化学療法と免疫療法の併用はなぜ効果的なのか?作用メカニズムと相乗効果

化学療法と免疫療法の併用はなぜ効果的なのか?作用メカニズムと相乗効果

がんと診断されたとき、治療の選択肢として「化学療法」と「免疫療法」の2つを耳にする方は多いでしょう。近年、この2つを組み合わせる「併用療法」が多くのがん種で成果を上げています。

化学療法ががん細胞を直接たたくと同時に免疫が働きやすい環境を整え、そこへ免疫療法が加わることで体の防御力が一気に高まるという相乗効果が確認されています。

本記事では、化学療法と免疫療法それぞれの特徴から併用による相乗効果の仕組み、臨床で報告されたデータ、副作用の注意点までをわかりやすくお伝えします。治療選択に悩んでいる方の参考になれば幸いです。

化学療法と免疫療法を併用すると治療効果が高まる理由

化学療法と免疫療法はそれぞれ異なるアプローチでがん細胞を攻撃します。2つを併用することで互いの弱点を補い合い、単独では得られなかった治療効果を引き出せることがわかってきました。

がん治療の「二刀流」が注目されている背景

がん治療は長らく、外科手術・化学療法(抗がん剤治療)・放射線療法の3つが柱とされてきました。しかし進行がんや再発がんでは、単独治療だけで十分な効果を得ることが難しい場面も少なくありません。

そうしたなかで登場したのが免疫チェックポイント阻害剤です。患者さん自身の免疫の力を利用してがん細胞を排除するこの治療は「第4のがん治療」とも呼ばれ、多くの臨床試験で有効性が報告されました。

単独治療では乗り越えられなかった壁

化学療法は全身に広がったがん細胞にも作用しますが、正常な細胞まで攻撃してしまう欠点があります。一方、免疫療法は正常細胞へのダメージが少ないものの、単剤での奏効率(治療が効く割合)は20〜30%程度にとどまるケースもあります。

つまり、どちらか一方だけでは「効果はあるが限定的」というのが従来の課題でした。この壁を打ち破る手段として、両者の併用が研究されるようになったのです。

化学療法と免疫療法を単独で使った場合の比較

項目化学療法(単独)免疫療法(単独)
攻撃対象がん細胞を直接破壊免疫の力でがんを排除
正常細胞への影響比較的大きい比較的小さい
効果の出方短期間で腫瘍縮小ゆっくり効き長期持続
課題耐性・副作用奏効率が限定的

2つの治療を組み合わせることで変わる治療成績

化学療法でがん細胞を傷つけると、壊れたがん細胞から「がん抗原」と呼ばれる目印が放出されます。この目印を免疫細胞が認識しやすくなることで、免疫療法の効き目が高まると考えられています。

さらに、化学療法には免疫を抑制する細胞(制御性T細胞など)を減らす働きもあり、免疫が本来の攻撃力を取り戻しやすい環境をつくります。こうした複合的な要因が重なり、併用療法では単独よりも治療成績が向上することが臨床データで確認されています。

併用療法が広がりつつあるがんの種類

現在、化学療法と免疫チェックポイント阻害剤の併用は、非小細胞肺がんをはじめ、胃がん、食道がん、頭頸部がんなど多くのがん種で標準治療に組み込まれています。

適応となるがんの種類は年々増えており、今後も臨床試験の結果次第でさらに拡大していくことでしょう。担当の医師に「自分のがんには併用療法が検討できるか」と確認してみることも、治療選択の大切な一歩です。

化学療法(抗がん剤治療)ががん細胞を攻撃するしくみ

化学療法は、がん細胞の分裂や増殖を薬剤で直接止めることを目的とした全身治療です。速やかに腫瘍を縮小させる力がある反面、正常な細胞にもダメージを与えてしまうという特徴をもっています。

がん細胞の増殖を止める「直接攻撃」のしくみ

がん細胞は正常細胞に比べて非常に活発に分裂を繰り返します。抗がん剤はこの分裂の過程を狙い撃ちし、DNAの複製を妨げたり、細胞分裂に必要なタンパク質の働きを阻害したりすることでがん細胞を死滅させます。

投与後は比較的短い期間で腫瘍が縮小することもあり、目に見える効果を実感しやすい治療法といえるでしょう。ただし、髪の毛や消化管の粘膜など分裂が盛んな正常細胞も影響を受けるため、脱毛や吐き気といった副作用が起こりやすい点には注意が必要です。

抗がん剤が免疫にも影響を及ぼす意外な一面

抗がん剤の働きはがん細胞の直接破壊だけにとどまりません。がん細胞が壊れる際に「免疫原性細胞死(ICD)」と呼ばれる特殊な死に方をすることがあり、このとき細胞の表面や周囲にがん抗原や危険信号となる物質が放出されます。

こうした信号を樹状細胞(免疫の司令塔)が受け取ると、T細胞を中心とした免疫応答のスイッチが入ります。つまり、抗がん剤には「がんを壊す」だけでなく「免疫を呼び起こす」という二重の効果が備わっている場合があるのです。

代表的な抗がん剤の種類と作用の違い

抗がん剤にはさまざまな種類があり、それぞれ異なるやり方でがん細胞に作用します。たとえばプラチナ製剤(シスプラチン、カルボプラチンなど)はDNAに結合して複製を阻止し、代謝拮抗剤(ペメトレキセドなど)はDNA合成に必要な物質の代わりに取り込まれてがん細胞の増殖を止めます。

タキサン系(パクリタキセルなど)は細胞分裂に使われる微小管の動きを封じる薬です。どの薬剤を使うかはがんの種類や進行度、患者さんの体力によって異なり、担当医が総合的に判断します。

抗がん剤の分類代表的な薬剤おもな作用
プラチナ製剤シスプラチン、カルボプラチンDNAに結合し複製を阻止
代謝拮抗剤ペメトレキセド、ゲムシタビンDNA合成を妨害
タキサン系パクリタキセル、ドセタキセル微小管の働きを阻害

免疫療法は体の中の「守る力」を引き出す治療

免疫療法は、患者さん自身がもっている免疫の力を活性化し、がん細胞を排除することを目指す治療法です。化学療法が「外からがんを壊す」治療であるのに対し、免疫療法は「内からがんと闘う力を高める」治療といえます。

免疫チェックポイント阻害剤はブレーキを外す薬

私たちの体では、T細胞という免疫細胞が異物やがん細胞を攻撃しています。しかしがん細胞はT細胞の表面にある「PD-1」というアンテナに信号を送り、「攻撃をやめろ」という命令を出すことで免疫から逃れてしまいます。

免疫チェックポイント阻害剤は、この「ブレーキ」がかかる仕組みを遮断する薬です。ニボルマブ(オプジーボ)やペムブロリズマブ(キイトルーダ)といった薬剤がPD-1やPD-L1に作用し、T細胞が再びがん細胞を攻撃できる状態を取り戻します。

がん細胞が免疫から逃げる巧妙な手口

がん細胞は免疫をかわすために複数の戦略を使い分けます。PD-L1の発現を増やしてT細胞のブレーキを踏ませるだけでなく、制御性T細胞(Treg)や骨髄由来抑制細胞(MDSC)など免疫を抑える細胞を味方につけることもあります。

さらに、腫瘍の周囲に免疫細胞が入り込みにくい環境をつくる「免疫抑制性の微小環境」を形成するケースもあります。こうした多層的な防御を突破するために、単一の治療法ではなく複数のアプローチを組み合わせることが有効だと考えられているのです。

がん細胞の逃避手段働き対応する治療
PD-L1の発現増加T細胞にブレーキをかけるPD-1/PD-L1阻害剤
Treg・MDSCの動員免疫応答を抑え込む化学療法で抑制細胞を減少
抗原の隠蔽免疫細胞に見つからない化学療法で抗原を露出

「第4のがん治療」と呼ばれるようになった背景

かつてのがん治療は手術・化学療法・放射線療法の3本柱が中心でした。しかし2014年にニボルマブが承認されて以降、免疫チェックポイント阻害剤を中心とした免疫療法が次々と成果を上げ、「第4のがん治療」としての地位を確立しています。

悪性黒色腫(メラノーマ)の臨床試験では、免疫チェックポイント阻害剤の併用により5年後の生存率が50%を超えたという報告もあり、長期生存の可能性を示すデータとして大きな注目を集めました。

免疫療法で期待できる長期的な治療効果

化学療法は効果が出るのが早い一方で、薬をやめると再びがんが増殖することがあります。免疫療法は効果が現れるまでに時間がかかるケースもありますが、一度免疫が活性化すると「免疫記憶」によって長期間にわたりがんを監視し続ける力が維持されやすいという特徴があります。

この長期持続性こそが免疫療法の大きな強みであり、再発予防にもつながる可能性があると期待されています。

化学療法と免疫療法の併用で生まれる相乗効果の正体

化学療法と免疫療法は別々に働くのではなく、互いの効果を増幅し合うことで「1+1=3」ともいえる相乗効果を発揮します。がん細胞の破壊と免疫の活性化が同時に進むことで、単独では倒しきれなかったがんを追い詰めることができるのです。

抗がん剤ががん細胞の「目印」を露出させる

化学療法でがん細胞が壊れると、細胞の内部に隠れていた「がん抗原」が外に放出されます。がん抗原はいわばがん細胞の「指紋」のようなもので、免疫細胞がこの指紋を見つけることで「敵がいる」と認識できるようになります。

加えて、がん細胞が壊れる際にはカルレティキュリンやHMGB1といった危険信号が放出され、樹状細胞の活性化を促します。活性化した樹状細胞はT細胞にがんの情報を伝え、全身的な免疫応答のきっかけをつくるのです。

免疫細胞がその目印を認識して攻撃を開始する

樹状細胞からがん抗原の情報を受け取ったT細胞は、がん細胞を特異的に攻撃するキラーT細胞(細胞傷害性T細胞)へと変化し、体内を巡ってがん細胞を見つけ次第攻撃を仕掛けます。

化学療法によって腫瘍の量が減っている状態であれば、免疫細胞にとって「敵の数が少ない有利な戦場」で戦えることになります。加えて免疫チェックポイント阻害剤がT細胞へのブレーキを外すことで、攻撃力がさらに高まるという好循環が生まれます。

免疫の抑制が解除されて攻撃力が回復する

がんの周囲には免疫を抑え込む細胞が集まりやすく、T細胞の攻撃を阻んでいます。化学療法の一部の薬剤にはこの抑制細胞(制御性T細胞やMDSC)を減少させる作用があり、免疫の攻撃力を取り戻す手助けとなります。

たとえば低用量のシクロホスファミドは制御性T細胞を選択的に減らすことが知られていますし、パクリタキセルにはマクロファージからの炎症性サイトカイン産生を促進し、NK細胞やT細胞を活性化させる作用が報告されています。

  • がん抗原の放出による免疫認識の向上
  • 樹状細胞の活性化とT細胞への情報伝達
  • 免疫抑制細胞(Treg・MDSC)の減少
  • 腫瘍内への免疫細胞の浸潤促進
  • T細胞の増殖と攻撃機能の増強

化学療法と免疫チェックポイント阻害剤の併用で報告された臨床データ

化学療法と免疫療法の併用は理論だけでなく、実際の臨床試験で生存期間の延長や奏効率の向上が数多く報告されています。代表的な研究結果をいくつかご紹介します。

肺がん治療で生存期間の延長が確認された

非小細胞肺がんの患者さんを対象としたKEYNOTE-189試験では、ペムブロリズマブ(キイトルーダ)と化学療法(ペメトレキセド+プラチナ製剤)の併用群が、化学療法単独群と比べて全生存期間を有意に延長したことが報告されました。

この結果は、併用療法が肺がん治療の標準となる大きな契機となりました。ドライバー遺伝子変異のない非小細胞肺がんでは、免疫チェックポイント阻害剤と化学療法を組み合わせた治療が現在の第一選択肢として広く採用されています。

さまざまながん種でも併用療法の効果が報告されている

肺がん以外にも、胃がんや食道がん、頭頸部がんなど多くのがん種で化学療法と免疫チェックポイント阻害剤の併用試験が行われ、有効性を示すデータが蓄積されています。

がん種代表的な臨床試験併用の成果
非小細胞肺がんKEYNOTE-189全生存期間の有意な延長
胃がんCheckMate 649奏効率と生存期間の改善
食道がんKEYNOTE-590生存期間の延長を確認

併用療法が向いている方と慎重な判断が必要な方

併用療法はすべての患者さんに同じように効くわけではありません。がんの種類や進行度、PD-L1の発現量、患者さんの全身状態(体力や臓器の機能)などを総合的に考慮したうえで、担当医が治療方針を決定します。

たとえば高齢の方や臓器の機能が低下している方では、副作用のリスクが高くなるため、化学療法の用量を調整したり、免疫チェックポイント阻害剤単剤での治療を選んだりすることもあります。治療方針に迷ったときは、遠慮なく担当医にご相談ください。

併用療法の副作用と治療中に気をつけたいこと

化学療法と免疫療法の併用では、それぞれの治療に由来する副作用が重なる可能性があります。適切な対処と早めの報告で多くの副作用は管理できるため、治療前に知識をもっておくことが大切です。

化学療法と免疫療法それぞれの副作用は異なる

化学療法の副作用は、吐き気・脱毛・白血球減少・口内炎など、分裂の活発な正常細胞がダメージを受けることで起こります。多くは治療後一定期間で回復しますが、治療中の体力の消耗は避けられません。

免疫療法の副作用は「免疫関連有害事象(irAE)」と呼ばれ、免疫が正常な臓器を攻撃してしまうことで生じます。間質性肺炎、甲状腺の機能異常、大腸炎、皮膚障害などが代表的です。化学療法の副作用とは性質が異なり、発症時期が予測しにくいという特徴があります。

併用時に注意すべき副作用は通常の治療とは異なる

2つの治療を同時に行うと、骨髄抑制(白血球・血小板の減少)と免疫関連有害事象が重なり、体への負担が大きくなることがあります。特に間質性肺炎は命にかかわることもあるため、息切れや咳が続く場合はすぐに医療機関を受診してください。

副作用が出たときは、ステロイド剤や免疫抑制剤を使って症状を抑える治療が行われます。副作用の管理に十分な体制が整った医療機関で治療を受けることが、安全に併用療法を続けるための前提条件です。

体調の変化は早めに主治医へ伝えることが大切

免疫関連有害事象は治療終了後、数週間から数か月経ってから現れることもあります。「治療が終わったから大丈夫」と油断せず、些細な体調の変化でも主治医に報告する習慣をつけましょう。

発熱、下痢、皮膚の発疹、倦怠感、息苦しさなど、気になる症状があったときに速やかに相談できるよう、緊急連絡先を事前に確認しておくことをおすすめします。

  • 化学療法由来の副作用:吐き気、脱毛、骨髄抑制、口内炎など
  • 免疫療法由来の副作用:間質性肺炎、甲状腺機能異常、大腸炎、皮膚障害など
  • 併用時に特に注意:骨髄抑制と免疫関連有害事象の重複
  • 治療後も数か月間は体調の変化に注意

主治医への相談前に知っておきたい併用療法の基礎知識

化学療法と免疫療法の併用を検討するにあたり、事前にいくつかの基本を押さえておくと、担当医との会話がよりスムーズになります。自分に合った治療を選ぶためにも、正しい知識を身につけておきましょう。

治療方針は一人ひとりの状態で変わる

同じがん種であっても、がんの進行度やPD-L1の発現状況、患者さんの体力や既往症によって選択される治療法は異なります。「友人がこの治療で良くなった」という情報がそのまま自分に当てはまるとは限りません。

確認事項内容理由
がんの種類と進行度病理検査・画像検査の結果併用の適応を判断
PD-L1発現量腫瘍組織の免疫染色免疫療法の効果予測
全身状態体力・臓器機能・年齢副作用リスクの評価

担当医に伝えておきたい3つの質問

治療の説明を受ける際、以下のようなポイントを担当医に尋ねてみると、治療内容への理解が深まります。

1つめは「自分のがんに併用療法は適応されるか」という点です。がんの種類やバイオマーカーの検査結果をふまえ、併用が選択肢になるかどうかを確認しましょう。

2つめは「予想される副作用とその対処法」についてです。どんな副作用が起こりうるのか、どのような場合に受診すべきかを事前に把握しておくと、治療中の不安が軽減されます。

3つめは「治療のスケジュールと生活への影響」です。通院の頻度や治療期間の目安を知ることで、仕事や家庭との両立を計画しやすくなるでしょう。

正しい情報を見極めるために確認したいこと

インターネット上にはがん治療に関する情報が溢れていますが、科学的根拠のない治療法や誇大な広告も少なくありません。治療情報を調べる際は、国立がん研究センター「がん情報サービス」のような公的機関のサイトを活用するのが安心です。

「効果が証明されていない免疫療法」と「効果が証明された免疫療法」は明確に区別する必要があります。不安に感じたことや疑問に思ったことは、まず担当医やがん相談支援センターに問い合わせてみてください。信頼できる情報に基づいた意思決定が、納得のいく治療につながります。

よくある質問

化学療法と免疫療法の併用はどのようながん種で実施されているのか?

化学療法と免疫チェックポイント阻害剤の併用は、非小細胞肺がんで特に多くのエビデンスが蓄積されています。KEYNOTE-189試験などの大規模臨床試験で生存期間の延長が示され、現在では標準治療の一つとなりました。

肺がん以外にも、胃がん、食道がん、頭頸部がん、悪性黒色腫など、さまざまながん種で併用療法が採用されています。ただし、すべてのがんに適応されるわけではなく、がんの種類やバイオマーカーの結果に応じて担当医が判断します。

免疫チェックポイント阻害剤と抗がん剤を併用したときの副作用はどの程度か?

化学療法に伴う吐き気や骨髄抑制といった副作用に加え、免疫チェックポイント阻害剤特有の免疫関連有害事象が重なる可能性があります。間質性肺炎や甲状腺機能異常、大腸炎、皮膚障害などが代表的です。

副作用の程度は患者さんの体質やがんの状態によって個人差が大きいため、一概には言えません。治療中は定期的な検査を受けながら、体調の変化を感じたら速やかに主治医へ報告することが大切です。

化学療法と免疫療法の併用で効果が現れるまでどのくらいの期間がかかるのか?

化学療法は比較的短い期間で腫瘍の縮小が確認できることがありますが、免疫療法は効果が出るまでに数週間から数か月かかるケースもあります。併用の場合は、化学療法による腫瘍縮小が先に現れ、その後免疫療法の効果が持続的に加わるという経過をたどることが多いでしょう。

なかには初期の画像検査で一時的にがんが大きく見える「偽増大」が起こることもあり、必ずしもすぐに効果が見えないからといって治療がうまくいっていないわけではありません。経過の判断は担当医にお任せください。

化学療法と免疫療法の併用は高齢の方でも受けられるのか?

年齢だけで一律に「受けられない」と判断されるわけではありません。重要なのは実際の体力や臓器の機能、既往症の有無など、患者さん一人ひとりの全身状態です。

ただし、高齢の方では副作用が重くなりやすい傾向があるため、化学療法の用量を減らしたり、免疫チェックポイント阻害剤の単独投与に切り替えたりするケースもあります。治療の可否は担当医が慎重に評価しますので、年齢を理由に諦めず、まずは相談してみてください。

化学療法と免疫療法の併用療法を受けたい場合はどこに相談すればよいのか?

まずは現在の担当医に併用療法について相談するのが第一歩です。担当医から紹介状を書いてもらい、がん診療連携拠点病院や大学病院などの専門施設でセカンドオピニオンを受けることもできます。

また、各がん診療連携拠点病院に設置されている「がん相談支援センター」では、治療に関する情報提供や相談を無料で受け付けています。電話や対面で相談できるため、治療の進め方や施設選びに迷ったときに活用してみてください。

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この記事を書いた人 Wrote this article

前田 祐助

前田 祐助 医学博士 / 医師

慶應義塾大学医学部大学院にて、がんの発生メカニズム(発癌機構)や、慢性炎症と腫瘍の関係性に関する基礎研究に従事し、医学博士号を取得。 特に、胃がんにおける炎症微小環境の解析や、細胞シグナル伝達(COX-2/PGE2経路など)による腫瘍形成の研究において実績を持つ。 現在は、大学病院や研究機関で培った「根拠(エビデンス)に基づく医療」の視点を活かし、疾患の早期発見や予防医療の啓発活動を行っている。 【保有資格・所属】 医学博士(慶應義塾大学)/ 医師免許 / 日本内科学会 / 日本医師会認定産業医