大腸がんステージ4の治療事例と現状|長期生存とQOL維持に向けた歩み

大腸がんステージ4の治療事例と現状|長期生存とQOL維持に向けた歩み

大腸がんステージ4と告げられたとき、多くの方が「もう手遅れなのでは」と不安を抱えます。しかし、遠隔転移があっても治療の選択肢は確実に広がっています。

5年生存率は約17%とされていますが、肝転移や肺転移を外科的に切除できた場合は30~50%に達するとの報告もあり、完治に近い状態で過ごしている方も存在します。

この記事では、化学療法や分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬による治療の現状を整理し、QOL(生活の質)を保ちながら長期生存を目指す道筋をお伝えします。

大腸がんステージ4と診断されても治療の道は閉ざされていない

大腸がんステージ4は遠隔転移を伴う段階ですが、治療を受けることで生存期間を延ばし、日常生活を維持できる可能性があります。「末期」という言葉の印象だけで判断せず、まず治療の全体像を把握することが大切です。

ステージ4は「遠隔臓器への転移がある状態」を意味する

大腸がんの進行度は、がんが大腸の壁にどれだけ深く入り込んでいるか(深達度)、リンパ節への転移の有無、そして肝臓や肺などの遠い臓器への転移があるかどうかで分類されます。ステージ4は、この3つの要素のうち遠隔転移が確認された段階です。

大腸がん取扱い規約ではM1(遠隔転移あり)に該当し、壁深達度やリンパ節転移の程度にかかわらずステージ4と診断されます。つまり、がんが大腸を超えて肝臓・肺・腹膜などに広がっていることを示しています。

肝臓と肺への転移が特に多い

大腸がんが遠隔転移する先としてもっとも多いのが肝臓で、全体の約50%を占めるといわれています。次いで肺が約20%、腹膜播種(ふくまくはしゅ)と呼ばれる腹膜内への広がりも約20%です。

転移先の臓器によって症状も異なります。肝転移では黄疸や腹部の張りが出ることがあり、肺転移では咳や息切れを感じる場合があるでしょう。複数の臓器に同時に転移しているケースも珍しくありません。

大腸がんステージ4の転移先と主な症状

転移先頻度の目安主な症状
肝臓約50%黄疸、腹部膨満感、倦怠感
約20%咳、息切れ、胸の痛み
腹膜約20%腹水、腹痛、食欲低下
骨・脳など数%骨の痛み、頭痛、しびれ

手術・薬物療法・緩和ケアを組み合わせて治療方針が決まる

ステージ4の治療は一つの方法に頼るのではなく、複数の治療法を組み合わせる「集学的治療」が基本となります。転移巣が限られていれば外科的切除が検討されますし、切除が難しい場合は化学療法を中心に進めるのが一般的な流れです。

どの治療を選ぶかは、がんの広がり具合、患者さん本人の体力や持病、そして生活のなかで大切にしたいことによって変わります。主治医とじっくり話し合い、自分に合った治療を一緒に見つけていくことが何より重要です。

大腸がんステージ4の5年生存率は約17%|数字に振り回されないために

ステージ4の5年生存率は約17%と報告されていますが、この数字はあくまで過去の統計データを平均したものであり、一人ひとりの未来を決定づけるものではありません。

ステージ別の5年生存率を比べると差は歴然としている

大腸がんの5年生存率はステージによって大きく異なります。ステージ1では約83~94%と高い一方、ステージ2で約76~88%、ステージ3で約69~77%と徐々に下がり、ステージ4では約17%前後まで低下するとされています。

この数字を見ると厳しい現実を感じるかもしれません。ただし、これらの統計には数年前に治療を受けた方のデータが含まれており、現在使われている治療薬や手術技術の進歩が十分に反映されていない側面もあります。

「平均余命」は目安にすぎず、個人差がとても大きい

ステージ4の大腸がんの平均余命は約20カ月と報告されることがありますが、平均余命とは「患者さんの半数が生存している時点」を表す中央値であり、すべての方がこの数字に当てはまるわけではありません。

実際には治療への反応が良く、数年以上にわたって元気に過ごしている方も少なくないのです。年齢や体力、がんの遺伝子変異の種類、転移の場所と範囲など、さまざまな要因が予後を左右します。

転移の数や場所で治療の見通しは変わる

同じステージ4でも、肝臓に1つだけ転移がある場合と、複数の臓器に広がっている場合とでは、治療方針も生存率もまったく違います。限られた転移であれば手術で取り除ける可能性がありますし、化学療法の効果も出やすい傾向があるでしょう。

反対に、腹膜播種のように広範囲に散らばった転移は手術の対象になりにくく、薬物療法が中心となります。だからこそ、「ステージ4」というひとくくりの言葉だけで自分の状況を判断しないことが大切です。

大腸がんのステージ別5年生存率の目安

ステージ5年生存率治療の中心
ステージ1約83~94%内視鏡治療・手術
ステージ2約76~88%手術(一部で術後化学療法)
ステージ3約69~77%手術+術後化学療法
ステージ4約17%集学的治療(手術・薬物・緩和ケア)

大腸がんステージ4でも完治した人はいる|外科切除が生存率を大きく引き上げる

ステージ4の大腸がんでも、転移巣を外科的に切除できた場合は5年生存率が30~50%にまで上昇するとの報告があります。完治に近い経過をたどっている方が実際に存在するという事実は、大きな希望といえるでしょう。

肝転移や肺転移が少数に限られていれば手術で取り切れることがある

ステージ4全体のうち、原発巣(大腸の腫瘍)と転移巣の両方を手術で切除できるのは約20%ほどにすぎません。けれど、その約20%の方は長期生存が期待できるグループに入ります。

とりわけ肝転移が1~3個程度で肝機能が保たれている場合や、肺転移が片肺に限られている場合は、外科的切除の良い適応となることが多いでしょう。手術後に化学療法を追加することで再発リスクを下げる取り組みも行われています。

化学療法で腫瘍を縮小してから手術に持ち込む「コンバージョン治療」

当初は切除が困難と判断された転移巣でも、化学療法や分子標的薬を使ってがんを縮小させることで、手術可能な状態に変わるケースがあります。この治療戦略は「コンバージョン治療」と呼ばれ、特に肝転移に対して積極的に行われています。

FOLFOX(フォルフォックス)やFOLFIRI(フォルフィリ)といった化学療法レジメンに、ベバシズマブやセツキシマブなどの分子標的薬を上乗せすることで、腫瘍の縮小率が高まるとの報告もあるでしょう。

コンバージョン治療の流れ

段階内容目的
初期評価画像検査・遺伝子検査転移の範囲と遺伝子変異を確認
化学療法FOLFOX/FOLFIRI+分子標的薬腫瘍を縮小し切除可能な状態へ
再評価画像検査で効果を判定手術適応の可否を判断
外科切除原発巣+転移巣の切除がんの根治を目指す

手術ができない場合は薬物療法でがんをコントロールしながら生活する

転移が広範囲に及んでいたり、体力的に手術が難しい場合は、化学療法を軸としてがんの進行を抑えながら生活の質を維持する治療が中心です。近年は薬物療法の進歩により、手術なしでも生存期間の中央値が約26~27カ月に達するとのデータがあります。

国立がん研究センターが主導したJCOGの大規模臨床試験では、症状のない原発巣を先に切除しても生存期間は延長しなかったと報告されました。この結果を受けて、不要な手術を避け化学療法を優先する方針が標準治療として確立されつつあります。

大腸がんステージ4の化学療法と分子標的薬|治療の柱はここまで進化した

化学療法と分子標的薬の組み合わせは、ステージ4の大腸がん治療において中心的な役割を果たしています。かつては「抗がん剤が効きにくい」とされた大腸がんですが、新しい薬剤の登場で状況は大きく変わりました。

FOLFOXとFOLFIRIが一次治療の基本レジメン

ステージ4の大腸がんに対する化学療法では、5-FU系抗がん剤とオキサリプラチンを組み合わせたFOLFOX、またはイリノテカンを組み合わせたFOLFIRIが一次治療の柱になっています。

経口薬のカペシタビンを用いたCAPOX(ゼロックス)もよく使われるレジメンです。

これらの化学療法にベバシズマブやセツキシマブ、パニツムマブといった分子標的薬を加えることで、がんの縮小率や生存期間が向上しています。どの分子標的薬を組み合わせるかは、がんの遺伝子変異の状態によって決まります。

RAS遺伝子やBRAF遺伝子の変異で薬の選び方が変わる

大腸がんの治療では、RAS遺伝子(KRAS・NRAS)やBRAF V600E遺伝子に変異があるかどうかが薬剤の選択を大きく左右します。RAS遺伝子に変異がない「野生型」の場合は抗EGFR抗体薬(セツキシマブやパニツムマブ)が使用可能です。

一方、BRAF V600E変異が認められた場合はエンコラフェニブとセツキシマブの併用が選択肢に入ります。遺伝子検査の結果をもとに「その患者さんに効く薬」を選ぶ個別化治療が、いまの大腸がん治療の大きな流れになっています。

二次治療・三次治療以降も使える薬が増えている

一次治療の効果が薄れたあとも、二次治療ではFOLFIRIやFOLFOXへの切り替えが可能です。三次治療以降ではトリフルリジン・チピラシル(ロンサーフ)やレゴラフェニブ(スチバーガ)といった薬剤が使われます。

2024年にはフルキンチニブ(フリュザクラ)が五次治療薬として承認され、治療の選択肢がさらに広がりました。また、遺伝子パネル検査を通じて新たな治療標的が見つかれば、臨床試験への参加という道も開けるでしょう。

  • FOLFOX(5-FU+レボホリナート+オキサリプラチン)
  • FOLFIRI(5-FU+レボホリナート+イリノテカン)
  • CAPOX(カペシタビン+オキサリプラチン)
  • ベバシズマブ(血管新生を阻害する分子標的薬)
  • セツキシマブ・パニツムマブ(抗EGFR抗体薬、RAS野生型に使用)
  • エンコラフェニブ+セツキシマブ(BRAF V600E変異に使用)

大腸がんステージ4と免疫チェックポイント阻害薬|MSI-High型なら劇的に効くことがある

免疫チェックポイント阻害薬は、一部の大腸がん患者さんに対して非常に高い効果を発揮する薬です。とくにMSI-High(高頻度マイクロサテライト不安定性)と判定された方では、長期にわたってがんを抑え込める可能性があります。

MSI-High/dMMRとはどのような状態か

MSI-High(高頻度マイクロサテライト不安定性)とは、DNA複製時のエラーを修復する仕組み(ミスマッチ修復機構)がうまく働かない状態を指します。dMMR(ミスマッチ修復機構欠損)とも呼ばれ、大腸がん全体の約5%にみられるとされています。

この特性を持つがん細胞は遺伝子変異が蓄積しやすく、免疫細胞に認識されやすいという特徴があります。結果として免疫チェックポイント阻害薬が効きやすい傾向にあり、通常の大腸がんとは異なる治療戦略がとられます。

ペムブロリズマブが一次治療から使える場合がある

MSI-High/dMMRと判定されたステージ4の大腸がんでは、免疫チェックポイント阻害薬であるペムブロリズマブ(キイトルーダ)を一次治療から使用できます。

従来の化学療法と比較して高い奏効率と長い無増悪生存期間が報告されており、注目を集めています。

MSI-High/dMMRの判定と治療の流れ

項目内容
検査方法免疫組織化学染色またはMSI検査(PCR法)
判定結果MSI-HighまたはdMMR(ミスマッチ修復機構欠損)
一次治療ペムブロリズマブ(免疫チェックポイント阻害薬)
該当割合大腸がん全体の約5%

遺伝子パネル検査が新たな治療の扉を開く

標準治療を一通り終えた段階で、がん遺伝子パネル検査を受けることができます。これは100種類以上の遺伝子変異を一度に調べる検査で、まだ使っていない薬剤や臨床試験の対象になるかどうかを確認する手がかりになります。

たとえばHER2陽性が判明すればトラスツズマブ デルクステカンが選択肢に入りますし、TMB-High(腫瘍遺伝子変異量が高い)と分かれば免疫チェックポイント阻害薬の適応が広がる場合もあるでしょう。

遺伝子検査を活用して「自分のがんに合った治療」を探す時代になっています。

大腸がんステージ4でもQOLを維持するために|緩和ケアは治療と同時に始める

緩和ケアは「治療をあきらめた人のためのもの」ではなく、治療の初期から並行して導入することで、体の苦痛を和らげ心の負担を軽くし、結果として治療を長く続けられる力を支えてくれます。

緩和ケアは「終末期の治療」ではなく「生活を支える治療」

「緩和ケア」と聞くと、治療の終わりを連想する方が少なくありません。しかし実際には、がんと診断された時点から取り入れることが推奨されている包括的なサポート体制です。

痛みの管理、吐き気や食欲低下への対処、不安やうつ傾向への心理的サポートなど、患者さんが「自分らしく過ごす」ための支援を行います。

緩和ケアチームには医師、看護師、薬剤師、管理栄養士、ソーシャルワーカーなど多職種が参加し、一人ひとりの状況に合わせた対応をとります。

痛みや副作用のコントロールで日常生活が大きく変わる

ステージ4では、がんそのものによる痛みや化学療法の副作用に悩まされる場面が少なくありません。しかし、医療用麻薬を含む鎮痛薬の適切な使用や制吐剤(吐き気止め)の進歩により、以前と比べて症状をコントロールしやすくなっています。

「痛みを我慢するのが当たり前」という時代はもう終わりました。つらい症状は早めに主治医や看護師に伝え、必要な薬や処置を受けることが、治療を前向きに続けるための土台になります。

栄養管理と適度な運動が体力を保つ助けになる

がん治療中は食欲の低下や体重減少が起きやすく、体力の維持が課題となります。管理栄養士と相談しながら、少量でもカロリーやたんぱく質を効率よく摂れる食事を工夫することが助けになるでしょう。

また、無理のない範囲でのウォーキングや軽いストレッチは、筋力低下を防ぎ、気分転換にもつながります。主治医の許可を得たうえで、日々の生活に取り入れてみてください。

  • 高たんぱく・高カロリーの栄養補助食品を活用する
  • 食欲がないときは1日5~6回に分けて少量ずつ食べる
  • 散歩やストレッチなど軽い運動を習慣にする
  • 睡眠の質を上げるため就寝前のリラックス時間を設ける
  • つらい症状は早めに医療チームに相談する

大腸がんステージ4で後悔しない治療選択|セカンドオピニオンという心強い味方

ステージ4の治療は選択肢が多岐にわたるため、一人の医師の意見だけで決めるのが不安な方も多いでしょう。セカンドオピニオンは主治医との関係を壊すものではなく、納得のいく治療を選ぶための正当な手段です。

セカンドオピニオンを受けても主治医との信頼関係は壊れない

セカンドオピニオンの活用方法

確認事項具体的な行動
紹介状の準備主治医にセカンドオピニオンを希望する旨を伝え、診療情報提供書を発行してもらう
相談先の選定がん診療連携拠点病院やがん相談支援センターに問い合わせる
相談内容の整理聞きたいことをあらかじめメモにまとめておく
結果の共有セカンドオピニオンの結果を主治医にも伝え、治療方針を一緒に再検討する

セカンドオピニオンとは、現在の主治医とは別の専門医に意見を求めることです。「主治医に失礼ではないか」と遠慮する方もいますが、がん診療の現場ではごく一般的な行為として受け入れられています。

むしろ、複数の専門家の視点を取り入れることで、見落としていた治療の選択肢が見つかったり、主治医の提案をより深く理解できたりするメリットがあります。主治医に正直に相談すれば、快く紹介状を書いてくれるケースがほとんどです。

がん相談支援センターは情報の宝庫

全国のがん診療連携拠点病院には「がん相談支援センター」が設置されており、治療に関する疑問や不安を無料で相談できます。その病院にかかっていなくても利用可能で、セカンドオピニオン先の紹介や医療費の相談にも対応してもらえます。

「何を聞けばいいのかすら分からない」という段階でも大丈夫です。相談員が一緒に情報を整理してくれるので、一人で抱え込まず気軽に足を運んでみてください。

家族と情報を共有し、チームで治療に向き合う

がん治療は患者さん一人だけの問題ではなく、家族にとっても大きな負担になります。治療の選択肢やスケジュール、日常生活で必要なサポートについて、家族と早い段階から情報を共有しておくことが大切です。

診察に家族が同席することで、医師の説明を一緒に聞き、あとで話し合うことができます。患者さん自身が体調のすぐれないときに、家族が代わりに質問してくれる場面もあるかもしれません。治療はチーム戦です。頼れる人には遠慮なく頼りましょう。

よくある質問

大腸がんステージ4で完治する確率はどのくらいある?

大腸がんステージ4の5年生存率は約17%と報告されています。ただし、肝臓や肺への転移が限られた数にとどまり、外科的に切除できた場合は5年生存率が30~50%まで上昇するとのデータもあります。

「完治」の定義は厳密には難しいものの、手術と化学療法を組み合わせた治療で長期間再発なく過ごしている方は実際にいます。遺伝子検査に基づく個別化治療や免疫チェックポイント阻害薬の登場により、今後さらに改善が期待されるでしょう。

大腸がんステージ4の治療費は一般的にどのくらいかかる?

治療内容や使用する薬剤、入院期間によって大きく異なりますが、化学療法を中心とした治療では月額数万円から数十万円の自己負担が生じることがあります。高額療養費制度を利用すれば、所得に応じた上限額を超えた分は払い戻しを受けられます。

治療費に不安がある場合は、病院のソーシャルワーカーやがん相談支援センターに相談してみてください。利用できる公的支援制度を案内してもらえるほか、治療計画を立てるうえでの経済的な見通しについても一緒に考えてもらえます。

大腸がんステージ4で免疫チェックポイント阻害薬が使えるのはどんな場合?

免疫チェックポイント阻害薬が有効とされているのは、MSI-High(高頻度マイクロサテライト不安定性)またはdMMR(ミスマッチ修復機構欠損)と判定された大腸がんです。

大腸がん全体の約5%が該当し、このタイプではペムブロリズマブなどが一次治療から使えます。

また、TMB-High(腫瘍遺伝子変異量が高い)の場合にも適応が認められる薬剤があります。自分のがんが該当するかどうかは、病理検査や遺伝子パネル検査で確認できますので、主治医に検査について相談してみるとよいでしょう。

大腸がんステージ4の治療中に仕事を続けることはできる?

治療内容や体調によって個人差はありますが、外来での化学療法を受けながら仕事を続けている方は少なくありません。通院スケジュールに合わせて勤務時間を調整したり、在宅勤務を活用したりするケースもあります。

職場への伝え方やサポート体制について悩む場合は、がん相談支援センターの「就労相談」を利用すると、具体的なアドバイスを受けられます。治療と仕事の両立は決して無理な話ではなく、周囲の理解と制度の活用で実現している方が多くいます。

大腸がんステージ4で緩和ケアを受けると抗がん剤治療はやめることになる?

緩和ケアを始めたからといって、抗がん剤治療をやめる必要はまったくありません。むしろ現在のがん医療では、治療と緩和ケアを同時に進めることが推奨されています。

緩和ケアの目的は、痛みや吐き気などの身体症状を和らげるとともに、精神的な不安にも寄り添うことです。体調が安定すれば化学療法を予定どおりに継続しやすくなるでしょう。

結果として治療の効果を引き出す助けにもなります。「緩和ケア=治療の終わり」ではないという認識を持つことが大切です。

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この記事を書いた人 Wrote this article

前田 祐助

前田 祐助 医学博士 / 医師

慶應義塾大学医学部大学院にて、がんの発生メカニズム(発癌機構)や、慢性炎症と腫瘍の関係性に関する基礎研究に従事し、医学博士号を取得。 特に、胃がんにおける炎症微小環境の解析や、細胞シグナル伝達(COX-2/PGE2経路など)による腫瘍形成の研究において実績を持つ。 現在は、大学病院や研究機関で培った「根拠(エビデンス)に基づく医療」の視点を活かし、疾患の早期発見や予防医療の啓発活動を行っている。 【保有資格・所属】 医学博士(慶應義塾大学)/ 医師免許 / 日本内科学会 / 日本医師会認定産業医