ウイルス療法と免疫療法の併用|相乗効果が期待されるメカニズムと研究

ウイルス療法と免疫療法の併用|相乗効果が期待されるメカニズムと研究

がん治療では、ウイルス療法(腫瘍溶解性ウイルス療法)と免疫療法を組み合わせることで、単独では得られなかった治療効果が報告されています。腫瘍溶解性ウイルスががん細胞を内部から破壊すると同時に、免疫チェックポイント阻害薬が免疫のブレーキを外すことで、体の防御システムが腫瘍を攻撃しやすくなるためです。

この記事では、併用によって生まれる相乗効果の仕組み、臨床試験で示された治療データ、副作用への対策まで、わかりやすくお伝えします。がんの治療選択肢を広げるために知っておきたい情報を、丁寧に整理しました。

ウイルス療法と免疫療法を併用すると何が変わるのか

がん細胞を直接破壊するウイルス療法と、体の免疫力を引き出す免疫療法を併用すると、それぞれ単独で用いるよりも高い治療効果が見込まれます。この「1+1が2以上になる」現象こそ、がん治療の世界で注目されている相乗効果です。

単独治療ではなぜ限界があるのか

腫瘍溶解性ウイルスはがん細胞の中で増殖し、内側からがん細胞を壊します。しかしウイルスだけでは、体の免疫システムがウイルスを排除してしまい、十分な効果が持続しないことがあります。

一方、免疫チェックポイント阻害薬は免疫細胞の攻撃力を取り戻す薬ですが、腫瘍の周囲に免疫細胞がほとんど集まっていない場合には効果が限られます。つまり、どちらも単独では弱点を抱えているのです。

併用することで抗腫瘍効果が高まる仕組み

ウイルスががん細胞を破壊すると、がん細胞の内部にあったタンパク質(がん抗原)が外に放出されます。すると免疫細胞がその抗原を目印にして、生き残ったがん細胞を見つけやすくなります。

同時に免疫チェックポイント阻害薬ががん細胞による免疫抑制を解除するため、免疫細胞の攻撃力がさらに高まるでしょう。この二段構えが相乗効果を生み出す基本的な仕組みです。

ウイルス療法と免疫療法の比較

項目ウイルス療法免疫療法
作用の対象がん細胞を直接破壊免疫細胞を活性化
投与方法腫瘍内への注射が多い点滴による全身投与
単独での課題免疫によるウイルス排除腫瘍周囲の免疫細胞不足
併用時の利点免疫活性化の引き金になる活性化した免疫を持続させる

両者の相乗効果を生む3つの要因

併用療法が効果を発揮する背景には、がん抗原の放出促進、腫瘍微小環境の変化、そして全身性の免疫応答の誘導という3つの要因が関わっています。ウイルスが腫瘍内で炎症反応を引き起こし、免疫細胞が集合しやすい環境を作り出すことが大きいといえます。

さらに、破壊されたがん細胞から放出されるDAMPs(ダメージ関連分子パターン)が樹状細胞を刺激し、がんに対する獲得免疫が強化されることもわかってきました。

がん治療における併用療法の広がり

がん領域では以前から、手術・放射線・抗がん剤を組み合わせる「集学的治療」が行われてきました。ウイルス療法と免疫療法の組み合わせは、この考え方をさらに発展させたものです。

悪性黒色腫(メラノーマ)をはじめ、頭頸部がんや固形がんなど多くのがん種で、併用療法の臨床試験が世界各地で進んでいます。

腫瘍溶解性ウイルスはがん細胞だけを狙い撃ちにする

腫瘍溶解性ウイルスは遺伝子改変によってがん細胞の中だけで増殖するよう設計されたウイルスで、正常な細胞にはほとんどダメージを与えません。がん細胞を破壊しながら免疫を刺激する「二刀流」のはたらきが、併用療法の土台になっています。

腫瘍溶解性ウイルスが正常細胞を傷つけにくい理由

がん細胞は通常の細胞と異なり、ウイルスに対する防御機構が弱まっています。たとえば、正常細胞にはインターフェロンという抗ウイルス物質を出す力がありますが、多くのがん細胞ではその経路がうまく働きません。

腫瘍溶解性ウイルスはこの違いを利用して、がん細胞の内部でのみ増殖し、正常細胞では増えにくいよう工夫されています。そのため、従来の抗がん剤と比べて副作用が軽い傾向にあります。

遺伝子改変でウイルスの安全性を高めている

腫瘍溶解性ウイルスの多くは、実験室で遺伝子を改変してから使われます。たとえば、正常細胞で増殖するために必要な遺伝子を削除したり、がん細胞で活発に働く遺伝子の制御下でしかウイルスが増えないように設計したりします。

代表的な例として、日本で条件付き承認を受けたG47Δ(デリタクト)は、単純ヘルペスウイルス1型から3つの遺伝子を改変することで、がん細胞への選択性と安全性を両立させた製剤です。

T-VECやG47Δなど実用化されたウイルス製剤

2015年に欧米で承認されたT-VEC(タリモジーン・ラハーパレプベック)は、悪性黒色腫の治療に使われる腫瘍溶解性ヘルペスウイルス製剤です。GM-CSFという免疫刺激因子を発現するよう設計されており、がん細胞を破壊するだけでなく免疫反応も活性化させます。

日本では2021年にG47Δが悪性神経膠腫(グリオーマ)を対象に条件および期限付きで承認されました。いずれもウイルス療法と免疫活性化を同時に実現する設計思想にもとづいています。

承認済み腫瘍溶解性ウイルス製剤の概要

製剤名ベースとなるウイルス対象疾患
T-VEC単純ヘルペスウイルス1型悪性黒色腫
G47Δ(デリタクト)単純ヘルペスウイルス1型悪性神経膠腫

免疫チェックポイント阻害薬がブレーキを外してがんを攻撃させる

がん細胞は免疫のブレーキ(チェックポイント)を巧みに利用して、免疫細胞からの攻撃を逃れています。免疫チェックポイント阻害薬はこのブレーキを解除し、T細胞ががん細胞を再び攻撃できる状態に戻す薬剤です。

PD-1やCTLA-4とはどんな分子なのか

PD-1はT細胞(免疫細胞の一種)の表面にあるタンパク質で、がん細胞が出すPD-L1という分子と結合すると、T細胞の攻撃力が抑えられてしまいます。京都大学の本庶佑教授がPD-1を発見し、2018年にノーベル生理学・医学賞を受賞したことは広く知られています。

CTLA-4もT細胞に存在する別のブレーキ分子で、免疫反応の初期段階を抑制する働きがあります。テキサス大学のジェームス・アリソン教授がこの分子をがん治療に応用する道を開きました。

免疫のブレーキを解除するとがん細胞が標的になる

ニボルマブ(オプジーボ)やペムブロリズマブ(キイトルーダ)などのPD-1阻害薬は、PD-1とPD-L1の結合を妨げることでT細胞の攻撃力を回復させます。イピリムマブ(ヤーボイ)はCTLA-4を標的にし、免疫反応の活性化段階でブレーキが入るのを防ぎます。

どちらも「がん細胞を直接攻撃する薬」ではなく、「体の免疫力を元に戻す薬」である点が従来の抗がん剤との大きな違いです。

代表的な免疫チェックポイント阻害薬の分類

  • PD-1阻害薬:ニボルマブ、ペムブロリズマブなど
  • PD-L1阻害薬:アテゾリズマブ、デュルバルマブなど
  • CTLA-4阻害薬:イピリムマブなど

単独投与での効果には個人差が大きい

免疫チェックポイント阻害薬は画期的な治療法ですが、単独投与での奏効率は20~30%程度にとどまるケースも少なくありません。腫瘍の周囲に免疫細胞がほとんどいない場合や、がん細胞がPD-L1を十分に発現していない場合は、薬の効果が出にくいためです。

こうした限界を補うために注目されているのが、腫瘍溶解性ウイルスとの併用です。ウイルスが腫瘍内で炎症を起こすことで、免疫チェックポイント阻害薬が効きやすい環境へと変えてくれる可能性があります。

併用で「冷たい腫瘍」が「熱い腫瘍」に変わる

がん研究の分野では、免疫細胞が腫瘍に集まっていない状態を「冷たい腫瘍(コールドチューマー)」、多くの免疫細胞が浸潤している状態を「熱い腫瘍(ホットチューマー)」と呼びます。ウイルス療法と免疫療法の併用は、冷たい腫瘍を熱い腫瘍へ転換する力を持っています。

コールドチューマーとホットチューマーの違い

コールドチューマーはがん細胞の周囲に免疫細胞がほとんど存在しないため、免疫チェックポイント阻害薬を投与しても効果が得られにくい腫瘍です。免疫細胞に「敵がどこにいるか」が伝わっていない状態ともいえるでしょう。

ホットチューマーではCD8陽性T細胞などの攻撃型免疫細胞が腫瘍内部にまで入り込んでおり、免疫チェックポイント阻害薬の効果が出やすいとされています。

ウイルス感染が腫瘍内の免疫環境を変える

腫瘍溶解性ウイルスががん細胞に感染すると、炎症性サイトカイン(免疫反応を促す伝達物質)が放出されます。それに引き寄せられるように、樹状細胞やT細胞といった免疫細胞が腫瘍の近くに集まってきます。

腫瘍の周囲に免疫細胞がほとんどいなかった「冷たい」環境が、ウイルスの作用によって「熱い」環境へと変わるわけです。免疫チェックポイント阻害薬にとって、これは大きな追い風になります。

免疫細胞が集まりやすくなる腫瘍微小環境の変化

ウイルスに感染して破壊されたがん細胞からは、DAMPs(ダメージ関連分子パターン)やがん抗原が大量に放出されます。樹状細胞がこれらを取り込んでリンパ節に運び、がんに反応するT細胞を増やすことが確認されています。

加えて、ウイルスが持つ核酸(DNAやRNA)自体も免疫を刺激する物質として働くため、腫瘍溶解性ウイルスは「天然の免疫賦活剤」としての性質も兼ね備えているといえるでしょう。

コールドチューマーとホットチューマーの特徴比較

特徴コールドチューマーホットチューマー
免疫細胞の浸潤少ない多い
免疫療法への反応低い傾向高い傾向
併用療法の意義環境を変える引き金に効果をさらに底上げ

臨床試験で確認された併用療法の治療成績

ウイルス療法と免疫チェックポイント阻害薬の併用は、すでに複数の臨床試験で有望な結果が報告されています。特にメラノーマ領域では、免疫療法単独で効果が不十分だった患者さんにも奏効が見られた点が注目されています。

悪性黒色腫(メラノーマ)での併用試験データ

2024年のESMO(欧州臨床腫瘍学会)で発表されたIGNYTE試験では、RP1(ヘルペスウイルスベースの腫瘍溶解性ウイルス)とニボルマブの併用が検討されました。抗PD-1療法に抵抗性を示した進行メラノーマ患者140名を対象としたこの試験で、奏効率は33.6%に達しています。

1年生存率は75.3%、2年生存率は63.3%と報告されており、従来治療で効果が得られなかった患者群としては注目に値する数値です。奏効持続期間の中央値も21.6か月と長期にわたりました。

頭頸部がんや固形がんでの研究報告

メラノーマ以外のがん種でも併用療法の研究は広がっています。LOAd703という遺伝子改変アデノウイルスとアテゾリズマブの併用試験では、ステージIVメラノーマ患者24名において生存期間中央値が19.3か月でした。

また、VG2025やOVV-01といった新しい腫瘍溶解性ウイルスの第I相試験も行われ、13.0~27.3%の奏効率が報告されています。軟部肉腫、大腸がん、肝がん、卵巣がん、膵がんなど、免疫療法が効きにくいとされてきたがん種でも効果が示唆されました。

主な併用療法の臨床試験結果

試験名・製剤対象がん主な成績
IGNYTE(RP1+ニボルマブ)進行メラノーマ奏効率33.6%
LOAd703+アテゾリズマブステージIVメラノーマOS中央値19.3か月
T-VEC+イピリムマブ進行メラノーマ併用群奏効率39%

日本国内で進行中の医師主導治験

日本でも腫瘍溶解性ウイルスと免疫チェックポイント阻害薬を組み合わせた医師主導治験が行われています。国立がん研究センター東病院では、腫瘍溶解アデノウイルス製剤であるテロメライシン(OBP-301)と抗PD-1抗体ペムブロリズマブの併用に関する第I相試験が実施されました。

テロメライシンは、がん細胞で活性化するテロメラーゼ酵素を利用して、がん細胞内のみで増殖するよう設計されたウイルス製剤です。正常細胞ではウイルスが増殖しにくいため、副作用の軽減も期待されています。

併用療法で気をつけたい副作用と安全対策

ウイルス療法と免疫療法の併用は治療効果を高める一方で、それぞれに固有の副作用があり、併用することで症状の種類や頻度が変わる場合もあります。治療を安全に続けるためには、副作用を正しく知り、早めに対処することが大切です。

ウイルス療法に特有の副作用はどんなものか

腫瘍溶解性ウイルスの投与後には、発熱や注射部位の痛み・腫れ、インフルエンザに似た倦怠感が現れることがあります。これらの症状の多くは、ウイルスに対する体の免疫反応であり、一時的なものがほとんどです。

T-VECの臨床試験では、こうした症状は軽度から中等度にとどまるケースが大半を占めました。重篤な副作用の頻度は比較的低いと報告されていますが、個人差があるため医師の管理のもとで投与を受けることが大切です。

免疫関連有害事象(irAE)に対する備え

免疫チェックポイント阻害薬を使うと、免疫が過剰にはたらいて自分自身の臓器を攻撃してしまう「免疫関連有害事象(irAE)」が起こる場合があります。皮膚の発疹、下痢や大腸炎、甲状腺の機能異常、肝機能障害、間質性肺炎などが代表的です。

irAEは早期に発見して適切に対処すれば、多くの場合コントロールが可能です。体調の変化を感じたら、些細なことでもすぐに担当医や看護師に相談してください。

治療チームと連携して安全に治療を続ける

併用療法中は、腫瘍内科医だけでなく、皮膚科や内分泌科など複数の診療科が連携してirAEに対応する体制を整えていることが一般的です。定期的な血液検査や画像検査によってモニタリングを行い、異常があれば速やかに治療内容を調整します。

患者さん自身も「体調日記」をつけて、日々の症状を記録しておくと、担当医とのやり取りがスムーズになるでしょう。自覚症状の変化は、治療判断における貴重な情報です。

併用療法中に注意したいサイン

  • 38度以上の発熱が2日以上続く場合
  • 皮膚に広範な発疹やかゆみが出た場合
  • 持続する下痢や腹痛がある場合
  • 息苦しさや空咳が増えてきた場合
  • 著しいだるさや食欲低下が続く場合

主治医に相談する前に整理しておきたい治療情報

併用療法に関心を持った段階で、自分の病状や治療歴を正確に整理しておくと、主治医との相談がより実りあるものになります。限られた診察時間を有効に使うために、事前準備を済ませておきましょう。

自分のがん種と病期を正確に把握する

まず確認しておきたいのは、がんの種類(組織型)とステージ(病期)です。腫瘍溶解性ウイルスと免疫チェックポイント阻害薬の併用は、すべてのがん種で同じように研究が進んでいるわけではありません。

メラノーマや頭頸部がんなどでは比較的多くのデータが蓄積されていますが、がん種によっては臨床試験がまだ初期段階のものもあります。自分のがんがどの段階にあるのかを把握しておくことで、担当医との対話が具体的になります。

主治医との相談前に確認しておきたい項目

確認事項内容の例
がんの種類と病期肺がんステージIIIB、大腸がんステージIVなど
これまでの治療歴手術、抗がん剤、放射線の有無と時期
遺伝子検査の結果PD-L1発現率、ドライバー遺伝子変異の有無
現在の体調と持病自己免疫疾患の有無、臓器機能の状態

治療歴や既往症をまとめておく

過去にどのような治療を受けたか、どの薬剤を使ったか、その結果はどうだったかをリストにしておきましょう。特に免疫チェックポイント阻害薬の使用歴がある場合、その効果や副作用の経験は併用療法を検討するうえで重要な判断材料になります。

自己免疫疾患(関節リウマチ、橋本病など)がある方は、免疫チェックポイント阻害薬の使用に制限がかかるケースもあるため、必ず申告してください。

質問リストを作って診察に臨む

「自分のがんに対して併用療法の臨床データはあるのか」「併用した場合に想定される副作用は何か」「治療スケジュールはどうなるのか」など、具体的な質問をあらかじめ書き出しておくと、聞き漏らしを防げます。

医師から説明を受けた際に、その場ですべてを理解するのは難しいかもしれません。メモを取る、家族と一緒に受診するなど、情報を正確に持ち帰るための工夫も検討してみてください。

よくある質問

腫瘍溶解性ウイルス療法と免疫チェックポイント阻害薬はどのがん種で併用研究が進んでいるのか?

腫瘍溶解性ウイルス療法と免疫チェックポイント阻害薬の併用研究が活発ながん種としては、悪性黒色腫(メラノーマ)が挙げられます。T-VECとイピリムマブやペムブロリズマブとの併用試験が先行して実施されました。

加えて、頭頸部がん、非小細胞肺がん、乳がん(トリプルネガティブ)、大腸がん、膵がんなどでも臨床試験が進められています。がん種ごとに研究段階は異なるため、自分のがん種での進捗は担当医にお尋ねください。

腫瘍溶解性ウイルスはどのように体内に投与されるのか?

腫瘍溶解性ウイルスは、多くの場合、腫瘍に直接注射する「腫瘍内投与」で用いられます。T-VECのように皮膚に見えるメラノーマ病変に針で注入する方法が代表的です。

一部の臨床試験では静脈内投与も検討されていますが、血中でウイルスが免疫によって排除されるリスクがあるため、投与経路の選択は研究段階にあります。実際の投与方法は、がんの部位や状態によって医師が判断します。

腫瘍溶解性ウイルスと免疫療法の併用で副作用は増えるのか?

併用による副作用は、それぞれ単独で使った場合の副作用が重なる形で現れることがあります。T-VECとイピリムマブの併用試験では、中等度以上の有害事象が併用群で約45%、単剤群で約35%と報告されました。

ただし、重篤な副作用の増加は限定的であったとされており、許容範囲内と評価されるケースが多くみられます。副作用の出方には個人差が大きいため、治療中は定期的な検査と担当医への報告が大切です。

腫瘍溶解性ウイルス療法は日本国内の医療機関で受けられるのか?

日本では2021年に腫瘍溶解性ヘルペスウイルスG47Δ(デリタクト)が悪性神経膠腫を対象に条件および期限付きで承認されています。この製剤については、対象疾患に該当すれば所定の医療機関で治療を受けることが可能です。

それ以外のがん種については臨床試験への参加という形で併用療法にアクセスできるケースがあります。治験情報は担当医や臨床試験の検索サイトで確認することをおすすめします。

腫瘍溶解性ウイルスは周囲の人に感染するリスクがあるのか?

腫瘍溶解性ウイルスは遺伝子改変によって病原性が大幅に弱められており、正常な細胞内ではほとんど増殖しない設計になっています。そのため、治療を受けた患者さんから周囲の人へ感染が広がるリスクは極めて低いと考えられています。

ただし、免疫力が低下している方や妊娠中の方との接触については、念のため担当医に相談してください。臨床試験でも、投与後の感染管理に関する安全性は継続的に評価されています。

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この記事を書いた人 Wrote this article

前田 祐助

前田 祐助 医学博士 / 医師

慶應義塾大学医学部大学院にて、がんの発生メカニズム(発癌機構)や、慢性炎症と腫瘍の関係性に関する基礎研究に従事し、医学博士号を取得。 特に、胃がんにおける炎症微小環境の解析や、細胞シグナル伝達(COX-2/PGE2経路など)による腫瘍形成の研究において実績を持つ。 現在は、大学病院や研究機関で培った「根拠(エビデンス)に基づく医療」の視点を活かし、疾患の早期発見や予防医療の啓発活動を行っている。 【保有資格・所属】 医学博士(慶應義塾大学)/ 医師免許 / 日本内科学会 / 日本医師会認定産業医