
ロボット手術を受けられる病院は、学会の公表データや厚生労働省の指定リストなど、複数の公的情報源から一覧として調べることが可能です。がん治療の分野では、前立腺がんや大腸がんを中心にロボット支援手術の導入が急速に進んでおり、全国の拠点病院でも実績が蓄積されています。
認定施設として手術を行うには、学会が定める設備要件や執刀医の資格基準を満たす必要があり、どの病院でも同じ品質の手術が受けられるわけではありません。だからこそ、病院一覧から自分に合った施設を選ぶ方法を事前に把握しておくことが大切です。
この記事では、ロボット手術の実施病院を効率よく探す方法や、認定施設の条件、がん診療連携拠点病院での取り組みについて、具体的なデータと照らし合わせながら整理しています。
ロボット手術を受けられる病院一覧は3つの方法で探せる
ロボット手術の実施病院は、日本国内では主に3つの情報源から一覧として確認できます。いずれも無料で閲覧可能なため、まずはインターネットで検索してみてください。
学会や医療団体が公開するロボット手術の施設一覧
日本泌尿器科学会や日本内視鏡外科学会などの専門学会は、ロボット手術を行っている施設の一覧をウェブサイト上で公開しています。
とくに泌尿器科領域では、前立腺がんに対するロボット支援手術(ダヴィンチ手術)の施設リストが充実しており、都道府県や地域で絞り込める仕組みになっている場合もあります。
学会のリストに掲載されている病院は、一定の施設基準や手術件数の実績を有しているケースが多いため、信頼性の高い情報源といえるでしょう。ただし、学会によっては更新頻度にばらつきがあるため、掲載時点の情報かどうかを確認することも忘れないでください。
がん診療連携拠点病院の公式データベースを活用する
厚生労働省が指定する「がん診療連携拠点病院」の情報は、国立がん研究センターが運営する「がん情報サービス」から検索できます。この公式データベースでは、各病院の診療実績や手術件数の概要が公開されており、ロボット手術の導入状況も確認材料のひとつになります。
拠点病院は全国に約450施設あり、がんの集学的治療を提供する体制が整っている点が特長です。ロボット手術の導入率は年々増加傾向にあり、とくに都市部の拠点病院で対応施設が多い傾向がみられます。
病院のウェブサイトで手術実績を直接調べるメリット
各病院が独自に公開しているウェブサイトには、診療科ごとの手術件数や、ロボット手術の累計実績、担当医師のプロフィールなどが記載されていることがあります。公式サイトを直接確認すると、一覧情報だけでは分からない細かな情報を得られるのが利点です。
外来担当表や初診の受付方法もあわせて調べておけば、受診までの流れをスムーズに組み立てられます。複数の病院を比較する場合は、同じ項目(たとえば年間手術件数や開腹手術への移行率)に注目すると判断しやすくなるでしょう。
ロボット手術の実施病院を探す主な情報源
| 情報源 | 特徴 |
|---|---|
| 専門学会の施設一覧 | 認定基準を満たした病院が掲載されており、地域別の検索に対応 |
| がん情報サービス | 厚生労働省指定の拠点病院を検索でき、診療実績も閲覧可能 |
| 各病院の公式サイト | 手術件数や担当医の詳細情報を確認でき、受診手続きも把握しやすい |
がん治療でロボット手術を導入する認定施設の条件
認定施設と呼ばれる病院は、手術用ロボットの設置だけでなく、執刀医の技術研修や安全管理体制など複数の要件を満たしています。これらの条件は、患者さんの安全を守りながら手術の質を一定以上に保つために設けられたものです。
| 認定要件 | 概要 |
|---|---|
| 設備基準 | 手術支援ロボット本体と専用オペ室の整備、緊急対応用の器材の確保 |
| 執刀医の資格 | メーカーが定めるトレーニング修了、学会認定の術者資格の取得 |
| チーム体制 | 麻酔科医・看護師・臨床工学技士を含むチーム編成と定期的な研修 |
認定施設として求められる設備と体制
ロボット手術を行うためには、手術支援ロボットを設置するだけでは十分とはいえません。専用の手術室やモニター環境の整備に加え、術中にロボットから通常の手術へ移行する際の器材や人員の確保も求められます。
設備面の基準を満たしていないと、緊急時に対応が遅れるリスクが生じます。そのため、各学会は設備のチェックリストを設けており、定期的な点検や更新を義務づけているケースが大半です。
ロボット手術の執刀医に求められる資格と研修
ロボット手術の執刀医は、手術支援ロボットのメーカーが提供する公式トレーニングプログラムを修了する必要があります。このプログラムには、シミュレーターでの操作訓練やモデルを用いた実技演習、指導医の立ち会いのもとでの実症例手術が含まれています。
海外の研究では、執刀医が一定の症例数を経験するまで手術時間や合併症の発生率に変動がみられることが報告されています。経験豊富な指導医のもとで段階的にスキルを高めていく研修体制が整っている施設を選ぶと、より安心して手術を受けられるでしょう。
認定を維持するための症例数や安全管理の基準
認定施設の資格は一度取得すれば永続するものではなく、一定期間ごとに更新審査を受ける制度になっています。年間の手術件数や合併症の発生率、術後の経過に関するデータ提出が求められることが一般的です。
安全管理の観点では、術中の有害事象の報告体制や、定期的なカンファレンスの実施状況も審査対象に含まれます。こうした基準が設けられているからこそ、認定施設で受けるロボット手術には一定の品質が担保されるといえます。
ロボット手術を実施する病院一覧から自分に合う施設を選ぶ手順
「一覧でロボット手術の病院を調べたけれど、数が多くてどこを選べばよいか分からない」という声は少なくありません。自分の住まいや病状に合わせて候補を段階的に絞り込むことで、無理のない判断が可能になります。
自宅からのアクセスと通院のしやすさを確認する
ロボット手術を受けた後は、定期的な通院や検査のために病院を訪れる機会が続きます。術後のフォローアップ期間は数か月から数年に及ぶこともあるため、自宅や職場からの交通の便は長い目で見て判断してください。
遠方の病院を選ぶ場合は、地元の医療機関と連携して経過観察を行えるかどうかも事前に確認しておくと安心です。連携体制が整っていれば、通院の負担を減らしつつ適切な管理を受けることができます。
がんの種類や進行度に応じた施設の得意分野を調べる
ロボット手術の対応範囲は病院ごとに異なります。前立腺がんに特化した施設、大腸がんの症例数が豊富な施設、あるいは複数のがん種に対応する総合的な施設など、得意分野はさまざまです。
自分のがんの種類やステージに合った施設を選ぶためには、各病院の手術実績を確認しましょう。とくに以下の項目を比較すると、候補を絞りやすくなります。
- 対象とするがんの年間ロボット手術件数
- 執刀医のロボット手術歴と累計手術件数
- 開腹手術への移行率(コンバージョン率)
- 術後の合併症発生率や再入院率
セカンドオピニオンの受け入れ体制があるか?
病院選びに迷ったときには、セカンドオピニオンを利用する方法もあります。他の専門医の見解を聞くことで、自分に提示された治療方針がどの程度妥当か客観的に判断できるようになります。
多くのがん診療連携拠点病院にはセカンドオピニオン外来が設置されています。受診の際には、紹介状や画像データなどの資料を事前に準備しておくと、限られた時間内で的確な助言をもらいやすくなるでしょう。
がん診療連携拠点病院で広がるロボット手術の導入と症例
ロボット手術の導入は全国のがん診療連携拠点病院でも年々拡大しています。都道府県拠点病院を中心に導入が先行し、地域拠点病院への波及も進みつつある段階です。
都道府県がん診療連携拠点病院のロボット手術対応状況
都道府県がん診療連携拠点病院は、各都道府県に少なくとも1か所設置される中核的な医療機関です。大学病院や県立病院がこの指定を受けているケースが多く、手術支援ロボットの導入率も高い傾向にあります。
| 区分 | ロボット手術導入の傾向 |
|---|---|
| 都道府県拠点病院 | 大学病院や大規模公立病院が多く、複数の診療科でロボット手術を実施 |
| 地域拠点病院 | 泌尿器科領域を中心に導入が進行中で、施設間の差がやや大きい |
| 特定領域拠点病院 | 小児がんやAYA世代のがん治療で、一部施設がロボット手術を開始 |
都道府県拠点病院では、泌尿器科や消化器外科だけでなく、呼吸器外科や婦人科でもロボット手術を実施している施設が増えてきました。複数の診療科で横断的に運用することで、チーム全体の技術向上やコスト効率の改善を図る動きもみられます。
地域がん診療連携拠点病院の症例数と手術件数の傾向
地域がん診療連携拠点病院でも、とくに人口の多い都市部を中心に手術支援ロボットの設置台数が増えています。前立腺がんの手術から導入を始め、その後に大腸がんや肺がんへと適用範囲を広げていくパターンが多くみられます。
一方、地方の拠点病院では、ロボット本体の導入費用や維持費が課題となり、導入を見送っている施設もまだ少なくありません。しかし、近隣の大学病院との連携プログラムを通じて、段階的にロボット手術の体制を構築しようとする取り組みが各地で始まっています。
小児・AYA世代に対応するロボット手術の実施施設
小児がんやAYA世代(おおむね15歳から39歳までの思春期・若年成人世代)を対象としたロボット手術は、まだ実施施設が限られているのが現状です。成人と比較して体格や臓器のサイズが異なるため、手術器具の選択やアプローチ方法に独自の工夫が求められます。
国立成育医療研究センターや一部の大学病院では、小児・AYA世代に対するロボット支援手術の導入に向けた取り組みが進んでいます。該当する年代の患者さんやそのご家族は、がん情報サービスの相談窓口を通じて対応施設の情報を問い合わせるのも有効な方法です。
ロボット手術で治療できるがんの種類と対応する病院の選び方
がんの種類によってロボット手術の適用状況は大きく異なり、すべてのがんにロボット手術が行えるわけではありません。現在の日本国内では泌尿器科・消化器外科・呼吸器外科・婦人科の各領域を中心に対象疾患が広がっています。
| がんの種類 | 主な術式 |
|---|---|
| 前立腺がん | ロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除術 |
| 腎臓がん | ロボット支援腹腔鏡下腎部分切除術 |
| 大腸がん・直腸がん | ロボット支援下直腸切除術・結腸切除術 |
| 肺がん | ロボット支援胸腔鏡下肺葉切除術 |
| 子宮体がん | ロボット支援腹腔鏡下子宮全摘出術 |
| 胃がん | ロボット支援腹腔鏡下胃切除術 |
前立腺がん・腎臓がんなど泌尿器科領域のロボット手術
日本でロボット手術がもっとも早く普及したのは泌尿器科領域です。前立腺がんに対するロボット支援下前立腺全摘除術は、2012年に公的医療保険の適用を受けたことをきっかけに全国へ急速に広まりました。
腎臓がんに対するロボット支援下腎部分切除術も、腎機能を温存しながら腫瘍を正確に切除できるという利点から、多くの病院で採用されています。泌尿器科領域では比較的長い実績があるため、症例数の多い施設を探しやすいのも特徴です。
大腸がん・直腸がんに対するロボット支援下手術
大腸がんや直腸がんの手術では、骨盤の奥深くで精密な操作を求められる場面が少なくありません。ロボット手術は3次元の拡大視野と多関節のアームによって、狭い術野でも正確な操作を行いやすいとされています。
オランダの全国調査では、ロボット手術の導入により直腸がん手術で開腹への移行率が低下したという報告もあります。国内でも大腸がんに対するロボット手術の実施施設は年々増加しており、消化器外科の手術実績とあわせて確認するとよいでしょう。
肺がん・縦隔腫瘍のロボット手術に対応する病院
肺がんに対するロボット支援手術は、従来の胸腔鏡手術(VATS)と比較して術野の視認性が高く、繊細なリンパ節郭清が行いやすいと報告されています。呼吸器外科でのロボット手術は導入からの年数がまだ浅い施設もあるため、手術件数や指導体制を事前に確認しておくことが大切です。
縦隔腫瘍(胸の中央付近にできる腫瘍)に対しても、ロボット手術の適用が一部の病院で始まっています。胸腔の狭いスペースで操作する必要があるため、ロボットの多関節機能が生かされる術式のひとつといえます。
婦人科がん・消化器がんへの適用が広がる背景
子宮体がんに対するロボット支援下子宮全摘出術も公的医療保険の適用が認められており、婦人科領域でのロボット手術件数は増加傾向にあります。海外の研究では、ロボット手術の導入により開腹手術の割合が大幅に減少し、入院期間が短縮されたという成果が報告されました。
胃がんに対するロボット支援手術は東アジアを中心に症例が蓄積されています。国内でも一部の高度医療機関が積極的に導入しており、がんの局在や進行度によってロボット手術の適否を判断する体制が整いつつある状況です。
ロボット手術の病院選びで後悔しないための確認ポイント
「有名な病院だから」「ロボットがあるから」という理由だけで施設を決めると、術後に不便を感じるケースもあります。手術の質に加えて、退院後のサポート体制や医療チームとの意思疎通のしやすさも事前に調べておきましょう。
手術件数と執刀医の経験を数字で把握する
ロボット手術の手術成績は、施設全体の件数と執刀医個人の経験の両方に影響されることが国内外の研究で示されています。年間手術件数が多い施設ほど手術時間が短く、合併症の発生率が低い傾向があるというデータも報告されています。
具体的な確認項目として、以下を病院に問い合わせてみてください。
- 自分が受ける術式の年間実施件数
- 執刀医のロボット手術の累計件数
- 術後の合併症発生率と再手術率
数字を客観的に比較すると、漠然とした不安を具体的な判断材料に変えられます。
術後のフォローアップ体制とリハビリ支援の有無
ロボット手術は傷口が小さく回復が早いとされていますが、がんの治療全体を考えると手術はゴールではなくスタートラインでもあります。術後の定期検査、再発リスクへの対応、必要に応じた追加治療の提供体制が整っているかを確認しましょう。
リハビリテーション部門の有無や、栄養指導・心理的サポートの相談窓口があるかどうかも、入院生活の質や退院後の回復に影響する要素です。外来でのフォローアップの頻度や期間についても、あらかじめ聞いておくとよいでしょう。
主治医や看護師との情報共有がスムーズか?
手術前後の不安を軽減するためには、主治医や看護師との情報共有の質が欠かせません。質問への回答が丁寧かどうか、説明が分かりやすいかどうかは、初診や術前説明の段階である程度判断できるものです。
患者支援センターや相談窓口を設けている病院であれば、治療に関する疑問を気軽に聞ける環境が整っているといえます。また、地域のかかりつけ医との連携体制が構築されている施設は、退院後の経過観察や緊急時の対応にも安心感があります。
よくある質問
ロボット手術の実施病院は全国にどのくらいありますか?
手術支援ロボットの設置台数は年々増加しており、国内では数百台規模の導入が報告されています。ただし、設置されていてもすべての施設でがんのロボット手術を行っているわけではなく、診療科や対応術式によって実際に手術を受けられる病院数は異なります。
がん治療に限定すると、泌尿器科領域でもっとも多くの施設が対応しており、続いて消化器外科・呼吸器外科・婦人科の順で実施施設が広がっています。最寄りの対応施設を探す場合は、がん情報サービスや専門学会の施設一覧から確認するのが確実な方法です。
ロボット手術の認定施設と一般の病院では何が違いますか?
認定施設とは、学会や関連団体が定める基準を満たした病院を指します。手術支援ロボットの設備に加えて、執刀医のトレーニング修了や麻酔科医・臨床工学技士を含むチーム体制の構築、一定の症例数の確保などが求められます。
一般の病院では手術支援ロボットが設置されていても、これらの基準を満たしていないために認定を受けていない場合があります。認定施設で手術を受けることは、手術の質や安全性に対する客観的な裏づけのひとつになるといえるでしょう。
ロボット手術を受けるには紹介状が必要ですか?
多くのロボット手術実施病院は大規模な医療機関であり、初診時に紹介状(診療情報提供書)の持参を求めている場合がほとんどです。紹介状がないと選定療養費として数千円から1万円程度の追加負担が発生する施設もあります。
かかりつけ医や現在の主治医に相談すれば、適切な病院への紹介状を発行してもらえます。紹介状には検査結果や治療経過が記載されるため、受診先でスムーズに診察を受けやすくなるという利点もあります。
ロボット手術と従来の腹腔鏡手術はどのように異なりますか?
ロボット手術は、外科医がコンソールと呼ばれる操作台から手術支援ロボットのアームを遠隔操作して行う術式です。3次元の拡大映像と手ぶれ補正機能により、従来の腹腔鏡手術よりも精密な操作が可能になるとされています。
腹腔鏡手術は、術者が直接器具を操作する点がロボット手術と異なります。手術支援ロボットが介在しない分、コストは抑えられますが、骨盤深部など狭い術野での操作にはより高い技術が求められる場面もあります。
どちらの術式が適しているかは、がんの部位や進行度、患者さんの全身状態を踏まえて担当医と相談のうえ判断することになります。
ロボット手術を行う病院一覧に載っていない施設でも手術は受けられますか?
学会の施設一覧やデータベースに掲載されていなくても、手術支援ロボットを保有しロボット手術を実施している病院は存在します。掲載基準は学会や情報源ごとに異なるため、一覧に載っていないことがそのまま施設の質を意味するわけではありません。
ただし、一覧に掲載されている施設は客観的な基準を満たしていることが多いため、判断材料のひとつとしては有効です。一覧に載っていない施設を検討する場合は、手術件数や執刀医の経験、チーム体制について直接病院に確認することをおすすめします。
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この記事を書いた人 Wrote this article
前田 祐助 医学博士 / 医師
慶應義塾大学医学部大学院にて、がんの発生メカニズム(発癌機構)や、慢性炎症と腫瘍の関係性に関する基礎研究に従事し、医学博士号を取得。 特に、胃がんにおける炎症微小環境の解析や、細胞シグナル伝達(COX-2/PGE2経路など)による腫瘍形成の研究において実績を持つ。 現在は、大学病院や研究機関で培った「根拠(エビデンス)に基づく医療」の視点を活かし、疾患の早期発見や予防医療の啓発活動を行っている。 【保有資格・所属】 医学博士(慶應義塾大学)/ 医師免許 / 日本内科学会 / 日本医師会認定産業医