
BRCA遺伝子の変異は「女性の病気」と思われがちですが、実は男性にも深刻ながんリスクをもたらします。BRCA1やBRCA2に変異を持つ男性は、前立腺がん・膵臓がん・乳がんの発症リスクが一般男性より数倍高くなることがわかっています。
この記事では、男性のBRCA変異がどのようにがんリスクに影響するのかを、遺伝子検査や治療選択の観点もまじえながら丁寧に解説します。
ご家族にBRCA変異が見つかった方、あるいは自分自身のリスクに不安を感じている男性にとって、行動を起こすきっかけとなれば幸いです。
正しい知識を持つことで、早期発見と適切な対策につなげていきましょう。
そもそもBRCA遺伝子変異とは何か|男性にも関係する遺伝子の基礎知識
BRCA1とBRCA2は、傷ついたDNAを修復するはたらきを担う「がん抑制遺伝子」です。これらの遺伝子に生まれつき変異(病的バリアント)があると、DNA修復機能が低下し、がんが発生しやすくなります。
BRCA1とBRCA2の違いを正しく把握しておこう
BRCA1遺伝子は17番染色体に、BRCA2遺伝子は13番染色体に存在します。どちらもDNAの二本鎖切断を修復する「相同組換え修復」に関わっていますが、変異による発がんリスクのパターンは異なります。
女性ではBRCA1変異は乳がんや卵巣がんのリスクをより大きく高めますが、男性においてはBRCA2変異のほうがより幅広いがんリスクと関連しているとされています。男性における前立腺がんリスクの上昇は、主にBRCA2変異との関連が強いでしょう。
男性でもBRCA変異のキャリアは約半数を占める
BRCA遺伝子変異は常染色体優性遺伝(顕性遺伝)で受け継がれるため、性別を問わず50%の確率で親から子へ伝わります。つまり、変異を持つ親から生まれた子どもは、男女いずれも同じ確率で変異を受け継ぐ可能性があるのです。
実際にBRCA変異の保有者の約半数は男性であるにもかかわらず、遺伝子検査を受ける男性の割合は女性に比べて著しく低いままです。「BRCAは女性の問題」という認識が、男性の検査受診を遠ざけている現状があります。
BRCA1とBRCA2の基本的な違い
| 項目 | BRCA1 | BRCA2 |
|---|---|---|
| 染色体の位置 | 17番染色体 | 13番染色体 |
| 主な修復経路 | 相同組換え修復 | 相同組換え修復 |
| 男性で特にリスクが高いがん | 膵臓がん | 前立腺がん・乳がん・膵臓がん |
BRCA変異は父親からも母親からも受け継がれる
家族歴を確認するとき、多くの方は母方の家系だけに注目しがちです。しかし、BRCA変異は父方の家系からも受け継がれます。父方の祖母や叔母に乳がんや卵巣がんの方がいる場合、父親がBRCA変異の保有者であることも十分に考えられるでしょう。
男性は変異を持っていても発がんリスクが女性ほど顕著でないケースがあり、家族歴が一見すると目立たないことがあります。「父方には特にがんの方がいない」と思っていても、変異が潜んでいる場合は少なくありません。
BRCA変異を持つ男性の前立腺がんリスクは一般男性の何倍になるのか
BRCA2変異を持つ男性の前立腺がんリスクは、一般男性と比べて約2〜5倍に上昇します。75歳までの累積リスクは約27%にのぼるとされています。
特にBRCA2変異と前立腺がんの関連は明確であり、進行性・悪性度の高いがんとなりやすい特徴が報告されています。
BRCA2変異では前立腺がんの悪性度が高くなりやすい
前立腺がんは一般的に進行が遅い「おとなしいがん」と捉えられがちですが、BRCA2変異を持つ男性では事情が異なります。グリーソンスコア(がんの悪性度を示す指標)が7以上の高悪性度がんの発生率が一般男性より有意に高いと報告されています。
診断時にすでにリンパ節転移や遠隔転移が認められる割合も多く、こうした特徴から、BRCA2変異を持つ男性は前立腺がんによる死亡リスクも高い傾向にあります。
BRCA1変異でも前立腺がんリスクは上がるのか
BRCA1変異と前立腺がんの関連はBRCA2ほど明確ではなく、研究間でばらつきがあります。65歳未満の若年で前立腺がんを発症するリスクは約3.5倍に上がるという報告もあります。
一方、全年齢を対象にした解析では統計的に有意でないとする研究も存在します。
2022年に発表された大規模研究では、BRCA2変異のみが前立腺がんリスクの有意な上昇と関連し、BRCA1変異は前立腺がんとの関連が確認されなかったとしています。
BRCA1変異保有者も油断はできませんが、前立腺がんについてはBRCA2変異保有者がより注意を要するといえるでしょう。
40歳からの前立腺がんスクリーニングが推奨される背景
米国の主要なガイドラインでは、BRCA2変異を持つ男性に対して40〜45歳からのPSA検査(前立腺特異抗原検査)を推奨しています。
一般男性のスクリーニング開始年齢よりも早い時期からの検査が勧められる理由は、変異保有者では若い年齢で前立腺がんが発症する傾向があるためです。
PSA検査はシンプルな血液検査で実施できます。BRCA変異が判明している方やご家族に前立腺がんの方がいる場合は、かかりつけ医や遺伝カウンセラーに相談し、スクリーニング計画を立てることが大切です。
BRCA変異の有無による前立腺がんリスクの比較
| 対象 | 80歳までの累積リスク | 悪性度 |
|---|---|---|
| 一般男性 | 約10〜17% | 低悪性度が多い |
| BRCA1変異保有男性 | やや上昇(研究により異なる) | 明確な傾向なし |
| BRCA2変異保有男性 | 約21〜35% | 高悪性度が多い |
膵臓がんとBRCA変異の関係|男性が見逃しやすいリスクに注意
BRCA1およびBRCA2の変異保有者は、一般集団と比べて膵臓がんのリスクが2〜3倍以上に高まります。膵臓がんは早期発見が難しく、進行してから見つかることが多いため、遺伝的リスクを事前に知っておくことが早期発見への第一歩となります。
BRCA2変異と膵臓がんの関連はどのくらい強いのか
大規模コホート研究の結果によると、BRCA2変異保有者の膵臓がん相対リスクは約3.34倍であり、80歳までの累積リスクは約2.5〜5%と推定されています。一般集団の生涯リスクが約1.7%であることを考えると、決して無視できない数値です。
BRCA1変異でも膵臓がんリスクは約2.36倍に上昇するとされ、特に男性のBRCA1保有者ではリスクがやや高い傾向を示す研究もあります。
膵臓がんは症状が出にくいため、リスクを知ったうえで定期的な経過観察を続けることが命を守る鍵となるでしょう。
家族に膵臓がん患者がいる場合の検査はどうすればよいか
血縁者に膵臓がんの方がいるBRCA変異保有者に対しては、膵臓の画像検査による定期的なサーベイランス(経過観察)が検討される場合があります。
超音波内視鏡検査(EUS)やMRI/MRCPなどが用いられることがありますが、膵臓がんスクリーニングの有効性については現在も研究が進行中です。
BRCA変異保有者の膵臓がんリスク
| 変異の種類 | 相対リスク | 80歳までの累積リスク |
|---|---|---|
| BRCA1変異 | 約2.36倍 | 約2.5% |
| BRCA2変異 | 約3.34倍 | 約2.5〜5% |
| 一般集団 | 1倍(基準) | 約1.7% |
膵臓がんの初期症状を見落とさないために
膵臓がんは「沈黙の臓器」と呼ばれるほど初期段階では自覚症状が乏しいがんです。ただし、原因不明の体重減少、背中や腹部の鈍痛、新たに発症した糖尿病、黄疸といった変化が現れた場合は、早めに医療機関を受診してください。
BRCA変異を持つ方がこうした症状を感じた場合には、膵臓がんの可能性も念頭に置いた検査を依頼することが賢明です。遺伝的リスクがあることを主治医と共有しておくと、より迅速な対応につながります。
男性乳がんは珍しくない|BRCA変異がもたらす男性乳がんのリスク
「乳がんは女性の病気」という先入観から、男性が自分の乳がんリスクを意識することはほとんどありません。しかしBRCA2変異を持つ男性の乳がんリスクは一般男性の約44倍にのぼります。
80歳までに約3.8%が発症するとされており、頻度は女性より低いものの、見過ごしてよい数字ではないでしょう。
BRCA2変異を持つ男性の乳がんリスクは一般男性の約44倍
一般男性の乳がん生涯リスクは約0.1%、つまり1000人に1人程度です。一方、BRCA2変異を持つ男性では70歳までの累積リスクが約6.8%とする報告もあり、一般男性と比較すると格段に高いリスクを抱えていることがわかります。
BRCA1変異を持つ男性でも乳がんリスクは一般男性の約4.3倍に上昇しますが、70歳時点の累積リスクは約1.2%とされ、BRCA2ほどの上昇幅ではありません。
いずれの変異であっても、男性が乳がんのリスクを持っているという事実を認識することが、早期発見の第一歩です。
男性の乳がんは発見が遅れやすい理由
男性は乳がん検診の対象外であることがほとんどで、自分の胸にしこりができるとは思っていない方が大多数です。
男性の乳房組織は女性より薄いため、がんが発生するとすぐに皮膚や筋肉に浸潤しやすく、診断時にはすでに進行した状態で見つかるケースが多いと報告されています。
BRCA2変異を持つ男性の乳がんは、女性のBRCA2関連乳がんと比べて、診断時の病期がより進行しており、組織学的グレードも高い傾向があります。定期的に胸のセルフチェックを行い、しこりや皮膚の変化に気づいたら速やかに受診することが大切です。
男性のBRCA関連乳がんに対する検診のすすめ
NCCNガイドラインでは、BRCA変異を持つ男性に対して35歳からの年1回の乳房診察、さらにマンモグラフィの検討を推奨しています。
マンモグラフィに抵抗を感じる男性は少なくないかもしれませんが、早期発見による治療成績の向上は大きなメリットです。
乳房に異常を感じたら「男性だから乳がんではないだろう」と自己判断せず、医療機関で評価を受けてください。BRCA変異を持つ男性は、自分自身の体の変化に意識を向けることが、命を守る行動となります。
BRCA変異による男性乳がんリスクの比較
| 対象 | 70歳までの累積リスク | 相対リスク |
|---|---|---|
| 一般男性 | 約0.1% | 1倍(基準) |
| BRCA1変異保有男性 | 約1.2% | 約4.3倍 |
| BRCA2変異保有男性 | 約6.8% | 約44倍 |
男性がBRCA遺伝子検査を受けるべきタイミングと検査の流れ
BRCA遺伝子検査は、家族歴やがんの既往歴から遺伝性のリスクが疑われる場合に検討される遺伝学的検査です。男性は自分が検査の対象になりうることを知らないケースが多く、適切なタイミングを逃しているのが現状です。
遺伝子検査を検討したほうがよい男性の特徴
以下に当てはまる方は、BRCA遺伝子検査について遺伝カウンセラーや主治医に相談することを検討してください。
- 血縁者にBRCA変異が確認されている方
- 家族に50歳未満で乳がんや卵巣がんを発症した方がいる
- 血縁者に男性乳がんの方がいる
- 家族に膵臓がんや転移性・高悪性度の前立腺がんの方がいる
- アシュケナージ系ユダヤ人の家系に属する方
遺伝子検査はどのように行われるのか
BRCA遺伝子検査の一般的な流れ
| 段階 | 内容 | 所要時間の目安 |
|---|---|---|
| 遺伝カウンセリング | 家族歴の聴取とリスク評価 | 30〜60分 |
| 検体採取 | 血液または唾液の採取 | 数分 |
| 結果説明 | 検査結果の解釈とフォロー計画 | 2〜6週間後 |
BRCA遺伝子検査は血液または唾液の採取で行われ、採取自体は短時間で済みます。検査の前後には遺伝カウンセリングを受け、結果の意味や今後の対応について専門家から説明を受けることが推奨されています。
結果が「陽性」であった場合、がんの検診スケジュールの見直しや、家族への情報共有などを計画的に進めることが求められます。結果が「陰性」であっても、家族歴によっては引き続き注意が必要な場合もあるため、遺伝カウンセラーとの相談が欠かせません。
検査結果が陽性だった場合にまず取るべき行動
BRCA変異が確認された場合は、がんの早期発見のためのスクリーニング計画を立てることが第一の対応です。前立腺がんについてはPSA検査、乳がんについてはマンモグラフィや乳房診察、膵臓がんについては画像検査などが検討されます。
さらに重要なのが、家族への情報共有(カスケード検査)です。親・兄弟・子どもにも同じ変異を持っている可能性が50%あるため、家族にも遺伝子検査の機会を提供することで、一族全体のがん予防につなげられるでしょう。
BRCA変異が判明した男性のがん予防と治療にはどんな選択肢があるか
BRCA変異が見つかったとしても、がんの発症を座して待つ必要はありません。定期的なスクリーニングによる早期発見と、変異に基づいた治療戦略が進歩しています。
がんが発見された場合にも効果的な治療を受けられる可能性が広がっており、リスクを管理する道は確実に開かれています。
定期スクリーニングで早期発見を目指す
BRCA2変異を持つ男性には、40歳からのPSA検査や乳房診察の開始が推奨されています。前立腺がんスクリーニングについては、IMPACT研究と呼ばれる大規模国際研究で、BRCA2変異保有者におけるPSA検査の有用性が示されました。
膵臓がんのスクリーニングについては、血縁者に膵臓がんの方がいる場合に超音波内視鏡検査やMRIが検討されますが、有効性のエビデンスはまだ蓄積中です。主治医と相談しながら、自分に合った検診計画を組み立てていくことが求められます。
PARP阻害薬という治療の選択肢
BRCA変異を持つがんに対しては、PARP阻害薬と呼ばれる分子標的薬が注目を集めています。PARPはDNA修復に関わる酵素です。
BRCA変異によってすでにDNA修復機能が低下しているがん細胞では、PARPの阻害がさらなるDNA損傷の蓄積を招き、がん細胞を死滅させる効果が期待できます。
オラパリブなどのPARP阻害薬は、BRCA変異を持つ乳がん、膵臓がん、前立腺がんに対して承認されています。
男性のBRCA関連がんにおいても治療の選択肢となっており、遺伝子変異の情報が効果的な治療法の選択に直結する時代が到来しつつあるといえます。
生活習慣の改善もリスク低減に貢献する
BRCA変異を持っていても、生活習慣の見直しによってがんリスクをある程度抑えられる可能性があります。適度な運動習慣の維持、適正体重の管理、飲酒量の制限、禁煙といった基本的な健康行動が、がん発症リスクの低減に寄与するとされています。
遺伝的なリスクをゼロにすることはできなくても、コントロール可能な要因に取り組むことは、身体的にも精神的にも前向きな変化をもたらすでしょう。遺伝子検査の結果を受けて絶望するのではなく、具体的な行動に変えていくことが大切です。
BRCA変異が判明した男性に推奨される主な対策
- 40歳から年1回のPSA検査(前立腺がんスクリーニング)
- 35歳から年1回の乳房診察とマンモグラフィの検討
- 膵臓がんの家族歴がある場合は画像検査の相談
- 家族へのカスケード検査の情報共有
家族にBRCA変異が見つかったら男性も行動を起こすべき理由
家族の誰かにBRCA変異が判明した場合、男性の血縁者にも同じ変異が受け継がれている可能性があります。「自分は男だから関係ない」と検査を先延ばしにすることは、早期発見のチャンスを逃す行為にほかなりません。
男性がBRCA検査を後回しにしがちな心理的ハードル
男性が遺伝子検査を敬遠する主な理由
- 「BRCAは女性の問題」という固定観念がある
- がんリスクを知ること自体への恐怖感
- 検査結果が家族に与える影響への心配
- 男性向けの情報や支援が少ない
これらのハードルは理解できるものですが、検査を受けないことで失われるのは「早期発見・早期治療の機会」です。
BRCA変異が見つかれば、がんが発症する前から計画的なスクリーニングで備えることができます。変異が見つからなければ、安心してその後の生活を送れるでしょう。
家族全体のがん予防につなげるカスケード検査
カスケード検査とは、家族の中でBRCA変異が判明した場合に、その血縁者が同じ変異を持っているかどうかを調べる検査のことです。親から子へ、兄弟姉妹へと検査の輪を広げることで、リスクのある家族全員が適切な医療管理を受けられるようになります。
男性が率先して検査を受けることは、自分自身のためだけでなく、娘や息子、さらにはその先の世代を守る行動でもあります。遺伝子の情報を「家族の共有財産」として活用していく姿勢が求められる時代です。
遺伝カウンセリングを活用して不安を解消する
遺伝子検査を受ける前後には、遺伝カウンセラーとの面談を通じて、検査の意義やリスクの解釈、心理的なサポートを受けることができます。検査結果をどのように受け止め、どのように日常に活かしていけばよいのか、専門家とともに整理していくことが有益です。
遺伝カウンセリングは、検査結果に対する不安を軽減するだけでなく、家族への伝え方やスクリーニング計画の策定など、実践的なアドバイスを得られる場でもあります。一人で悩まず、専門家の力を借りてください。
よくある質問
BRCA遺伝子検査で陰性だった場合、がんの心配はなくなりますか?
BRCA遺伝子検査が陰性であっても、がんのリスクが完全になくなるわけではありません。BRCA以外の遺伝子変異や、生活習慣・環境要因によるがんリスクは依然として存在します。
また、家族にBRCA変異が確認されていない状態で検査を受けた場合、「意義不明の変異(VUS)」という判定が出ることもあります。結果の解釈は遺伝カウンセラーの助言を得ながら、引き続き年齢に応じた一般的ながん検診を受けることが望ましいでしょう。
BRCA遺伝子変異を持つ男性は何歳からがん検診を始めるべきですか?
BRCA2変異を持つ男性には、40歳前後からPSA検査による前立腺がんスクリーニングを開始することが推奨されています。乳がんについては35歳からの乳房診察が勧められ、マンモグラフィも検討対象となります。
膵臓がんについては、家族歴に応じて画像検査が提案される場合があります。いずれの場合も、遺伝カウンセラーや専門医と相談しながら個別のスクリーニング計画を立てることが大切です。
BRCA変異は父親から息子に遺伝しますか?
はい、BRCA変異は常染色体上に存在するため、父親から息子にも50%の確率で遺伝します。性染色体とは無関係であり、男女を問わずどちらの親からも受け継がれる可能性があります。
父方の家系に乳がんや卵巣がん、前立腺がんの方がいる場合は、父親を通じてBRCA変異が伝わっている可能性も考慮し、遺伝カウンセリングの受診を検討されることをお勧めします。
BRCA変異を持つ男性が乳がんになる確率はどのくらいですか?
BRCA2変異を持つ男性の場合、70歳までの乳がん累積リスクは約6.8%とされています。一般男性の乳がん生涯リスクが約0.1%であることを踏まえると、相当に高い数値といえるでしょう。
BRCA1変異保有男性の場合は70歳までの累積リスクが約1.2%と、BRCA2より低いものの一般男性と比べれば高い水準です。胸のしこりや皮膚の変化に気づいた場合は、早めに医療機関を受診してください。
BRCA変異が見つかった場合にPARP阻害薬で治療できるがんはどれですか?
PARP阻害薬は、BRCA変異を持つ乳がん、卵巣がん、膵臓がん、前立腺がんの治療に用いられています。男性においては、特にBRCA2変異を伴う転移性前立腺がんやBRCA関連膵臓がんでの使用が報告されています。
PARP阻害薬はBRCA変異によるDNA修復機能の低下を利用した治療法であり、がんの種類や進行度、変異の状態に応じて医師が適応を判断します。治療の選択肢として検討する際は、主治医とよく相談してください。
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この記事を書いた人 Wrote this article
前田 祐助 医学博士 / 医師
慶應義塾大学医学部大学院にて、がんの発生メカニズム(発癌機構)や、慢性炎症と腫瘍の関係性に関する基礎研究に従事し、医学博士号を取得。 特に、胃がんにおける炎症微小環境の解析や、細胞シグナル伝達(COX-2/PGE2経路など)による腫瘍形成の研究において実績を持つ。 現在は、大学病院や研究機関で培った「根拠(エビデンス)に基づく医療」の視点を活かし、疾患の早期発見や予防医療の啓発活動を行っている。 【保有資格・所属】 医学博士(慶應義塾大学)/ 医師免許 / 日本内科学会 / 日本医師会認定産業医