
がんの転移が確認されたにもかかわらず、もともとのがん(原発巣)がどこにも見つからない。そんな状況に直面した患者さんやご家族は、大きな不安を感じることでしょう。
原発不明がんは全悪性腫瘍の1〜3%を占める疾患であり、標準的な検査を行っても原発巣を特定できないことが大きな特徴です。治療の柱はプラチナ製剤を中心とした薬物療法ですが、近年は遺伝子解析に基づく分子標的治療や免疫療法の有効性も報告されています。
この記事では、原発不明がんの診断から薬物療法の選択肢まで、現在わかっていることを丁寧に解説します。治療方針に悩む方がご自身の状況を整理し、主治医との対話に役立てていただけるよう願っています。
- 1. 原発不明がんとは何か|原発巣が見つからないまま転移だけが先に見つかるがん
- 2. 原発不明がんの診断に必要な検査|画像診断・病理検査・遺伝子検査で原因を絞り込む
- 3. 原発不明がんの予後グループ分類|「予後良好群」と「予後不良群」で治療方針が変わる
- 4. 原発不明がんの薬物療法|プラチナ製剤を軸にした経験的化学療法の実際
- 5. 原発不明がんに対する免疫チェックポイント阻害薬の効果|ニボルマブやペムブロリズマブへの期待
- 6. 分子標的治療と遺伝子解析に基づく個別化医療|CUPISCO試験が切り拓いた新しい治療の地平
- 7. 原発不明がんの治療を受ける際に大切にしたい考え方|主治医との信頼関係と情報整理のコツ
- 8. よくある質問
原発不明がんとは何か|原発巣が見つからないまま転移だけが先に見つかるがん
原発不明がん(CUP:Cancer of Unknown Primary)とは、病理検査で転移性のがんと確定されたものの、全身をくまなく調べても「がんが始まった場所=原発巣」を突き止められない疾患群を指します。がん全体のおよそ1〜3%がこの診断を受けるとされています。
転移巣だけが見つかる不思議な病態
通常のがんでは、たとえば肺がんや大腸がんのように原発巣が画像検査で明らかになり、その情報をもとに治療計画を立てます。しかし原発不明がんの場合、CT検査やMRI検査、PET-CT検査などを組み合わせても原発巣を見つけられません。
原発巣が見つからない理由はいくつか考えられています。原発巣がごく小さいまま転移だけが急速に広がるケースや、免疫の働きにより原発巣が自然退縮したケースなどが指摘されています。
原発不明がんの頻度と患者さんの背景
原発不明がんの診断を受ける方は年々減少傾向にあるといわれていますが、その理由のひとつに画像診断技術の進歩があります。以前なら「不明」だった症例でも、PET-CTや高精度MRIで原発巣が見つかるようになったためです。
それでもなお1〜3%程度の症例では原発巣を特定できず、治療方針の決定が難しくなります。患者さんの年齢層は比較的高齢者に多い傾向がありますが、若年でも発症する可能性はあります。
| 特徴 | 原発不明がん | 一般的な転移がん |
|---|---|---|
| 原発巣 | 特定できない | 特定可能 |
| 頻度 | 全がんの1〜3% | 残りの97〜99% |
| 治療方針 | 経験的化学療法または分子標的治療 | 原発巣に基づく標準治療 |
「原発不明」の診断がつくまでの心理的負担
がんの「正体」がわからないという状況は、患者さんにとって非常に大きなストレスです。「どこのがんかわからないのに治療できるのか」という不安を感じるのは当然のことでしょう。
しかし近年の研究により、原発巣を特定できなくても有効な治療を届けられる可能性が広がっています。大切なのは、担当医と十分に話し合い、自分の病態に合った治療を選ぶことです。
原発不明がんの診断に必要な検査|画像診断・病理検査・遺伝子検査で原因を絞り込む
原発不明がんの診断においては、画像検査と病理検査を柱として系統的に原発巣の候補を絞り込み、さらに遺伝子検査を加えて組織型の推定精度を高めることが基本方針となります。
画像検査で全身のがんの広がりを把握する
診断の第一歩は、造影CT検査で頸部・胸部・腹部・骨盤部をくまなく撮影し、がんがどこにどれだけ広がっているかを確認することです。ESMOの診療ガイドラインでもCT検査は必須とされています。
さらに情報を補うために、PET-CT検査がしばしば追加されます。PET-CT検査はブドウ糖の取り込みが盛んな組織を検出するため、CT検査だけでは見つけにくい小さな病変の発見に貢献する場合があります。
病理検査と免疫組織化学染色による組織型の推定
転移巣から組織を採取して行う病理検査は、原発不明がんの診断で最も重要な手がかりを提供します。まずヘマトキシリン・エオジン(HE)染色で基本的な組織像を観察し、腺がんなのか扁平上皮がんなのか、あるいは低分化がんなのかを判定します。
そのうえで免疫組織化学染色(IHC)を追加し、特定の臓器由来を示すマーカーの発現パターンから原発巣の候補を推定します。たとえば甲状腺由来を疑わせるTTF-1、消化管由来を示唆するCDX2、婦人科腫瘍を示すPAX8などのマーカーが代表的です。
遺伝子プロファイリングで原発巣を推定する時代に
近年は、腫瘍組織の遺伝子発現パターンを解析して原発巣を推定する技術が進んでいます。遺伝子発現プロファイリング(GEP)と呼ばれる手法は、数十〜数百の遺伝子の発現量を調べ、既知のがん種のパターンと照合することで「このがんは肺由来の可能性が高い」といった推定を行います。
ただし、推定された原発巣に基づく治療が経験的化学療法よりも優れているかどうかは、長らく議論が続いてきました。2024年に報告されたCUPISCO試験やFudan CUP-001試験の結果により、この分野は大きく動き始めています。
| 検査法 | 目的 | 特徴 |
|---|---|---|
| 造影CT | 全身の転移巣を評価 | ESMOガイドラインで必須 |
| PET-CT | 小さな病変の検出 | 頭頸部がんの検索に有用 |
| 免疫組織化学染色 | 臓器マーカーの確認 | 原発巣候補の絞り込み |
| 遺伝子発現解析 | 原発巣の推定 | 精度向上中だが限界もある |
原発不明がんの予後グループ分類|「予後良好群」と「予後不良群」で治療方針が変わる
原発不明がんは一括りに語れない多様な疾患であり、臨床的・病理学的な特徴によって予後良好群と予後不良群に分けられます。この分類が治療方針を大きく左右するため、正確な評価が求められます。
全体の約20%に当たる予後良好群の特徴
予後良好群とは、特定の臨床的・病理学的な特徴を持ち、対応する既知のがん種と同様の治療で良好な経過が期待できるグループです。全体の15〜20%程度がこのカテゴリーに入ります。
代表的な例として、女性の腹膜がん(卵巣がんと類似の治療が有効)、女性の腋窩リンパ節転移のみの腺がん(乳がんの治療プロトコルが適用可能)、頸部リンパ節の扁平上皮がん(頭頸部がんとして治療)、若年男性の性腺外胚細胞腫瘍に類似した低分化がんなどが挙げられます。
大多数を占める予後不良群の厳しい現実
原発不明がん患者さんの約80%は予後不良群に分類されます。このグループには上記の予後良好群に該当しない症例が含まれ、肝臓・肺・骨など複数の臓器に転移がある腺がんが典型的です。
予後不良群の中央生存期間は6〜12か月程度とされ、標準的なプラチナ製剤を用いた化学療法でも十分な効果を得られないことが少なくありません。そのため新たな治療戦略への期待が高まっています。
| 分類 | 割合 | 中央生存期間 |
|---|---|---|
| 予後良好群 | 約15〜20% | 1〜3年以上 |
| 予後不良群 | 約80〜85% | 6〜12か月 |
予後を左右するリスク因子を知っておく
ESMOのガイドラインでは、全身状態(ECOG PS)と血清LDH値を組み合わせたリスクスコアが予後評価に推奨されています。全身状態が良好で、LDH値が正常範囲内の場合は比較的良好な経過をたどることが多いとされています。
逆に、全身状態が低下しLDH値が高い場合は予後が厳しくなる傾向があります。治療方針を決める際には、こうしたリスク因子も含めて総合的に判断されます。
原発不明がんの薬物療法|プラチナ製剤を軸にした経験的化学療法の実際
原発不明がんの薬物療法では、シスプラチンやカルボプラチンなどのプラチナ製剤を軸とした化学療法が長年にわたり標準治療とされてきました。奏効率は10〜40%で、完全な治癒は難しいものの、一定の症状緩和と生存期間の延長が期待できます。
シスプラチン+ゲムシタビン併用療法が代表的レジメン
予後不良群の原発不明がんに対する一次治療として、シスプラチンとゲムシタビンの併用療法が広く用いられています。この組み合わせは複数の臨床試験で評価されており、比較的忍容性が高いことが知られています。
カルボプラチンとパクリタキセルの併用も選択肢のひとつであり、患者さんの全身状態や臓器機能に応じて使い分けられます。いずれのレジメンも約3〜6サイクルの投与が一般的です。
化学療法の効果が限定的である理由
原発不明がんに対する経験的化学療法の効果は、原発巣がわかっているがんの治療成績と比較するとやや限定的です。その背景には、原発巣に応じたレジメンを選択できないという根本的な問題があります。
仮に原発巣が腎臓だった場合、腎がんは従来の殺細胞性抗がん剤への反応が乏しいため、プラチナ製剤ベースの治療では十分な効果が得られないかもしれません。このような「見えない原発巣」とのミスマッチが、治療効果を制限する一因と考えられています。
支持療法と生活の質を守る工夫
化学療法中は、吐き気や倦怠感、骨髄抑制などの副作用が生じることがあります。制吐薬やG-CSF製剤(白血球を増やす注射)を適切に使い、副作用をコントロールしながら治療を続けることが大切です。
がんによる痛みや食欲低下がある場合は、緩和ケアチームと連携して生活の質を維持する工夫も並行して行われます。治療の目的を「延命」だけでなく「毎日の暮らしを少しでも楽にする」という視点で捉えることが、患者さんにとって心の支えになるでしょう。
| 化学療法レジメン | 主な薬剤 | 期待される奏効率 |
|---|---|---|
| GP療法 | シスプラチン+ゲムシタビン | 約20〜30% |
| TC療法 | カルボプラチン+パクリタキセル | 約25〜40% |
| TCE療法 | パクリタキセル+カルボプラチン+エトポシド | 約40〜50% |
原発不明がんに対する免疫チェックポイント阻害薬の効果|ニボルマブやペムブロリズマブへの期待
免疫チェックポイント阻害薬(ICI)は、患者さん自身の免疫力を利用してがん細胞を攻撃する治療法であり、原発不明がんに対しても一定の効果が複数の臨床試験で確認されています。とりわけニボルマブとペムブロリズマブの報告が注目を集めています。
ニボルマブの第II相試験が示した有効性
日本で実施されたNivoCUP試験は、既治療の原発不明がん患者45名を対象にニボルマブの有効性を評価した第II相試験です。主要評価項目の奏効率は22.2%に達し、全生存期間の中央値は15.9か月と良好な結果が得られました。
特に注目すべきは、PD-L1発現が高い腫瘍や腫瘍遺伝子変異量(TMB)が高い腫瘍、マイクロサテライト不安定性が高い(MSI-High)腫瘍で、より顕著な効果が見られた点です。一方で、推定される原発巣の種類による効果の差は認められませんでした。
- ニボルマブ:抗PD-1抗体として免疫のブレーキを解除
- ペムブロリズマブ:同じく抗PD-1抗体で、TMB高値やMSI-High固形がんに承認
- イピリムマブ:抗CTLA-4抗体として併用療法で検討
ペムブロリズマブの第II相試験でも有望な結果
米国MDアンダーソンがんセンターで実施された第II相試験では、既治療の原発不明がん患者29名に対してペムブロリズマブが投与されました。27週時点の病勢コントロール率は28%、奏効率は20%であり、一部の患者さんでは12か月以上にわたる持続的な効果も確認されています。
こうした結果は、原発不明がんの一部が免疫療法に反応しやすい特性を持つことを示唆しています。今後、どのような患者さんが免疫療法の恩恵を受けやすいのか、バイオマーカー研究のさらなる進展が待たれるところです。
免疫療法の適応を見極めるバイオマーカー
免疫チェックポイント阻害薬が効きやすいかどうかを予測するバイオマーカーとして、TMB(腫瘍遺伝子変異量)、MSI(マイクロサテライト不安定性)、PD-L1発現量の3つが主に注目されています。
原発不明がんの約10〜20%はTMBが高いとされ、このグループは免疫チェックポイント阻害薬への反応が良好である傾向が報告されています。
米国FDAではTMB高値やMSI-Highの固形がんに対してペムブロリズマブを承認しており、原発不明がんもこの枠組みの対象となり得ます。
| バイオマーカー | 意味 | 免疫療法への関連 |
|---|---|---|
| TMB | 腫瘍遺伝子変異の総量 | 高値で効果が高い傾向 |
| MSI | DNA修復異常の指標 | MSI-Highは免疫療法に感受性 |
| PD-L1 | 免疫回避に関わるたんぱく質 | 高発現で効果が期待される |
分子標的治療と遺伝子解析に基づく個別化医療|CUPISCO試験が切り拓いた新しい治療の地平
遺伝子解析技術の進歩により、原発不明がんの治療は「原発巣がわからないから画一的な化学療法を行う」時代から、「遺伝子異常に基づいて個別に薬剤を選ぶ」時代へと移り変わりつつあります。その転換点となったのが2024年に発表されたCUPISCO試験です。
CUPISCO試験の画期的な結果
CUPISCO試験は、34か国159施設で実施された大規模な第II相ランダム化比較試験です。新規に診断された予後不良の原発不明がん患者に対し、包括的ゲノムプロファイリング(CGP)に基づく分子標的治療の有効性を、標準的なプラチナ製剤化学療法と比較しました。
その結果、分子標的治療群の無増悪生存期間の中央値は6.1か月であったのに対し、化学療法群では4.4か月にとどまりました。ハザード比は0.72で、統計的に有意な改善が認められています。
包括的ゲノムプロファイリングが変える治療選択
包括的ゲノムプロファイリング(CGP)とは、数百の遺伝子を一度に調べる検査で、治療対象となる遺伝子異常を効率よく見つけ出す手法です。原発不明がんの約3分の1に治療標的となる遺伝子変異が見つかるとの報告があります。
CUPISCO試験では、治療標的が見つかった患者さんに対して、BRAF阻害薬やFGFR阻害薬などの分子標的薬が投与されました。治療標的が見つからなかった患者さんにはアテゾリズマブ(免疫チェックポイント阻害薬)と化学療法の併用が行われています。
組織検体だけでなく血液検体でもゲノム解析が可能に
CUPISCO試験では、腫瘍組織からの検体だけでなく、血液中を循環する腫瘍DNA(ctDNA)を用いたリキッドバイオプシーでもゲノムプロファイリングが実施されました。組織検体と同等の信頼性が確認されたことは、臨床的に大きな意味を持ちます。
原発不明がんでは、転移巣からの生検で十分な組織量が得られないことが珍しくありません。そうした場合にリキッドバイオプシーが代替手段となり得るため、より多くの患者さんが個別化医療の恩恵を受けられる可能性が広がっています。
| 比較項目 | 分子標的治療群 | 化学療法群 |
|---|---|---|
| 無増悪生存期間(中央値) | 6.1か月 | 4.4か月 |
| 全生存期間(中央値) | 14.7か月 | 11.0か月 |
| ハザード比(PFS) | 0.72(有意差あり) | |
原発不明がんの治療を受ける際に大切にしたい考え方|主治医との信頼関係と情報整理のコツ
原発不明がんという診断を受けた患者さんが治療に前向きに取り組むためには、正確な情報の整理と主治医との信頼関係の構築が欠かせません。治療を受けるうえで意識しておきたいポイントを整理していきます。
セカンドオピニオンを躊躇しなくていい
- がん専門病院やがんゲノム医療中核拠点病院への相談
- 病理診断の再評価(別の病理医による確認)
- 包括的ゲノムプロファイリングの実施可否の確認
自分の病態を正しく把握するために整理したい情報
診察のたびに伝えたいことをメモしておくと、限られた診療時間を有効に使えます。病理検査の結果(がんの組織型)、転移の部位と数、全身状態(日常生活の自立度)、血液検査の値(LDHなど)といった情報を手帳やノートにまとめておくとよいでしょう。
これらの情報は、治療方針の決定に直結する要素です。患者さん自身が自分の状況を理解していると、主治医との対話がスムーズになります。
治療の目標を主治医と共有する
原発不明がんの治療では、がんを完全に取り除くことが難しい場合も多くあります。そのため「治療で何を目指すのか」を主治医と率直に話し合うことが大切です。
延命を重視するのか、痛みや症状の緩和を優先するのか、あるいは可能な限り積極的な治療を試みるのか。患者さんの価値観や生活状況に応じた目標設定が、納得のいく治療につながります。
よくある質問
原発不明がんはどのような検査で診断されますか?
原発不明がんの診断には、造影CT検査やPET-CT検査などの画像検査に加え、転移巣から採取した組織の病理検査が用いられます。免疫組織化学染色で臓器マーカーの発現を調べ、原発巣の候補を絞り込んでいきます。
こうした検査を重ねても原発巣が特定できない場合に「原発不明がん」と診断されます。近年は遺伝子発現プロファイリングも原発巣推定の補助ツールとして活用される場面が増えています。
原発不明がんに対してプラチナ製剤の化学療法はどの程度効果がありますか?
原発不明がんに対するプラチナ製剤ベースの化学療法では、奏効率が10〜40%程度とされています。完全な治癒に至るケースは少ないものの、症状の緩和や生存期間の延長に寄与する場合があります。
化学療法の効果は患者さんの全身状態やがんの組織型によって異なるため、個々の病態に応じたレジメンの選択が重要です。主治医と相談しながら治療計画を立てていくことをお勧めします。
原発不明がんに対する免疫チェックポイント阻害薬はどのような患者さんに適していますか?
免疫チェックポイント阻害薬は、腫瘍遺伝子変異量(TMB)が高い方やマイクロサテライト不安定性(MSI-High)を示す方で特に効果が期待されています。原発不明がんの約10〜20%がTMB高値に該当するとの報告があります。
ただし、これらのバイオマーカーが陰性であっても効果が得られるケースもあるため、免疫療法の適応については担当医と十分にご相談ください。臨床試験では、バイオマーカーの有無にかかわらず一定の効果が確認されています。
原発不明がんの遺伝子検査はどの医療機関で受けられますか?
原発不明がんに対する包括的ゲノムプロファイリング(CGP)は、がんゲノム医療中核拠点病院や連携病院で受けることができます。日本では「がん遺伝子パネル検査」として実施されており、標準治療がない場合や治療に行き詰まった場合に検討されます。
検査の結果はエキスパートパネル(専門家会議)で評価され、治療標的となる遺伝子変異があるかどうかが判定されます。主治医に相談のうえ、適切な医療機関を紹介してもらうことが第一歩となるでしょう。
原発不明がんの予後良好群と予後不良群はどのように区別されますか?
原発不明がんの予後グループは、臨床症状や転移の分布、病理組織型に基づいて分類されます。たとえば、女性の腹膜がんや頸部リンパ節転移のみの扁平上皮がんなどは予後良好群に分類され、該当する既知のがんに準じた治療が行われます。
一方、複数臓器に広がる腺がんのように特定の予後良好サブタイプに当てはまらない場合は予後不良群と判定されます。全身状態やLDH値などのリスク因子も加味して、治療方針が総合的に判断されます。
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この記事を書いた人 Wrote this article
前田 祐助 医学博士 / 医師
慶應義塾大学医学部大学院にて、がんの発生メカニズム(発癌機構)や、慢性炎症と腫瘍の関係性に関する基礎研究に従事し、医学博士号を取得。 特に、胃がんにおける炎症微小環境の解析や、細胞シグナル伝達(COX-2/PGE2経路など)による腫瘍形成の研究において実績を持つ。 現在は、大学病院や研究機関で培った「根拠(エビデンス)に基づく医療」の視点を活かし、疾患の早期発見や予防医療の啓発活動を行っている。 【保有資格・所属】 医学博士(慶應義塾大学)/ 医師免許 / 日本内科学会 / 日本医師会認定産業医