
線虫がん検査(N-NOSEなど)は、現時点では健康保険の適用外であり、原則として全額自己負担となります。費用の目安は1回あたり約15,000円からとなりますが、自治体や企業の健康保険組合によっては、独自の助成金制度や福利厚生による割引を導入しているケースがあります。
また、ふるさと納税の返礼品として活用することで実質的な負担を抑える方法も存在します。この記事では、検査費用の詳細な内訳から、利用できる可能性のある補助制度、確定申告での取り扱いまで、金銭的な不安を解消し、納得して検査を受けるための情報を詳しく解説します。
- 1. 保険証は使えるのか?全額自己負担になる理由と将来の可能性について
- 2. 実際にいくらかかる?検査キット代や送料を含めた総額を計算してみる
- 3. 住んでいる地域の助成金やふるさと納税を使って安く受ける方法はあるか
- 4. 勤務先の健康保険組合や福利厚生を使えばお得に受けられるかもしれない
- 5. 確定申告で医療費控除の対象になる?税務署の判断基準を詳しく解説
- 6. 加入している生命保険の特典で検査キットが無料や割引になるケース
- 7. 本当に高いのか?腫瘍マーカーやPET検査と費用対効果を比べてみる
- 8. もし「陽性」が出たらどうする?その後の精密検査費用も知っておく
- 9. 検査キットは使いやすい?失敗しないための採尿と提出のポイント
- 10. よくある質問
保険証は使えるのか?全額自己負担になる理由と将来の可能性について
結論から申し上げますと、現在、線虫がん検査は公的な健康保険(国民健康保険や社会保険)の適用対象外です。病院で医師が診断のために行う検査とは異なり、線虫がん検査はあくまで「リスクスクリーニング」という位置づけになります。
そのため、検査にかかる費用は全額を受診者が支払う必要があります。病院の窓口で保険証を出しても、費用の負担割合が3割になることはありませんので、事前の予算準備が必要です。
なぜ今は保険証が使えないのですか?
日本の医療制度において、保険適用となる医療行為は「疾病の治療」や「確定診断」に直結するものに限られます。線虫がん検査は、がんの確定診断を行うものではなく、あくまで「がんのリスクが高いかどうか」を判定する一次検査です。
人間ドックや健康診断のオプション検査と同じく、広い意味での予防医療に分類します。病気と診断された後の治療行為とは明確に区別するため、現行制度では保険証の恩恵を受けることができません。
自由診療と先進医療の違いを正しく把握しましょう
「保険がきかない」と聞くと「先進医療」をイメージする人が多いですが、線虫がん検査は現時点では先進医療の枠組みにも入りません。先進医療は、将来的な保険導入を前提として厚生労働省が承認した特定の医療技術を指すからです。
線虫がん検査は民間企業が提供するサービスであり、医療機関を経由する場合でも、基本的には純粋な自由診療として扱います。したがって、高額療養費制度などの公的サポートの対象にもなりません。
将来的に保険適用になる可能性はあるのでしょうか
多くの人が期待する将来的な保険適用ですが、これには高いハードルが存在します。保険適用を実現するには、国が認める標準検査としてのエビデンスを確立しなければなりません。
具体的には、この検査を導入することで「国民のがん死亡率が低下した」という明確な医学的根拠を示す必要があります。
現在はデータを蓄積している段階であり、直近数年ですぐに保険証が使えるようになる可能性は低いと言えます。
保険診療と自由診療の費用負担の違い
| 項目 | 保険診療(通常) | 線虫がん検査(自由診療) |
|---|---|---|
| 自己負担割合 | 1割〜3割 | 10割(全額自己負担) |
| 高額療養費制度 | 対象になる | 対象にならない |
| 費用の目安 | 数千円(検査による) | 約15,000円〜 |
実際にいくらかかる?検査キット代や送料を含めた総額を計算してみる
検査を受けるには、具体的にいくら用意すればよいのでしょうか。検査キット本体の価格だけでなく、発送にかかる手数料やオプション費用など、見落としがちなコストも含めて総額を把握します。
単発で受ける場合と、定期コースで受ける場合で料金体系が異なります。ご自身のライフスタイルに合わせて最適なプランを選ぶことが、無駄な出費を抑えるポイントです。
基本検査キットの価格相場はいくらですか
代表的な線虫がん検査サービスである「N-NOSE(エヌノーズ)」を例に挙げると、基本となる検査キットの価格は約15,000円から16,000円前後で設定しています。
これは、1回分の検査に必要な採尿キット一式や、研究所での解析費用が含まれた金額です。他の類似サービスが登場した場合でも、バイオ技術を用いた特殊な解析コストがかかるため、極端に安くなることは考えにくく、1万円台半ばが相場です。
見落としがちな送料や提出手数料に注意
キット代金以外に発生するコストとして、意外と大きいのが「検体輸送費」です。線虫は温度変化に敏感な生物であるため、採尿した検体を専用の保冷バッグに入れ、指定の拠点へ提出するか、集荷に来てもらう必要があります。
自宅へ集荷を依頼する場合は、キット代とは別に2,000円前後の集荷手数料がかかるケースが一般的です。指定の薬局や提出拠点に持ち込むことで、この費用を数百円以下に抑えたり、無料にできたりする場合もあります。
定期コースと単発受診どちらがお得か
がんはいつ発症するかわからないため、検査会社は定期的な受診を推奨しており、定期コース(サブスクリプション型)を用意しています。定期コースに申し込むと、1回あたりの検査費用が単発受診よりも1,000円から2,000円程度割安になります。
年に1回受ける習慣をつけるならば、長期的なコストを抑えられる定期コースが有利です。ただし、解約条件(最低利用回数など)が設けられている場合があるため、契約内容を事前によく確認します。
検査にかかる費用の内訳例
- 検査キット本体代金:約14,800円〜16,800円
- 検体集荷手数料(自宅集荷の場合):約2,200円
- 指定拠点への持ち込み手数料:無料〜数百円
- 代引き手数料(支払い方法による):約300円〜400円
住んでいる地域の助成金やふるさと納税を使って安く受ける方法はあるか
国全体の保険制度は使えませんが、住んでいる地域の自治体が独自に補助を出している場合があります。健康増進やがん早期発見を推進する自治体では、線虫がん検査を住民サービスの対象に加える動きが少しずつ広がっています。
また、ふるさと納税の仕組みを賢く使うことで、実質的な持ち出しを減らすテクニックも有効です。定価で申し込む前に、利用できる制度がないか一度確認してみる価値は十分にあります。
自治体の独自補助制度を探すポイント
一部の先進的な地方自治体では、住民の健康寿命延伸を目的として、線虫がん検査の費用の一部を助成しています。例えば、対象年齢の住民に対して数千円の補助チケットを配布したり、自治体経由で申し込むことで団体割引価格を適用したりするケースです。
これらの情報は、市役所の「健康増進課」や「国保年金課」のウェブサイト、または毎月発行する広報誌に掲載します。お住まいの地域名と「線虫検査 助成」などのキーワードで検索し、最新情報を自ら取得することをお勧めします。
ふるさと納税の返礼品として申し込む方法
直接的な助成金がない場合でも、「ふるさと納税」を活用する方法があります。線虫がん検査キットを返礼品として登録している自治体に寄付を行うことで、寄付額に応じた検査キットを受け取ることができます。
実質的な自己負担額を2,000円に抑えつつ(控除上限額内であれば)、検査を受けることが可能です。福岡県や東京都内の一部の自治体などで取り扱い実績があります。
翌年の税金控除を受けながら検査ができるため、納税者にとっては経済合理性の高い選択肢です。
ふるさと納税活用のメリット整理
| 項目 | 通常購入 | ふるさと納税 |
|---|---|---|
| 支払うタイミング | 申し込み時 | 寄付時(前払い的性格) |
| 実質の負担額 | 定価(約1.5万円) | 2,000円(控除範囲内の場合) |
| 受け取り期間 | 数日〜1週間 | 1ヶ月〜2ヶ月(自治体による) |
高齢者や特定対象者への割引制度もあります
自治体によっては、敬老の日や特定のがん検診キャンペーン期間に合わせて、高齢者を対象とした特別割引を実施することがあります。65歳以上の住民や、過去にがん検診を受けていない人を対象に、検査キットを無料または格安で配布する実証実験を行う自治体も過去に存在しました。
こうした単発の施策を見逃さないよう、地域のニュースや回覧板の情報には敏感になっておくことが大切です。特に秋の健康診断シーズンなどはキャンペーンが増える傾向にあります。
勤務先の健康保険組合や福利厚生を使えばお得に受けられるかもしれない
お勤めの方やそのご家族にとって、会社の福利厚生は大きな味方です。大企業を中心に、健康保険組合が線虫がん検査を補助対象として認定しているケースが増えています。
また、会社が加入している福利厚生代行サービスを利用することで、一般価格よりも安い会員価格で受診できる可能性があります。自分には関係ないと思わず、一度社内制度を確認してみましょう。
加入している健保組合の補助情報を確認します
健康保険組合の中には、人間ドックのオプションとして線虫検査を認めているところや、カフェテリアプラン(選択型福利厚生制度)のポイント利用対象にしているところがあります。組合のホームページや社内ポータルの「健康づくり」や「検診補助」のページを確認します。
場合によっては、領収書を提出することで後日、数千円から全額がキャッシュバックされる制度を持っている組合もあります。申請期限が決まっていることが多いので、早めの確認が必要です。
福利厚生サービスサイトのクーポンを使います
「ベネフィット・ステーション」や「リロクラブ」といった会員制福利厚生サービスに会社が加入している場合、そのサイト内で線虫がん検査の割引クーポンが発行されていることが多いです。
これらを利用することで、通常価格から1,000円〜3,000円程度の割引を受けられる場合があります。ご自身のIDでログインし、サービス名で検索をかける手間を惜しまないことが、安く受けるためのコツです。
被扶養者(家族)も対象になるか調べましょう
多くの福利厚生制度や健保の補助は、社員本人だけでなく、その被扶養者(配偶者など)も対象になります。特にがんリスクが高まる40代以上の配偶者がいる場合、夫婦で一緒に申し込むことで「ペア割引」などが適用できるサービスもあります。
家族の健康を守るためにも、自分だけでなく家族分の補助が出るかどうかを総務担当者や健保組合に問い合わせて確認します。家族全員で受けることで、1人あたりの単価を下げる工夫も有効です。
福利厚生サービスの活用例
- カフェテリアプランのポイントで全額充当
- 会員優待サイト経由の申し込みで2,000円引き
- 社内集団検診の一環として法人価格で受診
- 配偶者向けの検診案内による無料受診枠の利用
確定申告で医療費控除の対象になる?税務署の判断基準を詳しく解説
年間10万円以上の医療費を支払った場合に税金が戻ってくる「医療費控除」。1回15,000円の線虫がん検査も、この対象になれば実質的な負担を減らすことができます。
しかし、税務上のルールは厳格であり、検査の目的によって判断が分かれるため、正しい知識を持って申告の準備をする必要があります。単純に領収書を集めるだけでは認められないケースが多いため注意します。
原則として「予防」は医療費控除の対象外です
国税庁の規定では、健康診断や人間ドックの費用は、原則として医療費控除の対象になりません。これは「病気の治療」ではなく「健康管理(予防)」とみなされるためです。
線虫がん検査も同様に、体に異常がない状態で自発的に受ける場合は、予防目的と判断され、控除の対象外となります。領収書があっても、そのままでは税務署に否認される可能性が高いため、自己判断での計上は避けるべきです。
控除対象となる例外的なケースはありますか
例外的に医療費控除が認められるケースがあります。それは、検査の結果「がんのリスクが高い」と判定され、その後の精密検査で実際に「がん」が見つかり、治療へと進んだ場合です。
この場合、最初の線虫がん検査も、病気発見のための一連の医療行為の一部だったと事後的にみなされ、控除対象に含めることができます。
つまり、結果が陰性(リスク低)であれば対象外、陽性で病気が見つかれば対象になる可能性があるという「結果次第」の側面があります。
セルフメディケーション税制との関係について
市販薬を購入した場合に使える「セルフメディケーション税制」という制度もありますが、線虫がん検査キットはこの対象品目(特定の医薬品)には含まれません。
また、この税制を利用するための条件である「健康の保持増進及び疾病の予防への取組」として、線虫がん検査を受けた証明書が使えるかどうかも、現時点では明確に認められていません。税制優遇を受けるハードルは高いと認識し、過度な期待は避けるべきです。
医療費控除の判断基準まとめ
| 状況 | 控除の可否 | 理由 |
|---|---|---|
| リスク低(陰性)だった | × 対象外 | 単なる健康管理・予防とみなされる |
| 精密検査をしたが異常なし | × 対象外 | 治療に結びついていないため |
| 精密検査でがんを発見・治療 | ○ 対象の可能性 | 治療に先立つ検査と認められる場合がある |
加入している生命保険の特典で検査キットが無料や割引になるケース
生命保険やがん保険に加入している人は、その保険契約に付随するサービスを見直します。保険会社は、加入者に健康でい続けてもらうことで保険金の支払いを抑えたいと考えており、予防医療サービスの提供に力を入れています。
契約書や会員ページを確認することで、思わぬ特典が見つかることがあります。すでに払っている保険料の中に、検査をお得に受ける権利が含まれているかもしれません。
がん保険の加入特典をチェックしましょう
一部の保険会社では、新しいがん保険の加入特典や、既存契約者向けの優待サービスとして、線虫がん検査キットを無料でプレゼントするキャンペーンを実施しています。
また、保険の特約として「がんリスクスクリーニングサービス」が付帯しており、数年に一度、低価格で検査を受けられる権利が付与されている商品もあります。ご自身が加入している保険証券や、保険会社のマイページにログインして、付帯サービス一覧を確認します。
保険会社提携の優待価格を利用します
直接的なプレゼントでなくても、保険会社が検査会社と提携し、契約者専用の割引コードを発行しているケースは多々あります。大手生命保険会社の多くが「健康増進サービス」を展開しており、そのメニューの中に線虫がん検査が含まれていることがあります。
一般の申込みサイトからではなく、保険会社の会員サイトを経由して申し込むだけで、10%から20%程度の割引が適用されるため、利用しない手はありません。
ポイント交換で検査キットを入手する方法
健康活動(歩数記録や健康診断結果の提出)に応じてポイントが貯まるタイプの保険商品(健康増進型保険)が増えています。貯まったポイントの交換先として、線虫がん検査キットが用意されていることがあります。
日々のウォーキングや健康管理が、結果としてがん検査の費用を賄うことにつながります。現金の出費を伴わずに検査を受ける賢い方法の一つです。日々の運動のモチベーションアップにもつながります。
民間保険の特典確認ポイント
- 加入者専用サイトの「優待・割引」ページを見る
- 「健康増進型」の保険商品か確認する
- 契約更新時のお知らせ封筒の中身をチェックする
- 担当の保険外交員に直接問い合わせてみる
本当に高いのか?腫瘍マーカーやPET検査と費用対効果を比べてみる
線虫がん検査の15,000円という価格は、他の検査と比べて高いのでしょうか、安いのでしょうか。既存の腫瘍マーカー検査や、高精度なPET検査と比較することで、そのコストパフォーマンスを客観的に評価します。
安さだけでなく、手軽さや精度のバランスを見て判断することが大切です。単純な金額比較だけでなく、検査の目的と得られる安心感を天秤にかけて考える必要があります。
腫瘍マーカー検査とのコスト比較
血液で行う腫瘍マーカー検査は、数千円(1項目あたり2,000円〜3,000円程度)で受けることができます。価格面では線虫検査よりも安価です。しかし、腫瘍マーカーはがんが進行してから数値が上がることが多く、早期発見には不向きとされる側面があります。
一方、線虫検査はステージ0や1の早期がんにも反応するとされており、約15,000円という価格は、その感度の高さを考慮すれば妥当、あるいは割安であると考えることもできます。
PET検査や人間ドックと比較してみます
全身のがんを一度に調べるPET検査(PET-CT)は、非常に精度が高いものの、費用は10万円前後と高額になります。また、放射線被曝のリスクや、検査のために長時間拘束されるデメリットもあります。
これに対し、線虫検査は1万円台で済み、自宅で尿を採るだけで全身網羅的にリスクを判定できます。詳細な部位特定はできませんが、「まずリスクがあるかを知る」という一次スクリーニングの目的においては、PET検査の10分の1近い費用で済むため、コスパは高いと言えます。
総合的なコストパフォーマンスの判断
「安かろう悪かろう」では意味がありませんが、毎年10万円の検査を受けるのは多くの家庭にとって現実的ではありません。線虫がん検査は、手頃な価格と簡便さのバランスが取れています。
「毎年気軽に受けられる価格帯」でありながら、「全身のリスクをチェックできる」という点で、他にはない独自の立ち位置を確立しています。高額な精密検査を受ける前の「振り分け」として利用することで、医療費全体の節約にもつながります。
主な検査方法の費用と特徴比較
| 検査方法 | 費用目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 線虫がん検査 | 約1.5万円 | 全身リスク判定、早期発見に強み、部位特定不可 |
| 腫瘍マーカー | 数千円 | 安価だが早期発見は苦手、特定の部位のみ |
| PET検診 | 約10万円 | 高精度・画像診断、高額、被曝あり |
もし「陽性」が出たらどうする?その後の精密検査費用も知っておく
線虫がん検査を受ける前に最も知っておくべきことは、「陽性(リスク高)」と判定された後の行動と費用です。この検査はあくまでリスク判定であり、診断ではありません。陽性が出た場合、がんの有無を確定させるために医療機関での精密検査が必要になります。
検査を受ける段階で、万が一の時の「次のステップにかかる費用」も心の準備として見積もっておくことが、賢い利用者の姿勢です。
陽性判定後に受けるべき検査とは
線虫検査で陽性が出た場合、どこの臓器にがんがあるかまでは特定できません。そのため、全身を網羅的に調べる検査を受けるのが一般的です。代表的なのが「PET-CT検査」や「全身MRI(DWIBS)」です。
これらの画像診断によって、体の中に怪しい影がないかを探します。また、特定の臓器に心当たりがある場合は、胃カメラや大腸カメラ、肺のCTなどを個別に受ける選択肢もあります。
精密検査にかかる費用の目安
ここが重要なポイントですが、線虫検査の結果を持参しても、その後の精密検査は原則として「自費(全額自己負担)」となるケースが多いです。医師が自覚症状などから「検査が必要」と判断しない限り、保険適用にはなりません。
自費でPET-CTを受けると約10万円、全身MRIでも3〜5万円程度の費用がかかります。線虫検査代の15,000円だけでなく、陽性時には数万円から10万円の出費が発生する可能性があることを理解しておきましょう。
過度な不安を抱かないための心構え
陽性判定が出ると誰もが動揺しますが、線虫検査は感度が高く設定されている分、実際にはがんではないのに陽性と出る「偽陽性」の可能性もゼロではありません。
陽性は「がんです」という告知ではなく、「病院で詳しく調べてみましょう」というサインです。定期的な健康診断を受ける良いきっかけと捉え、冷静に精密検査を受けることが大切です。
最近では、陽性判定後の精密検査費用を一部補償する保険付きの検査キットも販売されているので、心配な方はそちらを選ぶのも一つの手です。
検査キットは使いやすい?失敗しないための採尿と提出のポイント
せっかく安くはない費用を払って検査を受けるのですから、手技のミスで検査不可になることだけは避けたいものです。線虫がん検査は自宅で行える手軽さが魅力ですが、提出される検体の状態が解析精度に直結します。
特に夏場の保管や、提出期限には厳しいルールがあります。購入前に具体的な手順をイメージし、自分が確実に実行できるかを確認しておきましょう。
採尿のタイミングと保管方法の注意点
採尿は基本的に提出当日の朝に行います。線虫は匂いに反応するため、前日の食事制限(匂いの強い食事を避けるなど)や、採尿前の絶飲食時間のルールを厳守する必要があります。
また、採取した尿は提出するまで冷蔵庫での保管が求められるケースもあります。家族と同居している場合、尿検体を冷蔵庫に入れることに抵抗がないか、事前に相談しておくなどの配慮も必要かもしれません。
提出期限と集荷トラブルを防ぐために
検体は鮮度が命です。採尿から提出(回収)までの時間は厳密に決まっています。自宅集荷を依頼する場合、指定された時間枠に必ず在宅している必要があります。仕事が忙しく時間が読めない人は、集荷よりも指定拠点への持ち込み(ドロップオフ)の方が確実かもしれません。
また、提出できる曜日や祝日の取り扱いもサービスによって異なります。「買ったはいいけれど提出できる日がない」とならないよう、自分のスケジュールと照らし合わせて申し込みましょう。
よくある質問
線虫がん検査の費用はいくらですか?
最も代表的なサービスである「N-NOSE」の場合、基本の検査キット代金は1回あたり約15,000円から16,000円程度です。
これに加えて、検体の提出方法(自宅集荷など)によっては別途手数料がかかる場合があります。定期コースを利用すると、単発受診よりも割安になる料金設定が一般的です。
線虫がん検査は医療費控除の対象になりますか?
原則として、健康診断や人間ドックと同様に「疾病の予防」とみなされるため、医療費控除の対象外です。
ただし、検査結果を受けて医療機関で精密検査を行い、実際にがんが見つかって治療を開始した場合には、治療の一環として認められ、控除の対象となる可能性があります。詳細は税務署への確認が必要です。
線虫がん検査の助成金はどこで申請できますか?
お住まいの自治体の役所(健康増進課や国保年金課など)や、勤務先の健康保険組合、加入している福利厚生サービスの窓口で確認・申請を行います。
全ての自治体や企業で実施しているわけではないため、まずは公式サイトや広報誌で、ご自身の所属する団体が助成制度を導入しているかを確認する必要があります。
線虫がん検査で早期がんは見つかりますか?
線虫がん検査は、ステージ0やステージ1といった早期のがん特有の匂いにも反応することが研究で示されています。
既存の腫瘍マーカーなどが苦手とする早期段階でのリスク検知に強みを持っていますが、これはあくまで「リスクの判定」であり、確定診断ではありません。リスクが高いと判定された場合は、必ず医療機関で精密検査を受ける必要があります。
結果が届くまでどのくらいの期間がかかりますか?
検体を提出してから、通常は約4週間から6週間程度で解析結果が届きます。結果は専用のマイページ(Web)で確認できるほか、希望者には郵送で書面が送られるサービスもあります。
繁忙期や年末年始などはさらに時間がかかる場合があるため、余裕を持ってスケジュールを組むことをお勧めします。
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この記事を書いた人 Wrote this article
前田 祐助 医学博士 / 医師
慶應義塾大学医学部大学院にて、がんの発生メカニズム(発癌機構)や、慢性炎症と腫瘍の関係性に関する基礎研究に従事し、医学博士号を取得。 特に、胃がんにおける炎症微小環境の解析や、細胞シグナル伝達(COX-2/PGE2経路など)による腫瘍形成の研究において実績を持つ。 現在は、大学病院や研究機関で培った「根拠(エビデンス)に基づく医療」の視点を活かし、疾患の早期発見や予防医療の啓発活動を行っている。 【保有資格・所属】 医学博士(慶應義塾大学)/ 医師免許 / 日本内科学会 / 日本医師会認定産業医