
がん治療の選択肢は年々広がりを見せていますが、なかでも注目を集めているのが分子標的薬と免疫療法を組み合わせた併用療法です。分子標的薬でがん細胞の増殖シグナルを抑えながら、免疫チェックポイント阻害薬で体の免疫力を呼び覚ますという二段構えの治療戦略といえます。
この記事では、それぞれの薬がどのように働くのか、併用することで何が期待できるのか、そして副作用への備えまで、患者さんやご家族が知っておきたい情報を丁寧に解説していきます。
主治医との相談にも役立つよう、わかりやすい言葉を使いながらまとめましたので、ぜひ最後までお読みください。
分子標的薬と免疫療法を組み合わせると「がんへの攻め方」が変わる
分子標的薬と免疫療法の併用は、がん細胞を直接たたく攻撃と、体の中から免疫を立て直す守りの両方を同時に行える点で、従来の治療にはなかった新しいアプローチです。
どちらか一方だけでは対処しきれなかったがんに対して、複数の角度から治療効果を高められる可能性があります。
従来の抗がん剤治療だけでは限界があった
従来の抗がん剤、いわゆる殺細胞性の化学療法薬は、がん細胞の増殖を止める力がある一方で、正常な細胞にもダメージを与えてしまうのが大きな課題でした。吐き気や脱毛、骨髄抑制といった副作用に苦しむ患者さんは少なくありません。
そのうえ、がん細胞が薬に対して耐性を獲得すると、同じ薬では効果が得られなくなるケースもあります。こうした限界を打ち破るために生まれたのが、分子標的薬と免疫療法というふたつの柱です。
「狙い撃ち」と「免疫の再起動」を同時に行う発想
分子標的薬は、がん細胞が持つ特有のタンパク質や遺伝子変異をピンポイントで攻撃します。いわば狙撃手のような役割です。
一方、免疫チェックポイント阻害薬は、がん細胞によって眠らされていた免疫細胞のブレーキを解除し、もう一度がんと闘えるようにする薬です。
| 治療法 | 主なはたらき | 対象 |
|---|---|---|
| 殺細胞性抗がん剤 | 細胞分裂を広く阻害する | がん細胞と正常細胞の両方 |
| 分子標的薬 | がん特有の分子を狙い撃ちにする | 特定の遺伝子変異を持つがん細胞 |
| 免疫チェックポイント阻害薬 | 免疫のブレーキを解除する | 免疫細胞を活性化して間接的にがんを攻撃 |
なぜ併用療法が注目されているのか
がんは単一の方法だけではなかなか抑えきれない病気です。分子標的薬ががん細胞を弱らせている間に、免疫療法が体の中からがんへの攻撃体制を整えるという連携が期待されています。
片方の薬だけでは効果が限定的だった患者さんでも、ふたつを組み合わせることで治療効果が高まる報告が積み重なってきました。こうした研究の蓄積が、併用療法への関心を一気に押し上げているのです。
そもそも分子標的薬とは?がん細胞だけを狙い撃ちにする治療薬
分子標的薬は、がん細胞が増えるために使っている特定の分子を標的として攻撃する薬であり、正常な細胞へのダメージを極力抑えながら治療効果を得ることを目指しています。従来の抗がん剤とは根本的にコンセプトが異なります。
がんの増殖シグナルをピンポイントでブロックする仕組み
がん細胞は、増殖因子やその受容体、細胞内のシグナル伝達経路を利用して際限なく増え続けます。分子標的薬は、こうしたシグナルの「スイッチ」をピンポイントでオフにすることで、がん細胞の増殖を食い止めます。
たとえば、肺がんでよく知られるEGFR遺伝子変異に対する薬は、EGFRという受容体の働きをブロックして、がん細胞の増殖命令を遮断します。日本人の肺腺がん患者さんの約半数にこの変異が見られるとされ、対象となる方には高い治療効果が報告されています。
小分子化合物と抗体薬、2つのタイプを正しく知る
分子標的薬は大きく「小分子化合物」と「抗体薬」の2種類に分けられます。小分子化合物は分子のサイズが小さく、がん細胞の内部に入り込んで、細胞の中にある標的分子を阻害できるのが特徴です。多くの場合は飲み薬として使えるため、通院の負担が軽くなる利点もあります。
一方、抗体薬は体内でつくられる抗体の機能を利用して、がん細胞の表面やその周辺にある分子を標的にします。サイズが大きいため、点滴で投与されるのが一般的です。
分子標的薬にも副作用がある点は見落とせない
正常細胞へのダメージが少ないとはいえ、分子標的薬にも特有の副作用があります。たとえばEGFR阻害薬では皮膚障害、血管新生阻害薬(VEGF阻害薬)では高血圧やたんぱく尿が起こりやすいとされています。
従来の抗がん剤とは副作用の出方が異なるため、あらかじめどんな症状が出やすいのかを医師や薬剤師に確認しておくことが大切です。異変を感じたら早めに相談する姿勢が、安全な治療継続につながるでしょう。
分子標的薬の代表的な副作用
| 薬剤の種類 | 代表的な副作用 | 注意点 |
|---|---|---|
| EGFR阻害薬 | 皮膚障害、下痢 | 保湿ケアが有効な場合がある |
| ALK阻害薬 | 視覚障害、消化器症状 | 服用中の車の運転に注意 |
| VEGF阻害薬 | 高血圧、たんぱく尿 | 定期的な血圧測定が大切 |
| HER2阻害薬 | 心機能低下、下痢 | 心臓のモニタリングが必要 |
免疫チェックポイント阻害薬はなぜがんに効くのか
免疫チェックポイント阻害薬は、がん細胞がかけていた「免疫のブレーキ」を解除し、体が本来持っている免疫の力でがん細胞を攻撃できるようにする薬です。従来の治療薬とはまったく異なる考え方から生まれた画期的な治療法として、多くのがんで治療成績の向上に貢献しています。
がん細胞は巧みに免疫から逃げている
私たちの体には、異物を見つけて排除する免疫の仕組みが備わっています。がん細胞も本来なら免疫細胞が攻撃するはずですが、がん細胞はPD-L1というタンパク質を表面に出し、免疫細胞(T細胞)に「攻撃するな」と偽の信号を送ります。
T細胞の表面にあるPD-1とがん細胞のPD-L1がくっつくと、T細胞の攻撃力にブレーキがかかり、がん細胞は免疫の監視をくぐり抜けてしまうのです。
PD-1阻害薬とCTLA-4阻害薬の違いを押さえよう
免疫チェックポイント阻害薬にはいくつかの種類がありますが、代表的なのはPD-1阻害薬(ニボルマブ、ペムブロリズマブなど)とCTLA-4阻害薬(イピリムマブなど)です。
PD-1阻害薬はT細胞のPD-1をブロックして、がん細胞の「攻撃するな」という信号を遮断します。
| 種類 | はたらき | 代表的な薬剤名 |
|---|---|---|
| PD-1阻害薬 | T細胞のPD-1をブロックして攻撃力を復活させる | ニボルマブ、ペムブロリズマブ |
| PD-L1阻害薬 | がん細胞のPD-L1をブロックして偽の信号を防ぐ | アテゾリズマブ、デュルバルマブ |
| CTLA-4阻害薬 | T細胞の初期活性化を助けて免疫応答を増強する | イピリムマブ |
免疫関連有害事象(irAE)にはどう備えるべきか
免疫チェックポイント阻害薬は免疫を活性化させるため、がんだけでなく正常な組織にも免疫が攻撃を向けてしまうことがあります。こうした副作用は「免疫関連有害事象(irAE)」と呼ばれ、間質性肺炎や大腸炎、甲状腺機能障害、1型糖尿病など多岐にわたります。
irAEの多くは治療開始後約2か月以内に現れやすいものの、投与終了後に数か月たってから発症するケースもあるため油断はできません。少しでも体調に変化を感じたら、すぐに主治医へ連絡しましょう。
分子標的薬と免疫療法の併用で期待できる相乗効果とは
分子標的薬と免疫療法を併用する最大の意義は、がん細胞を直接弱らせながら、同時に免疫の力を高めるという「二方向からの攻撃」が可能になる点です。単独使用では得られなかった治療効果を引き出せる可能性が研究レベルでも臨床レベルでも報告されています。
がん細胞を弱らせることで免疫が攻撃しやすくなる
分子標的薬ががん細胞の増殖を抑えると、がん細胞は勢いを失います。勢いを失ったがん細胞は免疫細胞から見て「攻撃対象」として認識されやすくなり、免疫チェックポイント阻害薬がブレーキを外した免疫細胞の攻撃がより効率的に届くようになるのです。
また、一部の分子標的薬にはがん細胞が出している免疫抑制シグナルを弱める作用も報告されており、免疫療法との相性がよいとされています。
併用によってがんの「逃げ道」を塞ぐ戦略
がんが治療に対して耐性を獲得する大きな原因のひとつは、ひとつの経路を塞いでも別の経路を使って増殖し続けることにあります。分子標的薬で特定の増殖経路を断ちつつ、免疫療法で免疫系からの攻撃を維持すれば、がんが逃げ出す経路を同時に塞ぐことができます。
この「複数の逃げ道を塞ぐ」という考え方は、併用療法の根幹をなす発想であり、がんの治療戦略を考えるうえで欠かせない視点です。
どのがんで併用療法の研究が進んでいるか
併用療法の研究はさまざまながんで活発に行われています。非小細胞肺がんでは、ドライバー遺伝子変異がない患者さんに対して免疫チェックポイント阻害薬と抗がん剤の併用が広く検討されてきました。
腎細胞がんや悪性黒色腫(メラノーマ)でも、分子標的薬と免疫療法の組み合わせが治療成績の改善につながった報告があります。肝細胞がんにおいても、血管新生阻害薬と免疫チェックポイント阻害薬の併用が注目を集めています。
| がんの種類 | 併用の組み合わせ例 | 期待される効果 |
|---|---|---|
| 非小細胞肺がん | 免疫チェックポイント阻害薬+化学療法 | PD-L1発現の有無にかかわらず効果を期待 |
| 腎細胞がん | 血管新生阻害薬+PD-1阻害薬 | 腫瘍縮小と免疫活性化の相乗作用 |
| 悪性黒色腫 | BRAF阻害薬+MEK阻害薬+免疫療法 | 遺伝子変異への攻撃と免疫の強化 |
| 肝細胞がん | VEGF阻害薬+PD-L1阻害薬 | 血管新生を断ち免疫環境を改善 |
併用療法の対象となるがんの種類と治療の進め方
併用療法を受けられるかどうかは、がんの種類や遺伝子変異の有無、PD-L1の発現状況、患者さんの体力や臓器の状態など、複数の要素を総合的に判断して決まります。まずは遺伝子検査とバイオマーカー検査で情報を集めることが、治療方針を組み立てる出発点です。
遺伝子検査とバイオマーカー検査がすべての起点になる
治療を始める前に、がん細胞の組織を使った遺伝子検査が実施されます。肺がんであればEGFR変異やALK融合遺伝子の有無、PD-L1タンパクの発現量などが調べられます。
こうした検査の結果が、分子標的薬を優先するのか、免疫チェックポイント阻害薬を中心にするのかの判断材料になるのです。
ドライバー遺伝子変異が見つかった患者さんには、まず分子標的薬が優先されるのが一般的な考え方です。変異が見つからなかった場合は、免疫チェックポイント阻害薬を軸にした治療が検討されます。
肺がんにおける治療選択の考え方
非小細胞肺がんの場合、ドライバー遺伝子変異がある患者さんには対応する分子標的薬が第一選択となります。変異がなくPD-L1の発現が高い患者さんには、ペムブロリズマブなどのPD-1阻害薬の単独投与が選ばれることがあります。
PD-L1の発現が低い場合や、腫瘍が大きい場合には、免疫チェックポイント阻害薬とプラチナ製剤を含む化学療法との併用が検討されるケースが多いでしょう。患者さんの体力や臓器の機能なども考慮しながら、主治医とともに治療計画を練っていきます。
治療前に行われる主な検査
- EGFR遺伝子変異の検査
- ALK融合遺伝子の検査
- ROS1融合遺伝子の検査
- PD-L1発現量の測定
- BRAF遺伝子変異の検査
腎がんや悪性黒色腫での併用パターン
腎細胞がんでは、血管新生阻害薬(VEGF阻害薬)とPD-1阻害薬の併用が広く行われるようになりました。がんに栄養を送る血管の新生を阻害しながら、免疫の攻撃力を高めるという二段構えの治療法です。
悪性黒色腫においては、BRAF遺伝子変異がある場合にBRAF阻害薬とMEK阻害薬の併用が行われます。さらに免疫チェックポイント阻害薬を加えた治療法も研究が進んでおり、さまざまな組み合わせの中から個々の患者さんに合った方法が選ばれます。
併用療法で気をつけたい副作用と日常生活での対策
分子標的薬と免疫療法を併用する場合、それぞれの薬が持つ副作用に加えて、両方が重なることで症状が強くなったり、予期しないタイミングで新たな症状が出たりする可能性があります。早期発見と適切な対応が治療を安全に続ける鍵となります。
併用で副作用リスクが重なる場合がある
分子標的薬の副作用と免疫関連有害事象(irAE)は、それぞれ発症の仕組みが異なります。分子標的薬は標的分子への影響が主な原因であり、irAEは免疫の過剰活性化が引き金になります。
ふたつの薬を併用すると、皮膚障害や肝機能障害など共通する症状が重なって出るケースもあるため、より一層の注意が求められます。
特に間質性肺炎は、免疫チェックポイント阻害薬でも分子標的薬でも起こりうる副作用です。息切れや乾いた咳が続くようであれば、我慢せずにすぐ受診してください。
日々のセルフチェックが早期発見につながる
副作用の多くは、初期の段階で気づいて対処すれば重症化を防ぐことができます。毎日の体温測定、血圧チェック、排便の状態の確認、皮膚の変化への注意など、小さなセルフチェックの積み重ねが早期発見につながります。
治療中は「体調日記」をつけておくとよいでしょう。どの日にどんな症状が出たかを記録しておけば、主治医に的確な情報を伝えられます。口頭だけでは伝え忘れてしまうことも、書いておけば漏れなく共有できます。
治療期間中の食事や生活で心がけたいこと
免疫力を維持するためには、バランスの取れた食事と十分な休養が大切です。タンパク質やビタミン、ミネラルをしっかり摂取し、体力の低下を防ぎましょう。食欲が落ちている場合は、少量でも栄養価の高い食品を選ぶ工夫が効果的です。
また、感染症にかかると治療の継続が難しくなることがあります。手洗い・うがいを徹底し、人混みを避けるなど基本的な感染対策も怠らないようにしてください。つらい症状がある場合は無理をせず、主治医や看護師に遠慮なく相談しましょう。
| チェック項目 | 確認頻度 | 気をつけるサイン |
|---|---|---|
| 体温 | 毎日 | 37.5度以上の発熱が続くとき |
| 血圧 | 毎日 | 上が140以上または下が90以上 |
| 皮膚の状態 | 毎日 | 発疹、かゆみ、水疱など |
| 排便の状態 | 毎日 | 下痢や血便が続くとき |
| 息切れ・咳 | 随時 | 乾いた咳や呼吸困難が出たとき |
主治医に相談する前に押さえておきたい併用療法の基礎知識
併用療法について主治医と話し合う前に、基本的な知識を持っておくと、限られた診察時間の中でもスムーズにやり取りでき、自分に合った治療法を一緒に考えやすくなります。遠慮せずに質問できる準備が、よりよい治療への第一歩です。
治療方針は患者さんごとのオーダーメイド
がんの種類や進行度、遺伝子変異の有無、PD-L1の発現量、そして患者さん自身の体力や持病の有無など、治療方針を決める要素は多岐にわたります。同じがんであっても、一人ひとり選ばれる治療法が異なるのは自然なことです。
- がんの種類と進行度(ステージ)
- 遺伝子検査やバイオマーカーの結果
- 現在の体力と臓器の機能
- 持病やアレルギーの有無
- 生活スタイルや通院の負担
診察時に聞いておきたい質問を用意しよう
「自分に併用療法は適しているか」「どのような副作用が想定されるか」「治療にかかる期間はどれくらいか」など、気になる点をあらかじめ書き出しておくと、大事なことを聞きそびれる心配がなくなります。
メモを持参して診察室に入ることをためらう方もいらっしゃるかもしれませんが、多くの医師はむしろ歓迎してくれるものです。自分の治療に積極的に関わる姿勢は、治療チームとの信頼関係を深めるきっかけにもなるでしょう。
セカンドオピニオンという選択肢も忘れずに
治療方針に迷いがある場合は、セカンドオピニオンを求めるという方法があります。別の医師の見解を聞くことで、自分の治療に対する理解が深まり、納得したうえで治療に臨めるようになります。
セカンドオピニオンは主治医との信頼関係を壊すものではありません。むしろ「複数の専門家の意見を踏まえて判断する」という姿勢は、より確かな治療選択につながります。遠慮なく主治医に相談してみてください。
よくある質問
分子標的薬と免疫チェックポイント阻害薬を同時に使うことはできる?
分子標的薬と免疫チェックポイント阻害薬を同時に使う併用療法は、がんの種類や患者さんの状態によって実施されるケースがあります。腎細胞がんや肝細胞がんでは、血管新生阻害薬と免疫チェックポイント阻害薬を組み合わせた治療が行われています。
ただし、すべてのがんで併用が行われるわけではなく、遺伝子検査やバイオマーカーの結果を踏まえて、主治医が個々の状況に応じて判断します。気になる方は、まず主治医に自分のがんの特性と治療選択肢について相談してみてください。
分子標的薬と免疫療法を併用した場合の副作用は単独よりも強くなる?
併用療法では、分子標的薬と免疫チェックポイント阻害薬それぞれの副作用が重なって出る可能性があるため、単独で使用する場合よりも注意が必要です。たとえば皮膚障害や肝機能障害は両方の薬で起こりうるため、症状が強く現れる場合もあります。
とはいえ、副作用の程度には個人差があり、すべての方で重くなるわけではありません。定期的な血液検査や画像検査で状態をモニタリングしながら治療を進めるため、異変を感じたら早めに医療スタッフへ伝えることが大切です。
分子標的薬による治療中に免疫療法へ切り替えることはある?
分子標的薬の効果が得られなくなった場合や、耐性が生じた場合に、免疫チェックポイント阻害薬を含む別の治療法へ移行するケースはあります。特に肺がんでは、分子標的薬の効果が薄れた後に免疫療法や化学療法との併用へ切り替える治療戦略が取られることがあります。
切り替えのタイミングや薬の選択は、がんの状態や体力、これまでの治療経過を総合的に見て判断されます。治療の途中で方針が変わることに不安を感じるかもしれませんが、主治医はつねに状況に合わせた判断をしていますので、疑問があればその都度質問してみてください。
免疫チェックポイント阻害薬の効果が出やすい人と出にくい人の違いは何か?
免疫チェックポイント阻害薬の効果は、がん細胞の表面にあるPD-L1というタンパク質の発現量と関係があるとされています。PD-L1が多く発現しているがん細胞ほど、薬によって免疫のブレーキが外れたときにT細胞の攻撃を受けやすくなります。
しかし、PD-L1の発現が低い患者さんでも効果が見られるケースはあり、発現量だけで効き目が決まるわけではありません。がんの遺伝子変異の数(腫瘍遺伝子変異量)や腸内環境なども影響するという研究が進んでおり、効果を予測するための指標は今も広がり続けています。
分子標的薬と免疫療法の併用療法を受けるにはどの診療科を受診すればよい?
分子標的薬と免疫療法の併用を検討する場合は、がん薬物療法を専門とする腫瘍内科(がん内科)の受診が適しています。臓器別の専門科(呼吸器内科、泌尿器科、消化器内科など)でもがん薬物療法に精通した医師が治療を担当することがあります。
がん診療連携拠点病院であれば、多くの診療科が連携して治療にあたる体制が整っています。どの病院を受診すべきか迷った場合は、がん相談支援センターに問い合わせると、お住まいの地域に合った医療機関の情報を教えてもらえるでしょう。
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この記事を書いた人 Wrote this article
前田 祐助 医学博士 / 医師
慶應義塾大学医学部大学院にて、がんの発生メカニズム(発癌機構)や、慢性炎症と腫瘍の関係性に関する基礎研究に従事し、医学博士号を取得。 特に、胃がんにおける炎症微小環境の解析や、細胞シグナル伝達(COX-2/PGE2経路など)による腫瘍形成の研究において実績を持つ。 現在は、大学病院や研究機関で培った「根拠(エビデンス)に基づく医療」の視点を活かし、疾患の早期発見や予防医療の啓発活動を行っている。 【保有資格・所属】 医学博士(慶應義塾大学)/ 医師免許 / 日本内科学会 / 日本医師会認定産業医