
マンモグラフィ検査の放射線被曝量は、飛行機で東京とニューヨークを往復する際に浴びる自然放射線量よりも少なく、健康被害が生じる可能性は極めて低いです。乳がんを早期発見するメリットは被曝リスクを遥かに上回ります。
この記事では、被曝の具体的な数値、痛みなどの副作用への対処法、受診の適切な頻度を詳しく解説します。不安を抱える方が安心して検査へ一歩踏み出すための、根拠に基づいた情報を丁寧にまとめました。
マンモグラフィ検査の放射線量が体へ与える影響と安心できる根拠
マンモグラフィ検査で受ける放射線量は、1回の撮影につき約0.2から0.3ミリシーベルト程度であり、これは私たちが日常生活の中で自然界から受けている放射線量と比較しても非常にわずかな量です。
多くの専門機関が、この程度の放射線量が直接的に健康被害を引き起こす根拠はないと結論づけています。私たちは常に放射線の中で暮らしており、医療検査はその一部に過ぎないことを理解しましょう。
デジタル技術の進化によって撮影に必要な放射線量は大幅に抑えられています
マンモグラフィは乳房という限られた部位に対してのみ、非常に弱いX線を照射する検査です。全身に放射線を浴びるわけではないため、内臓や生殖器への影響を心配する必要はありません。
私たちが1年間に自然界から受ける放射線量は日本国内で平均約2.1ミリシーベルトと言われており、マンモグラフィ1回の放射線量がいかに小さいかが数字の上でも明確に示されています。
かつてのアナログ方式に比べ、現代のデジタルマンモグラフィ装置は非常に感度が良く、より少ない放射線量で鮮明な画像を得る仕組みを持っています。少ない被曝で高い精度を実現しています。
微細な石灰化なども見逃さない技術が確立しており、病院側も常に機器の管理を徹底しています。必要最小限の線量で済むよう、撮影のたびに自動的に出力が調整されるシステムが普及しています。
国際的な基準値と比較しても私たちの健康を損なわない範囲に留まっています
国際放射線防護委員会などの機関が定めている基準においても、乳がん検診におけるマンモグラフィの線量は、不利益よりも利益が大きく上回る範囲として厳密に設定されています。
具体的には、この検査によって誘発されるがんのリスクは、早期発見によって救われる命の数に比べれば無視できるほど小さいというデータが、世界中の研究報告によって示されています。
医療現場では、被曝によるリスクを最小化しながら、病気を見つけるという目的を達成するための厳格なプロトコルが運用されています。私たちはその科学的な土台の上に立って受診できるのです。
日常生活と医療検査の放射線量の比較
| 項目 | 放射線量(mSv) | 比較の状況 |
|---|---|---|
| マンモグラフィ | 約0.2~0.3 | 乳房2方向の撮影 |
| 自然放射線(1年間) | 約2.1 | 日本での平均値 |
| 航空機での往復 | 約0.1~0.2 | 東京―ニューヨーク |
乳房という局所的な照射が全身の臓器に与える心配はほとんどありません
マンモグラフィはX線を通しにくい乳房を薄く伸ばして撮影するため、放射線が当たる範囲は非常に限定的です。胸部レントゲンや胃のバリウム検査とは、照射の方向や性質が全く異なります。
照射されたX線のほとんどは乳房という組織の中で吸収されるか通過するのみで、腹部や骨盤内にある生殖器まで届くことは物理的に考えにくい設計になっています。安心して受診してください。
放射線への不安を抱くこと自体は、自分の体を大切に思っている証拠です。その不安を具体的な数値で和らげ、検診という自己投資にポジティブな意味を見出していきましょう。
乳がん検診で受ける被曝リスクと日常生活の放射線量を比較して考える
放射線という言葉を聞くと反射的に怖いと感じてしまうのは自然な反応ですが、実際には私たちの身の回りには常に放射線が存在しています。正しい知識を持つことが不安の解消につながります。
マンモグラフィの被曝リスクを正しく評価するためには、特別な出来事として捉えるのではなく、日常の延長線上にあるものとして俯瞰して眺める視点が何よりも大切だと言えます。
大地や宇宙から常に降り注いでいる自然放射線の存在を知っておきましょう
私たちは意識せずとも、宇宙からの宇宙線や土壌に含まれる天然の放射性物質、さらには食べ物の中に含まれるカリウムなどから放射線を受けて毎日を過ごしています。これを自然放射線と呼びます。
マンモグラフィによる被曝は人工的なものですが、体にかかる負担という点では自然放射線と性質は変わりません。短時間に集中して受けるという点に注意は必要ですが、その総量はごく僅かです。
日本の平均的な自然放射線量を日割り計算すると、マンモグラフィ1回分は約40日から50日間の生活で浴びる量に相当します。この短期間の積み重ねを私たちは日々安全にこなしているのです。
胸部X線検査やCT検査といった他の一般的な医療検査と比べた安全性
他の医療検査と比較しても、マンモグラフィの被曝量は少ない部類に入ります。例えば、胸のレントゲン検査は約0.06ミリシーベルト、胸部CT検査になると約5から10ミリシーベルト程度です。
これらと比較すると、マンモグラフィがいかに安全面に配慮された検査であるかが理解できます。特定の部位のみを撮影する専用装置だからこそ、全身への影響を最小限にできるのです。
医療被曝については、その検査を行わなかった場合の見落としリスクとのバランスで常に検討が行われています。マンモグラフィは、そのバランスが極めて優れた検査手法として確立されています。
医療検査の種類別被曝量目安
| 検査名称 | 被曝量目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 胸部レントゲン | 0.06mSv | 健康診断での標準 |
| マンモグラフィ | 0.3mSv | 乳腺組織を詳細に確認 |
| 胃バリウム検査 | 2.0mSv | 消化器全体の確認 |
飛行機での移動など多くの人が普通に行っている活動に伴う放射線量
意外に知られていないのが、飛行機移動による被曝です。高度が高い場所では宇宙線が遮られないため、地上よりも多くの放射線を浴びます。東京からニューヨークを往復すると線量が増えます。
往復で受ける放射線量は、マンモグラフィ1回分に近い数値に達することもあります。しかし、飛行機に乗ることを被曝が怖いからという理由で避ける人は、現代社会ではほとんど見かけません。
それと同じように、検診によるメリットを考えれば、マンモグラフィの被曝は十分に許容できる範囲内にあると言えます。過剰な心配をせず、健康を守るためのステップとして捉えてください。
検査に伴う痛みや不快感といった一時的な副作用への向き合い方
マンモグラフィ検査において、放射線の次に心配されるのが痛みです。乳房を圧迫して平たくすることで、重なりを減らし微細な病変を見つけやすくしますが、これが不快感を招くことがあります。
しかし、この痛みはあくまで一時的なものであり、検査の精度を高めるために避けては通れない過程でもあります。その必要性を知ることで、受診時の心の準備を整えることができるはずです。
なぜ乳房を機械で強く圧迫して撮影する必要があるのかを明確にします
なぜあんなに痛い思いをしてまで挟むのかと疑問に感じる方も多いでしょう。圧迫には重要な理由があります。1つ目は、乳腺の重なりを広げて、隠れた小さながんを見つけやすくするためです。
2つ目は、乳房の厚みを薄くすることで、照射する放射線の量をさらに減らすためです。薄くなればなるほど、少ないエネルギーで裏側までX線を通すことが可能になり、安全性が高まります。
3つ目は、撮影中に体が動いて画像がブレるのを防ぐためです。しっかりと固定して圧迫を行うことで、結果としてあなたの被曝量を減らし、診断の質を格段に向上させているのです。
検査後の皮膚の赤みや鈍い不快感は数日で自然に消えていきます
検査直後、乳房が赤くなったり、ヒリヒリとした痛みを感じたりすることがあります。これは皮膚が強く引っ張られたり圧迫されたりしたことによる、一時的な生理現象の一つです。
数時間から数日で自然に治まることがほとんどですので、必要以上に慌てる必要はありません。もしも痛みが長く続く場合や、目に見えてひどい痣ができた場合は、医療機関に相談してください。
ほとんどのケースでは、冷やしたり安静にしたりすることで症状は和らぎます。検査当日は激しい運動を控え、ゆったりとした服装で過ごすことが、体への負担を軽減するポイントになります。
痛みを最小限に抑えるためのセルフケア
- 月経開始から7日から10日後の、胸が張っていない時期を受診日に選ぶ
- 検査中は技師の指示をよく聞き、深く息を吐いて肩の力を抜くようにする
- 痛みが強すぎて耐えられない場合は、我慢せずにその場で技師に意思を伝える
不快感を和らげるためにリラックスして検査に臨むためのコツ
乳房の状態はホルモンバランスによって大きく変化します。月経前は乳房が張って敏感になり、痛みを感じやすいため、この時期の予約は避けるのが、賢く検査を受けるための第一歩です。
また、検査中に体が強張ると、筋肉の緊張によって圧迫時の痛みが倍増してしまいます。技師とコミュニケーションを取りながら、リラックスした状態で臨むと驚くほど楽に終わることもあります。
痛みの感じ方には個人差がありますが、医療スタッフも苦痛を最小限にするよう努めています。お互いに協力し合いながら進めることが、納得感のある検査結果につながる大切な要素です。
若い世代や妊娠中の女性がマンモグラフィを受ける際の注意点
20代や30代の若い女性や、妊娠中・授乳中の方は、被曝による次世代への影響を特に不安に感じるものです。基本的には40歳以上が推奨される検査ですが、必要に応じて受ける場合があります。
状況に合わせた特別な配慮がなされるため、自分の状態を正確にスタッフへ伝えることが重要です。年齢や体の状態に合わせた最適なアプローチを選択することで、リスクを回避しましょう。
妊娠中やその可能性がある場合は必ず事前にスタッフへ伝えてください
妊娠中であっても、腹部を鉛の入った防護衣で覆うことで、胎児への被曝をほぼゼロに抑えることは十分に可能です。しかし、緊急性が低い場合は、妊娠中の検査は避けるのが一般的な方針です。
もし乳房に異変を感じて検査が必要な場合は、まずは被曝のない超音波検査を優先することが多いと言えます。予約時や撮影前の問診では、妊娠の可能性について必ず正確な情報を共有してください。
医療機関側も、デリケートな時期の女性に対しては最新の注意を払っています。医師とのカウンセリングを通じて、今受けるべきか、出産後まで待つべきかを慎重に判断することが推奨されます。
20代や30代の乳腺が発達した女性への被曝の影響と検査の有効性
若い世代ほど放射線に対する感度が高い傾向にありますが、それでも現代の線量で健康被害が出る可能性は極めて低いです。ただ、若い女性は乳腺が非常に密集しているという特徴があります。
高濃度乳房の状態では、マンモグラフィだけではがんが乳腺に隠れて見えにくいという問題が生じます。そのため、若年層では被曝を避ける意味も含め、超音波検査が第一選択肢となります。
年齢を重ねるごとに乳腺組織は脂肪へと置き換わっていき、マンモグラフィの診断精度は高まっていきます。自分の年齢に適した検査方法を選ぶことが、無駄な被曝を避ける賢明な判断となります。
特別な状況別の推奨対応一覧
| 状況 | 推奨される対応 | 主な理由 |
|---|---|---|
| 妊娠中 | 原則として延期 | 胎児への心理的・物理的配慮を最優先 |
| 20代・30代 | 超音波検査を優先 | 乳腺密度が高くマンモでは見にくいため |
| 授乳中 | 断乳後6ヶ月以降 | 乳腺の発達による診断ミスの防止 |
授乳中の受診が検査精度や放射線量に与える影響を正しく把握する
授乳中は乳腺が非常に発達し、乳汁も溜まっているため、画像が白っぽくなり正しい診断が得られにくい傾向にあります。圧迫によって乳汁が漏れ出す不快感を伴うことも考慮すべき点です。
そのため、一般的には断乳後半年ほど経過して、乳腺が落ち着いてからの受診が勧められています。どうしても必要な場合は、直前に授乳を済ませ、できるだけ乳腺を空の状態にして臨みます。
被曝自体が母乳の質に影響を与えることはなく、検査後すぐに授乳を再開しても赤ちゃんへの害はありません。こうした正しい知識を持つことで、育児中の健康管理も安心して行えるようになります。
高濃度乳房など個人の体質による検査の精度と被曝のバランス
デンスブレストという言葉をご存知でしょうか。これは病気ではなく、乳房の中の乳腺の割合が多いという体質のことを指します。この体質によって、検査の受け方が変わる場合があります。
自分の乳房がどのような構成になっているかを知ることは、被曝リスクを最小限に抑えつつ、最大限の安心を手に入れるための近道となります。体質に合わせた戦略を立てていきましょう。
乳腺の密度が高いほど撮影時の線量がわずかに増える場合があります
乳腺がぎっしりと詰まっている乳房は、X線が通りにくいという物理的な性質を持っています。そのため、適切な明るさの画像を得ようとすると、装置が自動的に線量を微増させることがあります。
こうした調整は、脂肪が多い乳房に比べて行われるものですが、増加量は依然として健康に影響を及ぼすレベルではありません。装置が被曝を最小限に抑えつつ、診断に必要な出力を計算しています。
大切なのは、自分の体質に合わせた最適な撮影が行われているという信頼感です。現在のデジタル技術は、個々の体の厚みや密度に合わせて、オーダーメイドのように線量を調節してくれます。
マンモグラフィだけではがんを見落としてしまうリスクへの賢い備え
高濃度乳房の最大の問題は、被曝量そのものよりもがんの隠れやすさにあります。画像上では乳腺もがんも同じように白く写るため、真っ白な背景の中から小さな白い点を探すのは困難です。
このようなケースでは、マンモグラフィだけに頼るのではなく、超音波検査を併用することで診断の穴を埋めることが極めて重要です。被曝を恐れるより、診断の精度を高める工夫を優先しましょう。
日本人女性、特に閉経前の方には高濃度乳房が多く見られます。自分もその可能性があると考え、自治体の検診結果などを注意深く確認し、必要に応じてオプション検査を追加するのが賢明です。
乳房の構成タイプの違いと診断のしやすさ
| タイプ | 乳腺の割合 | マンモグラフィの有効性 |
|---|---|---|
| 脂肪性 | ほとんど脂肪 | 極めて高く、見つけやすい |
| 乳腺散在 | 一部に乳腺 | 良好な診断が可能 |
| 不均一高濃度 | 乳腺が多め | エコー併用が望ましい |
| 極めて高濃度 | 非常に多い | エコー併用が強く推奨される |
自分の乳房のタイプを正確に知ることで最適な検診プランを立てる
検診の結果に高濃度乳房という記載があったら、それは次回からはマンモグラフィとエコーの両方を受けてくださいという重要なサインです。自分の体質を把握すれば、無駄な不安を消し去れます。
高濃度であっても、マンモグラフィは石灰化を見つけるために必要です。一方、エコーはしこりを見つけるのが得意です。両方の長所を組み合わせることで、被曝を抑えつつ最強の布陣を組めます。
体質は加齢とともに変化することもあります。閉経後は乳腺が萎縮して脂肪が増えるため、マンモグラフィの精度はさらに向上します。ライフステージに合わせて、検診の内容をアップデートしましょう。
精密検査が必要になった場合の追加撮影と被曝の許容範囲
検診の結果、要精密検査という通知が届くと、誰もが不安に襲われます。精密検査では再度マンモグラフィを撮ったり、拡大撮影を行ったりしますが、その被曝についても正しく知っておきましょう。
この段階での撮影は、がんであるかどうかを確定させるために避けては通れない、非常に重要なステップです。追加の被曝が体にどのような影響を与えるのか、冷静に判断することが求められます。
追加撮影が行われる理由と診断の精度を飛躍的に向上させる仕組み
精密検査でのマンモグラフィは、検診の時とは目的が全く異なります。怪しい影が本当にあるのか、それとも単なる乳腺の重なりで見えていただけなのかをはっきりさせるための作業なのです。
角度を変えて撮ったり、特定の場所だけを拡大して詳しく観察したりすることで、不必要な手術や組織検査を避けることができます。追加の撮影は、最終的に体への大きな負担を回避するための手段です。
医師は、画像から得られる情報の価値を重視しています。一枚の追加撮影によって、将来の大きな手術を回避できるのであれば、その線量は十分に価値のある投資であると医学的に考えられています。
短期間に複数回の撮影を重ねて行っても健康上の問題は生じません
精密検査で追加の撮影を数回行ったとしても、その合計線量は数ミリシーベルト程度に収まるのが一般的です。これは医療現場で日常的に行われている他の高度な放射線検査と比べても安全です。
急性放射線障害はもちろん、将来的な発がんリスクを実質的に高めるような量ではありません。私たちの体には受けた微細なダメージを自ら修復する力が備わっており、その機能を信頼しましょう。
放射線は確かに体に影響を与えますが、それは量の問題です。マンモグラフィのような微量なレベルでは、その影響を過剰に心配するよりも、今そこにある病変の正体を突き止める方が優先されます。
精密検査で実施される主な追加のアプローチ
- 病変が疑われる部位を狙い撃ちして撮るスポット撮影
- ミリ単位の小さな変化を詳しく見るための拡大撮影
- マンモグラフィで見えない影を立体的に確認する超音波検査
被曝リスクを考慮した上での専門医による慎重で合理的な判断
医師や診療放射線技師は、常に合理的に達成可能な限り被曝を低く保つという国際的な原則に従って動いています。必要のない撮影は一枚たりとも行わないというのが、医療従事者のプライドです。
精密検査が必要だと判断された時点で、その被曝による小さなリスクよりも、がんを見逃すという取り返しのつかない不利益の方が遥かに重いと判断されています。プロの視点を信頼してください。
再検査という言葉に怯えすぎず、徹底的に調べることで白黒はっきりさせるチャンスだと捉えましょう。正しい結果を得るための放射線は、あなたの健康な明日を守るための力強い味方となります。
定期的なマンモグラフィ受診がもたらす生存率向上という大きな恩恵
被曝のリスクを語る上で最も重要なのは、その対価として得られる恩恵がどれほど大きいかということです。マンモグラフィによる検診は、世界中でその有効性が科学的に認められています。
定期的な受診が命を救うことに直結するという確固たるデータが存在します。リスクをゼロにすることはできませんが、リスクをコントロールすることで得られる安心は、何物にも代えがたいものです。
早期発見による治癒率の高さと治療に伴う肉体的・精神的負担の軽減
乳がんは、早期に発見できれば9割以上の確率で治癒を目指せる病気です。マンモグラフィは、自分では触ってもわからないような極めて初期のサインである微細な石灰化を見つけるのが得意です。
早く見つかれば、乳房を温存する手術を選択できる可能性が高まり、強い副作用を伴う抗がん剤治療を回避できる場合もあります。被曝を恐れて受診を控えることは、こうした機会を自ら捨てることです。
がんが進行してから発見されることのダメージは、微量の放射線による影響とは比較にならないほど巨大です。自分の体を守るための防衛ラインとして、マンモグラフィを賢く活用していきましょう。
2年に1回の定期的な受診ペースが推奨される確かな医学的裏付け
現在、日本の指針では40歳以上の女性に対し、2年に1回のマンモグラフィ受診を推奨しています。この頻度には、被曝の蓄積と、がんの成長スピードのバランスが綿密に計算されています。
2年に1回というペースであれば、生涯にわたる累積被曝量を十分に安全な範囲に抑えつつ、命に関わるような進行を捉えることができます。ルールに従った受診こそが、最も効率的で安全な方法です。
毎年受けるべきか迷う方も多いですが、高リスクの方を除けば2年おきで十分な有効性が確認されています。過剰な検査は避けつつ、決められたタイミングを逃さないことが、長く健康を保つコツです。
検診を受けることの利益とリスクの再確認
| 項目 | 検診を受けるメリット | 受けない場合のリスク |
|---|---|---|
| 発見時期 | 石灰化段階で見つけられる | しこりが大きくなるまで不明 |
| 手術範囲 | 部分切除での温存が期待できる | 全摘出が必要になる恐れがある |
| 治療後の生活 | 早期の社会復帰が可能 | 長期の治療や転移の不安が残る |
生涯を通じた被曝の累積とその長期的な安全性についての正しい理解
40歳から80歳まで、2年に1回のペースで計20回マンモグラフィを受けたとしても、累積の被曝量はCTスキャン1回分よりも少ない程度です。数十年をかけて浴びるこの量は極めて安全です。
数十年の歳月の中で私たちの細胞は常に新しいものに入れ替わり、修復機能が働き続けています。一度に大量の放射線を浴びるのとは状況が全く異なり、寿命への影響なども報告されていません。
健康とは、リスクを完全に排除することではなく、リスクを適切に管理することによって得られる状態です。マンモグラフィという手段を味方につけ、前向きに自分の体と向き合い続けていきましょう。
よくある質問
マンモグラフィ検査で受ける放射線は将来的にがんを誘発しますか?
マンモグラフィ検査によって将来的にがんが発生する可能性は、ゼロではありませんが極めて低いです。
1回の検査で受ける放射線量は約0.2から0.3ミリシーベルトと非常に微量であり、この程度の被曝が原因でがんになったという確実な証拠は見つかっていません。
むしろ、検査を受けないことによって乳がんの発見が遅れ、命を落とすリスクの方が数百倍から数千倍も高いと考えられています。科学的なデータに基づけば、検査のメリットがリスクを圧倒しています。
マンモグラフィ検査の被曝は甲状腺への影響がありますか?
マンモグラフィ検査における甲状腺への被曝は、無視できるほど微量です。
マンモグラフィのX線は乳房のみを狙って非常に狭い範囲に照射されるため、首にある甲状腺に直接当たることはありません。わずかな散乱線が届く可能性はありますが、その量は日常生活で自然に浴びる放射線よりもさらに少ないレベルです。
そのため、甲状腺を保護するための防護カバーは、撮影の邪魔になるだけでなく、不要な再撮影を招くリスクがあるとして、多くの学会が使用を推奨していません。
マンモグラフィ検査を毎年受けても被曝の累積は問題ありませんか?
マンモグラフィ検査を毎年受けたとしても、それによる累積被曝量が健康被害を及ぼすレベルに達することはありません。
仮に毎年40年間受け続けたとしても、合計の放射線量は10ミリシーベルト程度であり、これは医療現場で必要に応じて行われるCT検査などの線量と同等かそれ以下です。
日本の指針では2年に1回が標準ですが、リスクが高い方などが医師の判断で毎年受けたとしても、安全性は十分に保たれています。蓄積を恐れて必要な検診を逃すことのないようにしてください。
マンモグラフィ検査と乳房超音波検査で被曝のリスクに違いはありますか?
マンモグラフィ検査はX線を使用するため微量の被曝を伴いますが、乳房超音波検査は音の波を使用するため、被曝は一切ありません。
放射線の影響を全く受けたくない場合にはエコー検査が優れていますが、一方でエコーではマンモグラフィが得意とする微細な石灰化を見つけるのが難しいという弱点があります。
どちらかが優れているわけではなく、それぞれに役割があるため、医師は被曝リスクと診断の正確性のバランスを考えて最適な方法を提案します。
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この記事を書いた人 Wrote this article
前田 祐助 医学博士 / 医師
慶應義塾大学医学部大学院にて、がんの発生メカニズム(発癌機構)や、慢性炎症と腫瘍の関係性に関する基礎研究に従事し、医学博士号を取得。 特に、胃がんにおける炎症微小環境の解析や、細胞シグナル伝達(COX-2/PGE2経路など)による腫瘍形成の研究において実績を持つ。 現在は、大学病院や研究機関で培った「根拠(エビデンス)に基づく医療」の視点を活かし、疾患の早期発見や予防医療の啓発活動を行っている。 【保有資格・所属】 医学博士(慶應義塾大学)/ 医師免許 / 日本内科学会 / 日本医師会認定産業医