抗がん剤の副作用が出にくい人の特徴とは?個人の体質と最新の支持療法の役割

抗がん剤の副作用が出にくい人の特徴とは?個人の体質と最新の支持療法の役割

抗がん剤治療を受けると、誰もが同じように副作用に苦しむわけではありません。同じ薬を使っていても、吐き気がほとんどない方もいれば、強い倦怠感に悩まされる方もいます。

その違いには、遺伝子のタイプや臓器の働き、筋肉量や栄養状態、そして日常の生活習慣など複数の要因が関わっています。加えて、制吐薬やG-CSF製剤をはじめとした支持療法の発展により、副作用そのものを和らげる手段も充実してきました。

この記事では、副作用が出にくい方に見られる体質的な特徴と、それを補う支持療法について、医学的な根拠をもとにわかりやすく解説します。

抗がん剤の副作用には大きな個人差がある——同じ薬でも症状が違う理由

抗がん剤の副作用は、薬の種類だけで決まるものではなく、患者さん一人ひとりの体質や遺伝的な背景によって大きく異なります。同じ治療を受けても、副作用がほとんど現れない方がいる一方で、強い症状に悩まされる方もいるのは、体の中で薬を処理する力に個人差があるためです。

副作用の強さは「薬の種類」だけでは決まらない

抗がん剤には多くの種類があり、それぞれ吐き気・倦怠感・骨髄抑制といった特有の副作用を持っています。しかし、実際に治療を受けた患者さんの症状は千差万別です。

たとえばシスプラチンは吐き気が強い薬として知られていますが、適切な制吐薬を使えばほとんど吐かずに過ごせる方も少なくありません。薬そのものの性質に加えて、体がその薬をどう吸収し、分解し、排出するかという「薬物動態(やくぶつどうたい)」の違いが副作用の差を生み出しています。

体質や遺伝的背景が副作用に影響を与える

近年の薬理遺伝学(ファーマコゲノミクス)の研究によって、遺伝子の小さな違い(多型)が薬の代謝速度を大きく変えることがわかってきました。薬を分解する酵素の活性が生まれつき低い方は、同じ投与量でも体内の薬物濃度が上がりやすく、副作用が出やすい傾向があります。

反対に、酵素活性が十分に保たれている方では、薬がスムーズに処理されるため副作用が軽減される場合があるのです。こうした個人差は外見からは判別できず、血液検査や遺伝子検査によって初めて明らかになります。

副作用に影響する主な要因

要因副作用との関係
薬物代謝酵素の遺伝子型酵素活性が低い方は薬の分解が遅く、副作用が出やすい
肝臓・腎臓の機能薬の排出が遅れると血中濃度が上がり副作用リスクが増す
筋肉量・栄養状態筋肉量が少ない方は薬が体内に高濃度で留まりやすい
年齢・性別高齢者や女性は特定の副作用が出やすい傾向がある

副作用が軽い方に共通する身体的な傾向

副作用の少ない方には、いくつかの共通した身体的特徴が報告されています。まず、十分な筋肉量を維持していること。次に、肝臓と腎臓の機能が良好であること。そして、治療前の栄養状態が整っていることです。

これらはいずれも、体が抗がん剤を効率よく代謝・排出するための基盤となる要素といえます。もちろん遺伝的な要因も関係しますが、後天的に改善できる部分も少なくありません。

薬物代謝酵素の遺伝子多型が抗がん剤の副作用リスクを左右する

薬を分解する酵素の遺伝子にわずかな違い(多型)があるだけで、副作用の重さは劇的に変わります。事前の遺伝子検査で自分の体質を把握しておくことが、安全な治療計画を立てるうえで大きな助けになるでしょう。

DPYD遺伝子の変異とフルオロピリミジン系薬剤のリスク

5-FUやカペシタビンなどのフルオロピリミジン系抗がん剤は、DPD(ジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ)という酵素によって体内で分解されます。この酵素をコードするDPYD遺伝子に特定の多型を持つ患者さんでは、薬の分解速度が著しく低下します。

その結果、重篤な下痢や骨髄抑制、粘膜炎が起こりやすくなり、まれに致死的な副作用につながることもあります。欧米ではすでにDPYD遺伝子検査が義務化されている国もあり、検査結果に応じて投与量を減らすことで重い副作用を防いでいます。

UGT1A1遺伝子の多型とイリノテカンによる副作用

大腸がん治療などで使われるイリノテカンは、体内でSN-38という活性代謝物に変換されたあと、UGT1A1酵素によってグルクロン酸抱合を受けて不活化されます。UGT1A1遺伝子にUGT1A1*28と呼ばれる多型を持つ方は、この不活化の働きが弱くなるため、SN-38が体に長く残ります。

SN-38の濃度が高い状態が続くと、重度の好中球減少症(白血球が極端に少なくなること)や遷延性の下痢を発症するリスクが高まります。日本人ではUGT1A1*6という別の多型も頻度が高く、検査で確認しておくことが副作用予防に直結します。

遺伝子検査を治療前に受けるメリット

遺伝子検査は採血のみで行えるため、患者さんの身体的な負担はほとんどありません。検査結果をもとに投与量を調整したり、代替薬を選んだりできるため、副作用が重症化するリスクを事前に減らせます。

全ての抗がん剤に対応する検査があるわけではありませんが、フルオロピリミジン系やイリノテカンなど、特定の薬剤については臨床的な有用性が確認されています。主治医に相談し、自分の治療計画に遺伝子検査が活用できるか確認してみてください。

代表的な遺伝子多型と対応する抗がん剤

遺伝子関連する薬剤主な副作用リスク
DPYD5-FU、カペシタビン重度の下痢、骨髄抑制
UGT1A1イリノテカン好中球減少症、下痢
TPMTメルカプトプリン骨髄抑制
CYP2D6タモキシフェン効果減弱(代謝低下)

肝臓と腎臓の働きが抗がん剤の副作用を大きく左右する

抗がん剤の多くは肝臓で代謝され、腎臓から排出されます。これらの臓器機能が良好な方は薬を効率よく処理できるため、血中の薬物濃度が適正に保たれ、副作用が出にくくなります。

肝機能が良好な方ほど薬をスムーズに分解できる

肝臓は薬物代謝の中心的な臓器であり、シトクロムP450(CYP)ファミリーと呼ばれる酵素群が抗がん剤の分解を担っています。肝機能が正常な方では、これらの酵素が十分に働くため、薬が速やかに代謝されて不活性な形に変わります。

一方、慢性肝炎や脂肪肝などで肝機能が低下している場合は、薬の分解に時間がかかり、血中濃度が想定以上に上昇してしまいます。治療前にAST(GOT)やALT(GPT)などの肝機能マーカーを確認し、必要に応じて投与量を調整することが大切です。

腎機能の低下が副作用を増幅させる仕組み

腎臓は体内で不要になった薬やその代謝産物を尿として排出する役割を果たします。腎機能が低下すると排出が追いつかず、薬が体に蓄積してしまいます。

たとえば白金製剤であるシスプラチンは腎臓への毒性が強いため、腎機能が低い患者さんでは使用が制限される場合があります。クレアチニンクリアランス(Ccr)や推算糸球体濾過量(eGFR)で腎機能を正確に評価し、それに基づいた投与設計を行うことで副作用を抑えられます。

臓器機能と副作用リスクの関係

検査項目意味副作用との関連
AST / ALT肝細胞の障害度を示す値が高いと薬の代謝が遅延しやすい
eGFR腎臓の濾過機能を推定低値だと薬の排出が滞りやすい
血清アルブミン栄養状態と肝の合成能を反映低値では薬の遊離濃度が上昇しやすい

治療前の血液検査で副作用リスクの手がかりをつかめる

血液検査は侵襲が少なく、短時間で結果が得られるため、治療前のリスク評価として欠かせない手段です。肝機能や腎機能のほかに、アルブミン値やLDH値なども副作用の出やすさと関連することが報告されています。

こうした検査データを総合的に評価することで、主治医はより安全な投与計画を組み立てられます。患者さん自身も検査結果に関心を持ち、数値の意味を医師に確認してみると、治療への理解が深まるでしょう。

筋肉量と栄養状態が抗がん剤の副作用の出方を大きく変える

体組成、とくに筋肉量と脂肪量のバランスは、抗がん剤が体内でどのように分布するかに直接影響します。筋肉量が十分に保たれ、栄養状態が良好な方は副作用を軽く乗り越えやすい傾向があります。

サルコペニアの患者さんは副作用が重くなりやすい

サルコペニアとは、加齢や疾患によって骨格筋量が著しく減少した状態を指します。がん患者さんでは、診断時点ですでにサルコペニアが進んでいるケースが珍しくありません。

筋肉量が少ない方では、体表面積(BSA)に基づいた通常の投与量であっても、薬が相対的に高濃度で全身を巡りやすくなります。研究では、サルコペニアの患者さんはそうでない方に比べ、用量制限毒性(DLT)が発生する頻度が有意に高いことが示されています。

栄養状態の良さが副作用の軽減に直結する

治療前から十分なたんぱく質やビタミン、ミネラルを摂取できている方は、骨髄や消化管粘膜の回復力が高い傾向があります。栄養状態が良好であれば、白血球の立ち上がりも早く、好中球減少の期間が短くなることが期待できます。

逆に低栄養の状態で治療を始めると、口内炎や下痢の回復にも時間がかかり、治療スケジュールの遅延につながりかねません。治療開始前から管理栄養士と連携した栄養サポートを受けることが望ましいでしょう。

BMIだけでは見抜けない「隠れた栄養不良」に要注意

BMI(体格指数)が正常範囲であっても、筋肉量が少なく脂肪が多い「サルコペニア肥満」と呼ばれる状態の方がいます。外見上は標準体型に見えるため見落とされがちですが、副作用のリスクはサルコペニアと同等かそれ以上に高い場合があります。

CT画像を用いた体組成分析によって筋肉量と脂肪量を正確に評価できるため、治療前にこうした評価を受けておくことが体質に応じた治療設計につながります。

体組成に関わる主な評価指標

  • 骨格筋指数(SMI)——CT画像で第3腰椎レベルの筋肉面積を身長で補正した値
  • 体脂肪率——体重に占める脂肪量の割合で、筋肉量との比率が副作用リスクに関係する
  • 握力——全身の筋力を簡易的に評価でき、サルコペニアのスクリーニングに活用される

年齢や性別、そして日常の生活習慣も抗がん剤の副作用と深く関わっている

遺伝子や臓器機能だけでなく、年齢・性別・生活習慣といった患者さん個人の背景も、副作用の出方に影響を及ぼします。これらの因子を事前に把握しておけば、より安全な治療計画につなげられます。

高齢者は副作用が出やすい傾向がある

加齢にともなって肝臓や腎臓の機能は緩やかに低下し、薬物代謝や排泄の効率が落ちていきます。また、高齢者は複数の持病を抱えていることが多く、併用薬との相互作用によって副作用が増強される場合があります。

ただし、年齢が高いからといって一律に副作用が強いわけではありません。全身状態(PS:パフォーマンスステータス)が良好であれば、高齢者でも若年者と同程度の治療を安全にこなせるケースは多いです。年齢だけで治療方針を決めず、総合的な評価を行うことが大切といえます。

女性は吐き気が出やすく男性は骨髄抑制が目立つ傾向がある

性別による副作用の違いも、臨床研究で繰り返し報告されてきました。一般的に、女性は化学療法による悪心・嘔吐(CINV)を経験しやすいとされています。これはホルモン環境の違いや、嘔吐中枢の感受性が性別によって異なることが一因と考えられています。

一方、男性では好中球減少をはじめとした骨髄抑制が強く現れやすい傾向が見られることがあります。性差を踏まえた制吐薬の選択や、G-CSF(顆粒球コロニー刺激因子)製剤の予防的投与を検討することで、副作用の程度を抑えられるでしょう。

年齢・性別と副作用リスクの傾向

因子出やすい副作用対応策の例
高齢(70歳以上)骨髄抑制、倦怠感減量投与、G-CSF予防投与
女性悪心・嘔吐NK1受容体拮抗薬の追加
若年男性骨髄抑制G-CSF製剤の適時投与

飲酒・喫煙・運動習慣が副作用の出方を変える

日常の生活習慣も見過ごせない要因です。長期間の飲酒習慣は肝機能を低下させ、薬物代謝に悪影響を与えます。喫煙も一部の代謝酵素(CYP1A2など)の活性を変化させ、薬の効き方に影響を及ぼすことがあります。

一方、適度な運動を習慣的に行っている方は、筋肉量の維持に加えて免疫機能が安定しやすく、治療中の体力低下を抑えやすいとされています。治療を受ける前からの生活習慣の見直しが、副作用を軽くする土台づくりにつながるでしょう。

支持療法の進歩で抗がん剤の副作用はここまで軽減できるようになった

副作用を和らげるための支持療法は、この20年間で飛躍的に進歩しました。制吐薬の三剤併用療法やG-CSF製剤の予防投与をはじめ、さまざまな手段によって、以前よりも格段に快適な治療生活を送れるようになっています。

制吐薬の三剤併用療法で吐き気を大幅に抑えられる

抗がん剤による吐き気は、かつて患者さんが最も恐れる副作用の一つでした。しかし現在では、5-HT3受容体拮抗薬・NK1受容体拮抗薬・デキサメタゾンの三剤を組み合わせた制吐療法が標準となり、高度催吐性の薬剤を使う場合でも吐き気をかなりの確率でコントロールできるようになっています。

さらに、オランザピンという薬剤を加えた四剤併用療法も臨床試験で高い効果が確認されており、吐き気に悩む患者さんの生活の質が大きく向上しています。

G-CSF製剤を活用すれば好中球減少症に先手を打てる

骨髄抑制による好中球減少は、感染症リスクを高める深刻な副作用です。G-CSF(顆粒球コロニー刺激因子)製剤は、骨髄での好中球の産生を促進し、好中球減少の期間を短縮します。

発熱性好中球減少症のリスクが20%以上と予測される化学療法レジメンでは、G-CSFの一次予防投与が推奨されています。長時間作用型のペグフィルグラスチムは、1サイクルに1回の投与で効果が持続するため、通院回数の軽減にもつながります。

口内炎や皮膚障害への対症療法も進歩した

口内炎は食事摂取を妨げ、栄養状態の悪化を招きやすい副作用です。含嗽薬(うがい薬)による口腔ケアや、痛みに対するオピオイド含有マウスウォッシュの使用によって、症状の緩和が期待できます。

また、分子標的薬に伴う手足症候群や皮疹には、保湿剤やステロイド外用薬による早期介入が効果的です。副作用が現れてから対処するだけでなく、予防的にスキンケアを始めることで症状を軽く抑えられるケースが増えています。

代表的な支持療法

  • 制吐薬の三剤・四剤併用療法——吐き気を未然に防ぐ予防的アプローチ
  • G-CSF製剤の予防投与——好中球減少による感染症リスクを低減する
  • 含嗽薬・保湿剤による粘膜・皮膚ケア——口内炎や皮膚障害を軽減する

抗がん剤の副作用を少しでも軽くするために今日から始められる生活習慣

副作用の出方には体質的な要因だけでなく、日々の暮らし方も影響します。患者さん自身が取り組める工夫を積み重ねることで、治療中の体調管理が格段に楽になるでしょう。

食事・水分補給・睡眠で体の回復力を底上げする

治療期間中は食欲が落ちやすいため、食べられるときにたんぱく質を意識して摂取することが重要です。卵や豆腐、ヨーグルトなど消化に負担の少ない食品を中心に、少量ずつこまめに食べる方法が勧められます。

水分補給は腎臓からの薬物排出を助け、便秘の予防にもつながります。1日1.5リットルを目安に、常温の水や麦茶をこまめに飲むとよいでしょう。良質な睡眠も免疫機能の維持に欠かせません。寝る前のスマートフォン使用を控えるなど、睡眠環境を整える工夫も取り入れてみてください。

治療中に意識したい食事と生活のポイント

項目具体的な工夫期待できる効果
たんぱく質の摂取卵・魚・豆腐を毎食取り入れる筋肉量の維持、免疫力の維持
水分補給1日1.5L以上をこまめに飲む腎臓からの薬物排出を促す
睡眠の質の確保就寝1時間前からスマホを控える免疫機能の安定、倦怠感の軽減

無理のない運動が免疫力と筋肉量を維持する

治療中の運動は、かつて「安静にすべき」とされていましたが、現在では適度な身体活動が推奨されています。ウォーキングや軽いストレッチなど、息が上がらない程度の運動を続けることで、筋肉量の低下を防ぎ、倦怠感の軽減にもつながるとされています。

ただし、好中球が著しく低下しているときや発熱時には運動を控える必要があります。運動の可否やタイミングについては、必ず主治医と相談してから始めてください。

主治医との連携が副作用管理の鍵になる

副作用の症状は自己判断で我慢してしまう方が少なくありません。しかし、些細な症状であっても早めに伝えることで、制吐薬の追加や投与量の微調整など、対処の選択肢が広がります。

治療日誌をつけて症状の変化を記録する習慣は、診察時の情報共有をスムーズにしてくれます。「いつ」「どのような」「どの程度」の副作用が出たかをメモしておくだけで、医療チームはより的確な支持療法を組み立てられるでしょう。

よくある質問

抗がん剤の副作用が出にくい体質は遺伝子検査でわかりますか?

一部の抗がん剤については、薬物代謝酵素の遺伝子を調べることで副作用の出やすさを事前に評価できます。たとえばフルオロピリミジン系薬剤ではDPYD遺伝子、イリノテカンではUGT1A1遺伝子の検査が臨床で活用されています。

ただし、すべての抗がん剤に対応する遺伝子検査が確立されているわけではありません。検査の適用範囲や費用については、主治医に確認されることをお勧めします。

抗がん剤治療中にサルコペニアを予防する方法はありますか?

治療中のサルコペニア予防には、たんぱく質を中心とした栄養摂取と、無理のない範囲での運動習慣が有効とされています。卵や魚、大豆製品などを意識的に食事に取り入れ、ウォーキングや軽い筋力トレーニングを続けることが推奨されます。

体調の変化に合わせて運動強度を調整する必要がありますので、開始前に必ず担当医や理学療法士に相談してください。

抗がん剤による吐き気を抑える制吐薬にはどのような種類がありますか?

制吐薬には大きく分けて3つのカテゴリーがあります。5-HT3受容体拮抗薬(オンダンセトロン、パロノセトロンなど)、NK1受容体拮抗薬(アプレピタント、ホスアプレピタントなど)、そして副腎皮質ステロイド(デキサメタゾン)です。

これらを組み合わせた三剤併用療法が標準的に用いられており、さらにオランザピンを加えた四剤併用も広まっています。どの組み合わせが適しているかは使用する抗がん剤の催吐リスクに応じて異なるため、主治医の判断のもとで処方されます。

抗がん剤の副作用は治療を重ねるたびに強くなりますか?

副作用の出方は治療サイクルごとに異なり、必ずしも毎回悪化するとは限りません。骨髄抑制や倦怠感は繰り返しの治療で蓄積しやすい傾向がありますが、吐き気に関しては制吐薬の工夫で改善できる場合も少なくありません。

末梢神経障害(手足のしびれ)は累積投与量に依存しやすい副作用であり、早期に主治医へ報告することが大切です。症状の変化を感じたら我慢せず、すぐに相談してください。

抗がん剤治療を受ける前に患者自身が準備できることはありますか?

治療開始前に取り組めることとして、まず栄養状態の改善が挙げられます。たんぱく質やビタミンを十分に摂り、筋肉量を落とさないようにしておくと、治療中の体力維持に役立ちます。

加えて、禁煙と節酒は肝臓の代謝機能を守るうえで効果的です。口腔内の衛生管理(歯科受診)も、口内炎予防のために治療前に済ませておくとよいでしょう。不安なことがあれば、治療前の段階で主治医や看護師に遠慮なく質問してください。

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この記事を書いた人 Wrote this article

前田 祐助

前田 祐助 医学博士 / 医師

慶應義塾大学医学部大学院にて、がんの発生メカニズム(発癌機構)や、慢性炎症と腫瘍の関係性に関する基礎研究に従事し、医学博士号を取得。 特に、胃がんにおける炎症微小環境の解析や、細胞シグナル伝達(COX-2/PGE2経路など)による腫瘍形成の研究において実績を持つ。 現在は、大学病院や研究機関で培った「根拠(エビデンス)に基づく医療」の視点を活かし、疾患の早期発見や予防医療の啓発活動を行っている。 【保有資格・所属】 医学博士(慶應義塾大学)/ 医師免許 / 日本内科学会 / 日本医師会認定産業医