PET検査後にだるいと感じる原因は?副作用や被曝の影響、当日の過ごし方を解説

PET検査後にだるいと感じる原因は?副作用や被曝の影響、当日の過ごし方を解説

PET検査を受けた後に「体がだるい」「なんとなく疲れが取れない」と感じる方は少なくないようです。検査前の絶食や長時間の安静、さらに放射性薬剤への不安が重なると、心身ともに消耗しやすくなります。

この記事では、PET検査後にだるさを感じる具体的な原因を、被曝量や副作用のデータとあわせて整理しました。検査当日の過ごし方や、体調が回復しないときの対処法まで、がん領域に携わってきた視点からわかりやすくお伝えします。

PET検査後に「だるい」と感じる人は意外と多い

PET検査を終えた直後から翌日にかけて、全身のだるさや倦怠感を訴える方は珍しくありません。検査そのものに痛みはほとんどないにもかかわらず、帰宅後に体が重く感じるのは、検査にまつわる複数の身体的・心理的負担が重なるためです。

検査前の長時間の絶食が体力を奪う

PET検査では、正確な画像を得るために検査前5〜6時間の絶食が求められます。朝一番の検査であれば前日の夜から何も口にできないケースも珍しくありません。

長時間の空腹状態は血糖値を下げ、頭がぼんやりする原因になります。普段から朝食をしっかり摂る習慣がある方ほど、絶食の影響を強く感じやすいです。

加えて、水分摂取も制限される場合があるため、軽い脱水状態に近づく方もいます。こうした栄養と水分の不足が、検査後のだるさの土台を作っているといえます。

安静時間による筋肉のこわばりと血行不良

FDG(フルオロデオキシグルコース)という放射性薬剤を注射した後、薬剤が全身に行き渡るまで約1時間の安静が必要です。この間、読書やスマートフォンの操作も控えるよう指示される場合があります。

PET検査当日の一般的なスケジュール

時間帯内容体への影響
検査3〜6時間前絶食開始血糖値の低下
来院後FDG注射軽い注射痛のみ
注射後約60分安静待機筋肉のこわばり
撮影中(20〜30分)装置内で静止同一姿勢の負担
撮影後会計・帰宅疲労感のピーク

精神的な緊張が「見えない疲労」を生む

がんの有無を調べる検査という性質上、「もし異常が見つかったらどうしよう」という心理的プレッシャーは非常に大きいものです。検査室での静かな待ち時間が、かえって不安を増幅させるときもあるでしょう。

強い緊張状態が続くと、自律神経のバランスが崩れやすくなります。交感神経が優位な状態から一気にリラックスモードに切り替わる帰宅後のタイミングで、どっと疲れが押し寄せるのは自然な反応です。

検査当日の移動や待ち時間も体力を消耗させる

PET検査を実施できる医療機関は限られており、自宅から離れた病院まで足を運ぶ方も少なくありません。朝早くに家を出て、電車やバスを乗り継ぎ、受付から検査終了まで3〜4時間を院内で過ごすとなれば、それだけで疲労が蓄積します。

とくに体調に不安を抱えている方にとっては、慣れない場所での長時間滞在そのものが大きなストレス要因になるかもしれません。

PET検査の放射性薬剤(FDG)に副作用はあるのか

PET検査で使われるFDGによる副作用は極めてまれであり、深刻な健康被害の報告はほとんどありません。だるさの直接的な原因がFDGにあるとは考えにくいものの、放射性薬剤への正しい知識を持つことで不安を軽減できます。

FDG(フルオロデオキシグルコース)はブドウ糖に似た薬剤

FDGはブドウ糖(グルコース)に放射性フッ素を標識した薬剤で、体内でブドウ糖と同じように細胞に取り込まれます。がん細胞は正常な細胞よりもブドウ糖を多く消費する性質があるため、FDGが集まった部位を画像化して、がんの有無や広がりを確認できる仕組みです。

投与量はごく微量で、薬理作用(体に変化を起こす働き)はほとんどありません。アレルギー反応や吐き気といった一般的な薬の副作用が出ることは非常にまれです。

報告されている副作用と発生頻度

国内外の臨床データを見ると、FDG投与後に注射部位の軽い痛みや発赤が生じるケースがわずかに報告されています。全身的な副作用としては、頭痛やめまいを感じた例もありますが、いずれも一過性で自然に消失しています。

重篤なアナフィラキシーショックの発生頻度は数十万件に1件程度とされており、通常の造影CT検査で用いるヨード造影剤よりもはるかに低い確率です。

「気分が悪い」と感じた場合の正しい対応

万が一、検査中や検査直後に強い吐き気やじんましん、息苦しさなどの症状が現れた場合は、速やかに医療スタッフに伝えてください。PET検査を実施する施設には救急対応の体制が整っているため、適切な処置を受けられます。

軽い気分不良であれば、横になって安静にするだけで改善するケースがほとんどです。帰宅後に症状が続く場合は、検査を受けた施設に電話で相談すると安心できるでしょう。

症状頻度対応
注射部位の痛み・発赤まれ自然に消失
軽い頭痛・めまい非常にまれ安静で改善
吐き気極めてまれ医療スタッフに報告
アナフィラキシー数十万件に1件施設内で緊急対応

PET検査の被曝量は体にどの程度の影響を与えるのか

PET検査1回あたりの被曝量は、日常生活で受ける自然放射線と比較しても大きな差はなく、検査後のだるさの原因とは考えにくい水準です。放射線に対する漠然とした不安をデータで解消しておきましょう。

PET検査1回の被曝量と自然放射線量の比較

PET検査で受ける被曝量は、FDG投与分として約3.5ミリシーベルト(mSv)、CT撮影を併用するPET-CTの場合はCT分を加えて合計7〜10mSv程度とされています。

日本人が1年間に自然界から受ける放射線量は平均で約2.1mSvです。また、東京〜ニューヨーク間を飛行機で往復すると約0.2mSvの宇宙放射線を浴びます。

PET検査1回分は、自然放射線の数年分に相当しますが、この線量で健康被害が生じたという科学的根拠は確認されていません。

放射線による急性症状が出る被曝量の目安

被曝量一般的な影響
〜10mSv健康への影響は検出されていない
100mSv以上がんリスクのわずかな上昇が統計的に確認
250mSv以上白血球の一時的な減少が起こりうる
1,000mSv以上吐き気や倦怠感などの急性症状が出現

「被曝したから体がだるい」は思い込みの可能性が高い

PET検査の被曝量は急性放射線障害が発生する線量の100分の1以下です。放射線による倦怠感は1,000mSv以上の高線量被曝で初めて現れる症状であり、PET検査の線量で体がだるくなるとは医学的に考えにくいといえます。

それでも「放射線を浴びた」という事実が心理的な負担となり、体調の変化を敏感に感じ取ってしまうことはあります。いわゆるノセボ効果(悪い影響があると思い込むことで実際に症状が出る現象)も無視できません。

FDGは体内にどれくらいの時間で排出されるのか

FDGの物理的半減期は約110分(約2時間)です。注射から6〜7時間が経過すれば、体内の放射能は投与時の10分の1以下にまで減少します。翌日にはほぼ検出できないレベルまで低下するため、放射性物質が長期間体内に留まり続ける心配はありません。

水分を多めに摂取して排尿の回数を増やすことで、FDGの体外排出をさらに早められます。検査後に医療スタッフから「水をたくさん飲んでください」と案内されるのは、このためです。

PET検査後のだるさはいつまで続くのか|回復までの目安

多くの方は検査当日から翌日にかけてだるさのピークを迎え、2〜3日以内に通常の体調へ戻ります。ただし、回復のペースには個人差があるため、焦らず体を休めることが大切です。

だるさのピークは検査当日の夕方から夜にかけて

検査後に帰宅して緊張の糸が切れると、一気に疲労を自覚する方が多いようです。午前中に検査を受けた場合、夕方から夜にかけてだるさが強まる傾向にあります。

この時間帯は無理に活動せず、早めに休息を取るのが賢明です。入浴もぬるめのお湯に短時間浸かる程度にとどめ、体への負担を減らしましょう。

翌日以降も倦怠感が残るケースと対処法

検査前からの体調不良や慢性的な疲労を抱えている方は、回復に数日かかることがあります。もともと抗がん剤治療中の方や貧血のある方は、通常よりだるさを強く感じやすい傾向です。

2〜3日を過ぎても強い倦怠感が改善しない場合は、PET検査以外の原因も考えられます。かかりつけ医に相談して、血液検査など基本的な健康チェックを受けることをおすすめします。

だるさが長引くとき、別の病気を疑うべきサイン

発熱、体重減少、夜間の大量発汗、リンパ節の腫れなどの症状がだるさとあわせて現れた場合は、PET検査とは無関係の疾患が隠れている可能性があります。

とくにがんの精密検査としてPET検査を受けた方は、結果を待つ間にこうした変化がないか注意しておきましょう。

検査結果が出るまでの期間は通常1〜2週間程度です。その間に気になる症状が出た場合は、結果を待たずに主治医へ連絡してください。

だるさの経過考えられる原因推奨される行動
当日〜翌日絶食・安静・緊張による疲労自宅で安静に過ごす
2〜3日心理的ストレスの残存十分な睡眠と栄養補給
4日以上他の疾患の可能性医療機関への相談

PET検査当日の過ごし方で疲れを減らす工夫

検査後のだるさを少しでも軽くするには、当日の行動に小さな工夫を取り入れるだけで大きく変わります。検査前・検査中・検査後それぞれの場面でできる対策を具体的にまとめました。

検査前日の食事と睡眠で「体力の貯金」を作る

検査前日は激しい運動を避け、消化のよい食事をしっかり摂っておくことが体力温存につながります。夜更かしをせず十分な睡眠を確保しておけば、翌日の検査による消耗を和らげられます。

アルコールは脱水を促進するため、前日の飲酒は控えるのが無難です。糖質を含む清涼飲料水も血糖値に影響を及ぼすおそれがあるため、水やお茶を中心に水分を摂ってください。

検査後すぐにできる体力回復のための行動

検査が終わったら、まず水分補給を優先しましょう。常温の水やスポーツドリンクを少量ずつ飲むことで、脱水を防ぎながらFDGの排出も促せます。

  • 常温の水やスポーツドリンクを少しずつ飲む
  • 消化のよい軽食(おにぎり、バナナなど)を摂る
  • 帰宅後はすぐに横になって30分ほど休む
  • ぬるめのお湯で短時間の入浴にとどめる

帰宅後の食事は「消化のよさ」を優先する

長時間の絶食後に急に脂っこい食事や大量のご飯を食べると、胃腸に負担がかかり、かえってだるさが増す場合があります。うどんやおかゆ、スープなど胃にやさしいものから始め、様子を見ながら普段の食事に戻していくとよいでしょう。

検査当日の夕食は、たんぱく質とビタミンをバランスよく摂るように意識してみてください。鶏むね肉や白身魚、温野菜などは消化吸収にすぐれ、体力の回復を後押しします。

激しい運動は翌日以降に持ち越す

PET検査後に特別な運動制限はありませんが、体が疲れている状態での激しいトレーニングやランニングは逆効果です。検査当日は散歩や軽いストレッチ程度にとどめ、本格的な運動は翌日以降、体調を確認してから再開してください。

PET検査後に周囲の人への放射線の影響が心配なとき

PET検査を受けた後、「家族や同僚に放射線の影響が及ぶのではないか」と気にされる方がいらっしゃいます。結論から言えば、日常的な接触で周囲の方に健康被害を与えるリスクは極めて低いといえます。

検査後に一定時間の距離を保つよう案内される理由

PET検査を受けた直後は、体内に残るFDGから微量の放射線が出ています。そのため、検査施設によっては「検査後数時間は妊婦や乳幼児との濃密な接触を避けてください」と案内されるときがあります。

これは万全を期すための予防的な措置であり、実際に周囲の人が受ける放射線量は極めて少量です。とはいえ、妊娠中の方や小さなお子さんがいるご家庭では、念のため検査当日は長時間の抱っこや添い寝を避けるのが無難です。

職場復帰のタイミングに制限はあるのか

PET検査後に仕事を休まなければならないという医学的な決まりはありません。体調さえ問題なければ、検査当日の午後から業務に戻ることも可能です。

ただし、だるさや集中力の低下を感じている場合は無理をせず、半日程度の休養を取ったほうが効率的に仕事へ復帰できます。車の運転についても、強い倦怠感がある状態では判断力が鈍るため、可能であれば公共交通機関やタクシーの利用を検討してください。

授乳中の方が気をつけたいポイント

授乳中の方がPET検査を受けた場合、検査後一定期間(一般的に12〜24時間程度)は授乳を控えるよう指示されるのが通常です。FDGが微量ながら母乳に移行する可能性を考慮した対応です。

事前に搾乳しておくか、粉ミルクを用意しておくとスムーズに対処できます。具体的な授乳再開のタイミングは検査施設の医師に確認し、その指示に従ってください。

対象注意点目安の時間
妊婦・乳幼児長時間の密着を避ける検査後6時間程度
授乳中の方授乳を一時中断12〜24時間
職場の同僚通常の距離感で問題なし制限なし

だるさを軽減するために検査前に医師へ伝えておくべきこと

PET検査を少しでも楽に乗り切るためには、事前の情報共有がカギを握ります。主治医や検査技師に自分の体調や不安を伝えておくことで、検査当日の負担を減らせる場合があります。

持病や服用中の薬は必ず申告する

糖尿病でインスリンや血糖降下薬を使用している方は、検査前の絶食中に低血糖を起こすリスクが高まります。検査日の薬の服用タイミングについて、事前に主治医と相談しておくと安心です。

また、抗不安薬や睡眠薬を常用している場合も、検査当日の服用可否を確認しておきましょう。検査に支障がない薬であれば、服用を続けることで精神的な安定を保ちやすくなります。

  • 糖尿病治療薬(インスリン・経口血糖降下薬)
  • 抗不安薬・睡眠薬
  • 抗がん剤やステロイドなど免疫に関わる薬
  • サプリメントや漢方薬

閉所恐怖症や長時間の安静が苦手な方への配慮

PET装置はCTやMRIに比べるとトンネルが広めですが、閉所恐怖症の方にとっては不安を感じる環境に変わりありません。事前に申告しておけば、検査中に声かけの頻度を増やしてもらえたり、場合によっては軽い鎮静剤を処方してもらえたりすることがあります。

腰痛や関節痛などで同じ姿勢を長く保てない方も、クッションの追加や撮影時間の短縮といった配慮を受けられる可能性があるため、遠慮なく伝えてみてください。

検査への不安やストレスを言葉にして伝える大切さ

「がんかもしれない」という不安を一人で抱え込むと、心理的な緊張が体の症状として現れやすくなります。検査前に看護師やカウンセラーに気持ちを打ち明けるだけでも、心の負担はかなり軽くなるでしょう。

検査施設によっては、専門の相談窓口を設けているところもあります。心のケアは体の回復にも直結するため、気になることは何でも遠慮なく質問してみてください。

よくある質問

PET検査後のだるさは放射線被曝が原因で起こるのか?

PET検査1回あたりの被曝量は約3.5〜10mSv程度であり、放射線によるだるさや倦怠感が発生する線量(1,000mSv以上)とは大きくかけ離れています。検査後のだるさは、長時間の絶食や安静、心理的な緊張など複数の要因が重なって生じるケースがほとんどです。

放射線そのものが体調不良を引き起こしているわけではないため、過度に心配する必要はありません。気になる場合は主治医に相談し、不安を解消しておくとよいでしょう。

PET検査で使うFDGにアレルギー反応が出ることはあるのか?

FDG(フルオロデオキシグルコース)によるアレルギー反応の報告は極めてまれです。ヨード造影剤を使用するCT検査と比較しても、アナフィラキシーなどの重篤な副作用が発生する確率は非常に低いとされています。

過去に造影剤で体調を崩した経験がある方は、念のため検査前にスタッフへ伝えておきましょう。検査施設では万が一に備えた救急対応体制が整備されていますので、安心して検査に臨んでください。

PET検査後に授乳してしまった場合、赤ちゃんへの影響は大きいのか?

万が一検査後すぐに授乳してしまったとしても、母乳中に移行するFDGの量はごく微量であり、赤ちゃんが深刻な健康被害を受ける可能性は極めて低いと考えられています。

ただし、念のため検査後12〜24時間程度は授乳を控えるよう推奨されているのが一般的です。不安な場合は、検査を担当した医師に状況を伝えて具体的なアドバイスを受けてください。

PET検査後のだるさがとれない場合、何日くらいで病院に相談すべきか?

PET検査に起因するだるさは、多くの場合2〜3日以内に改善します。4日以上にわたって強い倦怠感が続く場合や、発熱・体重減少・夜間の発汗などほかの症状を伴う場合は、検査とは別の原因が考えられるため医療機関を受診してください。

とくにがんの検査目的でPET検査を受けた方は、だるさの背景に治療が必要な疾患が隠れている可能性もゼロではありません。気になる変化があれば、検査結果を待たずに主治医へ連絡することを推奨します。

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この記事を書いた人 Wrote this article

前田 祐助

前田 祐助 医学博士 / 医師

慶應義塾大学医学部大学院にて、がんの発生メカニズム(発癌機構)や、慢性炎症と腫瘍の関係性に関する基礎研究に従事し、医学博士号を取得。 特に、胃がんにおける炎症微小環境の解析や、細胞シグナル伝達(COX-2/PGE2経路など)による腫瘍形成の研究において実績を持つ。 現在は、大学病院や研究機関で培った「根拠(エビデンス)に基づく医療」の視点を活かし、疾患の早期発見や予防医療の啓発活動を行っている。 【保有資格・所属】 医学博士(慶應義塾大学)/ 医師免許 / 日本内科学会 / 日本医師会認定産業医