オプジーボの適応がんはどこまで?保険承認されている疾患とステージの解説

オプジーボの適応がんはどこまで?保険承認されている疾患とステージの解説

オプジーボ(一般名:ニボルマブ)は、免疫チェックポイント阻害薬として2014年に悪性黒色腫で承認されて以来、適応がんの範囲を着実に広げてきました。現在は17の疾患・適応で保険承認を受けており、肺がんや胃がんをはじめ多くのがん種で治療の選択肢となっています。

ただし、すべてのがんやステージに使えるわけではありません。「切除不能」「進行・再発」など、それぞれの適応には明確な条件が定められています。

この記事では、オプジーボの適応がん種とステージの条件をわかりやすく整理しました。ご自身やご家族の治療を考えるうえで、正確な情報の土台としてお役立てください。

オプジーボはどんながんに使える?免疫チェックポイント阻害薬の適応がん一覧

オプジーボは、体の免疫力を活用してがん細胞を攻撃する「免疫チェックポイント阻害薬」の一種です。2014年の発売から10年以上が経ち、17の疾患・適応で保険承認を取得しています。

オプジーボは免疫の力でがん細胞を攻撃する薬である

がん細胞は、免疫細胞であるT細胞の表面にある「PD-1」という分子に結合して、攻撃にブレーキをかけています。オプジーボはこのPD-1に先に結合することで、がん細胞によるブレーキを解除し、T細胞が再びがん細胞を攻撃できる状態に戻す仕組みです。

従来の抗がん剤ががん細胞を直接攻撃するのに対し、オプジーボは免疫の力を引き出す点で大きく異なります。2018年にはこの研究がノーベル医学・生理学賞の受賞対象となり、免疫療法というがん治療の新たな柱を築きました。

2025年時点で17の適応がん種が保険承認を受けている

オプジーボの適応は年々拡大しています。2014年の悪性黒色腫から始まり、肺がん、胃がん、腎細胞がんなど多くのがん種に適応が認められてきました。直近では2025年6月に肝細胞がんへの適応も追加されています。

オプジーボの保険承認済み適応がん一覧

がん種適応条件の概要承認年
悪性黒色腫根治切除不能、術後補助療法を含む2014年
非小細胞肺がん進行・再発、術前補助療法を含む2015年
腎細胞がん根治切除不能又は転移性2016年
古典的ホジキンリンパ腫再発又は難治性2016年
頭頸部がん再発又は遠隔転移あり2017年
胃がん治癒切除不能な進行・再発2017年
悪性胸膜中皮腫切除不能な進行・再発2018年
結腸・直腸がんMSI-Highを有する進行・再発2020年
食道がん進行・再発、術後補助療法を含む2020年
悪性中皮腫(胸膜除く)切除不能な再発等2023年
原発不明がん推奨治療法のない予後不良群2021年
尿路上皮がん術後補助療法、根治切除不能を含む2022年~
上皮系皮膚悪性腫瘍根治切除不能な進行・再発2024年
肝細胞がん切除不能(ヤーボイ併用)2025年

すべてのがんに使えるわけではない|承認されたがん種だけが対象になる

オプジーボが保険診療で使えるのは、上記のように国から承認を受けたがん種に限られます。たとえば膵がんや卵巣がんなどでは、臨床試験が進行中であっても、現時点で保険承認は得られていません。

承認されたがん種であっても、個々の患者さんの病状や全身状態によって使用できない場合もあります。投与の適否は、担当医が総合的に判断するものであり、がん種名だけで自動的に決まるわけではありません。

2014年のメラノーマから始まった|オプジーボの保険承認は年々広がっている

オプジーボの歩みは、2014年の悪性黒色腫(メラノーマ)への承認から始まりました。そこから約10年をかけて、がん種は着実に増え続けています。

世界初の承認は2014年の悪性黒色腫だった

オプジーボは2014年7月、日本において世界で初めてPD-1阻害薬として承認を受けました。対象は根治切除不能な悪性黒色腫(メラノーマ)で、当時は患者数が限られていたこともあり、年間の薬価が約3500万円と非常に高額に設定されていたことでも注目を集めました。

小野薬品工業とブリストル・マイヤーズ スクイブの共同開発によって誕生したこの薬は、京都大学の本庶佑特別教授の研究成果に基づいています。手術では取りきれないメラノーマに対して、免疫の力で腫瘍を縮小させるという画期的な治療法でした。

2015年から2018年にかけて肺がん・胃がんなどへ急速に拡大した

メラノーマに続き、2015年12月には非小細胞肺がんへの適応が追加されました。肺がんは患者数が多いため、この適応拡大は社会的にも大きな話題になりました。薬価の問題がクローズアップされ、2017年には緊急的な薬価引き下げも実施されています。

2016年には腎細胞がんと古典的ホジキンリンパ腫、2017年には頭頸部がんと胃がん、2018年には悪性胸膜中皮腫と、わずか数年で適応がんは一気に広がりました。多くのがん種で臨床試験の結果が良好だったことが、この急速な拡大を後押ししています。

2020年以降も食道がんや原発不明がんなど承認が続いている

2020年には食道がんとMSI-Highを有する結腸・直腸がんが承認され、2021年には治療法が確立されていなかった原発不明がんにも適応が認められました。2022年以降は尿路上皮がんの術後補助療法や上皮系皮膚悪性腫瘍、さらに2025年には肝細胞がんへの適応も追加されています。

このように、オプジーボの適応がんは現在も拡大を続けています。臨床試験の結果次第で、今後さらに対象疾患が増える可能性も十分に考えられるでしょう。

オプジーボの適応拡大の年表

承認年追加されたがん種備考
2014年悪性黒色腫世界初のPD-1阻害薬承認
2015年非小細胞肺がん適応拡大で薬価議論が加速
2016年腎細胞がん、ホジキンリンパ腫血液がんにも適応が広がる
2017年頭頸部がん、胃がん消化器がんへ本格進出
2018年悪性胸膜中皮腫希少がんへの適応追加
2020年結腸・直腸がん、食道がんMSI-High条件付き
2021年原発不明がん希少疾病用医薬品指定
2022年~尿路上皮がん(術後補助)術後の再発予防にも使用
2023年悪性中皮腫(胸膜除く)胸膜以外の中皮腫にも拡大
2024年上皮系皮膚悪性腫瘍、尿路上皮がん皮膚がん領域の拡充
2025年肝細胞がんヤーボイとの併用療法

「切除不能」「進行・再発」とは何を指す?オプジーボ適応がんのステージ条件を整理した

オプジーボの適応条件には「根治切除不能」「進行・再発」といった医療用語が並びます。これらの言葉が示す意味を正しく理解しておくと、ご自身の病状と適応条件を照らし合わせやすくなります。

「根治切除不能」は手術で取りきれないことを意味する

「根治切除不能」とは、手術によってがんを完全に取り除くことが難しい状態を指します。がんが周囲の組織や臓器に広がっている場合や、手術によるリスクが高すぎる場合などが該当します。

オプジーボの多くの適応がんでは、この「根治切除不能」が投与条件に含まれています。手術が選択できない状況だからこそ、免疫療法が治療の柱になり得るのです。

「進行・再発」は治療後に再び病気が進んだ状態を指す

「進行がん」は、がんが発生した臓器の外にまで広がっている状態を意味します。一方、「再発」は手術や化学療法などで一度は縮小・消失したがんが、再び出現した状態です。

オプジーボの適応条件に登場する主な用語

  • 根治切除不能:手術でがんを完全に取り除けない状態
  • 進行・再発:がんが進行中、または一度治療後に再び出現した状態
  • 転移性:がんが元の臓器から別の臓器に広がった状態
  • MSI-High:遺伝子の修復機能に異常があり、特定の変異が多い腫瘍の特徴
  • 術後補助療法:手術後の再発を防ぐ目的で行う治療
  • 術前補助療法:手術前に腫瘍を縮小させる目的で行う治療

ステージ分類と適応条件は必ずしも一致しない

がんの進行度を示す「ステージ」はI期からIV期まで分類されますが、オプジーボの適応条件は単純にステージだけで判断されるものではありません。がんの種類によって、ステージIIIの一部から使用できる場合もあれば、ステージIVでも別の条件を満たす必要がある場合もあります。

たとえば非小細胞肺がんでは、術前補助療法としてステージII~IIIの患者さんにもオプジーボが使われることがあります。一方で、進行・再発の胃がんでは、化学療法後に病状が悪化した場合にはじめて投与対象となるのが原則です。

つまり、「自分のステージならオプジーボが使えるはず」と安易に判断するのは危険です。がんの種類ごとに定められた詳細な条件を、担当医と一緒に確認することが大切といえます。

非小細胞肺がんや胃がんでオプジーボが使われるための投与条件を押さえよう

オプジーボが特に多く使われているのは、非小細胞肺がんや胃がん、腎細胞がん、頭頸部がんといった代表的ながん種です。それぞれの投与条件を整理します。

非小細胞肺がんでは二次治療以降や術前補助療法に使われる

肺がんの中でも「非小細胞肺がん」は患者数が多く、オプジーボの適応拡大で恩恵を受けた方が非常に多いがん種です。切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんに対しては、他の化学療法と組み合わせて投与されるケースが一般的でしょう。

さらに、手術が予定されているステージII~IIIの非小細胞肺がんでは、手術前に化学療法と併用して腫瘍を縮小させる「術前補助療法」としてもオプジーボが承認されています。EGFR遺伝子変異やALK融合遺伝子の有無など、遺伝子検査の結果も投与判断に影響する点に注意が必要です。

胃がんでは化学療法後に増悪した場合に限定されている

胃がんの適応条件は「がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の胃がん」です。これは、手術で取りきれず、かつ一度は化学療法を試みたものの病状が進行してしまった患者さんが対象であることを意味します。

つまり、胃がんの場合は最初の治療(一次治療)からオプジーボを単独で使うのではなく、化学療法の効果が得られなかった後に選択される薬剤という位置づけです。ただし、近年は化学療法との併用で一次治療に用いるケースも出てきており、適応の幅は変化しつつあります。

腎細胞がんや頭頸部がんでも幅広い治療ラインで活用されている

腎細胞がんでは「根治切除不能又は転移性」という条件のもと、一次治療から他の薬剤と併用して使われることがあります。ヤーボイ(イピリムマブ)との併用療法も選択肢の一つです。

頭頸部がんについては、「再発又は遠隔転移を有する」場合が適応となります。化学療法との併用や、化学療法後に増悪した場合の二次治療として使われるケースが多いでしょう。古典的ホジキンリンパ腫では「再発又は難治性」が条件となっており、既存の治療で十分な効果が得られなかった患者さんに対する治療選択肢です。

代表的ながん種別の投与条件比較

がん種主な投与条件治療ライン
非小細胞肺がん切除不能な進行・再発、術前補助一次~、術前
胃がん化学療法後に増悪した進行・再発二次治療以降
腎細胞がん根治切除不能又は転移性一次治療から
頭頸部がん再発又は遠隔転移あり化学療法併用等
ホジキンリンパ腫再発又は難治性既存治療不応後

食道がん・大腸がん・原発不明がんにも適応が広がっている

2020年以降、オプジーボの適応がんはさらに多様化しました。食道がんや大腸がん、原発不明がんなど、従来は治療の選択肢が限られていた分野でも使えるようになっています。

食道がんでは術後補助療法と進行・再発の両方に適応がある

食道がんに対するオプジーボの承認は二つの場面をカバーしています。一つは「根治切除不能な進行・再発の食道がん」への投与であり、もう一つは「食道がんにおける術後補助療法」です。

術後補助療法とは、手術でがんを取り除いた後に残存するかもしれない微小ながん細胞を免疫の力でたたくことを目的としたもので、投与期間は12カ月間が上限と定められています。進行・再発に対しては化学療法との併用が基本であり、PD-L1の発現率によって効果が異なる傾向があるとされています。

大腸がんはMSI-Highという遺伝子変異の有無が使用の鍵になる

結腸・直腸がん(大腸がん)の場合、オプジーボが使えるのは「MSI-High」と呼ばれる遺伝子特性を持つ腫瘍に限定されます。MSI-Highとは、DNAの修復に関わる遺伝子に異常があり、遺伝子変異の数が多い状態を指す用語です。

MSI-Highを持つ大腸がんとオプジーボ

条件内容備考
遺伝子検査MSI検査でHighと判定免疫染色やPCR法で判定
病状の条件治癒切除不能な進行・再発手術だけでは治療困難
併用薬ヤーボイとの併用も承認済み2025年8月に併用承認取得

原発不明がんへの承認は治療の空白を埋める大きな一歩だった

原発不明がんとは、全身の検査を尽くしても、がんが最初に発生した臓器(原発巣)が特定できないがんのことです。国内の患者数は推定で3000~1万3000人程度とされ、5年生存率は2~6%と極めて予後の厳しい疾患です。

従来、原発不明がんに対して承認された薬剤は国内外ともに存在していませんでした。2021年12月にオプジーボが原発不明がんの適応を取得したことは、治療の選択肢がなかった患者さんにとって大きな転換点だったといえるでしょう。

なお、オプジーボの対象となるのは「推奨される治療法のない予後不良群」の原発不明がんに限られます。臨床試験では、化学療法既治療の患者さんにおける奏効率(腫瘍が縮小した割合)は約22%と報告されています。

オプジーボの免疫関連副作用は従来の抗がん剤とまったく違う

オプジーボは免疫の力を引き出す薬であるため、副作用の出方も従来の抗がん剤とは性質が異なります。免疫が過剰に活性化することで、さまざまな臓器に炎症が生じる「免疫関連有害事象(irAE)」に気をつける必要があります。

免疫が過剰に働くことで起きる「irAE」に注意が必要である

従来の抗がん剤では、吐き気や脱毛といった副作用がよく知られています。しかしオプジーボの場合、免疫の活性化にともない自分自身の正常な組織を攻撃してしまうことがあり、これを免疫関連有害事象(irAE)と呼びます。

irAEは投与開始から数週間~数カ月後に発症することが多く、早期に気づいて対処すれば重症化を防げるケースが大半です。そのため、投与中は定期的な血液検査や画像検査を受けて、体の変化を見逃さないことが大切でしょう。

間質性肺炎や甲状腺機能障害など多臓器に影響が及ぶ場合がある

irAEは特定の臓器だけに限定されるわけではなく、肺、肝臓、腎臓、皮膚、内分泌系(甲状腺や副腎など)、消化管など全身のあらゆる臓器に生じる可能性があります。頻度が比較的高いのは、皮膚の発疹や甲状腺機能異常、大腸炎などです。

特に注意が必要なのが間質性肺炎です。息切れや空咳などの症状が出た場合は、早めに担当医へ報告してください。また、1型糖尿病や重症筋無力症、心筋炎といった重篤な副作用も報告されており、投与中は体調の変化に敏感でいることが求められます。

投与前のバイオマーカー検査で効果が期待できるか見極められる

オプジーボの治療効果が出る患者さんの割合は、がん種によって異なるものの、おおむね20~30%程度とされています。すべての患者さんに効くわけではないため、投与前にバイオマーカー検査を行い、効果が見込めるかどうかを判断する場合があります。

代表的なバイオマーカーには、腫瘍のPD-L1発現率やMSI(マイクロサテライト不安定性)の状態などがあります。これらの検査結果は、オプジーボを使うかどうかだけでなく、他の治療法との優先順位を考えるうえでも重要な判断材料になるでしょう。

オプジーボ投与時に注意すべき副作用

  • 間質性肺炎:息切れ、空咳、発熱
  • 甲状腺機能障害:倦怠感、体重変化、動悸
  • 大腸炎:下痢、腹痛、血便
  • 肝機能障害:黄疸、倦怠感、食欲不振
  • 1型糖尿病:口渇、多尿、体重減少
  • 皮膚障害:発疹、かゆみ、水疱
  • 腎障害:尿量の減少、むくみ

主治医にオプジーボの適応がんを相談するとき、伝えるべきことがある

オプジーボの投与を希望する場合、主治医との対話が何よりも大切です。ご自身の病状やこれまでの治療経過を正確に伝えたうえで、適応条件を満たしているかどうかを確認しましょう。

自分のがん種とステージが適応条件に合うか確認しよう

まず確認すべきは、ご自身のがん種がオプジーボの適応対象に含まれているかどうかです。前述のとおり、2025年時点で17の疾患・適応が保険承認を受けていますが、がんの種類だけでなく「切除不能」「再発」などの条件もあわせて満たしている必要があります。

主治医に確認したいポイント

確認事項具体的な内容確認のタイミング
がん種の該当自分のがんがオプジーボの適応に含まれるか診断確定後
病状の条件切除不能・再発などの条件を満たしているか治療方針決定時
遺伝子検査PD-L1発現率やMSI検査の結果投与判断の前
併用薬の有無他の薬剤と併用するかどうか投与計画の説明時
副作用の管理irAEへの対応体制が整っているか投与開始前

主治医への質問リストを事前に用意しておくと安心できる

診察の場では、緊張や時間の制約から聞きたいことを聞きそびれてしまうこともあるかもしれません。事前に質問をメモしておくことで、限られた時間の中でも大切な情報を確実に得られます。

「自分のがんにオプジーボは使えますか」「他にどんな治療の選択肢がありますか」「副作用が出たらどう対処しますか」「投与期間はどのくらいを想定していますか」といった質問を軸にすると、会話がスムーズに進むでしょう。

セカンドオピニオンで別の医師の見解を聞くことも選択肢になる

オプジーボの適応について判断に迷いがある場合や、治療方針に納得がいかない場合は、セカンドオピニオンを活用することも一つの方法です。別の医療機関の専門医に意見を求めることで、異なる視点からの治療提案を受けられる可能性があります。

セカンドオピニオンは主治医への「不信感」ではなく、より納得のいく治療を選ぶための前向きな行動です。多くの医療機関で受け付けていますので、遠慮なく担当医に相談してみてください。

よくある質問

オプジーボはすべてのがんに使えるのか?

オプジーボが保険診療で使用できるのは、国から承認を受けた特定のがん種に限られます。2025年時点では17の疾患・適応が承認されており、悪性黒色腫や非小細胞肺がん、胃がん、腎細胞がんなどが含まれています。

膵がんや卵巣がんなど、まだ承認されていないがん種では、臨床試験に参加する以外に保険診療としてオプジーボを使うことはできません。ご自身のがん種が対象かどうかは、担当医に直接確認されることをおすすめします。

オプジーボの投与期間はどのくらい続くのか?

オプジーボの投与期間は、がんの種類や治療の目的によって異なります。進行・再発のがんに対しては、効果が認められる限り継続されるのが一般的です。

一方、食道がんや尿路上皮がんの術後補助療法では、投与期間の上限が12カ月間と定められています。投与間隔は2週間ごとに240mg、または4週間ごとに480mgの点滴が基本パターンとなりますが、併用する薬剤によっても異なるため、具体的なスケジュールは担当医が個別に設定します。

オプジーボとヤーボイの併用療法が承認されているがん種はどれか?

オプジーボとヤーボイ(イピリムマブ)の併用療法は、複数のがん種で承認を受けています。代表的なものとしては、悪性黒色腫、腎細胞がん、MSI-Highを有する結腸・直腸がん、悪性胸膜中皮腫、非小細胞肺がん、肝細胞がんなどが挙げられます。

併用療法は単独投与と比べて治療効果が高まる可能性がある一方、副作用のリスクも増加する傾向があります。併用療法の適否は、がん種や全身状態、過去の治療歴などを踏まえて担当医が総合的に判断するものです。

オプジーボは早期がん(ステージIやII)にも使えるのか?

オプジーボの適応は多くのがん種で「進行・再発」「切除不能」といった条件が付いているため、基本的には手術だけで治療が完結するような早期がんには使われません。

ただし、非小細胞肺がんの術前補助療法や食道がんの術後補助療法のように、比較的早い段階でも使用できるケースが一部存在します。早期がんに該当するかどうかに関わらず、ご自身の病状がオプジーボの適応条件を満たしているかは、担当医に確認するのが確実です。

オプジーボの治療効果が出る割合はどの程度か?

オプジーボの奏効率(腫瘍が一定以上縮小した患者さんの割合)は、がん種によって幅がありますが、単独投与ではおおむね20~30%程度と報告されています。ヤーボイとの併用療法では、がん種によっては50~60%まで上昇するケースもあります。

効果が出るまでに時間がかかる場合もあるため、投与後すぐに結果が出なくても焦る必要はありません。担当医と相談しながら、定期的な画像検査で治療効果を評価していくことが重要です。

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この記事を書いた人 Wrote this article

前田 祐助

前田 祐助 医学博士 / 医師

慶應義塾大学医学部大学院にて、がんの発生メカニズム(発癌機構)や、慢性炎症と腫瘍の関係性に関する基礎研究に従事し、医学博士号を取得。 特に、胃がんにおける炎症微小環境の解析や、細胞シグナル伝達(COX-2/PGE2経路など)による腫瘍形成の研究において実績を持つ。 現在は、大学病院や研究機関で培った「根拠(エビデンス)に基づく医療」の視点を活かし、疾患の早期発見や予防医療の啓発活動を行っている。 【保有資格・所属】 医学博士(慶應義塾大学)/ 医師免許 / 日本内科学会 / 日本医師会認定産業医