樹状細胞ワクチン療法の仕組みを解説!癌を攻撃する司令塔を育てる免疫治療とは

樹状細胞ワクチン療法の仕組みを解説!癌を攻撃する司令塔を育てる免疫治療とは

樹状細胞ワクチン療法は、体内の免疫システムで司令塔を担う樹状細胞を活用し、癌細胞をピンポイントで攻撃する力を高めます。患者様自身の血液から細胞を抽出し、癌の目印を教え込んでから体内に戻す手法です。

この治療によって、副作用を最小限に抑えつつ高い特異性を発揮できます。再発防止や進行癌への対策として期待されている具体的な仕組みや、他の療法との併用効果まで、専門的な視点から詳しく解説します。

司令塔を味方につける樹状細胞ワクチン療法で癌に挑むための基礎知識

私たちの体に備わっている免疫の仕組みを最大限に引き出し、癌細胞を効率よく排除することを目指すのがこの治療法です。最大の特徴は、免疫細胞の中でも情報の伝達に長けた樹状細胞を主役に据えている点にあります。

樹状細胞は体内に侵入した異物や異常な細胞を見つけると、その特徴を分析し、攻撃役であるリンパ球へ指令を出します。この働きを強化することで、癌を見逃さず執拗に追い詰めることが可能になります。

体中のパトロール役として癌の正体を暴く樹状細胞に注目します

樹状細胞は樹の枝のような突起を持つ細胞で、体中のあらゆる場所に存在して周囲を監視しています。癌細胞が発生した際、樹状細胞はまずその癌特有のタンパク質を取り込み、消化します。

その後リンパ節などへ移動して「これが敵の目印だ」という情報をT細胞に提示します。この情報提供がなければ、強力な攻撃力を持つT細胞も、何を攻撃すべきか分からず立ち尽くしてしまいます。

つまり樹状細胞は戦場における情報のプロフェッショナルであり、戦略を立てる軍師のような存在です。彼らが正しく機能することで、初めて体内の防御システムが癌という標的に牙を剥きます。

狡猾に正体を隠す癌細胞を免疫の包囲網で追い詰めていきましょう

本来、私たちの免疫は毎日生まれる癌の芽を摘み取っています。しかし進行した癌は自分の正体を隠したり、免疫にブレーキをかけたりする狡猾な手段を手に入れています。これに対抗する策が必要です。

体外で確実に癌の目印を樹状細胞に覚え込ませることで、癌による隠れみのを無効化します。人工的に教育された樹状細胞が体内に戻ることで、眠っていた免疫システムが再び目を覚まし始めます。

この能動的なアプローチによって、癌細胞が展開する防御障壁を内側から崩していくことが可能となります。従来の対症療法とは一線を画す、攻めの免疫治療と言えるでしょう。

拒絶反応の不安を取り除いて自分自身の力で癌を克服する道を選びます

この治療法では患者様ご本人から採取した血液細胞を使用します。他人の細胞や化学物質に頼るのではなく、自分自身の免疫機能を再構成して治療に充てるため、拒絶反応の心配がほとんどありません。

また特定の癌細胞だけを狙い撃ちにするよう設計されるため、正常な細胞を傷つけるリスクを抑えられます。患者様お一人おひとりの癌の状態に合わせたオーダーメイドの医療がここにあります。

自分自身の細胞で戦うという事実は、治療に対する納得感を高め、精神的な支えにもつながります。身体的にも精神的にも、患者様の負担に配慮した選択肢となっているのです。

専門的な免疫チームの役割分担

  • 樹状細胞:癌の情報を分析して攻撃指令を出す重要な司令塔
  • T細胞:指令を受けて実際に癌細胞を破壊する実行部隊
  • NK細胞:目印の有無に関わらず異常細胞を即座に攻撃する遊撃隊

患者様自身の血液からオーダーメイドのワクチンを作り出す具体的な準備

患者様お一人おひとりの状態に合わせて製造されるため、準備には高度な技術を要します。最初に行うのは、ワクチンとなる種を採取するための採血です。ここから治療の第一歩が始まります。

血液の中から樹状細胞のもとになる単球を取り出し、専門の細胞培養施設で数日間かけてじっくりと育て上げます。この期間こそが、治療の成否を分ける非常に重要な時間となります。

体への負担を抑えながら良質な細胞を確保する成分採血の仕組み

細胞の確保には、アフェレーシスという手法を用います。血液を一度体外へ出し、必要な成分だけを分離して残りの血液を体内に戻す方法です。これによって、体への負担を最小限に抑えられます。

採取にかかる時間は数時間程度で、日常生活を維持しながら治療の準備を進められる点が大きなメリットです。健康状態や血管の状態を確認しながら慎重に進めるため、安心して受けていただけます。

効率的に多くの単球を回収することは、その後のワクチンの質に直結します。患者様の体調に合わせた無理のない採取スケジュールを、医師が丁寧に提案させていただきます。

最良の状態で戦場へ送り出すための厳格な細胞教育

採取された単球は、クリーンルームと呼ばれる無菌状態で特殊なタンパク質を加えられ、樹状細胞へと変化を促されます。ここで最も重要なのが、癌の目印を覚え込ませるパルスという作業です。

癌抗原には患者様自身の癌組織を使用する場合や、人工的に合成された共通の抗原を使用する場合があります。どちらの場合も、樹状細胞がその情報を完全に取り込むまで、徹底した管理を行います。

熟練の技術者が24時間体制で細胞の状態を監視し、最適なタイミングで成熟させます。この教育課程を経て、樹状細胞は癌を執拗に追跡する強力な司令塔へと生まれ変わるのです。

一切の妥協を許さない徹底した品質管理が守る治療の信頼性

完成したワクチンが体内に戻される前には、幾重もの検査をクリアしなければなりません。細胞の数や生存率、細菌の混入がないかなど、厳密にチェックを行い、基準を満たさないものは使用しません。

この徹底した品質管理こそが、自由診療における信頼の証となります。患者様の命を預かる重みを、培養の現場から投与の瞬間まで、関わるすべてのスタッフが共有して取り組んでいます。

安全性を担保するための複数のステップを設けることで、確かな品質のワクチンをお届けします。厳しい審査を通過した細胞だけが、あなたの体の防衛力を高める役割を担うことになります。

ワクチン製造における厳密な評価基準

確認項目検査の目的重要視される理由
細胞生存率生きた細胞の割合を確認攻撃指令の維持に直結
無菌試験細菌や真菌の混入防止感染症リスクの完全排除
表面抗原解析成熟度の判定司令塔機能の科学的裏付け

癌の目印となる抗体を樹状細胞に覚えさせて攻撃の精度を高める工夫

治療の核心は、いかにして樹状細胞に正しい敵を認識させるかにあります。癌細胞は多種多様であり、患者様ごとに異なる表情を持っているため、癌抗原の選択には細心の注意を払わなければなりません。

目印が正確であればあるほど、T細胞による攻撃は精密機械のように正確になります。正常細胞へのダメージを最小限に抑えながら、癌細胞だけを執拗に追い詰めることが可能になるのです。

取り出した癌組織を教材として活用する究極のオーダーメイド

最も理想的な目印は、手術などで摘出された患者様ご自身の癌組織そのものです。これを特殊な処理で樹状細胞に取り込ませることで、その患者様の癌が持つあらゆる特徴を学習させることができます。

既製品の目印では捉えきれない、その人特有の癌の性質まで網羅できるため、攻撃の漏れが少なくなることが期待されます。手術後に保存された組織がある場合は、この方法を検討する価値があります。

自己組織を用いることで、まさにあなたの体の中にある癌そのものに対する指名手配書を作成するようなものです。この適合性の高さが、治療の精度を飛躍的に高める鍵となります。

組織が確保できなくても高い効果を目指せる人工合成技術の進歩

癌組織を十分に確保できない場合でも、多くの癌に共通して見られる目印を人工的に合成した抗原を使用できます。WT1やMUC1といった有名な抗原は、多くの固形癌で発現していることが分かっています。

これらを組み合わせて使用することで、癌組織がなくても精度の高いワクチンを製造できます。複数の抗原を同時に提示すれば、癌細胞が一部の目印を隠して逃げようとしても、別の目印で見破れます。

科学の粋を集めた人工抗原の活用は、手術が困難なステージの患者様にとっても有力な武器となります。一人ひとりの遺伝子型に合わせた最適な組み合わせを、専門家が慎重に選定します。

攻撃部隊の士気を最大まで高めるアジュバントという刺激薬

樹状細胞に情報を与えるだけでなく、その情報を強力な敵の侵入だと認識させるための刺激も必要です。この時に使用するのが、免疫賦活剤であるアジュバントです。これは免疫のスイッチを入れます。

アジュバントを併用することで、樹状細胞はより興奮した状態でT細胞へ指令を出すようになります。情報の質を高めるだけでなく、その情報の緊急性を伝える拡声器のような役割を果たすのです。

この刺激によって、免疫システム全体が迅速かつ強力に動き出し、癌への包囲網を素早く形成します。ただ情報を伝えるだけでなく、総攻撃を仕掛けるための強力な号令をかけることが重要です。

活用される主要な癌抗原の比較表

抗原のタイプ主な特徴推奨される場面
自己癌組織本人専用の完璧な目印手術済みで組織がある場合
人工合成抗原迅速に開始でき安定している組織確保が難しい進行癌
溶解物抗原広範囲な特徴を網羅複数の癌腫が混在する場合

副作用の少なさと再発防止への期待が大きなメリットとして注目される理由

多くの患者様が懸念されるのが、抗癌剤治療などで見られる激しい副作用です。しかし樹状細胞ワクチン療法は、自分自身の免疫を活用するため、全身へのダメージが極めて軽微であるという利点があります。

生活の質を維持しながら癌と戦えるという点は、長期的な治療を余儀なくされる患者様にとって、大きな希望となります。体力を温存しながら治療を続けられることは、精神面にも良い影響を与えます。

健康な場所は守り抜き癌だけを追い詰めるピンポイント攻撃

従来の治療が癌も正常細胞もまとめて攻撃する傾向があったのに対し、本療法は癌だけを選別して攻撃する特異性を持ちます。教育を受けた樹状細胞は、特定の目印を持つ細胞だけを狙うようT細胞を導きます。

その結果として、健康な臓器や粘膜を傷つけるリスクを低く抑えられます。投与後に見られる症状の多くは、免疫が活性化したことによる一時的な発熱程度で、日常生活を制限することはほとんどありません。

食事を楽しんだり、散歩をしたりといった当たり前の毎日を続けながら治療に専念できる環境は、免疫力を維持する上でも必要です。体に優しい治療こそが、現代の癌治療に求められています。

一度覚えた敵を一生忘れない免疫記憶という強力な武器

もう一つの大きな魅力は、免疫に記憶を植え付けられる点です。一度教育を受けたT細胞の一部は、メモリーT細胞として体内に長く留まり続けます。これによって、癌細胞の再発に備えることが可能です。

治療後にもし癌細胞が再び現れた際、即座にそれを敵と認識して攻撃を開始する監視体制が整います。目に見える癌がなくなった後の再発リスクを排除するための、目に見えない防波堤として機能します。

これは、その場限りの破壊を目指す治療にはない、将来への安心感を生む大きな要因です。一度学習した情報を守り続け、24時間体制で体の中をパトロールし続ける強みが、この療法には備わっています。

残された体力を削らずに挑む進行癌への前向きなアプローチ

癌が進行し、体力が低下してくると、強力な抗癌剤の使用が難しくなる場面に遭遇します。そのような状況下でも、樹状細胞ワクチン療法は実施可能な場合が多いです。自分の力を信じる治療法です。

自らの免疫力で癌を克服しようとする姿勢は、治療への意欲を向上させるポジティブな要素となります。治療の選択肢がまだ残っているという事実は、患者様やご家族にとって、計り知れない心の支えとなります。

無理な攻撃で体を壊すのではなく、持てる力を引き出して共生、あるいは克服を目指す。この穏やかで力強いアプローチこそが、進行癌と向き合うための新しい戦略として注目を集めているのです。

患者様が得られる主なメリット

  • 強い副作用がほとんどなく、仕事や趣味を続けられる
  • 特定の癌細胞だけを狙うため、正常な臓器へのダメージが少ない
  • 免疫記憶により、長期間にわたる再発抑制の備えができる

標準治療や他の免疫チェックポイント阻害薬と組み合わせる相乗効果の凄さ

現代の癌治療において、単独の治療法だけで立ち向かうのではなく、複数の方法を組み合わせる集学的治療が主流となっています。樹状細胞ワクチン療法も、標準治療と併用することで、真価を発揮します。

手術、放射線、化学療法といった既存の治療と組み合わせれば、それぞれの弱点を補い合い、より強力な治療効果を引き出せます。特に免疫チェックポイント阻害薬との相性は、非常に優れていることが判明しています。

免疫のブレーキを外す薬とアクセルを噴かすワクチンの連携

オプジーボなどの免疫チェックポイント阻害薬は、癌がかけている免疫のブレーキを外す役割を果たします。しかし、そもそも攻撃部隊が癌を敵だと認識していなければ、ブレーキを外しても攻撃は始まりません。

ここで樹状細胞ワクチン療法の出番です。ワクチンがアクセルとなって攻撃の標的を教え、同時に薬がブレーキを解除することで、相乗的に強力な攻撃が実現します。この連携こそが現代免疫治療の到達点です。

攻撃の方向を定めるワクチンと、攻撃力を維持する薬剤。この二つが揃うことで、これまで難攻不落と思われていた進行癌に対しても、劇的な効果が得られる事例が増えてきているのです。

標準治療が壊した癌の欠片を拾い上げて再攻撃の糧にする

抗癌剤や放射線治療によって癌細胞が死滅すると、その残骸から多くの癌抗原が周囲に放出されます。このタイミングで樹状細胞が体内に存在すると、放出された目印を効率よく回収し、攻撃を強化できます。

標準治療が癌を壊し、その情報を樹状細胞が拾って次なる精密攻撃へ繋げるという、完璧なサイクルが完成します。従来の治療を大規模な爆撃とすれば、本療法は残存勢力を追い詰める特殊部隊のような役割です。

一過性の破壊で終わらせず、壊した結果を免疫の学習材料に変えてしまう。この戦略的な組み合わせは、癌という再発しやすい敵に対抗するために、極めて合理的で力強い選択肢となります。

手術後の微小な取り残しを根絶するための最後の仕上げ

手術は目に見える癌を取り除くには最適ですが、血液に流れ出した微小な癌細胞までは取りきれません。これが将来の再発の火種となります。手術直後の体力が残っている時期の開始が推奨されます。

癌の総量が少ない時期に樹状細胞ワクチン療法を行うことで、残された微量な癌を免疫がしらみつぶしに探り当て、消滅させるチャンスが高まります。ただ待つだけの時間を、攻めの時間に変えることができます。

再発の不安に怯えながら過ごす経過観察期間に、積極的な予防策を講じられる意義は非常に大きいと言えます。手術の成功を、本当の意味での完治へと導くための「最後のピース」がこの治療なのです。

併用療法で期待されるプラスアルファの効果

組み合わせる治療期待される具体的な連携メリット
化学療法死滅した癌細胞から抗原を取得攻撃標的の多様化
放射線治療局所破壊から全身の免疫活性化遠隔転移への波及効果
免疫チェックポイント阻害薬ブレーキ解除と標的認識の合体持続的かつ強力な攻撃

通院で行える樹状細胞ワクチン療法のスケジュールと体への負担感

治療を受けるにあたって、入院が必要かどうかは大きな判断基準になります。樹状細胞ワクチン療法の多くは通院で行うことが可能であり、日常生活を大きく変えることなく継続できる点が大きな魅力です。

治療の開始から終了まで、どのような流れで進んでいくのかを把握しておくことで、将来の見通しを立てやすくなります。患者様の体調に合わせた柔軟な調整も可能であり、無理なく続けられる計画を立てましょう。

初回のカウンセリングから細胞採取までの導入段階の流れ

まずは専門医による詳細な診断と説明から始まります。現在の病状やこれまでの治療経過を共有し、樹状細胞ワクチン療法が適しているかを検討します。同意が得られれば、細胞を採血するアフェレーシスを行います。

この採血には3時間前後を要しますが、リラックスした状態で受けていただけます。採血が終わればその日は帰宅でき、日常生活に制限はありません。ここからワクチンの完成まで、およそ2週間の培養期間を待ちます。

この待ち時間は、自分自身の細胞が教育されている大切な期間です。体調を整え、穏やかに過ごしていただくことが推奨されます。クリニック側では、厳重な管理のもとで着々と準備を進めてまいります。

数回に分けて行われるワクチンの投与と定期的な経過観察

ワクチンが完成すると、いよいよ投与が始まります。通常、1クールとして5回から10回程度の投与を、2週間から4週間の間隔で行うのが一般的です。投与自体は皮下注射で行われ、所要時間はわずか数分です。

点滴のように長時間拘束されることもありません。投与後は院内で短時間の休憩をとり、体調に変化がないことを確認して帰宅となります。通院の負担が少ないため、遠方から通われる患者様も少なくありません。

注射後の数日間は、免疫が活性化している兆候に注意しながら過ごしていただきます。定期的な診察を通じて、患者様の体の変化を細かくチェックし、必要があればスケジュールを調整しながら進めていきます。

治療結果の評価と将来的な継続を判断するためのタイミング

1クールが終了した時点で、画像診断や血液検査を行い、治療の効果を総合的に判断します。癌の増殖が抑えられているか、免疫が活性化しているかを確認し、必要に応じて維持療法への移行を検討します。

結果を急がず、数ヶ月単位でじっくりと体の変化を見守っていく姿勢が求められます。医師との対話を重ねながら、常に納得感のある選択を続けていくことが、良好な治療結果へと繋がっていくはずです。

一度で全てが決まるわけではありません。長期的な視点で、自分自身の免疫力と向き合い、癌をコントロールしていく。そんなパートナーシップのような関係を医師と築き、治療を継続していくことが大切です。

標準的な治療プロセスの目安

  • カウンセリング・検査:現在の病状と治療方針の確認(1日間)
  • アフェレーシス(成分採血):ワクチンの種を採取(1日間)
  • ワクチン製造:高度な管理施設での培養・教育(約14日間)

治療を受ける前に確認しておきたいクリニック選びと費用の考え方

樹状細胞ワクチン療法は、現在公的医療保険が適用されない自由診療として提供されています。そのため治療にかかる費用や、施設の選定には慎重な検討が必要です。後悔のない選択をしていただきたいと考えています。

何を基準に信頼できるクリニックを選べばよいのか、納得できる費用対効果を得るためにはどのような点に注目すべきか。事前に整理しておくべきポイントは多岐にわたります。透明性の高い情報を探しましょう。

細胞を扱う技術力と国の認可状況をしっかりと確認すること

高品質なワクチンを作るためには、高度な細胞培養技術と清潔な設備が必要です。クリニックを選ぶ際は、その施設が法令に基づいた届出を行っているか、適切な認可を受けているかを必ず確認してください。

細胞は生き物であり、扱う側の技術によってその活性は大きく変わります。実績や症例数だけでなく、どのような品質管理基準を設けているかまで、ホームページやカウンセリングで確認することをお勧めします。

安心できる設備こそが、治療の質を支える土台となります。安易な価格の安さだけで選ぶのではなく、科学的な根拠と実績に基づいた施設運営がなされているかを見極めることが、あなた自身の体を守ることになります。

納得のいく治療を受けるための丁寧なインフォームド・コンセント

自由診療だからこそ、メリットだけでなくデメリットやリスク、期待できる効果の限界についても正直に話してくれる医師かどうかが重要です。質問に対して曖昧な回答を避け、誠実に対応してくれるかを確認します。

無理に高額なコースを勧めるのではなく、患者様の経済状況やライフスタイルに配慮した提案をしてくれるかも見極めのポイントです。自分自身の体を預ける相手として、信頼関係を築けるかどうかを判断してください。

「この先生なら信じられる」と思えるまで、何度でも対話を重ねてください。納得した上で治療を開始することは、免疫力を高める上でもプラスに働きます。あなたの想いに寄り添うクリニックを見つけましょう。

追加料金の不安を解消する明瞭な会計システムの確認

樹状細胞ワクチン療法の費用は、採取から培養、投与までを含めると、百万円単位のまとまった金額になることが一般的です。提示された金額にどこまでのサービスが含まれているかを明確にする必要があります。

追加の検査費用や、抗原の調製費用が別途発生する場合もあります。事前に総額の見積もりを出し、支払い方法についても確認しておきましょう。高額な投資となるからこそ、費用に見合った説明が必要です。

後から想定外の請求が来て困ることがないよう、契約書の内容も隅々まで確認してください。誠実なクリニックであれば、必ず納得のいく説明を行ってくれるはずです。経済面での安心も、治療の一部なのです。

信頼できるクリニックの共通点

確認すべき項目良いクリニックの例注意すべきクリニック
情報の開示リスクも含め全て説明する良いことしか言わない
施設の認可厚労省の届出番号を公開認可状況が不透明
カウンセリング時間をかけて不安を聞くすぐに契約を迫る

よくある質問

樹状細胞ワクチン療法の効果を実感できるまでにはどのくらいの期間が必要ですか?

樹状細胞ワクチン療法は、自己の免疫を育てる治療であるため、抗癌剤のように投与直後から癌細胞が急激に縮小することは稀です。

一般的には、投与を開始してから3ヶ月から半年程度かけて、じわじわと免疫力が向上し、癌の進行が緩やかになったり、腫瘍マーカーが安定したりする変化が現れます。

体内の免疫システムが再構築されるプロセスには時間がかかるため、焦らずにじっくりと体の反応を見守ることが重要です。

樹状細胞ワクチン療法を受けている最中に発熱や体調不良が起きることはありますか?

樹状細胞ワクチン療法の投与後、当日や翌日に37度から38度程度の発熱が見られることがあります。これは、注入された樹状細胞が体内の免疫系を活性化させている証拠であり、多くの場合、数日で自然に解熱します。

また、注射部位に軽い腫れや赤みが出ることがありますが、これも一時的なものです。

重篤なアレルギー反応が起きるリスクは極めて低いですが、不快な症状が続く場合は、速やかに担当医師に相談し、適切な処置を受けるようにしてください。

どのような種類の癌であれば樹状細胞ワクチン療法の適応となりますか?

樹状細胞ワクチン療法は、原理上、ほぼすべての固形癌(肺癌、胃癌、大腸癌、乳癌、膵臓癌、肝臓癌など)に対して実施が可能です。

血液癌についても、条件によっては適応となる場合があります。

ただし、癌の種類そのものよりも、患者様の全身状態や、癌細胞の目印となる抗原が特定できるか、あるいは自己の癌組織が確保できるかといった条件が重要になります。まずはご自身の診断結果を持参し、専門医に相談して適応を判断してもらうのが最も確実です。

樹状細胞ワクチン療法と抗癌剤治療を同時に並行して行うことは可能ですか?

多くのケースで、樹状細胞ワクチン療法と抗癌剤治療の併用は可能です。むしろ、抗癌剤で癌の勢いを抑えつつ、樹状細胞で免疫を強化する相乗効果を狙うことが推奨される場合も少なくありません。

ただし、一部の非常に強力な免疫抑制作用を持つ抗癌剤や、極端に白血球数が減少している時期には、ワクチンの効果が十分に発揮されない可能性があるため、投与のタイミングを調整する必要があります。

現在受けている標準治療のスケジュールを医師に正確に伝え、最適な併用プランを立てることが肝要です。

高齢者でも樹状細胞ワクチン療法を安全に受けることはできますか?

樹状細胞ワクチン療法は、患者様自身の細胞を使用し、体への侵襲が極めて少ない治療であるため、高齢の患者様でも比較的安全に受けていただけます。

80代や90代の方で、心臓や腎臓への負担を考慮して強い抗癌剤が使えないような状況でも、この療法であれば継続可能なケースが多いです。

体力に合わせて採血の量を調整したり、投与の間隔を広げたりといった柔軟な対応が可能です。年齢で諦めるのではなく、現在の体調で何ができるかという視点で検討する価値は十分にあります。

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この記事を書いた人 Wrote this article

前田 祐助

前田 祐助 医学博士 / 医師

慶應義塾大学医学部大学院にて、がんの発生メカニズム(発癌機構)や、慢性炎症と腫瘍の関係性に関する基礎研究に従事し、医学博士号を取得。 特に、胃がんにおける炎症微小環境の解析や、細胞シグナル伝達(COX-2/PGE2経路など)による腫瘍形成の研究において実績を持つ。 現在は、大学病院や研究機関で培った「根拠(エビデンス)に基づく医療」の視点を活かし、疾患の早期発見や予防医療の啓発活動を行っている。 【保有資格・所属】 医学博士(慶應義塾大学)/ 医師免許 / 日本内科学会 / 日本医師会認定産業医