精度の高い胃カメラ検査への移行を検討すべき時期でもあります。多少の追加費用を払ってでも見逃しを防ぐことが、結果的に最大の節約になることもあります。
年代ごとのリスクと推奨受診パターン
年代によって、優先すべき検診スタイルは以下のように変化します。
- 40代:胃がんリスクの上昇開始期。自治体検診(年1回)を基本に、まずは受診を習慣化することが最優先。
- 50代〜60代:リスクのピーク期。毎年の検診に加え、少しでも胃に違和感があれば即座に胃カメラを受ける機動力が重要。
- 70代以上:リスクは高止まりするが、体への負担も考慮が必要。主治医と相談しつつ、無理のない範囲で継続する。
高齢者の受診間隔と自治体ルールの確認
70歳、75歳と高齢になるにつれて、バリウム検査特有の「検査台の上で動き回る」「下剤でバリウムを出し切る」という行為が身体的な負担になってきます。誤嚥のリスクも無視できません。
多くの自治体では、70歳以上の住民に対して検診費用を無料にしていますが、一方で国の指針に合わせて受診間隔を「2年に1回」に変更する自治体も増えています。これは高齢者の場合、がんの進行速度と検査に伴うリスクのバランスを考慮した結果です。
「タダだから」といって無理に毎年受けるのではなく、かかりつけ医と相談しながら、自分の体力に見合った検査方法や間隔を選ぶことが大切です。自治体の広報誌などで、高齢者向けの特別ルールを確認し、安全第一で受診計画を立ててください。
胃カメラ検査との費用比較と選び方
バリウム検査と比較されることの多い胃カメラ。費用差と精度の違いを理解し、自分に合った方法を選びましょう。
胃内視鏡検査にかかる費用の相場
胃カメラを全額自己負担(人間ドックや自費診療)で受ける場合、その費用相場は1万5000円から2万円程度です。さらに、苦痛を和らげるために鎮静剤(静脈麻酔)を使って眠ったまま検査を受けるオプションを追加すると、3000円から5000円程度が加算されるのが一般的です。
一方、自治体が実施する対策型検診としての胃カメラの場合、自己負担額は3000円から5000円程度に設定されていることが多いです。バリウム検査の自己負担額(無料〜3000円)と比べると、やはり数千円ほど高くなる傾向にあります。
また、保険適用(3割負担)で胃カメラを受ける場合の費用は、観察だけで終われば4000円程度ですが、怪しい組織を採取して病理検査(生検)を行った場合は、一気に1万円から1万5000円程度に跳ね上がります。
組織を採るかどうかで最終的な支払額が大きく変わる点は、胃カメラ特有の注意点です。
バリウムと胃カメラのコスト差の要因
バリウム検査の方が安く設定されている主な理由は、効率性と人件費の違いにあります。
バリウム検査はレントゲン技師が撮影を行い、後で医師が画像をまとめて診断するスタイルが一般的です。一度に多くの受診者をスムーズに検査できるため、一人当たりのコストが抑えられています。
対して胃カメラは、医師が一人ひとりの患者様につきっきりで内視鏡を操作し、リアルタイムで観察を行う必要があります。
検査自体に時間がかかるうえ、使用した内視鏡の洗浄・消毒にもコストと手間がかかります。高度な技術を持つ医師の拘束時間と、高額な医療機器の維持管理費が、そのまま検査料金に反映されているのです。
この価格差は「検査の密度」の違いとも言えます。胃全体の形を見るバリウムと、粘膜の色まで詳細に見る胃カメラ、それぞれの特性と価格を天秤にかけて選ぶ必要があります。
費用対効果から考える検査方法の選択
コストパフォーマンスをどう捉えるかは人それぞれですが、一般的には「スクリーニング(ふるい分け)」としてはバリウム検査が優れています。安価で手軽に受けられ、胃全体の形状や動きを俯瞰できるため、大きな病変を見逃さないための第一段階のフィルターとして十分に機能します。
一方で、過去に胃潰瘍を患ったことがある人や、ピロリ菌陽性の人などのハイリスク層は、最初から胃カメラを選ぶ方が長期的には経済的かもしれません。なぜなら、バリウム検査で何か影が映れば、結局は精密検査として胃カメラを受けることになり、二重に費用と時間を費やすことになるからです。
自分のリスクレベルに合わせて、「とりあえず安いバリウムで毎年チェックする」のか、「少し高くても隔年で胃カメラを受けて確実性を取る」のかを判断することで、納得のいくお金の使い方ができます。
オプション検査や追加費用が発生するケース
基本料金以外に発生する可能性のある追加費用について、事前にシミュレーションしておくと安心です。
精密検査が必要になった場合の二次検査費用
バリウム検査の結果、「要精密検査(カテゴリーDやEなど)」という判定が出た場合は、必ず医療機関で詳細な検査を受けなければなりません。重要なのは、この二次検査は検診ではなく「保険診療」として扱われるという点です。
精密検査の内容は主に胃カメラですが、前述の通り、組織検査を行うかどうかで費用が変動します。検診費用とは別に、数千円から1万数千円の医療費を用意しておく必要があります。
「追加でお金がかかるなら行きたくない」と受診を控えてしまうと、せっかく受けた検診の意味がなくなってしまいます。
「要精密検査=がん」とは限りません。胃炎や良性のポリープであることも多いですが、白黒はっきりさせて安心するための必要経費として捉えてください。
追加費用が発生しやすい項目一覧
基本料金以外にかかる可能性のある項目には、以下のようなものがあります。
- バリウムが排出できない場合の追加下剤の処方料
- レントゲン画像を他院へ持ち出すためのCD-R発行手数料
- 検査結果を郵送してもらうための通信費・事務手数料
- 要精密検査となった際の紹介状(診療情報提供書)作成料
便秘薬や下剤の追加処方にかかる料金
バリウム検査の後は、お腹の中でバリウムが固まるのを防ぐため、すぐに下剤を飲んで排出する必要があります。
通常、検査当日には2錠から4錠程度の下剤が無料で(検査費用に含まれて)手渡されます。しかし、普段から頑固な便秘症の方や、過去にバリウムが出なくて苦しんだ経験がある方は、標準量では足りない場合があります。
事前に問診で相談し、予備の下剤を追加で処方してもらうことは可能ですが、施設によっては数十円から数百円の薬代を別途請求されることがあります。
また、万が一検査後に排便がなく腹痛が起きて医療機関を受診し、浣腸などの処置を受けた場合は、当然ながらその処置料は保険診療として別途発生します。
特定の施設利用料や休日加算
検診センターによっては、検査着(ガウン)のレンタル料や、女性専用エリアの利用料といった名目で、数百円程度の追加料金を設定している場合があります。
また、土日祝日に検査を実施している施設では、休日対応の加算料金が含まれている場合や、別途請求される場合があります。
平日に仕事を休めない会社員にとってはありがたいサービスですが、平日受診よりも割高になる可能性がある点は認識しておく必要があります。
予約画面やパンフレットの隅に小さな文字で書かれている「諸経費」や「オプション料金」を見落とさないよう、申し込み時には総額の確認を徹底してください。
検査を受ける医療施設の選び方と予約時の注意点
費用と質のバランスを考え、自分に最適な施設を選ぶポイントを解説します。
費用が安く済む検診車と検診センターの違い
バリウム検査には、公民館や学校にやってくる「検診車(巡回検診)」で受ける方法と、病院や専門施設に足を運ぶ「施設検診」の2種類があります。
一般的に、検診車を利用する集団検診の方が、費用は安く設定されています。自治体検診で「無料」となるのは、主にこの集団検診であるケースが多いです。効率的にたくさんの人を検査できるため、コストが抑えられているのです。
一方、施設検診は設備が整っており、着替えや待合室の快適さで勝ります。また、バリウム後の下剤で体調が悪くなった場合でも、すぐに医師が対応できる安心感があります。費用は集団検診より若干高くなる傾向がありますが、プライバシーや快適性を重視する方には施設検診が適しています。
予約時に確認すべき費用に含まれる項目
電話やWebで予約を入れる際、提示された金額に何が含まれているかを明確にすることがトラブル回避の鍵です。「検査料」と書かれていても、診断料や結果郵送料が含まれているとは限りません。
特に全額自費の人間ドックの場合、表示価格が「税抜」か「税込」かで支払額が変わります。また、クレジットカード支払いが可能かどうかも重要なチェックポイントです。
個人のクリニックや、自治体の集団検診会場では現金のみの対応が多いため、事前の確認が支払時の焦りを防ぎます。
後日の画像提供を希望する場合、それが有料オプションかどうかも確認しておくと良いでしょう。
キャンセル料や変更手数料の有無
意外と見落としがちなのが、予約のキャンセルや日程変更に伴う費用です。
自治体検診の場合はキャンセル料が発生することは稀ですが、民間の検診センターや人間ドックでは、直前のキャンセルに対して規定のキャンセル料を請求する場合があります。
検査には準備物や枠の確保が必要なため、無断キャンセルは施設側に損害を与えます。数日前までなら無料、前日・当日は50%から100%といった規定を設けている施設もあります。
仕事の予定が変わりやすい方は、キャンセル規定が緩やかな施設を選ぶか、変更期限をカレンダーに登録して管理するなどの対策を行ってください。無駄な出費を避けるためにも、規約の確認は必須です。
よくある質問
クレジットカードで支払いはできますか?
支払い方法は施設によって大きく異なります。
規模の大きな検診センターや総合病院では、クレジットカードや電子マネー決済に対応している場合が増えていますが、個人のクリニックや自治体の集団検診会場(検診車など)では、現金のみの取り扱いとなっていることが一般的です。
予約時の案内や公式サイトのQ&Aを確認し、現金が必要な場合に備えて小銭や千円札を用意しておくことを強くお勧めします。
国民健康保険だと検査費用は安くなりますか?
単に国民健康保険証を提示するだけでは、健康診断や人間ドックのバリウム検査費用は安くなりません。予防目的の検査は保険適用外だからです。
ただし、国民健康保険の加入者を対象として、自治体が独自の補助制度(国保ドックなど)を設けている場合があります。
この制度を利用すれば、通常よりも安い費用で受診できる可能性があります。お住まいの市区町村の国保年金課や保健センターに、加入者向けの助成制度がないか問い合わせてみてください。
バリウム検査で異常が見つかった場合の再検査費用はどうなりますか?
バリウム検査の結果、要精密検査となった場合に受ける二次検査(主に胃カメラ)は、検診ではなく「保険診療」として扱われます。
したがって、健康保険証を使用することができ、自己負担は1割から3割となります。
ただし、検診を受けた費用自体が返金されるわけではありません。二次検査の費用は別途全額(保険適用後の自己負担分)支払う必要があります。組織検査を行うかどうかで費用が変動するため、1万円から2万円程度を準備しておくと安心です。
予約をキャンセルした場合に料金はかかりますか?
自治体が実施する住民検診であれば、キャンセル料がかかることはほとんどありません。
しかし、民間の医療機関や人間ドックで予約した場合は、施設ごとにキャンセル規定が設けられています。
検査日の数日前までは無料でも、前日や当日のキャンセルには数千円から全額のキャンセル料を請求されることがあります。バリウムなどの薬剤を用意している都合上、無断キャンセルは避けるべきです。
予約時にキャンセルのルールを確認し、都合が悪くなった場合は速やかに連絡を入れることが大切です。
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この記事を書いた人 Wrote this article
前田 祐助 医学博士 / 医師
慶應義塾大学医学部大学院にて、がんの発生メカニズム(発癌機構)や、慢性炎症と腫瘍の関係性に関する基礎研究に従事し、医学博士号を取得。 特に、胃がんにおける炎症微小環境の解析や、細胞シグナル伝達(COX-2/PGE2経路など)による腫瘍形成の研究において実績を持つ。 現在は、大学病院や研究機関で培った「根拠(エビデンス)に基づく医療」の視点を活かし、疾患の早期発見や予防医療の啓発活動を行っている。 【保有資格・所属】 医学博士(慶應義塾大学)/ 医師免許 / 日本内科学会 / 日本医師会認定産業医