
バリウム検査は胃がんの早期発見に役立つ重要な検査ですが、一方で「便秘」や「誤嚥」「アレルギー」といったリスクもゼロではありません。検査後に体調を崩さないためには、副作用の初期症状を正しく理解し、事前の対策を講じることが大切です。
適切な水分摂取や下剤の活用法を知っていれば、多くのトラブルは未然に防ぐことができます。不安を解消して検査に臨むことは、スムーズな検査進行にもつながります。
この記事では、バリウム検査に伴う具体的なリスク要因から、万が一症状が現れた際の適切な対処法、医療機関を受診すべきタイミングまで、安全に検査を受けるために必要な知識を網羅的に解説します。
バリウム検査の仕組みと起こりうる副作用の全体像
バリウム検査は、消化管の粘膜の状態を詳細に観察するために、造影剤であるバリウムを飲んでX線撮影を行う検査方法です。この検査によって胃がんや食道がん、胃潰瘍などの病変を発見できる可能性が高まります。
しかし、普段は体内に取り入れない金属由来の液体を飲むため、身体にとって一定の負担がかかることも事実です。副作用の多くは一時的なものですが、稀に治療が必要な合併症を引き起こすケースも存在します。
検査を受ける前に、どのようなリスクが潜んでいるのか全体像を把握することは、自身の健康を守るために重要です。正しい知識を持つことで、検査中の違和感や検査後の体調変化に冷静に対応できるようになります。
バリウム検査とはどのような検査か
バリウム検査、正式には上部消化管造影検査と呼ばれます。X線は通常、筋肉や内臓を透過してしまいますが、原子番号の大きいバリウムはX線を透過しにくい性質を持っています。
この性質を利用し、白く写るバリウムを胃や食道の壁に付着させることで、その凹凸や形状をシルエットとして浮かび上がらせます。内視鏡検査とは異なり、胃全体の形状や動きを把握するのに優れています。
検査では、発泡剤(炭酸)を飲んで胃を空気で膨らませ、その後にバリウム液を飲みます。検査台の上で身体を回転させたり、うつ伏せや仰向けになったりして、胃の壁全体にバリウムを行き渡らせます。
一般的な副作用と発生頻度
多くの人が経験する副作用として、検査後の便秘が挙げられます。バリウムは消化吸収されない物質であるため、腸内で水分が吸収されると次第に硬くなり、セメントのように固まる性質があります。
これが排便を困難にし、腹痛やお腹の張りを引き起こす原因となります。また、一時的な下痢や吐き気を感じる人もいます。これらはバリウム液自体の味やのど越し、発泡剤による腹部膨満感が影響しています。
これらの症状は通常、バリウムが体外へ排出されるとともに治まります。重篤な症状が出る確率は非常に低いですが、体質や当日の体調によって反応が異なるため、軽視せずに経過を観察する必要があります。
バリウム検査に伴う主なリスク分類
| 分類 | 主な症状 | 特徴と注意点 |
|---|---|---|
| 消化器症状 | 便秘、腹痛、腹部膨満感、下痢、悪心 | 最も頻度が高い。十分な水分摂取と下剤の使用で予防が可能。 |
| 呼吸器症状 | 誤嚥(むせ込み)、誤嚥性肺炎 | 高齢者や嚥下機能が低下している人に多い。検査中の呼吸管理が必要。 |
| 過敏症 | 発疹、蕁麻疹、呼吸困難、ショック症状 | アレルギー体質の人は要注意。検査直後から数時間以内に発症することが多い。 |
重篤な合併症のリスク要因
極めて稀ですが、腸閉塞(イレウス)や消化管穿孔(消化管に穴が開くこと)、アナフィラキシーショックといった重篤な合併症が報告されています。これらは早急な医療処置を必要とします。
特に高齢者や過去に腹部の手術歴がある人、重度の便秘症の人はリスクが高まる傾向にあります。リスク要因を知っておくことで、検査後の体調変化にいち早く気づき、対応することができます。
「いつもと違う激しい痛み」や「全く便が出ない」といったサインを見逃さないことが、深刻な事態を防ぐ鍵となります。自分の体を守るためにも、違和感を覚えたらすぐに医療機関に相談する姿勢が大切です。
便秘と腸閉塞のリスク!検査後の排便管理が重要な理由
バリウム検査後のトラブルで最も注意が必要なのは、排便管理です。バリウムが腸内に長時間留まると、水分が失われて石のように硬化し、排泄が極めて困難になります。
これが悪化すると腸閉塞(イレウス)を引き起こし、場合によっては入院や手術が必要になることもあります。単なる便秘と侮らず、検査終了直後から計画的にバリウムを体外へ排出する意識を持つことが大切です。
普段から便秘がちな人はもちろん、快便の人であってもバリウム検査後は便が固くなりやすい傾向にあります。自分は大丈夫だと過信せず、確実な排便を目指して対策を講じる必要があります。
バリウムが腸内で固まる仕組み
バリウムは水に溶けない硫酸バリウムという粉末を水で懸濁したものです。小腸や大腸を通過する際、人体には吸収されません。しかし、大腸は内容物から水分を吸収する機能を持っています。
通常の便であれば適度な水分が含まれていますが、バリウムは時間が経過するほど大腸によって水分が奪われ、急速に硬度を増していきます。この「時間との勝負」という側面を理解しておくことが重要です。
特に、検査前から便秘気味の人や水分摂取量が少ない人は、腸の動きが鈍いためバリウムが滞留しやすくなります。滞留時間が長ければ長いほど硬化が進み、硬くなったバリウムが栓のように腸を塞いでしまうリスクが高まります。
腸閉塞(イレウス)の初期症状と危険性
腸閉塞とは、腸管の内容物が詰まり、肛門側へ移動できなくなる状態を指します。バリウム検査後に起こる腸閉塞は、硬化したバリウム便(バリウム石)が原因となるケースが主です。
初期症状としては、排便の停止(ガスも出なくなる)、腹部全体の張り、断続的な激しい腹痛、吐き気や嘔吐が現れます。これらの症状が出ているにもかかわらず放置すると、腸管内の圧力が上昇し、腸壁の血流障害や壊死に至る危険性があります。
最悪の場合は穿孔(穴が開く)に至ることもあります。検査後数日経っても白い便が出ず、お腹が張って痛い場合は、無理に市販薬で解決しようとせず、速やかに医療機関を受診する判断が必要です。
通常の便秘と腸閉塞の症状の違い
| 項目 | 通常の便秘 | 腸閉塞(イレウス)の疑い |
|---|---|---|
| 腹痛の様子 | 下腹部が重い、時々痛む程度 | 激しい痛みが周期的に来る、または持続する |
| お腹の張り | ガスが溜まったような膨満感 | 著しい膨満感、お腹がパンパンに張る |
| 吐き気・嘔吐 | あまり見られない | 頻繁に吐き気を感じる、実際に嘔吐する |
下剤の適切な服用タイミングと効果
検査終了後に渡される下剤は、必ず指示通りに服用します。通常は検査直後に飲むように指示されます。これは、バリウムが腸内で固まり始める前に、腸の蠕動運動を活発にし、水分を含ませて排出しやすくするためです。
下剤を飲むことを躊躇したり、後回しにしたりすることは避けてください。また、下剤の効果を最大限に引き出すためには、大量の水が必要です。コップ1杯の水で下剤を飲むだけでなく、その後も数時間にわたりこまめに水分を補給します。
トータルで2リットル程度を目安に摂取し、水分で便を柔らかく保つよう心がけてください。もし所定の下剤で排便がない場合は、追加の下剤が必要かどうかの判断も含め、医師や検査機関の指示を仰ぐことが大切です。
誤嚥(ごえん)のリスクと検査中の注意点
誤嚥とは、本来食道へ入るべき飲食物や唾液が、誤って気管や肺に入ってしまうことを指します。バリウム検査では、発泡剤でゲップを我慢しながら、比較的重い液体であるバリウムを一気に飲む必要があります。
そのため、誤嚥のリスクが通常の食事よりも高まります。特にバリウムが肺に入ると、通常の肺炎よりも重篤な化学性肺炎や呼吸不全を引き起こす可能性があり、十分な注意が必要です。
検査中は緊張から呼吸が浅くなりがちですが、落ち着いて指示に従うことが事故防止につながります。自分のペースを守りつつ、安全第一で検査を受ける意識を持つことが大切です。
高齢者に多い誤嚥性肺炎の危険性
加齢とともに喉の筋力や反射機能は低下します。そのため、高齢者は自身でも気づかないうちに少量のバリウムを気管へ吸い込んでしまうことがあります。バリウムは粒子が細かく、肺の奥深くまで入り込みやすいため、一度入ってしまうと排出が困難です。
肺に入ったバリウムは炎症を引き起こし、誤嚥性肺炎の原因となります。高熱や激しい咳、呼吸困難といった症状が現れ、入院治療が必要になるケースも少なくありません。
高齢者や、普段から食事の際にむせやすい自覚がある人は、検査前に医師や技師にその旨を伝え、慎重に検査を進めるか、胃カメラへの変更を相談することも一つの手段です。
誤嚥リスクを高める主な要因
- 70歳以上の高齢である、または脳血管障害の後遺症がある
- 普段の食事やお茶を飲むときに、頻繁にむせることがある
- 検査への緊張が強く、呼吸が浅く速くなっている
- 指示を聞き取ろうとして、飲み込む動作に集中できていない
- 義歯が合っていないなど、口腔内の環境に問題がある
誤嚥を防ぐための検査中の呼吸法
検査中は技師のアナウンスに従って動きますが、焦りは禁物です。「急いで飲んでください」と言われることがありますが、自分のペースで確実に飲み込むことが安全につながります。
飲む瞬間に息を吸い込むと気管に入りやすいため、息を止めるか、しっかりと吐いてから飲み込むタイミングを計ることが大切です。また、顎を引いて飲み込む姿勢をとると、気道の入り口が狭まり食道へ流れやすくなります。
逆に顎を上げすぎると気道が開きやすくなるため注意が必要です。検査台の上で体勢を変える際も、唾液や胃液が逆流して誤嚥する可能性があるため、指示された動きを落ち着いて行います。
万が一誤嚥した際の対処法と医療処置
検査中に激しくむせ込んだり、呼吸が苦しくなったりした場合は、直ちに検査を中断します。無理に検査を続行することは危険です。現場のスタッフは誤嚥の兆候を見逃さないよう訓練されていますが、自分自身でも異変を感じたら合図を送ります。
もし誤嚥が疑われる場合は、直ちに胸部X線撮影を行い、バリウムが肺に入っていないか確認します。肺への流入が確認された場合は、抗生物質の投与や酸素吸入などの治療が行われます。
場合によっては気管支鏡を使ってバリウムを吸引除去する処置が必要になることもあります。早期発見と早期対応が、重症化を防ぐための唯一の手段です。
バリウム過敏症とアレルギー反応の基礎知識
バリウム製剤そのものや、検査で使用する発泡剤、下剤などに含まれる添加物に対してアレルギー反応を起こすことがあります。これをバリウム過敏症と呼びます。
頻度は低いものの、発疹やかゆみといった軽度のものから、血圧低下や意識消失を伴うアナフィラキシーショックまで、症状の程度は様々です。過去にアレルギー経験がない人でも突発的に発症する可能性があります。
アレルギー反応は予期せぬタイミングで起こるため、検査を受けるたびに体調の変化に注意を払う必要があります。特に検査直後の体調変化には敏感になりましょう。
アレルギー症状の具体例と発症タイミング
アレルギー反応には、検査中や直後に現れる即時型と、数時間から数日経って現れる遅延型があります。即時型では、気分の悪化、顔面蒼白、冷や汗、手足のしびれ、呼吸困難などが急激に進行することがあります。
これは生命に関わる緊急事態であり、救急処置が必要です。一方、遅延型では、帰宅後に皮膚の発疹やかゆみが出現することがあります。
検査当日は体調が良くても、後から違和感を覚えることがあるため、検査後24時間は体調の変化に気を配ります。少しでもおかしいと感じたら、アレルギーの可能性を疑い医療機関へ連絡してください。
即時型反応と遅延型反応の特徴
| 反応タイプ | 発症までの時間 | 主な症状 |
|---|---|---|
| 即時型アレルギー | 検査中〜1時間以内 | 吐き気、冷や汗、血圧低下、呼吸困難、蕁麻疹 |
| 遅延型アレルギー | 数時間後〜翌日 | 全身または局所の発疹、強いかゆみ、皮膚の赤み |
| 血管迷走神経反射 | 検査中(緊張時など) | めまい、ふらつき、顔面蒼白(※アレルギーとは異なる生理反応) |
過去に過敏症があった場合の対応策
過去のバリウム検査で、気分が悪くなったり、発疹が出たりした経験がある場合は、必ず問診時に申告します。「大したことなかったから」と自己判断して申告しないと、2回目以降に重篤な反応が出る可能性があります。
アレルギーの既往がある場合、原則としてバリウム検査は実施されず、胃カメラなどの代替検査が提案されます。また、バリウム以外の薬剤や食品に対するアレルギーがある場合も、念のため伝えておくことが安全です。
特に造影剤アレルギーの経験がある人はリスクが高いと判断されます。自分の身を守るためにも、過去の小さな異変も見逃さずに伝えることが重要です。
添加物に対する反応の可能性
純粋な硫酸バリウムだけでなく、飲みやすくするための香料(フレーバー)や、粘度を調整するための添加剤が含まれています。これらの成分がアレルゲンとなるケースもあります。
特定の食品添加物に敏感な人は、事前に成分を確認するか、医師に相談します。下剤にも特定の成分が含まれているため、薬剤過敏症の人は注意が必要です。
検査に使用される薬剤は一つではありません。自分が何に対して反応する可能性があるのかを把握し、不安要素を少しでも減らしてから検査に臨むことが望ましいでしょう。
検査における消化管穿孔(せんこう)のリスク
消化管穿孔とは、胃や腸の壁に穴が開いてしまう状態です。バリウム検査において発生頻度は極めて低いものの、もし発生した場合は腹膜炎を引き起こし、生命を脅かす非常に危険な合併症となります。
これはバリウム自体の毒性ではなく、胃を膨らませる圧力や、腸内で硬化したバリウムが粘膜を圧迫することによって物理的に発生します。
健康な胃腸であれば問題ない圧力でも、病変によって弱くなった部分には大きな負担となります。このリスクを避けるためにも、事前の問診が極めて重要になります。
憩室炎や潰瘍がある場合の危険性
大腸憩室(腸の壁の一部が袋状に飛び出したもの)がある人や、過去に憩室炎を起こしたことがある人は注意が必要です。憩室の壁は薄くなっており、硬くなったバリウムが詰まったり、検査時の圧力が加わったりすることで破れやすくなっています。
また、深掘れした胃潰瘍や十二指腸潰瘍がある場合も、発泡剤で胃を膨らませた際に、その薄くなった部分が耐えきれずに穿孔するリスクがあります。
治療中の潰瘍がある場合や、最近激しい腹痛があった場合は、バリウム検査は避けるのが賢明です。自分の消化管の状態を正しく申告することが、事故防止の第一歩です。
穿孔リスクが高まる身体的条件
- 過去に消化管の手術を受けた経験があり、癒着の可能性がある
- 大腸憩室炎と診断されたことがある、またはその疑いがある
- 現在、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の治療中、または自覚症状がある
- 潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患がある
- 長期のステロイド服用などにより、組織が脆弱になっている
検査中に痛みを感じた場合のサイン
検査中に、我慢できないほどの激痛が走った場合は、直ちに検査を中止しなければなりません。胃が膨らむ際のある程度の苦しさは一般的ですが、鋭い痛みは異常のサインです。
技師に遠慮せず、すぐに伝える勇気が身体を守ります。穿孔が起きると、バリウムがお腹の中(腹腔内)に漏れ出します。
バリウムは腹膜にとって強い刺激物となるため、激しい炎症(バリウム腹膜炎)を引き起こし、耐え難い痛みと高熱をもたらします。
穿孔が起きた場合の緊急手術と予後
万が一穿孔が起きた場合は、緊急手術が必要です。漏れ出したバリウムと汚染物質を洗浄し、穴が開いた部分を修復、あるいは腸管の一部を切除する手術が行われます。
発見と処置が早ければ回復が見込めますが、対応が遅れると敗血症などの重篤な状態に陥ります。このようなリスクを回避するためには、事前の問診で自身の病歴や現在の体調を正直かつ正確に伝えることが何よりも大切です。
バリウム検査を受けるべきではない人の特徴
バリウム検査はすべての人に適しているわけではありません。身体的状況や既往歴によっては、検査を受けること自体がリスクとなる場合があります。これを「禁忌(きんき)」と呼びます。
絶対に受けてはいけない場合と、医師の判断により慎重に行うべき場合があります。自身の状況を照らし合わせ、不安がある場合は事前に必ず相談します。
無理をして検査を受けることは、病気の発見どころか新たな健康被害を生むことになりかねません。自分の体にとってベストな選択をすることが重要です。
妊娠中やその可能性がある場合
バリウム検査はX線を使用するため、放射線被曝を伴います。被曝量は健康に影響がない範囲に管理されていますが、胎児への影響を完全に否定することはできません。
特に細胞分裂が活発な妊娠初期は感受性が高いため、原則として検査は行いません。「もしかしたら妊娠しているかも」という段階であっても、必ず申告し、検査を回避します。
母子手帳をもらう前であっても、可能性がある場合はX線検査を避けるのが一般的なガイドラインです。
激しい腹痛や閉塞症状がある場合
検査当日に強い腹痛がある場合や、数日間排便がなくお腹が張っている場合は、すでに腸閉塞の前兆である可能性があります。この状態でバリウムを飲むと、症状を決定的に悪化させることになります。
体調不良を感じているときは無理をして検査を受けず、まずは通常の外来診察を受け、腹痛の原因を調べることが優先されます。
検診は健康状態が良い時に受けるものです。当日の体調が優れない場合は、延期や中止を申し出る勇気を持ってください。
検査の禁忌と慎重投与の基準
| 区分 | 該当するケース | 推奨される対応 |
|---|---|---|
| 絶対禁忌(受検不可) | 妊娠中またはその可能性、消化管穿孔の疑い、腸閉塞の既往、バリウム過敏症 | 胃カメラへの変更、または検査の中止 |
| 原則禁忌(原則不可) | 重篤な心臓病・腎臓病、全身状態が極めて悪い、自力で体位変換が困難 | 主治医と相談の上、リスクと利益を天秤にかけて判断 |
| 慎重投与(注意が必要) | 高齢者、糖尿病、重度の便秘症、嚥下障害の疑い | 検査後の慎重な経過観察と排便管理を徹底する |
過去の検査でトラブルがあった場合
以前にバリウム検査を受けて気分が悪くなった、発疹が出た、排便ができず苦しんだなどの経験がある人は、再度同じトラブルに見舞われる可能性が高いです。
特にアレルギー反応は回数を重ねるごとに重くなる傾向があります。問診票には些細なことであっても正確に記載し、医療スタッフと情報を共有します。
過去の不快な経験は、体が発している重要なサインかもしれません。それを無視せずに伝えることで、安全な代替手段を提案してもらえるはずです。
検査後の体調変化と医療機関を受診すべきタイミング
無事に検査が終わっても、バリウムが完全に排出されるまでは油断できません。多くの場合はスムーズに排出されますが、体調の変化には個人差があります。
「様子を見ても良い症状」と「すぐに病院へ行くべき症状」を明確に区別し、適切な行動をとることが健康被害を最小限に抑えるポイントです。
自己判断で我慢しすぎると、対応が遅れてしまうことがあります。ここでは具体的な判断基準を知り、迷わず行動できるようにしておきましょう。
白い便が出ない時の判断基準
検査後、まずは白いバリウムを含んだ便が出ることが目標です。下剤を服用し、数時間から翌日までに排便があればひとまず安心です。しかし、検査翌日になっても全く便が出ない場合は要注意です。
まずは水分を多めに摂り、追加の下剤があれば服用して様子を見ます。それでも検査から2日以上便通がなく、お腹の張りを感じる場合は、腸内でバリウムが固まっている可能性があります。
早めに医療機関を受診することで、簡単な処置で済む場合も多いです。放置すればするほど、処置は大掛かりになってしまいます。
検査後の症状チェックリスト
| 症状 | 緊急度 | 取るべき行動 |
|---|---|---|
| 便が出ない(24時間以内) | 低 | 水分を大量に摂取し、軽い運動でお腹を動かす |
| 便が出ない(48時間以上) | 中 | 医療機関に電話相談し、受診を検討する |
| 激しい腹痛、嘔吐 | 高 | 直ちに救急外来や消化器内科を受診する |
腹痛や吐き気が続く場合の対応
軽いお腹の張り程度であれば、排便とともに改善することが多いです。しかし、時間の経過とともに腹痛が増強する場合や、吐き気を伴う場合は腸閉塞の初期症状を疑います。
痛みが持続的であったり、冷や汗が出るような痛みであったりする場合は、緊急性が高いサインです。痛み止めを飲んで様子を見るのではなく、原因を突き止めるための受診が必要です。
特に吐き気が強くて水分も取れないような状態は、脱水症状も併発する危険があります。ためらわずに専門家の助けを求めてください。
自己判断せずに医師に相談する重要性
「そのうち治るだろう」という自己判断は、時に重大な結果を招きます。特にバリウム検査後の腹痛は、通常の便秘痛とは質が異なる場合があります。
医療機関を受診する際は、必ず「いつ、バリウム検査を受けたか」を伝えます。これにより医師は迅速に腹部レントゲンなどで状況を確認し、浣腸や摘便といった適切な処置を行うことができます。
早期に対処すれば、入院などを防ぐことができます。自分の感覚を信じつつ、専門家の知見を頼ることが、結果として自分の体を守ることにつながります。
よくある質問
バリウムが出ない時はどうすれば良いですか?
まずは焦らずに水分を普段より多めに摂取してください。水やお茶をこまめに飲み、腸内の水分量を増やすことが大切です。手元に追加の下剤がある場合は、用法用量を守って服用します。
また、軽いウォーキングや腹部のマッサージを行い、腸の動きを促すことも効果的です。それでも検査翌日まで全く排便がない場合や、腹痛やお腹の張りが強くなってきた場合は、我慢せずに医療機関を受診してください。
浣腸などの処置が必要な場合があります。
バリウム検査と胃カメラはどちらが良いですか?
それぞれに長所と短所があるため、一概にどちらが良いとは言えません。バリウム検査は胃全体の形状や変形を見るのが得意で、スキルス胃がんなどの発見に役立ちますが、小さな色の変化などは見逃すことがあります。
胃カメラは粘膜の色調変化を直接観察でき、組織採取も可能ですが、喉の反射などの苦痛を伴うことがあります。
便秘がひどい人や誤嚥リスクが高い高齢者は胃カメラが推奨されることが多く、逆に胃カメラが苦手な人はバリウムを選択するなど、自身の体質や医師の勧めによって選択することが大切です。
授乳中に検査を受けても大丈夫ですか?
基本的にバリウム自体は体内に吸収されないため、母乳に移行することはありません。したがって授乳中でも検査を受けることは可能です。
ただし、検査後に服用する下剤の種類によっては、成分が母乳に移行する可能性があります。多くの下剤は問題ないとされていますが、念のため医師に授乳中であることを伝え、安全な下剤を処方してもらうか、服用のタイミングについて指導を受けるようにしてください。
心配な場合は、下剤服用後24時間程度授乳を控えるという選択肢もあります。
下剤を追加で飲んでも平気ですか?
検査機関から予備の下剤をもらっている場合は、指示された時間(例えば夕食後や就寝前など)になっても排便がない場合に追加で服用しても問題ありません。
ただし、自己判断で手持ちの市販の下剤を乱用することは避けてください。下剤の種類によっては作用が強すぎて激しい腹痛を伴う下痢を引き起こすことがあります。
追加服用について不安がある場合は、検査を受けた医療機関に電話で問い合わせるのが最も確実で安全な方法です。
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この記事を書いた人 Wrote this article
前田 祐助 医学博士 / 医師
慶應義塾大学医学部大学院にて、がんの発生メカニズム(発癌機構)や、慢性炎症と腫瘍の関係性に関する基礎研究に従事し、医学博士号を取得。 特に、胃がんにおける炎症微小環境の解析や、細胞シグナル伝達(COX-2/PGE2経路など)による腫瘍形成の研究において実績を持つ。 現在は、大学病院や研究機関で培った「根拠(エビデンス)に基づく医療」の視点を活かし、疾患の早期発見や予防医療の啓発活動を行っている。 【保有資格・所属】 医学博士(慶應義塾大学)/ 医師免許 / 日本内科学会 / 日本医師会認定産業医