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希少がんとは?種類・治療・専門病院の探し方を解説

希少がんとは、人口10万人あたり年間6人未満という、まれな悪性腫瘍の総称です。一つひとつは少なくても、200種類以上を合わせるとがん全体の15〜22%を占めます。

まれだからこそ診断や治療が難しく、頼れる情報や専門の医師にたどり着きにくいという悩みがつきまといます。だからこそ、種類ごとの特徴と専門病院の探し方を知っておくことが力になります。

この記事では、希少がんの定義と代表的な種類、治療の考え方、そして希少がんセンターをはじめとする専門病院の探し方まで、順を追って整理します。

希少がんとは?10万人に6人未満という定義と直面する課題

希少がんとは、人口10万人あたりの年間発生数が6人未満のまれながんを指します。数が少ないために診断が難しく、標準的な治療や情報が整いにくい点が、ほかのがんと大きく異なります。

人口10万人あたり6人未満という希少がんの定義

希少がんという言葉は、2015年に厚生労働省の検討会が「人口10万人あたりの年間罹患率が6人未満」「数が少ないために診療や受療の課題が大きい」と整理しました。それまで国内では統一された定義がありませんでした。

骨や軟部にできる肉腫、脳のグリオーマ、眼の腫瘍、中皮腫、神経内分泌腫瘍など、200種類近くがここに当てはまります。個々はがん全体の1%にも満たないものの、すべて合わせるとがんの15〜22%にのぼります。

診断・治療・情報の3つで生じる希少がんの課題

まれであることは、いくつもの壁を生みます。症例が少ないと診断の経験が積みにくく、病理診断の確定に時間がかかることがあるでしょう。

治療法も大規模な試験で確かめにくく、経験の豊富な施設に知見が集まりやすい傾向があります。患者側も信頼できる情報源を見つけにくいといえます。

希少がんが直面する3つの課題

課題具体的な内容
診断の難しさ症例が少なく、病理診断の確定までに時間がかかることがある
治療の標準化大規模な試験が組みにくく、経験に基づく判断が中心になりやすい
情報の少なさ信頼できる情報や相談先にたどり着きにくい

こうした背景から、早い段階で専門の医療機関とつながることが大きな意味を持ちます。一人で悩み続ける時間を、できるだけ短くしたいところです。

希少がんの定義や診断が難しい背景をもっと深く知りたい方へ
希少がんの定義と診断・治療の課題をくわしく解説

希少がんの種類は200以上、代表は肉腫・GIST・神経内分泌腫瘍

希少がんは200種類以上に分かれますが、代表例として肉腫、GIST、神経内分泌腫瘍がよく知られます。まず全体像をつかむと、自分の病気を整理する助けになります。

種類主な発生部位特徴
肉腫(サルコーマ)骨・筋肉・脂肪など全身に生じ100種類以上
GIST胃・小腸など消化管KIT遺伝子の変化が関与
神経内分泌腫瘍膵臓・消化管・肺ゆっくり進むものが多い
胸腺腫胸の中央の胸腺重症筋無力症を伴うことも
原発不明がん転移先のみ判明出発点が特定できない
小児がん主に15歳未満白血病・脳腫瘍などが中心

それぞれ顔つきも治療も異なります。代表的なものを順に見ていきましょう。

骨や軟部にできる肉腫(サルコーマ)

肉腫は、骨や筋肉、脂肪、血管といった体を支える組織から生じるがんの総称です。発生頻度はとても低く、がん全体の約1%ほどにとどまります。

100種類以上に分かれ、専門の医師が少ないため診断に苦労することもあるでしょう。だからこそ経験豊富な施設での集学的な治療が頼りになります。

骨や軟部にできる肉腫の種類ごとの治療を知りたい方へ
肉腫(サルコーマ)の種類と治療法

消化管にできるGISTとゆっくり進む神経内分泌腫瘍(NET)

GISTは消化管の壁にできるまれな腫瘍で、KITなどの遺伝子の変化が深く関わります。切除できる場合は手術が基本となり、進行した例では分子標的薬が中心になります。

神経内分泌腫瘍は、ホルモンを作る細胞から生まれ、膵臓や消化管、肺などにできます。比較的ゆっくり育つものも多く、種類によって治療の組み立てが変わります。

イマチニブなどの分子標的薬による治療をチェック
GIST(消化管間質腫瘍)の手術と薬物療法

ゆっくり進む神経内分泌腫瘍の症状と検査の解説を読む
神経内分泌腫瘍(NET)の症状・診断・治療

見つけにくい希少がん、胸腺腫・原発不明がん・小児がんの特徴

見つけにくい希少がんもあります。胸腺腫や原発不明がん、小児がんは、症状や経過が独特で、専門的な診断が欠かせません。

重症筋無力症を伴うこともある胸腺腫

胸腺腫は、胸の中央にある胸腺から生じるまれな腫瘍です。まぶたが下がる、力が入りにくいといった重症筋無力症の症状をきっかけに見つかることがあります。

多くはゆっくり進むため、手術での切除が治療の柱になります。種類や進み具合に応じて、放射線や薬物を組み合わせていきます。

重症筋無力症との関わりも含めて詳しくまとめました
胸腺腫の診断・治療と重症筋無力症

出発点がわからない原発不明がん

原発不明がんは、転移したがんは見つかるのに、もともとの発生場所が特定できない状態を指します。すべてのがんの数%を占めるとされ、診断には多くの検査を重ねます。

  • 早い段階で広がりやすい
  • 病理診断だけでは出発点を絞りにくい
  • 顔つきが多彩で典型像に乏しい

近年は遺伝子の情報を手がかりに、出どころを推定して治療につなげる取り組みも広がっています。

原発不明がんと診断されたときの検査と治療の進め方をチェック
原発不明がんの治療戦略と検査の流れ

子どもに多い小児がんの特徴

小児がんは、主に15歳未満の子どもに起こるがんの総称です。大人に多い胃や肺のがんとは異なり、白血病や脳腫瘍、神経芽腫などが中心になります。

数は多くないものの、子ども特有の体や成長への配慮が要ります。小児がんに詳しい拠点病院での治療が安心につながります。

子どもに多いがんの種類と特徴の解説を読む
小児がんの種類と特徴

希少がんの治療を支える集学的治療と治験

希少がんに打つ手がないわけではありません。手術・薬物・放射線を組み合わせる集学的治療を軸に、治験という選択肢も加わります。

手術・薬物・放射線を組み合わせる集学的治療

治療の基本は、ほかのがんと同じく手術・薬物療法・放射線療法です。切除できるものは手術が中心となり、進行した場合は薬物療法が支えになります。

希少がんで用いられる主な治療法

治療法主な役割
手術切除できる腫瘍を取り除く中心的な治療
薬物療法分子標的薬や化学療法で進行を抑える
放射線療法取りきれない部分や、症状の緩和に使う

希少がんでは複数の診療科が連携して方針を決めることが多く、チームでの集学的な治療が成績の向上につながります。

新しい治療への入り口になる治験

標準治療が定まりにくい希少がんでは、治験(臨床試験)が新しい治療への入り口になることがあります。条件が合えば、まだ承認前の薬を試せる場合もあるでしょう。

がんゲノム医療で遺伝子の特徴を調べ、合う治療や治験を探す動きも進んでいます。気になるときは、主治医や相談支援センターに尋ねてみてください。

希少がんの専門病院や希少がんセンターの探し方

どこで診てもらうかは、希少がんの治療を左右する大切な判断です。経験を積んだ希少がんセンターや拠点病院を選ぶことが、納得できる治療への近道になります。

探し方の窓口使えること
希少がんセンター専門医による診断や相談ができる
がん情報サービスがん種別の診療実績から病院を探せる
がん相談支援センター全国の拠点病院で無料で相談できる

まずは身近な拠点病院の相談窓口に声をかけるところから始められます。

全国に広がる希少がんセンターと相談窓口

国立がん研究センターは2014年に希少がんセンターを開設し、電話相談の希少がんホットラインも利用できます。専門の施設は各地に広がりつつあります。

近くの病院で対応が難しいときは、施設どうしが連携して紹介し合う仕組みもあります。一人で抱え込まず、窓口に相談してみてください。

病院ごとの診療実績はどう調べればいい?

病院を選ぶときは、その希少がんをどれだけ診てきたかという診療実績が手がかりになります。経験の多い施設ほど、的確な診断や治療につながりやすいといえます。

後悔しない病院選びのコツを具体的にまとめました
希少がんの病院・専門施設の選び方ガイド

希少がんと診断されたあとに頼れるセカンドオピニオンと支え

診断や治療に迷ったら、別の専門医の意見を聞くセカンドオピニオンが助けになります。納得して治療を選ぶための、正当な権利です。

迷ったときに役立つセカンドオピニオン

セカンドオピニオンは、いまの主治医を替えることではなく、別の医師の見解を参考にする仕組みです。希少がんのように判断が難しい病気ほど、その価値が高まります。

  • 紹介状(診療情報提供書)
  • 画像や検査のデータ
  • 病理診断の標本
  • 聞きたいことのメモ

事前に資料をそろえておくと、限られた時間でも実りある相談になります。

治療を続けるうえで頼れる支え

希少がんの治療は長く続くこともあり、心と暮らしの支えも大切です。緩和ケアや相談支援センター、患者会など、頼れる場所は一つではありません。

つらさを一人で抱えず、医療者や家族と分け合いながら進めていきましょう。

よくある質問

希少がんとはどのようながんですか?

希少がんとは、人口10万人あたりの年間発生が6人未満のまれながんの総称です。200種類以上があり、一つひとつは少なくても、合計するとがん全体の15〜22%を占めます。

数が少ないために診断や治療が難しく、専門の施設に経験が集まりやすいという特徴があります。

希少がんにはどのような種類がありますか?

代表的な希少がんには、骨や軟部にできる肉腫、消化管のGIST、神経内分泌腫瘍、胸腺腫、原発不明がん、小児がんなどがあります。発生する場所も顔つきもさまざまです。

それぞれ治療の組み立てが異なるため、まず種類を正しく見分けることが第一歩になります。

希少がんは治療できるのでしょうか?

希少がんでも、手術・薬物療法・放射線療法を組み合わせる集学的治療で対応します。切除できるものは手術が中心となり、進行した場合は薬物療法が支えになります。

標準治療が定まりにくいときは、治験という新しい選択肢が候補になることもあります。

希少がんの専門病院はどう探せばよいですか?

希少がんセンターやがん相談支援センター、がん情報サービスの病院検索が手がかりになります。その病気を多く診てきた施設ほど、的確な診断や治療につながりやすいといえます。

近くで対応が難しいときは、施設どうしの連携で紹介を受けられる場合もあります。

希少がんで診断や治療に迷ったときはどうすればよいですか?

判断に迷うときは、別の専門医に意見を求めるセカンドオピニオンが役立ちます。紹介状や画像、病理標本をそろえておくと、相談がより充実します。

一人で抱え込まず、主治医や相談支援センターに早めに声をかけてみてください。

Reference

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この記事を書いた人Wrote this article

前田 祐助

前田 祐助医学博士 / 医師

慶應義塾大学医学部大学院にて、がんの発生メカニズム(発癌機構)や、慢性炎症と腫瘍の関係性に関する基礎研究に従事し、医学博士号を取得。 特に、胃がんにおける炎症微小環境の解析や、細胞シグナル伝達(COX-2/PGE2経路など)による腫瘍形成の研究において実績を持つ。 現在は、大学病院や研究機関で培った「根拠(エビデンス)に基づく医療」の視点を活かし、疾患の早期発見や予防医療の啓発活動を行っている。

【保有資格・所属】
医学博士(慶應義塾大学)/ 医師免許 / 日本内科学会 / 日本医師会認定産業医