癌の疑いがある場合の再検査とは?バリウム検査で要精密検査が出た時の対応

癌の疑いがある場合の再検査とは?バリウム検査で要精密検査が出た時の対応

バリウム検査の結果通知に「要精密検査」とあっても、必ずしもがんであるとは限りません。胃炎やポリープ、撮影時の影が原因となる場合も多く存在します。

しかし、自己判断で放置することはリスクを高めるため、速やかに消化器内科を受診し、胃内視鏡検査(胃カメラ)を受けることが重要です。

この記事では、再検査が必要となる背景、具体的な検査内容、病院選びの視点、そして結果を待つ期間の心構えについて、専門的な知見を交えて詳しく解説します。

1.バリウム検査で要精密検査となる判定の背景と原因

健康診断のバリウム検査において「要精密検査」という通知を受け取ると、多くの人が不安を感じます。しかし、この判定は直ちに「がん」を確定するものではありません。

バリウム検査はあくまでスクリーニング(ふるい分け)を目的としており、少しでも異常の疑いがある所見を拾い上げる仕組みになっています。

実際には、撮影時の条件や良性の変化が原因で引っかかるケースが大半を占めます。まずは冷静に、どのような理由で再検査が必要と判断されたのかを知ることが重要です。

胃がん以外の病変が疑われるケースとその特徴

要精密検査の判定が出る理由の多くは、がん以外の良性疾患です。例えば、胃粘膜の炎症(胃炎)や、粘膜の一部が隆起したポリープ、胃酸によって粘膜が傷ついた潰瘍などが挙げられます。

これらはバリウム検査のX線画像上で、粘膜の凹凸や不整として映し出されます。特に慢性胃炎や萎縮性胃炎がある場合、胃の表面が粗くなり、正常なひだとは異なる陰影を作ります。

医師はこれらの所見を見逃さず、念のために詳細な確認が必要だと判断します。したがって、通知を受け取った段階では、治療が必要な病気か、経過観察で良いものかを区別するために再検査を行うと考えます。

バリウムの流れや撮影条件による画像の映り方

バリウム検査は、造影剤であるバリウムを胃壁に付着させ、X線を照射して影を見る検査です。そのため、胃の中に残った食べ物や泡、あるいは胃の形状そのものが原因で、病変のように見える「偽陽性」が生じることがあります。

例えば、ゲップを我慢できずに胃がしぼんでしまうと、ひだが重なり合って異常な影として写ります。また、バリウムが均一に付着しなかった場合も、不整な像として認識します。

このように、撮影の技術的な要因や患者様のコンディションが結果に影響を与えるため、画像だけでは確定診断が難しく、直接胃の内部を観察する検査が必要になります。

良性のポリープや胃炎との識別と確定診断の必要性

X線画像上でポリープのような隆起が見つかった場合、それが良性のものか、あるいは悪性の可能性があるものかを画像だけで完全に判別することは困難です。

良性の「胃底腺ポリープ」であれば治療の必要がない場合も多いですが、一方で「腺腫」などは将来的にがん化するリスクを含んでいます。また、胃炎の背後に早期の胃がんが隠れている可能性も否定できません。

これらを正確に識別し、白黒はっきりさせるためには、胃カメラを用いて粘膜の色調や微細な構造を直接確認し、必要であれば組織を採取して顕微鏡で調べる病理検査を行うことが大切です。

要精密検査の主な原因分類

判定要因具体的な所見リスクと対応
良性疾患の疑い胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、良性ポリープなど治療や経過観察が必要だが、生命に関わる緊急性は低いことが多い。内視鏡で確定する。
撮影上のアーチファクト残渣(食べ残り)、泡、粘液、バリウムの付着不良病気ではないが、画像上は異常に見える。再検査で「異常なし」となる典型的なケース。
悪性の疑い深い潰瘍、不整な隆起、胃壁の硬化など早期発見であれば内視鏡治療が可能。組織検査を行い、治療方針を決定する。

2.精密検査として実施する胃内視鏡検査の具体的な内容

バリウム検査で指摘を受けた後に行う再検査は、ほぼ例外なく「上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)」です。これは、先端に小型カメラがついた細い管を口や鼻から挿入し、食道、胃、十二指腸の内部を医師が直接モニターで観察するものです。

影絵を見るバリウム検査とは異なり、粘膜の色や血管の透け方、表面の微細な凹凸をリアルカラーで確認できるため、診断の精度が格段に高まります。病変の早期発見において極めて有効な手段です。

胃カメラで判別できる情報と診断精度の高さ

胃カメラの最大の利点は、医師が肉眼で見るのと同じように胃の中を観察できる点にあります。数ミリ単位の小さな変化や、平坦でバリウムでは描出が難しい早期がんも発見可能です。

また、NBI(狭帯域光観察)などの特殊光を用いることで、がん特有の血管構造を浮かび上がらせる技術も普及しています。これにより、病変が悪性か良性か、どの程度の深さまで達しているかといった詳細な情報を得ます。

バリウム検査が「怪しい場所を見つける」検査であるのに対し、胃カメラは「それが何であるかを確定する」検査といえます。

経口内視鏡と経鼻内視鏡の特徴比較と選択基準

胃カメラには、口から挿入する「経口内視鏡」と、鼻から挿入する「経鼻内視鏡」の2種類があります。経口は画質が良く、処置具を通すチャンネルが広いため、詳細な検査や治療に適しています。

一方、舌の付け根に触れるため嘔吐反射(オエッとなる感覚)が起きやすいのが難点です。対して経鼻は、チューブが細く舌根に触れないため、苦痛が少ないのが特徴です。検査中に医師と会話もできます。

以前は画質が劣ると言われましたが、近年は技術向上により経鼻でも十分な精度で検査が可能になっています。受診者の希望や、過去の検査経験、鼻腔の狭さなどを考慮して医師と相談の上で選択します。

検査中に疑わしい病変が見つかった場合の生検手技

検査中にがんやその他の病気が疑われる箇所が見つかった場合、その場で「生検(バイオプシー)」を行います。これは、内視鏡の先端から小さな鉗子(かんし)を出し、病変部分の組織を2ミリほどつまみ取る処置です。

採取した組織は専門の病理医が顕微鏡で細胞レベルの診断を行います。生検を行うことで初めて「確定診断」が得られます。痛みはほとんどなく、出血もすぐに止まる程度のものです。

この一連の流れを一度の検査で行えることが、内視鏡検査の大きなメリットです。

経口と経鼻内視鏡の比較まとめ

検査方式メリットデメリット
経口内視鏡(口から)高画質で詳細な観察が可能。処置もしやすい。鎮静剤を使えば苦痛を軽減できる。鎮静剤なしでは嘔吐反射が強く出やすい。検査後の休憩が必要な場合がある。
経鼻内視鏡(鼻から)嘔吐反射が少なく、身体的負担が軽い。検査中に会話ができ、終了後すぐに帰宅しやすい。鼻腔が狭い人は痛みを感じる場合がある。鼻血が出ることがある。

3.胃がんリスクを判定するピロリ菌検査の重要性

再検査の際には、同時に「ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)」の検査を行うことを強く推奨します。ピロリ菌は胃の粘膜に生息する細菌で、長期間感染し続けると慢性胃炎を引き起こし、胃がん発生の最大のリスク要因となります。

実際、胃がん患者様の多くがピロリ菌感染者、または過去に感染していた人です。再検査でがんが見つからなかったとしても、ピロリ菌の有無を調べ、陽性であれば除菌治療を行うことが、将来的な胃がん予防において非常に重要です。

ピロリ菌感染と胃がん発生の密接な関連性

ピロリ菌は幼少期に感染することが多く、除菌しない限り胃の中に住み続けます。菌が出す毒素が胃粘膜を傷つけ、修復しようとする炎症反応が繰り返されることで、胃の粘膜が薄くなる「萎縮」が進みます。

この萎縮性胃炎が進行すると、胃がんが発生しやすい土壌ができあがります。WHO(世界保健機関)の専門組織も、ピロリ菌を「確実な発がん因子」と認定しています。

バリウム検査で「萎縮性胃炎」の疑いを指摘された場合、ピロリ菌感染の可能性が濃厚です。感染を知り、対処することは、自分自身の胃を守るための第一歩です。

呼気検査や血液検査など多様な検査手法

ピロリ菌の検査にはいくつかの方法があり、内視鏡を使うものと使わないものに分かれます。内視鏡検査時に行う方法としては、組織を採取して反応を見る「迅速ウレアーゼ試験」や「鏡検法」があります。

一方、内視鏡を使わない方法として代表的なのが「尿素呼気試験」です。これは検査薬を飲み、一定時間後の吐く息(呼気)を調べるもので、精度が高く、除菌後の判定にも広く使われます。

その他、血液や尿中の抗体を調べる検査や、便中の抗原を調べる検査もあります。医師は状況に応じて適切な方法を提案します。

陽性判定が出た場合の除菌療法の流れと効果

検査の結果、ピロリ菌陽性と判明した場合は「除菌療法」を行います。これは、胃酸の分泌を抑える薬と、2種類の抗生物質を組み合わせて、1週間朝晩服用する治療です。

成功率は高く、最初の治療(一次除菌)で約7〜8割の人が成功します。もし失敗しても、薬の種類を変えた二次除菌を行うことで、ほとんどの人が除菌に成功します。

除菌に成功すると、胃の炎症が治まり、胃がんになるリスクを大幅に下げることができます。ただし、リスクがゼロになるわけではないため、除菌後も定期的な内視鏡検査を継続することが大切です。

ピロリ菌検査でわかること

  • 現在の感染有無:今現在、胃の中にピロリ菌が生息しているかどうかを判定する
  • 胃粘膜の状態:感染に伴う胃炎や萎縮の程度を推測する材料になる
  • 除菌の必要性:陽性であれば、将来のがん予防のために除菌治療へと進む

4.精密検査を受ける医療機関の選び方と予約手配

要精密検査の通知を受け取ったら、次にすべきことは受診する医療機関を決めることです。どこの病院でも良いわけではなく、精度の高い内視鏡検査を行える施設を選ぶことが、正確な診断と安心につながります。

近所のクリニックから総合病院まで選択肢は多岐にわたりますが、消化器病の専門性や検査実績、そして自分がリラックスして検査を受けられる環境かどうかを基準に選定します。

ここでは、病院選びで失敗しないための視点を紹介します。

消化器内科や内視鏡専門医の探し方と確認事項

まずは「消化器内科」を標榜している医療機関を探します。その中でも、「日本消化器内視鏡学会専門医」が在籍しているかどうかが一つの指標になります。

専門医は一定の研修を受け、試験に合格し、多くの症例を経験しているため、技術や知識の面で信頼がおけます。クリニックのホームページを確認し、医師の経歴や資格欄をチェックします。

また、検査機器の性能や洗浄・消毒の管理体制についても情報を公開している施設は、安全性への意識が高いと言えます。

検査実績や設備の充実度を見極めるポイント

年間の内視鏡検査件数も重要な判断材料です。件数が多い施設は、それだけ多くの症例を経験しており、スムーズで苦痛の少ない検査手技に熟練している傾向があります。

また、鎮静剤(静脈麻酔)を使用した検査に対応しているかも確認します。眠っている間に検査を終えたいと希望する場合、リカバリールーム(回復室)などの設備が整っている施設が必要です。

さらに、土日診療や早朝検査など、自分の生活スタイルに合わせて受診できるかどうかも、検査へのハードルを下げる要因になります。

予約から検査当日までの準備と注意事項の遵守

医療機関を決めたら電話やWEBで予約を取りますが、多くの場合は一度事前の診察が必要です。そこで現在の症状や服薬状況(特に血液をサラサラにする薬など)を医師に伝えます。

検査前日は夕食を早めに済ませ、当日は絶食となるのが基本ルールです。水分摂取の制限など、病院から渡される指示書を必ず守ります。

指示を守らないと、胃の中に食べ物が残って詳細な観察ができず、検査が中止になったり、再々検査になったりする可能性があります。スムーズな検査のために、事前準備を徹底します。

医療機関選びのチェックリスト

確認項目内容重要度
専門医の在籍日本消化器内視鏡学会専門医がいるか高い
鎮静剤の使用苦痛を和らげるための鎮静剤(セデーション)に対応しているか希望により高い
検査実績年間の胃カメラ検査件数が公開されているか

5.検査結果が出るまでの期間と心構え

内視鏡検査が終わった後、結果が出るまでの期間は検査内容によって異なります。画像診断だけの結果であれば、検査終了後に医師からすぐに説明を受けられます。

しかし、組織を採取する生検を行った場合は、病理検査の結果が出るまで数日から2週間程度の時間を要します。この「結果待ち」の期間は、多くの人にとって不安な時間となりますが、結果を正しく受け止めるための準備期間と捉え、冷静に過ごすことが大切です。

生検結果が出るまでの日数の目安とプロセス

生検で採取した組織は、専門の検査機関に送られ、標本として加工された後、病理医によって詳細に観察されます。この工程には物理的な時間がかかるため、通常は1週間から2週間後に再度受診して結果を聞くことになります。

ゴールデンウィークや年末年始などを挟む場合は、さらに時間がかかることもあります。結果が出るのが遅いからといって、必ずしも悪い結果であるとは限りません。

焦らずに、指定された日時に受診します。この際、結果を聞きに行くのは一人でも構いませんが、不安が強い場合は家族などに同伴してもらうのも良い方法です。

結果待ちの期間に過ごす際のメンタルケア

「もしがんだったらどうしよう」と考え始めると、不安は尽きません。しかし、心配しても結果が変わるわけではないため、意識的に普段通りの生活を送るよう心がけます。

インターネットで病気の情報を検索しすぎると、最悪のケースばかりが目につき、不安が増幅する「検索魔」になりがちです。

信頼できる公的機関の情報源(国立がん研究センターなど)以外は見ないようにするか、検索自体を控えることをお勧めします。趣味や仕事に没頭し、なるべく病気のことを考える時間を減らす工夫をします。

万が一がんが見つかった場合の初期対応と心構え

もし結果が「胃がん」であったとしても、早期発見であれば完治する確率は非常に高い病気です。医師から告知を受けた際は、頭が真っ白になるかもしれませんが、まずは落ち着いて話を聞きます。

病期(ステージ)、がんのタイプ、推奨される治療法について説明があります。メモを取ったり、録音の許可を求めたりして、後で冷静に見返せるようにします。

紹介状をもらって専門病院へ転院する場合もあります。がんは今や「治る病気」になりつつあります。医師と協力して治療に向き合う姿勢を持ちます。

結果待ち期間の過ごし方ポイント

  • 情報の遮断:不安を煽るようなネット検索を控える
  • 日常の維持:普段通りの食事や睡眠、仕事を心がける
  • 相談相手の確保:不安な気持ちを家族や友人に話して共有する

6.早期発見における再検査の役割と生存率

バリウム検査で要精密検査となり、再検査を受けることは、決して「不運」なことではありません。むしろ、病気を早期に見つけるための貴重な「チャンス」を得たと捉えるべきです。

胃がんは早期の段階で見つかれば、お腹を切らずに内視鏡で切除できる場合が多く、身体への負担も最小限で済みます。

ここでは、早期発見がいかに重要か、具体的なデータや生存率の観点から解説します。再検査を受けるモチベーションにしてください。

ステージごとの5年生存率と早期治療の価値

胃がんの予後(治療後の経過)は、発見された時の進行度(ステージ)によって大きく異なります。

国立がん研究センターなどのデータによると、最も早い段階である「ステージI」で発見され治療を受けた場合、5年生存率は95%以上と極めて高い数値を示しています。

これがステージが進むにつれて生存率は低下していきます。つまり、要精密検査の指摘を受けてすぐに再検査を行い、もしそこでがんが見つかったとしても、それが早期であれば、命に関わる事態になることを防げる可能性が非常に高いのです。

自覚症状がない段階での発見の重要性

早期の胃がんは、痛みや食欲不振といった自覚症状がほとんどありません。症状が出てから病院に行った時には、すでに進行がんになっているケースも少なくありません。

バリウム検査などの検診は、この「症状がない段階」で異常を拾い上げることができる唯一の手段です。要精密検査の通知は、体からの無言のサインを検診が捉えた証拠です。

症状がないからといって「元気だから大丈夫」と過信せず、再検査を受けることが、将来の健康を守る鍵となります。

定期的な検診と精密検査の継続的な受診

今回の再検査で「異常なし」または「良性のポリープ」と診断されたとしても、それで終わりではありません。一度再検査になったということは、胃に何らかの変化が起きやすい体質や環境があるかもしれませんし、ピロリ菌感染の既往があるかもしれません。

医師の指示に従い、1年に1回あるいは2年に1回など、定期的に内視鏡検査を受ける習慣をつけることが大切です。継続的なチェックを行うことで、もし将来がんが発生しても、初期段階で確実に見つけることができます。

胃がんステージと5年生存率の目安

ステージ状態の目安5年生存率(目安)
ステージIがんが胃の壁の浅い層にとどまっている。転移なし。95%以上
ステージIIがんが筋肉層まで達している、または近くのリンパ節に少し転移がある。約60〜70%
ステージIIIがんが深く浸潤している、またはリンパ節転移が広がっている。約40〜50%

7.胃カメラ検査にかかる費用と時間の目安

検査を受けるにあたり、現実的な懸念事項として「費用」と「時間」があります。あらかじめどのくらいの金額が必要で、どのくらいの時間を確保しておけば良いのかを知っておくことで、安心して検査に臨めます。

基本的には保険診療が適用されますが、検査の内容や処置の有無、鎮静剤の使用、病院の規定によって金額は変動します。ここでは一般的な目安について解説します。

初診料や検査料など費用の内訳と総額

バリウム検査の結果を受けて受診する場合、健康保険(3割負担の方を想定)が適用されます。

初診料、検査前の血液検査料、内視鏡検査料などを合わせると、観察のみで終わった場合、窓口での支払いは概ね3,000円から5,000円程度が目安です。これに加えて、薬剤費などがかかる場合があります。

1割負担の方はこの3分の1程度の金額になります。ただし、初診時に検査予約のみを行い、後日検査となる場合は、初診日と検査日でそれぞれ費用が発生します。

鎮静剤使用時の追加費用と滞在時間

苦痛を和らげるために鎮静剤(静脈麻酔)を使用する場合、薬剤料や管理料が追加されますが、数百円から千円程度の増額で済むことが多いです。ただし、鎮静剤を使用すると、検査後すぐに帰宅することはできません。

目が覚めるまで1時間程度、院内のベッドで休息する必要があります。そのため、病院での滞在時間は、受付から会計までを含めて2時間から3時間程度見ておくのが無難です。

また、当日は車や自転車の運転が禁止されるため、公共交通機関や家族の送迎を手配するコストや手間も考慮します。

病理検査が必要になった場合の追加コスト

検査中に病変が見つかり、組織を採取して病理検査(生検)を行った場合、費用は大きく変わります。臓器の数や採取した箇所数によりますが、3割負担で約10,000円から15,000円程度が追加されると考えます。

つまり、観察のみなら約5,000円、生検ありなら約15,000円から20,000円程度を財布に入れておく必要があります。クレジットカードが使える病院も増えていますが、念のため現金を多めに用意しておくと安心です。

胃カメラ検査の費用目安(3割負担の場合)

検査内容費用の目安時間の目安(滞在時間)
観察のみ(鎮静剤なし)約3,000円〜5,000円約1時間〜1時間半
観察のみ(鎮静剤あり)約4,000円〜6,000円約2時間〜3時間(休憩含む)
病理組織検査あり約10,000円〜20,000円約2時間〜3時間(休憩含む)

よくある質問

バリウム検査と胃カメラ、どちらが優れていますか?

それぞれに長所と短所があるため一概には言えませんが、精密検査としての能力は胃カメラが圧倒的に優れています。バリウム検査は胃全体の形状を見るのが得意で、検診として多くの人を短時間で調べるのに適しています。

一方、胃カメラは粘膜の色や微細な凹凸を直接観察できるため、早期がんの発見や確定診断においては必須の検査です。要精密検査となった場合は、迷わず胃カメラを受けてください。

再検査を放置するとどうなりますか?

放置することの最大のリスクは、がんなどの重大な病気を見逃し、進行させてしまうことです。バリウム検査で指摘された異常がもし早期がんであった場合、放置している間に進行がんとなり、治療が難しくなる可能性があります。

また、良性の潰瘍であっても、悪化して出血や穿孔(穴が開く)を起こすこともあります。症状がなくても体の中で病変が進行している可能性を考え、必ず受診してください。

胃カメラは苦しいイメージがあり怖いです。楽に受ける方法はありますか?

現在は苦痛を軽減する方法がいくつかあります。一つは「経鼻内視鏡」を選ぶことです。鼻から細いカメラを入れるため、嘔吐反射が少なく楽に受けられます。

もう一つは「鎮静剤(セデーション)」を使用することです。点滴で眠くなる薬を使い、うとうとしている間に検査が終わります。検査に対する不安が強い方は、予約時にこれらの方法が可能かどうか医療機関に相談することをお勧めします。

要精密検査の結果、異常なしと言われました。バリウム検査は間違いだったのですか?

間違いというよりも、バリウム検査の特性によるものです。バリウム検査は「疑わしきは罰せず」ではなく「疑わしきは拾い上げる」という方針で行われます。

食べ物の残りや空気の泡、胃のひだの重なりなどが影として写り、病変との区別がつかない場合に念のため要精密検査と判定します。結果的に異常なしであれば、それは健康であることが確認できたということであり、検診の目的は十分に果たされています。

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この記事を書いた人 Wrote this article

前田 祐助

前田 祐助 医学博士 / 医師

慶應義塾大学医学部大学院にて、がんの発生メカニズム(発癌機構)や、慢性炎症と腫瘍の関係性に関する基礎研究に従事し、医学博士号を取得。 特に、胃がんにおける炎症微小環境の解析や、細胞シグナル伝達(COX-2/PGE2経路など)による腫瘍形成の研究において実績を持つ。 現在は、大学病院や研究機関で培った「根拠(エビデンス)に基づく医療」の視点を活かし、疾患の早期発見や予防医療の啓発活動を行っている。 【保有資格・所属】 医学博士(慶應義塾大学)/ 医師免許 / 日本内科学会 / 日本医師会認定産業医