
がんと診断されたあと「自分には免疫療法が効くのだろうか」と不安を抱える方は少なくありません。近年、MSI-High(高頻度マイクロサテライト不安定性)やdMMR(ミスマッチ修復機能欠損)という指標が、免疫チェックポイント阻害薬の効果を予測するバイオマーカーとして注目を集めています。
この記事では、MSI-HighとdMMRがどのような状態を指すのか、なぜ免疫療法が効きやすいのかを、医学的な根拠をもとにわかりやすく解説します。検査方法やリンチ症候群との関係、治療時に気をつけたい副作用まで幅広くお伝えしますので、治療の選択肢を考える際の参考にしてください。
MSI-Highとは?DNAの修復エラーが積み重なるとがんが生まれやすくなる
MSI-Highとは、私たちの細胞がDNAをコピーする際に生じるエラーが正しく修復されず、遺伝子の特定の繰り返し配列に異常が蓄積した状態です。この状態はがんの発生リスクを高めるだけでなく、免疫療法への反応を予測する重要な手がかりにもなります。
マイクロサテライトとはDNAに散在する短い繰り返し配列のこと
ヒトのDNAには「マイクロサテライト」と呼ばれる1~数塩基の短い配列が何度も繰り返す領域が散在しています。たとえば「CA」という2文字が10回連続するような部分がこれにあたります。
マイクロサテライトは細胞分裂のたびにコピーされますが、繰り返し配列であるがゆえにコピーミスが起こりやすい性質を持っています。通常は修復システムがこのエラーを正しく直してくれるため、大きな問題にはなりません。
修復システムが壊れると繰り返し回数がずれてしまう
DNAのコピーミスを修復するシステムを「ミスマッチ修復(MMR)」と呼びます。MLH1、MSH2、MSH6、PMS2という4種類のタンパク質が協力して働き、誤った塩基を見つけて正しい配列に戻す役割を担っています。
MSI-HighとMSI-Low/MSSの違い
| 分類 | 修復機能 | 免疫療法への期待 |
|---|---|---|
| MSI-High | 低下している | 高い効果が期待できる |
| MSI-Low | やや低下 | 効果は限定的 |
| MSS(安定型) | 正常に保たれている | 単独では効果が出にくい |
エラーの蓄積ががんの引き金になる
MMRの機能が低下すると、マイクロサテライトの繰り返し回数が正常とは異なるパターンに変化します。この不安定な状態が高頻度に認められる場合を「MSI-High」と判定します。
コピーミスが蓄積すると、腫瘍を抑制する遺伝子やアポトーシス(細胞死)を調整する遺伝子にまで影響が及びます。その結果、がん化につながる遺伝子異常が次々と積み重なり、腫瘍が発生しやすくなるのです。
dMMR(ミスマッチ修復機能欠損)はMSI-Highとほぼ同じ状態を指す
dMMRとMSI-Highは検査のアプローチが異なるだけで、どちらもDNA修復の不具合を反映した指標です。大腸がんでは両者の一致率が90%以上と報告されており、臨床の現場ではほぼ同義として扱われています。
dMMRとはMMRタンパク質のどれかが失われた状態
dMMRは「mismatch repair deficient」の略で、ミスマッチ修復を担う4つのタンパク質(MLH1、MSH2、MSH6、PMS2)のうち1つ以上が正常に発現していない状態を意味します。反対に、すべてのタンパク質が正常に働いている場合はpMMR(proficient MMR)と呼ばれます。
dMMRの原因には大きく分けて2つあります。1つは遺伝子そのものに生まれつきの変異がある場合で、もう1つはMLH1遺伝子のプロモーター領域にメチル化が起き、後天的にタンパク質の発現が抑えられる場合です。
MSI-Highとの一致率は大腸がんで9割以上
MSI検査ではDNAの繰り返し配列の変化を直接調べるのに対し、dMMR判定では免疫染色によってタンパク質の発現消失を確認します。調べ方は違うものの、大腸がんの場合、両者の結果は90%以上で一致するとされています。
ただし、大腸がん以外のがん種ではやや一致率が下がるケースも報告されています。たとえば脳腫瘍や子宮内膜がん、卵巣がんなどでは、マイクロサテライトの繰り返し回数の変化が小さく、MSI検査だけでは偽陰性になることがあるため注意が必要です。
臨床では「MSI-H/dMMR」とセットで表記される
論文や診療ガイドラインを読むと「MSI-H/dMMR」というセット表記をよく目にするでしょう。これは検査法の違いに関わらず、ミスマッチ修復の異常を示すがん全般を指すための便宜的な書き方です。
治療方針を決めるうえでは、どちらの検査で陽性が出ても同じ意味を持ちます。主治医から「MSI-Highです」と言われた場合も「dMMRです」と言われた場合も、免疫チェックポイント阻害薬の候補になりうると理解して差し支えありません。
dMMRとpMMRの比較
| 項目 | dMMR | pMMR |
|---|---|---|
| 修復タンパク質 | 1つ以上が欠損 | 4種とも正常 |
| MSIの状態 | 多くがMSI-High | MSS(安定型) |
| 免疫療法の適応 | 高い有効性が期待 | 単独での有効性は限定的 |
MSI-High/dMMRのがんに免疫チェックポイント阻害薬が効きやすい理由
MSI-High/dMMRのがんでは遺伝子変異の数が非常に多く、その結果、免疫細胞が「異物」として認識しやすい目印(ネオアンチゲン)が大量に生まれます。この特徴こそが、免疫チェックポイント阻害薬の効果を高める根本的な理由です。
遺伝子変異が多いほどネオアンチゲンが豊富に生まれる
MSI-High固形がんでは、1つの腫瘍あたりの体細胞変異数が平均1,782にものぼると報告されています。MSI-Highでないがんの平均73と比較すると、実に20倍以上の変異を抱えていることになります。
変異が多ければ多いほど、がん細胞の表面には正常細胞にはない異常なタンパク質(ネオアンチゲン)が数多く現れます。ネオアンチゲンは免疫系にとって「自分ではないもの」と判断される標的となるため、T細胞の攻撃を受けやすくなるのです。
がん細胞はPD-L1で免疫にブレーキをかけて逃げようとする
変異が多いMSI-High/dMMRのがん細胞は、本来なら免疫細胞に排除されるはずです。しかしがん細胞は巧妙な逃げ道を用意しています。
自らの表面にPD-L1というタンパク質を発現させ、T細胞のPD-1受容体に結合することで、T細胞の攻撃にブレーキをかけるのです。
免疫チェックポイント阻害薬が効くしくみ
| 段階 | 体内で起きていること | 治療の作用 |
|---|---|---|
| 変異の蓄積 | ネオアンチゲンが大量発生 | 免疫の標的が増える |
| 免疫回避 | PD-L1でT細胞を抑制 | 抗PD-1抗体がブレーキを解除 |
| 攻撃再開 | T細胞が再活性化 | がん細胞を排除へ導く |
抗PD-1抗体がブレーキを外してT細胞を再び目覚めさせる
免疫チェックポイント阻害薬であるペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ)やニボルマブ(商品名オプジーボ)は、T細胞のPD-1受容体に先回りして結合します。すると、がん細胞のPD-L1がT細胞に作用できなくなり、ブレーキが解除されます。
ブレーキを失ったT細胞は再び活性化し、ネオアンチゲンという目印を頼りにがん細胞を攻撃できるようになります。MSI-High/dMMRのがんはネオアンチゲンが豊富なため、この薬の効果が特に出やすいというわけです。
MSI-High/dMMRが見つかりやすいがん種と日本人データにみる発生頻度
MSI-High/dMMRは特定のがん種に限った現象ではなく、子宮内膜がん、胃がん、大腸がんを中心に幅広いがん種で検出されています。日本人の大規模データでは、固形がん全体の約3.75%がMSI-Highに該当すると報告されました。
子宮内膜がん・胃がん・大腸がんで頻度が高い
海外の研究では32種類のがん患者12,019例を解析した結果、24種類のがんでMSI-Highが確認されました。特に頻度が高いのは子宮内膜がん、胃がん、小腸がん、大腸がんの順です。
日本国内でも2万5,000例以上を対象にした調査が行われ、子宮内膜がんで17.00%、小腸がんで9.23%、胃がんで6.72%、大腸がんで3.83%という結果が示されています。まれではあるものの、膵がんや乳がん、前立腺がんなどでもMSI-Highの症例は存在します。
年齢や性別によっても頻度に差がある
日本人のデータでは、MSI-Highの出現率は男性で2.64%、女性で4.77%と女性にやや多い傾向が認められています。これは子宮内膜がんの頻度が高いことが一因と考えられるでしょう。
年齢別では10代~20代で7.43%、80代~90代で5.77%と、若年層と高齢層で頻度が高い点も興味深い特徴です。I期からIII期の早期がんでは6.02%、IV期の進行がんでは3.05%と、病期によっても割合が異なります。
固形がん全体の約3~4%に存在する「少数だが見逃せない」集団
MSI-High/dMMRは固形がん全体からみれば数%の少数派ですが、免疫チェックポイント阻害薬に対して高い治療効果を期待できるため、見逃すことは大きな損失につながりかねません。
実際にKEYNOTE-158試験では、大腸がん以外のMSI-High固形がんに対するペムブロリズマブの奏効率が37.2%と報告されています。標準治療が難しい症例にとっては、貴重な選択肢になりえます。
日本人におけるがん種別MSI-High頻度
| がん種 | 検査数 | MSI-High頻度 |
|---|---|---|
| 子宮内膜がん | 1,353件 | 17.00% |
| 小腸がん | 130件 | 9.23% |
| 胃がん | 1,890件 | 6.72% |
| 十二指腸がん | 121件 | 5.79% |
| 大腸がん | 9,958件 | 3.83% |
MSI検査・MMR免疫染色・がん遺伝子パネル検査の3つで判定できる
MSI-High/dMMRかどうかを調べる方法は主に3種類あります。MSI検査、MMRタンパク質の免疫染色検査、そしてがん遺伝子パネル検査(NGS検査)で、いずれも手術や内視鏡で採取したがん組織を使って行います。
MSI検査はマイクロサテライトの繰り返し回数を直接比べる
MSI検査では、がん組織のDNAから5つのマーカー(BAT25、BAT26、NR21、NR24、MONO27)を解析します。正常な組織と比べて繰り返し回数にずれがあるかどうかを判定し、一定以上の異常が認められれば「MSI-High(陽性)」と診断されます。
検査には手術や内視鏡で採取した組織を使います。組織が残っていない場合は、あらためて採取が必要になることもあるでしょう。
MMR免疫染色検査は4つのタンパク質の発現を確かめる
MMR免疫染色検査(IHC検査)は、がん組織を特殊な染色液で染めることでMLH1、MSH2、MSH6、PMS2の4種類のタンパク質が正常に発現しているかどうかを観察します。いずれか1つでも発現が消失していればdMMRと判定されます。
3つの検査法の特徴比較
| 検査法 | 調べる対象 | 特徴 |
|---|---|---|
| MSI検査 | DNA配列の変化 | 5マーカーで定量的に判定 |
| MMR免疫染色 | タンパク質の発現 | どのタンパク質が欠損か特定可能 |
| がん遺伝子パネル | 多数の遺伝子変異 | MSI判定と遺伝子プロファイルを同時取得 |
がん遺伝子パネル検査なら多くの遺伝子情報を同時に取得できる
FoundationOne CDxやNCC オンコパネルといったがん遺伝子パネル検査では、数百の遺伝子変異を一度に解析すると同時にMSI判定も行えます。ただし、すべての患者さんが受けられるわけではなく、一定の条件を満たした場合に特定の医療機関で実施されます。
がん遺伝子パネル検査の結果は「エキスパートパネル」と呼ばれる専門家チームの会議で検討され、個々の患者さんに合った治療方針が提案されます。MSI-Highと判定された場合には、免疫チェックポイント阻害薬の使用が検討される流れです。
リンチ症候群とMSI-High/dMMRには切り離せない深いつながりがある
MSI-High/dMMRの背景には、遺伝性の要因であるリンチ症候群が隠れていることがあります。MSI-Highと判定された方のうち約16.3%がリンチ症候群であったとの海外データもあり、ご本人だけでなくご家族の健康管理にも影響する重要な情報です。
リンチ症候群はMMR遺伝子に生まれつきの変異がある遺伝性疾患
リンチ症候群は、MLH1、MSH2、MSH6、PMS2のいずれかの遺伝子に生まれつき病的な変異を持つ遺伝性のがん素因症候群です。遺伝性大腸がんの代表的な疾患として知られ、大腸がんだけでなく子宮内膜がん、胃がん、卵巣がん、膵がんなど複数のがん種の発症リスクが高まります。
両親のいずれかがリンチ症候群の原因遺伝子を持っている場合、子どもがその変異を受け継ぐ確率は50%です。若い年齢でがんを発症した方や、ご家族に複数のがん患者がいる場合は、リンチ症候群の可能性を考慮した検査が勧められます。
散発性のMSI-Highとリンチ症候群由来を区別する方法
MSI-Highには遺伝性(リンチ症候群)と散発性(後天性)の2タイプがあります。散発性のMSI-Highの多くは、MLH1遺伝子のプロモーター領域がメチル化されることでタンパク質の発現が抑えられ、結果としてMMR機能が低下したものです。
リンチ症候群による大腸がんでは、BRAF遺伝子の変異がほとんど見られないという特徴があります。そのため、MLH1の発現が消失している場合にはBRAF変異の有無やMLH1プロモーターのメチル化を調べることで、両者を鑑別できます。
リンチ症候群と確定した場合は家族へのサーベイランスが大切になる
リンチ症候群と確定診断を受けた場合、ご本人はもちろん血縁者にも定期的ながん検診(サーベイランス)が推奨されます。たとえば大腸内視鏡検査は1~2年ごと、婦人科検診は年1回が一般的な目安です。
遺伝カウンセリングを受けることで、遺伝子検査の意味やご家族への伝え方、心理的なサポートについて専門家から助言を得られます。不安を1人で抱え込まず、医療チームとともに対応していくことが大切です。
- リンチ症候群の主な関連がん種:大腸がん、子宮内膜がん、胃がん、卵巣がん、膵がん、小腸がん、腎盂・尿管がん
- 推奨される大腸内視鏡の開始年齢:20~25歳から
- 遺伝カウンセリングの実施施設:がんゲノム医療中核拠点病院・拠点病院
MSI-High/dMMRの免疫チェックポイント阻害薬で注意すべき副作用と対処法
免疫チェックポイント阻害薬はMSI-High/dMMRのがんに対して優れた治療効果を示す一方で、免疫が活性化しすぎることによる特有の副作用(免疫関連有害事象)が起こる場合があります。副作用の種類や対処法をあらかじめ知っておくことが、安心して治療に臨むための備えになります。
免疫関連有害事象(irAE)は全身のさまざまな臓器に現れうる
- 皮膚症状(発疹、かゆみ)
- 消化器症状(下痢、大腸炎)
- 肝機能障害(ALT・AST上昇)
- 内分泌障害(甲状腺機能低下症など)
- 肺障害(間質性肺炎)
- 倦怠感・食欲低下
化学療法と比較して重い副作用の頻度は低いとされている
KEYNOTE-177試験のデータによると、MSI-High/dMMRの転移性大腸がん患者における重篤な治療関連有害事象(グレード3以上)の発生率は、ペムブロリズマブ群で22%、化学療法群で66%でした。免疫チェックポイント阻害薬は従来の化学療法に比べ、重い副作用の頻度が低い傾向にあるといえるでしょう。
ただし免疫関連有害事象は発症のタイミングが治療開始直後から数か月後まで幅広く、まれに治療終了後に現れることもあります。体調に少しでも異変を感じたら、速やかに担当医へ伝えてください。
早期発見と適切な対処で多くの副作用はコントロールできる
免疫関連有害事象の多くは、早い段階で発見して適切に対応すれば重症化を防ぐことが可能です。軽度の症状には経過観察や対症療法を行い、中等度以上の場合はステロイド薬による免疫抑制が検討されます。
治療中は定期的な血液検査や画像検査に加え、日常の体調変化を記録しておくことが有効です。倦怠感が急に増したり、息切れ、発疹、下痢などの症状が出た場合は軽視せず、すぐに医療チームへ相談してください。
よくある質問
MSI-HighやdMMRはどのような検査で調べることができる?
MSI-HighやdMMRを調べる方法は、MSI検査、MMRタンパク質の免疫染色検査、がん遺伝子パネル検査の3種類です。いずれもがん組織を使って行い、手術や内視鏡検査などで採取した検体が必要となります。
MSI検査はDNA配列の変化を直接調べる方法で、免疫染色検査は修復タンパク質の発現を確認する方法です。がん遺伝子パネル検査では、数百の遺伝子変異と同時にMSI判定も実施できます。主治医と相談のうえ、ご自身の状況に合った検査を選ぶとよいでしょう。
MSI-High/dMMRと判定された場合に使われる免疫チェックポイント阻害薬にはどんな種類がある?
代表的な薬剤としては、ペムブロリズマブ(キイトルーダ)とニボルマブ(オプジーボ)の2つが挙げられます。どちらもT細胞の表面にあるPD-1受容体に結合し、がん細胞によるブレーキ信号を遮断することで免疫の攻撃力を取り戻す薬です。
MSI-High/dMMRの固形がんに対しては、がんの発生部位を問わずこれらの薬剤が検討されることがあります。具体的にどの薬をどのタイミングで使うかは、がんの種類や進行度、これまでの治療歴などを総合的に判断して決定されます。
MSI-HighとdMMRはまったく同じ意味として捉えてよい?
MSI-HighとdMMRは、検査の方法が異なるだけで、どちらもDNAのミスマッチ修復に異常があることを示す指標です。大腸がんでは両者の一致率が90%以上と高く、臨床の場ではほぼ同義語として扱われています。
ただし、一部のがん種ではMSI検査が偽陰性となる場合もあるため、検査結果の解釈にはがん種ごとの特性を考慮する必要があります。不安がある場合は担当医に検査結果の詳しい説明を求めてみてください。
MSI-High/dMMRの検査結果がリンチ症候群の診断につながることはある?
MSI-HighやdMMRと判定された方のうち、約16.3%がリンチ症候群であったとする海外のデータがあります。とりわけ若い年齢でがんを発症した方やご家族に複数のがん患者がいる場合は、リンチ症候群が背景にある可能性が高まります。
リンチ症候群の確定診断には、MMR関連遺伝子の生殖細胞系列検査が必要です。確定した場合は血縁者にも定期的ながん検診が推奨されるため、遺伝カウンセリングを受けて十分な情報を得たうえで判断されることをおすすめします。
MSI-High/dMMRの免疫チェックポイント阻害薬で副作用が出た場合はどう対処する?
免疫チェックポイント阻害薬に特有の副作用は「免疫関連有害事象(irAE)」と呼ばれ、皮膚、消化管、肝臓、肺、内分泌器官など全身のさまざまな部位に現れることがあります。多くは軽度であり、早期に発見して適切に対応すれば重症化を防げます。
治療中に発疹や下痢、息切れ、倦怠感の悪化などの異変を感じた場合は、軽く考えずにすぐ担当医へ連絡してください。症状の程度に応じて経過観察から投薬治療、一時的な治療の休止などの対応が検討されます。
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この記事を書いた人 Wrote this article
前田 祐助 医学博士 / 医師
慶應義塾大学医学部大学院にて、がんの発生メカニズム(発癌機構)や、慢性炎症と腫瘍の関係性に関する基礎研究に従事し、医学博士号を取得。 特に、胃がんにおける炎症微小環境の解析や、細胞シグナル伝達(COX-2/PGE2経路など)による腫瘍形成の研究において実績を持つ。 現在は、大学病院や研究機関で培った「根拠(エビデンス)に基づく医療」の視点を活かし、疾患の早期発見や予防医療の啓発活動を行っている。 【保有資格・所属】 医学博士(慶應義塾大学)/ 医師免許 / 日本内科学会 / 日本医師会認定産業医