大腸がんの初期症状とおならの関係|回数の増加や臭いの変化はサイン?

大腸がんの初期症状とおならの関係|回数の増加や臭いの変化はサイン?

おならの回数が急に増えた、臭いがいつもと違う——そんな変化に不安を感じていませんか。大腸がんは初期の段階では自覚症状が乏しいといわれますが、腸内環境の変化を通じておならに影響が出る場合があります。

この記事では、大腸がんの初期症状とおならの関係をわかりやすく解説し、回数の増加や臭いの変化がどのような意味を持つのかを整理しました。不安を抱える方がご自身の体の声に耳を傾け、適切な行動につなげるための情報をお届けします。

おならの回数が増えたら大腸がんを疑うべきなのか

おならの回数が増えただけで大腸がんと断定することはできません。ただし、食生活や体調に心当たりがないのに回数が目立って増えた場合は、腸の異変を知らせるサインである可能性も否定できないでしょう。

健康な人のおならは1日に何回くらい出るのか

一般的に、健康な成人は1日に5回から20回程度おならをするとされています。回数には個人差が大きく、食事の内容や生活リズムによっても変動します。

たとえば、食物繊維が豊富な食事を摂った翌日はガスの量が増えやすくなります。炭酸飲料を飲む習慣がある方や、早食いの方も空気を飲み込みやすいため、おならの回数が増える傾向にあるでしょう。

大腸がんが原因でおならの回数が増える仕組み

大腸がんによって腸管内に腫瘍ができると、便やガスの通り道が狭くなります。その結果、腸内にガスがたまりやすくなり、おならの回数が増加することがあります。

腫瘍が腸内細菌のバランスを乱すことも一因です。悪玉菌が優勢になるとガスの産生量が増え、おならが頻繁に出るようになるケースが報告されています。

おならの回数と腸の状態の目安

1日のおなら回数考えられる状態対応の目安
5〜20回正常範囲特に心配なし
20〜30回食事や生活習慣の影響食生活の見直し
30回以上が持続腸の異常の可能性医療機関への相談を推奨

回数の増加だけで慌てる必要はない

おならの回数が増えたからといって、すぐに大腸がんを疑う必要はありません。多くの場合、食事の偏りやストレスなど日常的な原因が関係しています。

ただし、2週間以上にわたって明らかにおならの回数が増えている場合や、腹痛・血便などほかの症状を伴う場合は、一度消化器内科を受診するのが安心です。自己判断で放置せず、専門家に相談する姿勢が大切といえます。

大腸がんが引き起こすおならの臭いの変化を見逃さない

大腸がんに関連するおならは、臭いに特徴的な変化が現れることがあります。普段と明らかに異なる悪臭が続くときは、腸内で何かが起きているサインかもしれません。

腐敗臭や硫黄臭が強くなる理由

腸内に腫瘍があると、その周囲で組織の壊死や炎症が起こる場合があります。壊死した組織からは硫化水素やメルカプタンといった物質が発生し、卵が腐ったような強い臭いの原因になります。

こうした臭いは通常の食事由来のガスとは質が異なり、「今までに嗅いだことのない臭い」と表現する方もいるほどです。臭いの変化は体の異変を伝える貴重な手がかりといえるでしょう。

食事を変えても臭いが改善しないときに考えること

にんにくや肉類を多く摂った後におならが臭くなるのは自然な反応です。しかし、食事内容を見直しても2週間以上臭いが改善しないなら、食事以外の要因を考慮すべきでしょう。

腸内環境を整えるヨーグルトや食物繊維を積極的に摂っても変化がない場合、腸自体に器質的な問題が起きている可能性も視野に入れてください。

臭いだけでは大腸がんと確定できない

おならの臭いの変化は、大腸がんだけでなく過敏性腸症候群や腸内細菌叢の乱れ、消化不良などでも起こります。臭いの変化だけで大腸がんと判断することは医師であっても困難です。

大切なのは、臭いの変化を「たかがおなら」と軽視せず、体全体の状態を総合的に見ることでしょう。ほかの症状と合わせて判断し、気になれば医療機関を受診してください。

おならの臭いと原因物質の関係

臭いの特徴主な原因物質よくある背景
卵が腐った臭い硫化水素たんぱく質の過剰摂取・腸内腐敗
刺激的な悪臭メルカプタン・インドール腸内の炎症・壊死組織
酸っぱい臭い短鎖脂肪酸炭水化物の発酵・消化不良

大腸がんの初期症状はおなら以外にも体のあちこちに現れる

大腸がんはおならだけでなく、便の変化や腹部の違和感など複数の初期症状を同時に引き起こすことがあります。複数のサインが重なったときほど、早めの検査が望まれます。

便に血が混じる・便の色が変わる

大腸がんで多く見られる初期症状の1つが血便です。目に見える鮮やかな赤い血が付着する場合もあれば、便が黒っぽくなる程度のこともあります。

痔と区別がつきにくいケースも少なくありません。「きっと痔だろう」と自己判断せず、血便が続くなら便潜血検査を受けることをおすすめします。

便が細くなる・残便感が続く

腸内に腫瘍ができて通り道が狭くなると、便が鉛筆のように細くなることがあります。排便後もすっきりせず、残便感が続くのも特徴的な症状です。

大腸がんの主な初期症状の一覧

症状特徴注意すべき期間
血便鮮血または黒色便数日以上続く場合
便の形状変化細い便・下痢と便秘の交互2週間以上
腹部膨満感ガスがたまる感覚食事改善でも変わらない場合
原因不明の体重減少食事量は変わらないのに痩せる1〜2か月で数kg
貧血・倦怠感息切れ・疲れやすさ持続する場合

お腹が張る・ガスがたまる感覚が消えない

腫瘍が腸管を圧迫すると、ガスの排出がスムーズにいかなくなり、お腹の張りが慢性的に続きます。食後だけでなく空腹時にも張りを感じる場合は注意が必要です。

こうした腹部膨満感はおならの増加と連動することが多く、両方の症状が長引くようであれば消化器内科での精密検査を検討しましょう。

原因不明の体重減少や貧血にも目を向ける

大腸がんが進行すると、体が栄養を十分に吸収できなくなり、意図しない体重減少が起こることがあります。食事量は変わらないのに1〜2か月で数kg減った場合は、体内で何かが進行しているサインかもしれません。

腫瘍からの微量な出血が続くと鉄欠乏性貧血を引き起こすことがあります。立ちくらみや疲れやすさが続くなら、血液検査もあわせて受けるとよいでしょう。

おならが多い・臭いが強い場合に考えられる大腸がん以外の病気

おならの変化は大腸がんだけが原因ではありません。むしろ、日常的にはほかの消化器疾患や生活習慣が関係しているケースのほうが多いといえます。不必要に怖がらず、正しい知識を持つことが大切です。

過敏性腸症候群(IBS)とおならの関係

過敏性腸症候群は、ストレスや自律神経の乱れが引き金となって腸の運動に異常が生じる病気です。腹痛やガスの増加、下痢と便秘の繰り返しが典型的な症状として知られています。

大腸がんとの大きな違いは、血便や体重減少といった器質的な変化が見られない点でしょう。とはいえ、症状だけで区別するのは難しいため、自己判断ではなく医師の診察を受けることが大切です。

腸内細菌叢のバランスが崩れるとガスが増える

抗生物質の長期使用や偏った食事によって腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)のバランスが崩れると、ガスを大量に産生する細菌が増殖します。その結果、おならの回数や臭いに変化が出ることは珍しくありません。

発酵食品やプロバイオティクスの摂取で改善する場合もありますが、改善しないときは消化器内科を受診してください。

潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患

潰瘍性大腸炎やクローン病は、腸に慢性的な炎症を起こす疾患です。血便、粘液便、腹痛に加えて、ガスの増加や臭いの変化が見られることがあります。

これらの疾患は大腸がんのリスクを高めるともいわれているため、早期の診断と継続的な治療が望まれます。おならの変化と合わせて血便や持続する腹痛がある場合は、速やかに受診しましょう。

おならの変化を引き起こす主な疾患

  • 過敏性腸症候群(IBS)
  • 腸内細菌叢の乱れ(ディスバイオーシス)
  • 潰瘍性大腸炎・クローン病
  • 乳糖不耐症
  • 小腸内細菌異常増殖症(SIBO)

大腸がんを早期発見するために受けておきたい検査

大腸がんは早期に見つかれば治療成績がきわめて良好な病気です。おならの変化が気になっている方こそ、検査を受けることで安心を手に入れてほしいと思います。

便潜血検査は手軽に受けられるスクリーニング

便潜血検査は、便の中に目に見えない微量の血液が含まれていないかを調べる検査です。自宅で採便するだけなので体への負担がなく、自治体の健康診断でも広く実施されています。

ただし、便潜血検査で陰性であっても大腸がんがないとは言い切れません。あくまでスクリーニング(ふるい分け)であり、陽性の場合は精密検査に進む流れとなります。

大腸内視鏡検査(大腸カメラ)で直接確認する

大腸内視鏡検査は、肛門から内視鏡を挿入して大腸の内部を直接観察する検査です。ポリープや腫瘍を発見した場合はその場で組織を採取でき、早期の段階であれば切除まで一度に行えます。

主な大腸がん検査の比較

検査名特徴精度
便潜血検査自宅で採便、体の負担が少ないスクリーニング向き
大腸内視鏡検査直接観察・組織採取が可能高い
CT大腸検査CTで大腸の形状を立体的に描出中程度

40歳を過ぎたら定期的な検診を受けてほしい

大腸がんの罹患率は40歳を境に上昇し始めます。厚生労働省も40歳以上の方に年1回の便潜血検査を推奨しており、職場の健康診断に含まれていることも多いでしょう。

症状がなくても検診を受けることが早期発見への近道です。とくに家族に大腸がんの既往がある方は、40歳より前から大腸内視鏡検査を定期的に受けることも選択肢に入れてみてください。

おならの変化に気づいたら受診すべきタイミングはいつか

おならの変化だけで病院を受診するのは気が引ける、という方は多いでしょう。しかし、いくつかの条件が重なっている場合は、ためらわずに消化器内科を訪ねてください。

2週間以上続くおならの異常は放置しない

おならの回数や臭いの変化が2週間を超えて続くときは、一過性の体調不良ではない可能性があります。「様子を見よう」と先延ばしにしているうちに、もし大腸がんであれば進行してしまうリスクも考えられます。

2週間という期間を1つの目安として覚えておくと、受診の判断がしやすくなるでしょう。

血便・腹痛・体重減少を伴うなら早急に受診する

おならの変化に加えて、血便、持続する腹痛、原因不明の体重減少といった症状があるなら、できるだけ早く医療機関を受診しましょう。これらの症状は大腸がんに限らず、何らかの消化器疾患が進行しているサインです。

「おならが増えた程度で病院に行くなんて」と感じるかもしれませんが、医師は体の変化を相談される場面に慣れています。気軽に相談できる消化器内科のかかりつけ医を持っておくと安心です。

家族に大腸がん経験者がいる場合はとくに注意する

大腸がんには遺伝的な要因が関わるケースがあります。両親や兄弟姉妹に大腸がんの経験者がいる場合、本人のリスクも高くなるとされています。

家族歴がある方は、おならの変化に限らず少しでも腸の不調を感じたら積極的に検査を受けてください。早期発見は治療の選択肢を広げ、予後にも大きく影響します。

受診を検討すべきサイン

  • おならの回数増加や臭い変化が2週間以上続いている
  • 便に血が混じっている
  • 原因不明の腹痛や体重減少がある
  • 家族に大腸がんの経験者がいる
  • 40歳以上で大腸がん検診を受けたことがない

大腸がんのリスクを下げるために今日から見直したい食事と生活習慣

大腸がんの発症リスクは、日々の食事や生活習慣と密接に関わっています。おならの変化をきっかけに、自分の生活を振り返ってみましょう。

食物繊維が豊富な食事で腸内環境を整える

野菜、果物、海藻類、きのこ類などに含まれる食物繊維は、便のかさを増やして腸の動きを促し、発がん物質が腸粘膜に触れる時間を短縮するといわれています。

1日あたりの食物繊維の摂取目標量は男性で21g以上、女性で18g以上です。意識しないと不足しがちな栄養素なので、毎食の献立に1品は食物繊維の多いおかずを加える工夫をしてみてください。

大腸がんリスクに関わる生活習慣

生活習慣リスクへの影響改善のポイント
赤肉・加工肉の過剰摂取リスク上昇週500g以内を目安に
食物繊維の不足リスク上昇野菜・海藻・きのこを毎食
過度な飲酒リスク上昇節度ある飲酒を心がける
喫煙リスク上昇禁煙が望ましい
適度な運動リスク低下1日30分のウォーキング

赤肉と加工肉を摂りすぎない食生活を意識する

世界保健機関(WHO)の報告では、赤肉(牛肉・豚肉・羊肉など)や加工肉(ハム・ソーセージ・ベーコンなど)の過剰摂取が大腸がんのリスクを高めるとされています。完全に避ける必要はありませんが、週あたりの摂取量を意識してバランスを取ることが大切です。

肉の代わりに魚や大豆製品を取り入れる日を設けると、自然と摂取量を抑えられるでしょう。

適度な運動と禁煙で体全体の健康を守る

定期的な運動は大腸がんのリスクを下げることが多くの研究で示されています。1日30分程度のウォーキングでも十分な効果が期待できるため、まずは日常の中に歩く時間を増やすところから始めてみてください。

喫煙もまた大腸がんのリスク因子として知られています。禁煙は大腸がんだけでなく、全身のがんリスクを下げる効果があるため、喫煙習慣のある方はぜひ禁煙を検討してみましょう。

よくある質問

大腸がんの初期にはおならの回数がどのくらい増えるのか?

大腸がんの初期段階でおならが何回増えるかについて、明確な数値の基準はありません。腫瘍の大きさや位置によって腸内のガスの発生量や排出のしやすさが異なるためです。

ただし、食生活に変化がないにもかかわらず、以前に比べて明らかにおならの回数が増えたと感じる場合は、消化器内科を受診して相談してみてください。

大腸がんによるおならの臭いは普通のおならとどう違うのか?

大腸がんが原因のおならは、腸内で組織の壊死や炎症が起きることにより、硫化水素やメルカプタンなどの物質が多く発生します。そのため、卵が腐ったような臭いや鼻を突く刺激臭を感じやすくなります。

とはいえ、臭いの変化だけで大腸がんかどうかを判断するのは困難です。食生活を改善しても臭いが長期間改善しない場合は、医師に相談するのが賢明でしょう。

大腸がんの検査は何歳から受けるべきなのか?

厚生労働省は40歳以上の方を対象に、年1回の便潜血検査を推奨しています。大腸がんの罹患率は40歳以降に上昇するため、この年齢を受診開始の目安と考えてよいでしょう。

家族に大腸がんの経験者がいる方は、40歳より前から大腸内視鏡検査を検討することも選択肢の1つです。気になる症状がある場合は、年齢にかかわらず早めに医療機関で相談してください。

大腸がんのおなら以外の初期症状にはどのようなものがあるのか?

大腸がんの初期症状としては、血便、便が細くなる、下痢と便秘を交互に繰り返す、残便感が続くといった排便に関する変化が代表的です。原因不明の体重減少や貧血、慢性的な倦怠感が現れるケースもあります。

これらの症状が単独で出ることもあれば、複数が重なることもあるでしょう。おならの変化と合わせて気になる症状があるなら、できるだけ早く消化器内科を受診しましょう。

大腸がんのリスクを減らすために食事面で気をつけることは何か?

大腸がんのリスクを減らすためには、食物繊維の豊富な野菜・果物・海藻・きのこ類を意識的に摂ることが大切です。赤肉や加工肉の過剰摂取はリスクを高めるとされているため、魚や大豆製品と上手に置き換えるとよいでしょう。

過度な飲酒もリスク因子として知られています。バランスのよい食事を心がけ、腸内環境を健やかに保つことが予防への第一歩です。

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この記事を書いた人 Wrote this article

前田 祐助

前田 祐助 医学博士 / 医師

慶應義塾大学医学部大学院にて、がんの発生メカニズム(発癌機構)や、慢性炎症と腫瘍の関係性に関する基礎研究に従事し、医学博士号を取得。 特に、胃がんにおける炎症微小環境の解析や、細胞シグナル伝達(COX-2/PGE2経路など)による腫瘍形成の研究において実績を持つ。 現在は、大学病院や研究機関で培った「根拠(エビデンス)に基づく医療」の視点を活かし、疾患の早期発見や予防医療の啓発活動を行っている。 【保有資格・所属】 医学博士(慶應義塾大学)/ 医師免許 / 日本内科学会 / 日本医師会認定産業医