「要精密検査」の通知が届いたら|がんの可能性と次に行うべき検査のステップ

「要精密検査」の通知が届いたら|がんの可能性と次に行うべき検査のステップ

「要精密検査」の通知が届いたら、通知に記された検診項目と受診先の案内を読み、精密検査を受ける医療機関へ予約を入れましょう。これは、がんの確定ではなく、がんかどうかを詳しく調べる必要があるという知らせです。

精密検査の結果、がんと分かる人は一部にとどまり、その割合は臓器や検診の方法で変わります。症状がなくても、通知で指定された検査は受けておくと安心です。

この記事では、通知を受け取った後の動き方、検診別に受ける検査、がんが見つかる割合の受け止め方、精密検査の結果に応じた次の行動を解説します。

要精密検査の通知が届いたら、案内を読んで予約する

まず通知の内容を読み、受ける医療機関を決めて予約します。受診時には書類を持参してください。検診を受けた場所と精密検査を受ける場所が同じとは限らないため、通知にある受診方法が出発点になります。

通知の検診項目と受診案内を読む

まず見るのは、どの臓器について、どの検査で異常を指摘されたかです。複数の検診を同時に受けていても、精密検査の対象は結果票に書かれた項目ごとに決まります。

通知の中で受診時期や連絡先が指定されていれば、その案内に沿って手続きを進めます。同封されている紹介状は、検診の結果や精密検査を依頼する理由を受診先へ伝える書類です。

たとえば、帰宅後に封筒を開き、「要精密検査」の文字だけが気になって次の行動が浮かばないなら、受診先と予約方法の欄から読み進めましょう。行き先の記載が見つからないときは、通知を出した検診機関が問い合わせ先になります。

通知の案内に沿って医療機関へ連絡する

予約の際は「がん検診で要精密検査になった」と伝え、検診の種類と紹介状の有無を知らせます。初回は診察だけを行い、その後に検査日を決める医療機関もあるため、予約日がそのまま検査日になるとは限りません。

順番行う内容使う書類・情報
通知を読む対象の臓器と受診方法を把握結果票、同封の案内
受ける場所を決める案内にある精密検査の受診先へ連絡検診名、指摘された内容
予約する初回の診察日と検査前の準備を把握紹介状の有無、服用中の薬
受診する診察で検診結果を示し、検査の説明を受ける結果票、紹介状、お薬手帳

紹介状を作る手続きが必要なら、検診機関から受診先へ送付するのか、本人が受け取って持参するのかも予約時に分かると準備が進みます。

結果票を持参し、準備は検査ごとの指示に従う

精密検査を受ける医療機関の初回の診察には、今回の結果票と紹介状を持参します。以前の同じ検診の結果があれば、前からある変化なのか、新たに見つかった変化なのかを比べる手がかりです。

食事の制限や薬の扱いは、予約された検査によって変わります。とくに、血液を固まりにくくする薬や糖尿病の薬を使っている場合は、検査を受ける医療機関へ事前に伝えておく必要があります。

自己判断で薬を中止せず、食事や服薬については受診先の指示に従ってください。

要精密検査は、がんを確かめるための判定

要精密検査となった人のうち、がんが見つかるのは一部です。どのくらい見つかるかは臓器や検診方法で変わり、通知の言葉だけから本人の確率を決めることはできません。

異常の疑いと、がんの診断を分けて受け止める

検診は、症状のない人の中から、詳しい検査が必要な人を見つけるために行われます。便に目に見えない量の血液が混じった、乳房の撮影で詳しく調べたい部分があった、という段階でも精密検査の対象です。

精密検査では、がんに限らず、炎症や良性の変化も含めて異常の理由を調べます。検診で引っかかった原因が分かるまでは、追加の検査や過去の結果との比較が必要になることがあります。

がんが見つかる割合は検診の方法で変わる

日本の1地域で胃がん検診を受けた内視鏡61,658人、X線73,653人のデータでは、陽性と判定された中で限局した胃がんが見つかった割合は、それぞれ27.4%、2.2%でした1)。限局した胃がんとは、がんが胃の中にとどまっている状態を指します。

一方、米国で肺がんの危険性が高い喫煙歴のある人を対象に行われた低線量CT検診では、陽性とされた結果の96.4%が、詳しく調べると肺がんではありませんでした2)。低線量CTは、放射線の量を抑えて胸の断面を撮影する検査です。

これらの数字から読み取れるのは、検診の方法や対象者が変わると、陽性の後にがんが見つかる割合も変わるという点です。日本で受け取った通知についても、ほかの臓器や海外の数字を本人の確率に置き換えず、指摘された部分を精密検査で確かめます。

通知の強い言葉だけでは進み具合は分からない

「がんの疑い」という記載があった段階では、がんの大きさや進み具合も、これから調べる内容です。どこにどのような変化があるかを、通知と実際の精密検査の結果を合わせて判断します。

次に必要なのは、検査の予約を具体的に進めることです。受診時期の指示がある場合はそれを優先し、指定がなくても、なるべく早く精密検査を受けられるよう受診先へ連絡します。

胃・大腸・肺・乳房・子宮頸部で次の検査が異なる

次に受ける精密検査は、検診で指摘された臓器と異常の内容に応じて決まります。検査名と診療科の対応を把握したうえで、実際の受診先は通知に記された案内に沿って決めます。

胃と大腸は内視鏡で内側を調べる

胃の精密検査では、口や鼻から細いカメラを入れる胃内視鏡で、胃の内側の粘膜を観察します。大腸では、肛門からカメラを入れる全大腸内視鏡で、大腸の内部を調べるのが基本です。

検診の種類主な精密検査受診する診療科の目安
胃がん胃内視鏡、必要に応じて組織を採る検査消化器内科など
大腸がん全大腸内視鏡消化器内科など
肺がん胸部CT、必要に応じて気管支鏡など呼吸器内科など
乳がん診断のためのマンモグラフィ、超音波、必要に応じて細胞や組織を採る検査乳腺外科・乳腺外来
子宮頸がんコルポスコピー、必要な部位の組織を採る検査精密検査に対応する婦人科

実際に受ける検査は、表にある検査をすべて組み合わせるわけではなく、すでに行った検査や指摘された変化に応じて選ばれます。胃内視鏡の検診で組織を採っている場合は、その結果を受けてから次の対応が決まることもあります。

大腸内視鏡では、粘膜が見えるように、検査前の食事調整や腸の中を空にする薬が必要です。便潜血検査のやり直しは、精密検査の代わりにはなりません。陰性になっても、最初に陽性となった理由を確かめられないためです。

肺はCT、乳房は撮影や超音波で詳しく見る

肺の精密検査では、胸部CTで胸の断面を撮影し、検診で指摘された影の位置や形を詳しく調べます。気管支鏡は口などから細いカメラを入れ、肺へ空気を運ぶ通り道を観察したり、組織を採ったりする検査です。

痰の中の細胞を調べる喀痰細胞診で異常があった場合は、胸の撮影で目立つ影がなくても、気管支鏡などが必要になることがあります。どの検査で異常が出たかによって、精密検査で探す場所も変わるためです。

乳房では、乳房専用のX線撮影であるマンモグラフィや、音波で内部を見る超音波検査を使います。詳しく調べた部分に必要な所見があれば、針などで細胞や組織を採り、性質を調べます。

子宮頸部は拡大して観察し、必要な部分を採る

子宮の入り口にあたる子宮頸部の精密検査では、コルポスコピーという拡大して見る器具で、変化のある部分を観察します。必要に応じて小さな組織を採り、細胞の並び方などを詳しく調べる流れです。

子宮頸がんに関わるウイルスを調べるHPV検査を受けた場合は、感染の有無と細胞の変化を合わせて、その後の検査が決まります。HPV陽性後の予定された再検査と、「要精密検査」の指示は区別し、通知に書かれた検査と時期に従う必要があります。

精密検査では、指摘された異常の理由を詳しく調べる

検診で見つかった疑わしい部分について、精密検査では場所や性質を絞って調べます。検査が増えるかどうかは、最初の検査だけで判断に必要な情報がそろうかによって変わります。

検診と精密検査は調べる目的が違う

検診では詳しく調べる必要がある人を見つけ、精密検査では指摘された異常について、病気の有無を判断します。同じ臓器を調べていても、検診で見えた変化を絞って観察する点が異なります。

比較する点検診精密検査
目的詳しく調べる必要がある人を見つける指摘された異常について病気の有無を判断する
調べる範囲対象の臓器について決められた方法で調べる異常の場所や性質に合わせて詳しく調べる
大腸の例便に混じった少量の血液を調べる内視鏡で粘膜を観察し、必要な部分を採る

精密検査を受ける医療機関に結果票が必要なのは、どの異常を詳しく調べるのかを共有するためです。症状だけを伝えるより、検診の記録がそろっているほうが、追加で必要な検査を判断しやすくなります。

詳しく見る検査から、必要な部分を採る検査へ進む

内視鏡や超音波などで異常が疑われる部分を詳しく見た後、必要に応じて、その一部を採って調べます。小さな組織を採る検査は生検と呼ばれ、採った組織は顕微鏡で調べるための材料です。

検査の説明では、何を調べるかに加えて、体への負担と検査後の注意も示されます。観察だけで終わる場合と組織を採る場合では、出血などへの注意や当日の過ごし方が変わるため、予定されている内容を把握しておくと準備ができます。

検査を受けた後は結果説明まで予定に入れる

精密検査は、受けて終わりではなく、結果を聞いて次の対応を決めるところまでが必要です。検査当日に分かる内容と、採った組織を調べてから分かる内容があるため、結果説明の方法も検査によって変わります。

検査後に押さえるのは、結果をいつ、どの方法で聞くかです。大切なのは、結果説明の予約と連絡方法です。連絡がなければ異常なしと受け取るのではなく、決められた方法で結果を受け取ります。

がんが見つかった場合は、結果説明で今後を担当する診療科や紹介先を把握し、必要な追加検査と治療の説明を受ける日程へ進みます。

症状がなくても要精密検査になる理由

痛みや出血に気づいていなくても、検査で分かる小さな変化があれば精密検査が勧められます。体調がよいと感じている人でも、臓器に調べるべき変化があるかどうかは、検診結果に応じて判断する必要があります。

自分では気づかない変化を検診が捉える

検診では、日常生活で感じられる症状が出る前の変化を調べます。目に見える出血がなくても便の検査に反応したり、触れて分かるしこりがなくても乳房の撮影で変化が見えたりします。

  • 自覚できない出血 … 便に混じる少量の血液
  • 撮影で分かる変化 … 胸や乳房の撮影で見つかった疑わしい部分
  • 細胞の変化 … 子宮頸部から採った細胞で見つかった異常

これらの変化にはがん以外の原因もあるため、通知だけで原因を決めず、対象の臓器に合った精密検査へ進みます。

症状が出る前のがんや、がんになる前の変化もある

ノルウェーの大腸がん検診でがんが見つかった200人のうち120人、60%には症状がなく、進行した腺腫が見つかった1,700人のうち1,301人、76.5%にも症状がありませんでした3)。腺腫は大腸の粘膜にできる腫瘍の一種で、がんに変わるものがあり、進行した腺腫は大きさや細胞の変化などから注意を要するものを指します。

日本で精密検査を受ける際にも、症状がないという理由だけで検査を省かず、通知で指定された異常を調べるという判断に役立ちます。食欲や便通が普段どおりでも、それだけでは粘膜や細胞の変化までは分かりません。

予約後に症状が出たら、受診先へ伝える

精密検査を待っている間に新しい症状が出た場合は、その内容も受診時期を決める情報になります。血便や血の混じる痰などに気づいたら、いつから、どの程度続いているかを精密検査の受診先へ連絡してください。

大量の出血、強い息苦しさ、意識が遠のく状態があるときは、予約日を待たず救急受診が必要です。普段の検診後の予約と、その時点で起きている症状への対応は分けて進めます。

精密検査で異常なしでも、次回の受診予定を決める

異常なしという結果を受けた後も、次の検診や経過をみる検査の予定を決めます。今回調べた範囲で異常が認められなかったという結果を、今後ずっと検査が不要という意味には広げません。

「異常なし」がどの検査の結果かを把握する

結果を聞く際は、どの臓器をどの方法で調べて異常がなかったのかを把握します。複数の検査を受けた場合は、説明された結果と、まだ結果が出ていない検査を分けて受け取りましょう。

たとえば、内視鏡で見た範囲に目立つ異常がなくても、採った組織の結果説明が後日予定されていれば、その説明まで受けます。検査の途中までの説明は、すべての検査の最終結果とは別のものです。

検診に戻るのか、診療として経過をみるのか

次の検査までの間隔は、受けた検査の種類と本人の病歴などによって決まります。通常の検診へ戻る場合と、特定の変化を診療として経過観察する場合があり、経過観察とは、決めた時期に再び調べて変化を追う対応です。

  • 今回の結果 … 異常がなかった範囲と、残っている検査結果
  • 次の受診 … 通常の検診か、医療機関での経過観察か
  • 検査の時期と方法 … いつ、何の検査を受けるか
  • 予定前に症状が出たときの連絡先 … 精密検査を受けた医療機関など

とくに、病変を取った経験や家族の病歴がある場合は、一般の検診間隔を自己判断で当てはめず、結果説明で示された予定を優先します。胃内視鏡で異常がなかった後も、年齢が上がるにつれて胃がんが生じる危険性は高まるため、年齢も次の検診を決める際の判断材料です。

結果票を保管し、新たな症状は診療で扱う

精密検査の結果票は、次回の検診で過去の変化と比べるための記録になります。今回の検査日と結果、次回の予定が分かる形でまとめて保管しておくと、別の医療機関を受診する際にも伝えやすくなります。

ただし、異常なしと言われた後でも、新たな出血やしこりなどが出たときは、次回の検診を待たず診療として受診してください。以前の結果は大切な情報ですが、新たな症状については、その時点の体の状態を改めて調べる必要があります。

がん以外の病気が見つかったら、治療か経過観察へ進む

精密検査では、炎症や良性の病変が見つかることもあります。がんではないという結果に加えて、その病変に治療が必要か、定期的に調べる必要があるかまでが次の判断です。

良性の病変も、種類によって対応が変わる

良性とは、がんのように周囲へ入り込んだり、離れた場所に広がったりする性質を持たないという意味です。症状を起こす病変や、将来がんに変わるおそれがある病変では、治療や経過観察の対象になります。

見つかることのある病変どのような変化かその後の主な対応
大腸の腺腫粘膜の腫瘍で、がんに変わるものがある大きさや性質に応じて切除し、その後の検査を設定
大腸の憩室腸の壁の一部が外へ袋状に出た状態出血や炎症の有無に応じて対応を決定
胃炎胃の内側の粘膜に起きた炎症原因や症状に応じて治療を検討
乳房の嚢胞液体がたまった袋状の変化性質や症状に応じて経過観察などを選択

病変が見つかっても、それだけで今回の検診の異常をすべて説明できるとは限らないため、予定された精密検査をどこまで終えたかも結果説明で整理されます。

ポリープは名前だけで性質を決められない

ポリープは粘膜から盛り上がった形を表す言葉で、その名前だけでは、がんか良性かは決まりません。大腸の腺腫のように、がんになる前の段階で取ることが検討される病変も含まれます。

内視鏡の際に病変を取った場合は、採った組織を調べた結果と、取り切れたかどうかを踏まえて、その後の検査を決める流れです。取る予定がある場合と観察を続ける場合では、次回の受診で行う内容も異なります。

説明後に残すのは病名と次の予定

結果説明を受けた後は、病名だけでなく、薬を使うのか、病変を取るのか、経過をみるのかを整理します。がんではなかったという安心と、その後も対応が必要かどうかは、分けて把握しておくと予定が途切れにくくなります。

次の検査日が決まっていない場合は、精密検査を受けた医療機関で、誰がいつ予約するのかまで確かめましょう。治療や経過観察を別の医療機関へ引き継ぐときは、結果を伝える書類もその受診に使います。

よくある質問

紹介状が手元になくても予約できますか?

紹介状がなくても予約できるかは、精密検査を受ける医療機関の受付方法によります。まず通知の案内を読み、受診先へ「結果票はあるが紹介状はない」と伝えれば、予約に必要な書類が分かります。

紹介状が必要と言われた場合は、通知を出した検診機関へ発行を依頼します。かかりつけ医からの紹介が必要かどうかも、受診先で指定された方法に沿って進めます。

症状がなくても、便の検査をやり直さず大腸内視鏡を受けるのですか?

便潜血検査で要精密検査になった場合は、症状がなくても、全大腸内視鏡による精密検査を受けるのが基本です。血液は毎回同じように便へ混じるとは限らないため、便の検査のやり直しでは最初の陽性を評価できません。

以前に内視鏡を受けている場合は、その日付と結果を消化器の診療科へ持参し、今回どのように調べるかの判断に使います。

複数のがん検診で要精密検査になったら、1か所だけ受ければよいですか?

精密検査は、指摘された臓器ごとに必要です。1つの臓器で異常がなかったという結果は、別の臓器の要精密検査を済ませた結果にはなりません。

予約先にはほかにも要精密検査の項目があると伝え、それぞれの受診日と担当の診療科を整理します。通知に急いで受診するよう指示された項目や症状がある場合は、その情報も予約時に伝えてください。

精密検査で異常なしなら、次の検診は受けなくてもよいですか?

異常なしの後も、示された時期に次の検診や経過をみる検査を受けます。いつ何の検査を受けるかが説明されていなければ、精密検査を受けた医療機関に、通常の検診へ戻るのか、診療として通院を続けるのかを尋ねましょう。

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この記事を書いた人 Wrote this article

前田 祐助

前田 祐助 医学博士 / 医師

慶應義塾大学医学部大学院にて、がんの発生メカニズム(発癌機構)や、慢性炎症と腫瘍の関係性に関する基礎研究に従事し、医学博士号を取得。 特に、胃がんにおける炎症微小環境の解析や、細胞シグナル伝達(COX-2/PGE2経路など)による腫瘍形成の研究において実績を持つ。 現在は、大学病院や研究機関で培った「根拠(エビデンス)に基づく医療」の視点を活かし、疾患の早期発見や予防医療の啓発活動を行っている。 【保有資格・所属】 医学博士(慶應義塾大学)/ 医師免許 / 日本内科学会 / 日本医師会認定産業医