女性がん保険 category

女性向けのがん保険は、乳がんや子宮がんの治療で増える出費に合わせて保障を足した形です。一般的ながん保険との違いは、手術給付金の上乗せと、乳房再建までを対象に含む商品がある点にあります。
乳がんは30代から増えはじめ、40代で罹患率がひと桁変わります。治療費は公的な医療保険で3割に抑えられても、ウィッグや補正下着といった外見ケアの出費までは届きません。
年代ごとに必要な保障は入れ替わります。20代から50代までの選び分けと、契約前に確かめたい免責期間や告知の注意点までをまとめました。
女性向けがん保険は乳房と子宮の治療に保障を足した形
女性向けのがん保険は、一般型の保障に女性特有のがんへの上乗せを足したものです。設計そのものが別物というわけではありません。
女性特約で上乗せされるのは入院と手術の給付

女性特約の中身は、入院給付金の上乗せと手術給付金の増額が柱になります。入院日額に5000円ほどを足す設計が多く、乳房再建には10万〜50万円の給付を用意する商品もあります。
医療保険の女性疾病特約とは対象の広さが違う
同じ女性向けの特約でも、がん保険はがんだけに保障を絞り、医療保険は子宮筋腫などの良性疾患まで対象に含みます。両方に付けると保障が重なり、保険料だけが積み上がってしまうでしょう。
- 乳がん … 手術給付金の増額と乳房再建の給付が付く商品が多い
- 子宮頸がん・子宮体がん … 入院と手術の給付を上乗せする
- 卵巣がん … 女性特有のがんとして対象に含まれる
付けるかどうかは、保険料の負担と保障の重なりを見比べて決めます。女性特約のメリットとデメリットは、加入する年齢と手元の契約の中身によって入れ替わるものです。
乳がんと子宮がんが増えるのは女性の何歳から?

子宮頸がんは20代後半から、乳がんは30代から罹患率が上がりはじめます。
50歳より前は女性のほうが罹患率が高い
50歳未満に限ると、女性のがん罹患率は同年代の男性より82%高いという報告があります。若いうちは他人事に感じやすい年代でしょう。
40代で罹患率はひと桁変わる
20代では10万人あたり30〜50人だった罹患率が、40代では250〜400人まで上がります。乳がんの発症確率も30歳までは1500人に1人、40歳までは173人に1人と開いていきます。
母親や姉妹に乳がんの既往があるとリスクは約3.2倍とされ、家族歴があるなら検診を早める判断もあり得ます。年代別の女性のがん罹患率を押さえておくと、備えを始める時期を決めやすくなるでしょう。
乳がん保険で備えるのは治療費と手術のあとの出費
乳がんは公的な医療保険で負担が3割に収まっても、治療費とは別に外見ケアの出費が重なります。
ステージが進むほど自己負担は膨らむ
自己負担の目安は、ステージ0からIで30万〜50万円、ステージIIからIIIで50万〜100万円です。転移がある段階では年間50万〜150万円を超えることもあります。
ウィッグや補正下着は公的な保険の外
医療用ウィッグは5万〜30万円、シリコン製の補正パッドは8000〜2万円ほどかかります。自治体の補助は1万〜3万円程度にとどまり、外見ケアの費用すべてを賄えるわけではありません。
乳房再建はインプラントと自家組織で費用が違う
乳房再建は2014年にシリコンインプラントが公的な医療保険の対象になり、腹部や背中の組織を使う自家組織再建も同じく対象です。ただし手術の規模が違うため、自己負担額には幅が出ます。
| 項目 | インプラント再建 | 自家組織再建 |
|---|---|---|
| 自己負担の目安 | 40〜60万円 | 50〜80万円 |
| 手術の時間 | 1〜2時間 | 6〜12時間 |
| 入院の日数 | 3〜7日 | 10〜14日 |
乳がんの治療費に加えてウィッグや補正下着の費用まで見込み、乳房再建を選ぶなら保険適用の範囲と自己負担額もあわせて確かめておきます。
子宮がんはロボット手術と自由診療で女性の負担が変わる

子宮がんは公的な医療保険が使える範囲と使えない範囲で、自己負担の差がはっきり出ます。
ロボット支援下手術は公的な医療保険の対象
2018年4月の診療報酬改定で、子宮体がんに対するロボット支援下手術が公的な医療保険の対象になりました。3割負担での費用は30万〜40万円ほどで、開腹手術と大きくは変わりません。
免疫療法は全額が自己負担
一方、自由診療の免疫細胞療法は1クールあたり100万〜300万円程度かかり、公的な医療保険は使えません。高額療養費制度の対象からも外れます。
子宮がんの治療費とロボット手術への保障をどこまで用意しておくかで、自由診療という選択肢を残せるかどうかも変わってきます。
妊娠・出産の予定がある女性のがん保険は入る順番が肝心

妊娠が分かってからでは選べる商品が狭まるため、加入は妊娠前に済ませておくのが順当です。
妊娠後期になるほど審査は慎重になる
妊娠の初期から中期はそのまま審査が進むことも多く、28週を過ぎるあたりから慎重に見られやすくなります。妊娠に伴う検査値の変動をどう書くか迷ったときは、保険会社の担当者に確かめておきます。
治療の前に妊孕性温存を選べる場合がある
抗がん剤や放射線は卵巣に負担をかけるので、治療を始める前に卵子凍結などを選ぶ道があります。費用は30万〜60万円ほどで、自治体の助成が最大20万〜30万円程度出る地域もあるでしょう。
妊娠中のがん保険の加入条件と告知の扱い、そして妊孕性温存と卵子凍結への支援は、どちらもいつ動くかで結論が変わります。
女性向けがん保険のおすすめは年代で入れ替わる
年代が変われば必要な保障も変わるので、おすすめできる組み合わせも一つには決まりません。
20代・30代は女性特有のがんを厚くする
25歳で加入すれば月1000円ほどで済み、30年間の総額は約36万円にとどまります。35歳からでは約65万円、45歳からでは約108万円と、入る時期の違いだけで倍以上の開きが生まれるのです。
40代・50代は診断一時金を上げる
診断一時金を100万〜200万円まで引き上げておくと、収入が減る期間の生活費まで届きやすくなります。
| 年代 | 月々の保険料の目安 | 診断一時金の目安 |
|---|---|---|
| 20代 | 1000〜2000円 | 50万〜100万円 |
| 30代 | 1500〜3000円 | 50万〜100万円 |
| 50代 | 4000〜6500円 | 100万〜200万円 |
年代別の女性向けがん保険を比較するときは、20代女性の罹患リスクと早期加入で下がる保険料、そして50代の見直しで置き直す診断一時金の目安を並べて眺めます。
がん保険の契約前に確かめる免責期間と告知
契約してすぐは保障が始まらないため、申し込む時期と告知の正確さが給付を受けられるかどうかを分けます。
90日の免責期間中に診断を受けても給付は出ない
がん保険には加入から90日ほどの免責期間があり、その間に診断を受けても給付金は支払われません。乗り換えるときは新しい契約の免責期間が明けてから、古い契約を解約します。
告知を誤ると契約そのものが解除される
告知の内容に事実と違うところがあると告知義務違反として扱われ、契約は解除されて給付金も受け取れません。払った保険料も戻らないため、迷う項目は申し込みの前に片付けておきます。
- 免責期間 … 90日を過ぎるまで診断給付金の対象にならない
- 上皮内新生物の扱い … 給付額が減る商品と満額出る商品がある
- 女性特約の給付条件 … 対象になる部位と手術の範囲
- 保険料の払込期間 … 何歳まで払い続ける契約か
よくある質問
女性向けのがん保険は一般的ながん保険と何が違いますか?
女性向けのがん保険は、乳がんや子宮がんに対して入院給付金の上乗せや手術給付金の増額を用意しています。乳房再建への給付を含む商品もあり、一般型より治療後の出費に届きやすい設計です。
乳がん保険は20代のうちから入っておいたほうがよいですか?
子宮頸がんは20代後半から増えはじめるので、早く入る意味はあります。25歳の加入なら月1000円ほど、35歳からでは月1800円ほどが目安で、30年間の総額では倍近い差になります。
女性のがん保険で診断一時金はいくらに設定すればよいですか?
20代から30代は50万〜100万円、50代では100万〜200万円が一つの目安です。治療費そのものより、働けない期間の生活費をどれだけ埋めたいかで決めると金額の根拠がはっきりします。
妊娠中でも女性向けのがん保険に加入できますか?
妊娠の初期から中期であれば審査が進むことも多く、28週を過ぎると慎重に見られやすくなります。妊娠に伴う検査値の変動をどう書くか迷ったときは、自己判断せず保険会社の担当者に確かめてください。
がん保険の女性特約は医療保険の女性特約と重ねて入るべきですか?
重ねると保障が重複し、保険料だけが積み上がりやすくなります。がん保険の女性特約はがんに絞った設計で、医療保険の女性特約は子宮筋腫などの良性疾患まで含みます。手元の契約を確かめてから決めてください。
この記事を書いた人Wrote this article
前田 祐助医学博士 / 医師
慶應義塾大学医学部大学院にて、がんの発生メカニズム(発癌機構)や、慢性炎症と腫瘍の関係性に関する基礎研究に従事し、医学博士号を取得。 特に、胃がんにおける炎症微小環境の解析や、細胞シグナル伝達(COX-2/PGE2経路など)による腫瘍形成の研究において実績を持つ。 現在は、大学病院や研究機関で培った「根拠(エビデンス)に基づく医療」の視点を活かし、疾患の早期発見や予防医療の啓発活動を行っている。
【保有資格・所属】
医学博士(慶應義塾大学)/ 医師免許 / 日本内科学会 / 日本医師会認定産業医