PET検査当日の流れと注意事項|安静が必要な理由と被ばくへの配慮を解説

PET検査当日の流れと注意事項|安静が必要な理由と被ばくへの配慮を解説

PET検査で注射後に安静にするのは、動かした筋肉にも薬が集まり、調べたい場所が見えにくくなるのを防ぐためです。予約票に「注射後は安静」と書かれていたら、撮影前の待ち時間も検査の一部と考えて予定を立てます。

検査には放射線による被ばくが伴うため、帰宅後もしばらくは小さな子どもや妊娠中の人と長く密着するのを控えます。糖尿病がある人は、薬や食事をどう調整するかを予約時に確かめておきましょう。

この記事では、PET検査当日の流れ、注射後に安静が必要な理由、被ばくへの配慮、血糖値に関する注意点を解説します。

PET検査当日の流れと受付での確認

当日は受付と体調確認のあと、薬の注射、安静、撮影、終了後の確認へと進みます。撮影だけでなく、薬が体内に取り込まれるまでの時間も含めて予定を空けておきましょう。

予約票で食事制限と来院時刻を確かめる

がんの検査でよく使われるFDGは、体のエネルギー源であるブドウ糖に似た性質を持つ検査薬です。放射線を出す成分を目印にして、薬が体のどこに集まったかを画像にします。

食事制限は検査の5〜6時間前からが目安ですが、開始時刻や飲んでよいものは施設の指定が優先です。また、予約票の時刻が受付、注射、撮影のどれを指すかも異なるため、検査開始時刻から自分で逆算するだけでは行き違いが生じます。

持参するのは、診察券、検査予約票、お薬手帳、マイナ保険証または資格確認書など、予約時に指定された書類です。紹介状を手渡しする予定なら、受付時に提出できるようにしておきましょう。

注射から撮影までには待機時間がある

院内で過ごす時間は施設や検査内容で違いますが、全体で2〜3時間程度、注射後の安静に1〜1.5時間程度、撮影に20〜30分程度が大まかな目安です。追加の撮影や血糖値の確認が必要になると延びるため、終了直後には変更しにくい予定を入れないでおきましょう。

場面受ける内容伝える内容
受付・問診食事や薬、体調、血糖値の確認最後に飲食した時刻と薬の使用時刻
注射・待機FDGの注射後、指定の場所で安静寒さ、痛み、トイレの希望
撮影寝台に横になって画像を撮影姿勢のつらさ、狭い空間への不安
終了後体調や画像を確認し、帰宅時の説明帰宅後の育児や授乳の予定

待機中に外出して用事を済ませられるとは限らず、指定された場所で過ごす時間として見込んでおくと安心です。

撮影中は仰向けになり、終了後に体調を確認する

撮影では仰向けになり、部位によっては腕を頭の上へ上げた姿勢を取ります。寝台が装置の中を移動しても、放射線そのものを熱や痛みとして感じるわけではありません。

診療放射線技師は、装置を操作して画像を撮る医療職です。撮影前には体の位置や動かずにいる範囲の説明があり、息の仕方に指示がある場面では、その声かけに合わせます。

FDGによる撮影だけで体調が安定していれば、所定の確認を終えて帰宅できます。眠気を起こす鎮静剤やCT用の造影剤を使った場合は、回復状態や症状に応じて観察時間が加わるため、帰宅の時刻は看護師に確認します。

注射後の安静は筋肉への薬の集まりを抑えるため

筋肉を動かしたり力を入れ続けたりすると、その筋肉にもFDGが取り込まれます。安静は、病気とは関係のない場所が目立って写るのを抑えるための準備です。

動かした筋肉も画像に写り込む

FDGはがんだけに集まる薬ではなく、正常な筋肉にも、その働きに応じて取り込まれます。腕を支え続ける、脚を揺らすなどの動きによっても、調べたい場所の周囲に余分な集まりが写るため、注射後は体を休めて過ごします。

筋肉への集まりは左右対称とは限らず、片側や限られた場所だけが目立つ例もあります。病気による集まりとの区別には、画像の形や位置に加え、検査前後にどの部分へ力を入れたかという情報も役立ちます。

そのため、動いてしまった場面を覚えていれば、撮影前に診療放射線技師へ伝えましょう。

会話や読書でも使う筋肉がある

会話ではのど周辺の筋肉、本を持って読む動作では腕の筋肉が働くため、座ったままでも安静とは言い切れません。待機時間を電話や読書で過ごすつもりなら、注射前に、その施設で控えるよう求めている行動を確かめておきます。

足の貧乏ゆすりや、肘を浮かせてスマートフォンを持ち続ける姿勢でも、筋肉は働き続けます。意識したいのは、運動の大きさより筋肉の働きです。椅子や寝台に体を預けると、同じ姿勢を保つための余分な力を抜きやすくなります。

ただし、具合の悪さを伝える会話まで我慢する必要はありません。安全のための声かけは優先し、必要なやり取りを終えたら静かに休む形で十分です。

少し動いたら、内容を伝えて指示を待つ

一度姿勢を変えた、短く返事をしたというだけで、検査全体が失敗したとは判断できません。使った筋肉や動いた時間、調べる部位との位置関係を踏まえて、画像への影響が評価されます。

心配になって自分で待機時間を延ばしたり、撮影を断ったりするよりも、「電話で話した」「右腕に力が入っていた」と具体的に伝える方が、状況を正確に共有できます。必要な対応は検査の担当医や診療放射線技師から説明されるため、自己判断でやり直しを求めなくても大丈夫です。

待機室では力を抜き、困ったら声をかける

静かに休むには、寒さや痛みを我慢せず、楽な姿勢を整えるのが先です。安静を守ろうとして体を固くすると筋肉に力が入るため、つらさは看護師へ伝えます。

寒さや痛みは姿勢を整える前に伝える

冷えて肩をすくめたり、腰の痛みをかばって腹部へ力を入れたりすると、落ち着いて体を休めにくくなります。待機室では背中や腕を支えられる位置を確かめ、毛布やクッションが必要なら看護師に相談しましょう。

たとえば、注射後に椅子で休んでいて膝が震えるほど寒くなったら、呼び出しボタンで「寒くて脚に力が入る」と伝えます。毛布などで調整してから再び休めばよく、寒さに耐えながら姿勢を固定し続けなくてかまいません。

長く同じ姿勢を取れるか心配になるのは自然です。腰痛や肩の動かしにくさを注射前に話しておくと、待機中の姿勢だけでなく、撮影時に腕を置く位置も相談できます。

トイレと水分は検査中の指示に合わせる

尿意があるときは、安静を優先して我慢するのではなく、看護師にトイレへ行きたいと伝えます。FDGの一部は尿へ出るため、撮影前の排尿も検査の流れに組み込まれます。

困っている場面伝える相手相談する内容
尿意が出た看護師使用するトイレと移動のタイミング
のどが渇いた看護師飲んでよい水分と量
腰や肩が痛い看護師・診療放射線技師体を支える方法や姿勢の変更
横になると息苦しい看護師・検査の担当医安全に待機・撮影できる姿勢

心臓や腎臓の病気で水分量を制限されている人は、その制限が優先されるため、普段の指示も一緒に伝えましょう。

撮影中のつらさは決められた方法で知らせる

装置に入る前に、撮影中に声を届ける方法や、つらくなったときの合図を確認できます。狭い空間が苦手な人は、入ってから耐えようとせず、診療放射線技師へ先に不安を伝えておくと対応を相談しやすくなります。

咳が続く、腕がしびれるなど、姿勢を保ちにくくなったときは、その場で知らせてください。

撮影中の体のずれは画像を重ねる際のずれにつながるため、自分だけで大きく体勢を変える前に相談する方が、対応を合わせやすくなります。呼吸やまばたきまで止めるという意味ではなく、動かし方について説明があった部分を守るのが基本です。

PET検査の被ばくは薬とCTを分けて確かめる

PET/CTの被ばくは、注射したFDGからの放射線と、CT撮影時のエックス線を合わせて評価します。CTは体の断面を写す検査で、どの範囲を、どの条件で撮るかによって被ばく量が変わります。

検査名が同じでも被ばく量は一定ではない

PET/CTでは、薬の量、撮影する範囲、CTの撮影条件が線量に関わるため、インターネット上の数値がそのまま自分の検査に当てはまるとは限りません。薬だけの値なのか、CTを含めた値なのかが違えば、数字だけを比べても検査全体の負担を判断しにくくなります。

被ばくの説明に使われるミリシーベルトは、放射線による体への影響を評価するための単位です。個人の将来の病気を、その数字だけから言い当てる指標ではありません。

確かめる内容説明で見分ける点質問の例
薬による被ばく投与するFDGの量に関わる部分この説明は薬だけの値ですか
CTによる被ばく撮影範囲や条件に関わる部分CTを含めると目安は変わりますか
検査全体予定している撮影内容を踏まえた評価私の検査ではどの程度を見込みますか

数値を知りたいときは、検査の担当医や診療放射線技師に予定している検査の線量を尋ねると、条件をそろえて説明を受けられます。

得られる情報と放射線の負担を一緒に確認する

被ばくを伴う検査では、診断や治療方針に役立つ情報が得られるかを確かめたうえで、必要な撮影を行います。危険が全くないと言い切る説明も、放射線を使うという理由だけで受検を避ける判断も、予定されている検査の目的を十分に反映しません。

日本でも、放射性の薬を使う検査の量を適切な範囲に保つため、診断参考レベルという目安が定められています。これは施設が撮影方法を見直すための目安であり、個人ごとの安全と危険を分ける境界線とは違います。

被ばくが気になるときは、「何を確かめるための検査か」「今回の画像で診療の何が変わるか」を検査の担当医に尋ねると、受ける意味を確かめられます。

妊娠中や妊娠が疑われるときは予約時に相談する

妊娠中、または妊娠している可能性がある人は、予約時に申し出てください。

妊娠が確定していなくても、月経の遅れなど心当たりがあれば同じように相談します。検査の緊急性や代わりの検査を検討し、実施する場合も撮影方法の調整が必要になるため、注射後まで待たずに情報を共有します。

予約後に妊娠の可能性に気づいた場合は、検査を受ける医療機関へ連絡し、当日の進め方を確かめます。自分が妊娠中に受検する場面と、検査を受けた家族に接する場面では、放射線を受ける条件が異なります。

帰宅後は小さな子どもや妊娠中の人との密着を控える

検査後は、体に残るFDGから周囲にも放射線が届くため、しばらくは小さな子どもや妊娠中の人と長く密着するのを控えます。配慮する時間は検査施設の指示に合わせ、帰宅前に終了時刻まで確認しておくと生活へ落とし込みやすくなります。

抱っこや添い寝は代わりを頼めるか相談する

気をつけたいのは、短く挨拶を交わす場面より、膝に抱いて過ごす、隣で長く添い寝をするといった距離の近い接触です。誰と、どの程度近くで、どれくらい一緒に過ごすかによって配慮の仕方が変わるため、「家族と会ってよいか」だけでなく生活場面まで伝えます。

帰宅後の予定事前に相談する内容
乳幼児を抱いて世話をする抱っこを控える時間と代わりの世話役
子どもに添い寝をするその日の就寝時刻まで配慮が必要か
妊娠中の家族と長時間過ごす近い距離で過ごす時間の調整
授乳の予定がある授乳と密着、それぞれへの指示

育児を代われる家族がいない場合は、予約時に検査の担当医や看護師へ伝え、実行できる対応を相談しましょう。

授乳と付き添いは相手や接し方を伝える

授乳中の人は、母乳を飲ませる行為と、赤ちゃんを胸元で長く抱く行為を分けて説明を受けます。授乳を休む必要があるか、搾乳や再開時刻をどうするかは、使用する薬と施設の指示に沿って決める内容です。

一方、付き添いの大人が受ける放射線は少ないとする測定結果があります。これは小さな子どもや妊娠中の人への影響を直接調べた結果ではないため、家族全員に同じ対応を当てはめず、近くで過ごす相手を伝えて確認します。

検査当日に抱っこが必要な子どもを連れて行く予定なら、院内の待機場所も含めて事前に調整しておきます。帰宅後の説明を聞いてから世話役を探すより、予約の段階で予定を共有する方が準備の時間を取れます。

水分と排尿で体に残る薬を減らす

検査後に指示された範囲で水分を取り、尿を出すと、体に残るFDGが減り、周囲へ届く放射線も減っていきます。飲水量を自己判断で増やし続ける必要はなく、水分制限の有無を踏まえた説明に合わせるのが基本です。

ただし、水分を取って排尿しただけで、子どもとの接触を控える時間を自分で短縮するのは避けます。排尿の勧めと、一定時間の密着を控える指示は、それぞれ守るためのものです。

帰宅後に医療機関へ相談する症状が出た場合は、検査を受けた施設の代表番号へ電話し、PET検査を受けた時刻と症状を伝えてください。夜間は施設が示す夜間連絡先を使い、強い息苦しさや意識が遠のく症状があるときは、折り返しを待たず119番で救急を要請します。

糖尿病がある人のPET検査は血糖と薬を事前に調整する

糖尿病があっても、食事や薬の準備を調整してPET検査を受けられます。血糖値が高いと画像が見えにくくなるため、予約時に治療内容を伝え、当日の薬をどう使うかまで確認しましょう。

血糖が高いと調べたい場所が見えにくくなる

血糖値は、血液の中にあるブドウ糖の量を示す数値です。血糖が高い状態ではFDGががんへ集まりにくくなり、周囲の組織との違いが小さくなるため、検査前に測定して撮影に適した状態かを確かめます。

検査を進めるか、時刻や日程を調整するかは、血糖値だけでなく、検査の目的や薬を使った時刻などを踏まえて決まります。ある研究や別の施設に記載された値は、自分の受検先の中止基準とは別のものです。

糖尿病があるという理由だけで受検を諦める必要はありません。普段から高い値が続いている、最近治療薬が変わったといった情報は、予約後できるだけ余裕を持って検査の担当医へ伝えます。

インスリンや飲み薬を自己判断で変えない

インスリンは血糖を下げ、糖を細胞へ取り込ませる働きを持つ薬で、使う時刻がFDGの体内での分布にも関わります。検査前の数値を下げようとして追加で注射したり、絶食だからと必要な薬をすべて中止したりすると、安全面と画像の両方に支障が出るおそれがあります。

伝える情報確認する内容
インスリンの名前と使用時刻検査当日の量と注射のタイミング
糖尿病の飲み薬・注射薬どの薬をいつ使用するか
普段の食事時刻と血糖の推移絶食開始から検査までの過ごし方
低血糖を起こした経験症状が出た際の対応と連絡先

薬の種類で対応が分かれるため、お薬手帳を用意し、糖尿病を診ている医師と検査の担当医の指示が食い違っていないか確認しましょう。

低血糖の症状があれば検査より安全を優先する

絶食中に冷や汗や手の震え、動悸、意識のぼんやりが出たら、血糖が下がり過ぎている可能性があります。院内ならすぐ看護師へ知らせ、来院前なら普段から指示されている低血糖時の対応を取り、検査施設にも連絡してください。

糖分を取ると検査の時刻を変える必要が生じても、低血糖への対応を後回しにするのは危険です。意識がはっきりせず飲み込めない状態では、周囲の人が無理に飲食させず、119番で救急を要請します。

低血糖への対応とは別に、誤って食事をした、甘い飲み物を飲んだ場合も、内容と時刻を伝えれば検査の進め方を相談できます。申告をためらってそのまま注射を受けるより、事実を先に共有する方が、安全と画像の条件を確かめやすくなります。

よくある質問

注射後にスマートフォンを見てもよいですか?

使用の可否は施設の指示に従います。端末を持ち続ける姿勢では腕に力が入り、通話ではのど周辺の筋肉を使うため、注射前に看護師へ確認するのが確実です。

家族との連絡が必要なら、注射前に済ませる予定を立てておくと待機中に休みやすくなります。すでに長く通話した場合は、話した時間や姿勢を診療放射線技師へ伝えて、撮影についての指示を待ちます。

安静中にトイレへ行くと検査に影響しますか?

案内された方法でトイレへ行くのは、安静の指示に反する行動ではありません。尿意を我慢せず看護師に伝え、使うトイレと移動のタイミングを確認します。

検査当日に子どもを抱っこしても大丈夫ですか?

長時間の抱っこは、検査施設が指定する時間まで控えます。体に残るFDGからの放射線を減らすための配慮であり、子どもの世話が必要なら受検前に予定を伝えておくと調整しやすくなります。

帰宅前に「何時から普段どおり抱っこできるか」を確認し、それまでの授乳や寝かしつけをどうするか相談しましょう。短く抱いた場面があっても、それだけで子どもに健康被害が生じたとは判断できないため、接した時間や状況を検査の担当医へ伝えます。

朝の血糖値が高ければインスリンを追加してよいですか?

検査に間に合わせるための自己判断の追加注射は避け、事前の調整指示を確認します。インスリンを使う時刻は血糖だけでなくFDGの分布にも関わるため、高い値を下げればすぐ撮影できるとは限らないからです。

指示がない場合は検査施設へ連絡し、測定値、最後の食事、薬の名前と使用時刻を伝えて対応を確認してください。予定どおり来院するかどうかも、その連絡で確かめられます。

PET/CTの被ばく量は全員同じですか?

同じではなく、FDGの投与量やCTの撮影範囲、撮影条件によって変わります。説明された数値にCTが含まれるかを確かめ、予定している自分の検査について、検査の担当医や診療放射線技師から説明を受けると判断しやすくなります。

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この記事を書いた人 Wrote this article

前田 祐助

前田 祐助 医学博士 / 医師

慶應義塾大学医学部大学院にて、がんの発生メカニズム(発癌機構)や、慢性炎症と腫瘍の関係性に関する基礎研究に従事し、医学博士号を取得。 特に、胃がんにおける炎症微小環境の解析や、細胞シグナル伝達(COX-2/PGE2経路など)による腫瘍形成の研究において実績を持つ。 現在は、大学病院や研究機関で培った「根拠(エビデンス)に基づく医療」の視点を活かし、疾患の早期発見や予防医療の啓発活動を行っている。 【保有資格・所属】 医学博士(慶應義塾大学)/ 医師免許 / 日本内科学会 / 日本医師会認定産業医