主治医を変更したい時はどうする?がん治療における「主治医交代」の頼み方

主治医を変更したい時はどうする?がん治療における「主治医交代」の頼み方

がん治療中でも、主治医を替えたいと病院に相談できます。診察で質問を切り出せず、帰宅してから不安が残る状態が続いているなら、困っている場面を整理し、担当の看護師や病院の患者さんの相談窓口へ伝えるところから始められます。

希望どおりに交代できるかどうかは、診療科の体制などしだいです。返答を待つ間も、次の診察や治療の予定は今の診療科で確かめておきます。

この記事では、主治医を替えたいと感じたときの気持ちの整理の仕方、同じ病院での頼み方、交代の前後に確かめたい内容を解説します。

主治医を替えたい気持ちを整理する

変更を相談する前に、どの場面で困り、どう変わってほしいのかを言葉にしておくと、病院側と具体的な調整を話す際の手がかりになります。交代を決めきれていなくても、相談を始められます。

「合わない」と感じる場面を書き留める

治療を任せている相手に変更の希望を伝えるのは、気が重いものです。うまく説明できる自信がなくても、「質問すると話が終わってしまう」「誰に症状を伝えればよいか分からない」など、実際に困った場面から話し始めれば十分です。

整理する軸は、起きた出来事、診療で困っている点、これからの希望。医師の性格や能力を評価する言葉だけでなく、いつ何が起きて、どんな確認ができずに残ったのかを伝えてください。相談を受ける側は、その事実をもとに対応を検討します。

困っている場面整理する事実伝えたい希望
質問を切り出せない聞けなかった内容質問する時間の確保
担当が変わるたびに戸惑う説明が食い違った箇所説明をまとめる医師の確認
症状を話しづらい伝えられず残っている不調看護師の同席や担当変更の相談

話す場を整えると解ける困りごともある

質問する時間が取れないことが中心なら、診察前に担当の看護師へ相談し、聞きたい内容を主治医に伝えてもらう方法があります。本人が望む場合には、家族の同席や説明のための時間を取れるかについても相談できます。

進行がんの患者さんと医師の間でも、信頼は一度決まったままではなく、対話の積み重ねや継続して診てもらえるかによって揺らぐことも、関係を立て直す余地もあります。

話し合いを重ねるのがつらいときは交代を相談する

すでに困りごとを伝えても状況が変わらず、症状の報告や質問をためらう状態が続くなら、その経緯を含めて交代の希望を出せます。再度の話し合いを希望するのか、別の医師に担当してほしいのかを分けて伝えると、意図が伝わります。

主治医との面談自体が負担であれば、最初に病院の患者さんの相談窓口へ連絡する進め方もあります。直接話しにくい理由も伝え、誰から診療科に希望を伝えてもらえるかを確かめます。

話しづらさが治療の負担になる理由

診察で話しづらい状態が続くと、症状や疑問を伝えきれず、治療を続けるうえでの負担が残ります。主治医との関係は、受診したときの気分だけに関わる問題ではありません。

言いそびれた症状が診察に反映されにくくなる

薬を使ってからの不調や生活で困っている点を話せないままだと、次の診察でも、その困りごとが十分に共有されないままになるおそれがあります。話しづらさのために報告できなかった内容は、交代の相談とは分けて、担当の看護師にも伝えておきます。

変更の希望を出したあとも、体調の変化は今の診療科へ連絡してください。交代の調整が終わるまで症状の相談を待つ必要はなく、誰が対応するかを病院に確認しておくと連絡先を迷わずに済みます。

不信が強まると治療を続けにくくなる

医療への不信が強まると、勧められた治療を受け続けにくくなる場合があります。米国の乳がんの患者さんを調べた研究では、医療制度全体への不信と、手術後に勧められた治療の受け方との関連が報告されています。

ただし、この結果だけで主治医個人との相性が治療中断の原因だとはいえません。変更への迷いから予約を取り消したくなっているなら、その気持ちも病院の患者さんの相談窓口へ伝え、次の受診をどうするか診療科と調整してもらいます。

相談では「何ができずにいるか」まで伝える

相談の中心は、「診察が怖くて症状を話せない」「質問をためらい、次の予定が分からない」など、今できずにいる行動です。不満の内容に加えて、診療への影響も伝えてください。病院側が調整すべき点を把握する手がかりになります。

たとえば、説明を聞く場を整えてほしい場合と、担当医を替えてほしい場合では、希望する対応が違います。両方を望んでいるなら、当面の困りごとも置き去りにしないよう、次の診察で必要な助けと、その後の担当についての希望を分けて伝えます。

同じ病院で主治医の変更を頼むには

院内で替えてほしいときは、担当の看護師や病院の患者さんの相談窓口に希望を伝え、診療科で調整できるか確かめます。受け付け方や交代を決める人は病院によって違うため、最初の相談で手続きの流れも聞いておくと安心です。

最初に話せる相手から相談を始める

主治医に直接伝えられるなら、診察時に希望を話せます。話しにくい場合は、外来や病棟の担当の看護師、病院の患者さんの相談窓口へ「同じ病院で担当医を替える相談をしたい」と伝えれば、相談の目的が明確になります。

受付では詳しい経緯を話さず、相談できる部署の名称と連絡方法だけを尋ねる方法もあります。病院のウェブサイトなどで名称が見つからないときは、主治医の変更についてどこに相談すればよいかを代表窓口で教えてもらえます。

困っている事実と希望を短い文で伝える

伝える文は、「同じ病院で治療を続けたいのですが、診察で質問を切り出せず困っています。別の先生に担当していただけるか、相談したいです」という形で組み立てられます。これは伝え方の例なので、自分の状況に合う困りごとに置き換えて使えます。

伝える内容盛り込む要点
現在の希望同じ病院での治療継続と担当変更
困っている事実質問や症状の報告が難しい場面
これまでの相談伝えた相手、受けた説明、残った問題
当面の予定次の診察日や治療日

医師への評価を長く説明するよりも、まず希望を述べ、その理由として出来事を添えると話の軸が定まります。相手の反応が気になる場合は、文章を用意して病院の患者さんの相談窓口で読んでもらう形も選べます。

返答の時期と調整できない場合の対応を聞く

交代の可否は、同じがんを診られる医師がいるか、外来や病棟の担当体制がどうなっているかなどで変わります。希望した医師が担当できるかも含め、相談した時点で決まるとは限りません。

相談の最後には、誰から返答があるか、いつ状況を確認できるか、次の予約をどう扱うかを確かめます。交代が難しいと説明された場合も、看護師の同席や説明する時間の調整など、困っている場面への対応を改めて相談してください。

相談先に頼めることと伝わる範囲

相談先を選ぶ目安は、今の診察での困りごとを伝えたいのか、担当変更の院内調整を相談したいのか、迷いを整理したいのかです。どの部署が受け持つかは、病院ごとに確かめます。

担当の看護師には診察中の困りごとを伝える

担当の看護師には、診察で言えなかった症状や、質問する時間が取れない状況を伝えてください。交代の希望がまだ固まっていない段階でも、何を伝えられずにいるかを共有し、当面の診察について相談できます。

一方、担当の看護師に希望を伝えただけで、主治医の変更が決まるわけではありません。診療科への連絡を頼めるか、院内の患者さんの相談窓口にも相談が必要かを聞き、次に話す相手を明確にします。

患者さんの相談窓口やがん相談支援センターを利用する

病院の患者さんの相談窓口には、担当変更の相談をどの部署で受けるかや、診療科へ希望をどう伝えるかを尋ねられます。がんに関する悩みを相談するがん相談支援センターでは、困りごとの整理や病院についての情報を相談でき、受け付け方や費用は相談先で確認します。

相談する相手主に相談したい内容
担当の看護師診察で伝えられない症状や質問
病院の患者さんの相談窓口担当変更の申し出先や院内の調整方法
がん相談支援センターがんの診療に関する悩みの整理や情報

日本のがん相談支援センターを利用した人の評価は総じて高く、すぐに相談できたことが満足と関わっていました。こうした相談への評価は、担当変更の実現や治療成績の改善を保証するものではありません。

主治医への連絡範囲を相談の初めに確認する

相談した内容が主治医に伝わるのが心配なら、詳しく話す前に、誰にどの内容が共有されるか尋ねてください。「まず相談だけしたい」「診療科への連絡は、内容を確認してからにしたい」など、自分の希望も伝えられます。

ただし、具体的な交代の調整には、診療科との情報共有が必要になる場合があります。秘密にできる範囲を自己判断しないでください。意図しない伝わり方を避けるため、連絡する相手や伝える内容について病院の患者さんの相談窓口と確認してから進めます。

交代の日までに治療予定と記録を確かめる

交代を相談しただけで、予約や処方の担当が自動的に切り替わるとは限りません。変更が決まる前から、今の診療を誰が受け持ち、いつ新しい担当に替わるかを確認しておきます。

次の診察と治療の予定を残す

交代の返答を待っている間は、次の予約をどう扱うか、現在の診療科に確認します。手術や点滴などの予定がある場合は、その日程に変更があるかと、当日の担当が誰になるかを分けて聞いておきます。

主治医を替えたいという理由だけで、自己判断で治療薬を中止しないでください。今の医師の診察を受けるのが難しい場合も、連絡を断つ前に担当の看護師や病院の患者さんの相談窓口へ状況を伝え、次の診療について調整を求めます。

記録に加えて未解決の問題を引き継ぐ

医療の引き継ぎでは、情報の抜けが治療の遅れなどにつながるおそれがあります。担当が替わるときは、治療の記録が共有されるか確認します。まだ説明を受けていない検査結果や、続いている不調も確認の対象です。

確認する内容診療科に聞く要点
治療と診察の予定交代後も同じ日程か、変更があるか
現在の薬と不調処方の担当と、報告済みの症状の共有
説明を待っている検査結果誰が、いつ説明するか
交代日までの連絡先体調が変わったときに連絡する診療科

同じ病院で記録を閲覧できても、今いちばん困っていることが新しい担当に伝わっているとは限りません。患者さんが診療記録を作り直す必要はなく、未解決の疑問や現在の症状を短くメモしておくと、診察時に共有漏れを確かめられます。

交代の完了は担当者名と予約で確かめる

「調整しています」という返答と、担当変更が決まったという返答は区別が必要です。自分の予定を確かめるため、新しい医師の名前、最初に受診する日、交代までの診療を受け持つ医師を聞いてください。

また、外来と入院中で担当の体制が違う病院では、今回替わるのがどの場面の担当かも確かめます。病院からの説明と予約票に違いがあるときは、受診を取りやめず、予約を扱う部署や診療科へ問い合わせます。

主治医だけ替えるか、病院も替えるか

同じ病院での交代と病院ごとの変更では、引き続き利用する診療体制の範囲が違います。医師個人との関係で困っているのか、病院の仕組みでも困っているのかによって、院内で替えるだけで解決しそうかを整理できます。

院内の交代は病院の診療体制を引き継ぐ

院内で交代する場合は、通院先を保ちながら、担当する医師の変更を相談します。検査や治療を行う部署が同じでも、外来日や予約の取り方が変わる場合はあります。仕事や付き添いとの調整が要るかも確かめておきます。

比べる点院内で担当を替える病院ごと替える
通院先同じ病院別の医療機関
相談の中心診療科内の担当調整受け入れ先の診療体制
継続性の確認院内での情報共有と予約医療機関をまたぐ情報共有と診療の継続

病院の仕組みによる困りごとは残ることがある

担当医を替えても、病院の予約方法や診療科の運営方針まで変わるとは限りません。交代でどこまで変わるかを把握するため、困りごとが医師個人の対応に関係するのか、病院全体の体制に関係するのかを病院の患者さんの相談窓口で確かめます。

病院ごと移る場合は、受け入れの確認や紹介状などの準備も必要になります。院内での変更を希望している段階では、まず担当を替えることで何が変わり、何が同じかを聞き、希望に合う対応かを考えます。

変更の形より診療がつながるかを重視する

診療の継続性とは、これまでの経過を踏まえて、次の診療につながっていることです。米国の進行した前立腺がんの患者さんを対象とした観察研究では、継続性が保たれるほど急な受診が少ないという関連が報告されています。

ただし、この研究から、担当医を替えること自体が急な受診を増やすとは判断できません。変更の良し悪しを一律に決めるよりも、これまでの経過が伝わり、次の予約と連絡先が決まっているかを確かめることが、患者さん自身にできる備えです。

新しい担当医と話しやすい関係を築く

交代後は、これからどう説明を受けたいか、何を質問したいかを初めの診察から伝えます。以前の医師への不満を伝える際にも、今後の診察で希望することに結びつけるのが、新しい担当医と話の目的を共有するための要点です。

初回は現在の困りごとと説明の希望を伝える

最初の診察では、現在の症状と、確認できていない内容を優先して伝えます。説明の受け方についての希望も添えます。「質問の時間を取ってほしい」「家族にも同じ説明を聞いてほしい」など、診察の中で実行できる形で話すのが要点です。

前の担当との経緯を伝える必要がある場合も、困っていた場面と今後の希望を中心に説明できます。記録を読んでもらえているかが気になるなら、治療の経過がどこまで共有されているかを尋ねたうえで、不足する内容を補います。

聞きたいことは優先順位をつけて持参する

医師との対話に備えて、診察で聞きたい内容を書き出して持って行きます。質問のメモには、今の症状や次の予定など、その日に確認したい内容を先に置き、話しきれなかった疑問が分かる形にしておくと便利です。

質問を考えるほど不安が強くなるときは、無理に数を増やさず、当面困っている内容に絞って構いません。聞き終わらなかった内容は、次の診察で扱えるか、担当の看護師に相談できるかを確かめ、疑問を解消する機会につなげましょう。

遠慮だけで質問を控えず、変化を確かめる

患者さんが話し合いに加わることで医師への信頼が下がるとは限らず、オランダの乳がんの診察を調べた研究でも、信頼を損なわないことが示されています。医師が支えてくれると感じられることも治療への満足と結びついており、質問や希望を伝えられるかは関係づくりで大切な点です。

交代後は、以前より症状を話せるか、質問への説明を受けられるか、次の予定が分かるかを振り返れます。困りごとが残った場合は、再び担当変更だけを考える前に、どの場面が改善していないかを担当の看護師や病院の患者さんの相談窓口へ具体的に伝えましょう。

よくある質問

主治医に直接言わずに、変更を相談してもよいですか?

最初に担当の看護師や病院の患者さんの相談窓口へ相談する方法があります。直接言いにくい理由と、同じ病院で担当変更を希望していることを伝えると、相談の目的を共有できます。

具体的な調整では診療科への連絡が必要になることもあるため、相談内容が誰に伝わるかは最初に確認しましょう。主治医への連絡の前に内容を確かめたい、という希望も相談先へ伝えられます。

希望すれば、必ず別の先生に替えてもらえますか?

希望どおりに交代できるかは、診療科の担当体制や、同じがんを診られる医師がいるかによって変わります。希望を受け付ける部署で、交代の可否と返答の時期を尋ねましょう。難しい場合は看護師の同席など、現在の困りごとへの別の対応も相談できます。

変更の返事が来るまで、次の診察を休んでもよいですか?

次の診察を休むかどうかは自己判断せず、現在の診療科へ確認してください。交代の相談中でも、予定されている診察や治療の扱いは別に調整する必要があります。

今の主治医の診察を受けることがつらい場合は、予約日を添えて担当の看護師や病院の患者さんの相談窓口へ連絡してください。相談中も治療を続けるために、交代までの診療を誰が担当するか、体調が変わったときにどこへ連絡するかを確認しておく必要があります。

家族から主治医の変更を相談してもらえますか?

家族が相談できるかは、病院の患者さんの相談窓口で確認してください。本人が話しにくい場合は、家族の同席や、本人の希望を家族から伝える方法について相談できます。

家族に頼む前には、意図のずれを防ぐため、本人が交代を望んでいるのか、まず困りごとを整理したいのかを共有しておきましょう。病院からの返答を誰が受けるかや、本人の意思をどのように確認するかも相談時に尋ねられます。

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この記事を書いた人 Wrote this article

前田 祐助

前田 祐助 医学博士 / 医師

慶應義塾大学医学部大学院にて、がんの発生メカニズム(発癌機構)や、慢性炎症と腫瘍の関係性に関する基礎研究に従事し、医学博士号を取得。 特に、胃がんにおける炎症微小環境の解析や、細胞シグナル伝達(COX-2/PGE2経路など)による腫瘍形成の研究において実績を持つ。 現在は、大学病院や研究機関で培った「根拠(エビデンス)に基づく医療」の視点を活かし、疾患の早期発見や予防医療の啓発活動を行っている。 【保有資格・所属】 医学博士(慶應義塾大学)/ 医師免許 / 日本内科学会 / 日本医師会認定産業医