
がんの検査について調べていると、「コンパニオン診断」と「パネル検査」という2つの言葉に出会うことがあります。どちらも遺伝子に関わる検査ですが、その目的と対象範囲は明確に異なります。
コンパニオン診断は特定の治療薬と「1対1」で対応する体外診断薬で、その薬が自分に効くかどうかを判定するために設計された検査です。一方のパネル検査は、数十から数百の遺伝子を一度に網羅的に解析し、治療の糸口となる情報を幅広く集める検査といえます。
この2つの違いを知ることで、担当医との話し合いがぐっと深まります。本記事では、仕組みの違いから使い分けの考え方まで、できるだけ平易にお伝えします。
コンパニオン診断とパネル検査、その根本的な違いはここにある
コンパニオン診断は「1つの薬に対して1つの検査」という明快な対応関係を持ちます。パネル検査は「1回の検査で多数の遺伝子を一気に調べる」という広い視野を持つ検査です。この根本的な違いを最初に押さえておくと、以降の内容が理解しやすくなります。
「コンパニオン診断」とは何か——承認薬とセットで機能する体外診断薬
コンパニオン診断(CDx:Companion Diagnostics)とは、特定の治療薬が患者に効くかどうかを事前に確かめるための体外診断薬のことです。「体外診断薬」とは、血液や組織などを身体の外で調べる検査キットや試薬を指します。
薬とセットで開発・承認されるのが原則で、たとえばAという治療薬を使う前に「CDx-A」という検査で特定の遺伝子変異を確認する、という形で機能します。FDAや日本の薬機法では、コンパニオン診断を「対応する治療薬の安全で効果的な使用に必要な情報を提供する医療機器」と定義しています。
「パネル検査」とは何か——数十〜数百の遺伝子を一度に調べるNGS検査
パネル検査とは、次世代シーケンサー(NGS:Next Generation Sequencing)という技術を使って、がんに関わる多数の遺伝子変異を一度に解析する検査です。日本では「がんゲノムプロファイリング検査」とも呼ばれています。調べる遺伝子の数はパネルによって異なりますが、数十から数百、なかには500遺伝子以上を一度に解析するものもあります。
遺伝子変異の種類(点変異・欠失・増幅・融合など)だけでなく、免疫療法の適応判断に使うTMB(腫瘍遺伝子変異量)、MSI(マイクロサテライト不安定性)、HRD(相同組換え修復機能の欠損)といった複数のバイオマーカー(生物学的指標)を同時に評価できる点が大きな特徴です。
コンパニオン診断とパネル検査の主な違い
| 比較項目 | コンパニオン診断 | パネル検査 |
|---|---|---|
| 調べる遺伝子数 | 1〜数種類 | 数十〜数百種類 |
| 主な目的 | 特定薬の有効性判定 | 治療標的の網羅的探索 |
| 使うタイミング | 治療開始前の確認 | 標準治療後・再発時など |
2つが混同されやすい、もっともな理由
コンパニオン診断とパネル検査が混同されやすい大きな理由の1つは、日本で広く使われているFoundationOne CDxという検査が「パネル検査でありながら複数のコンパニオン診断も兼ねる」という二刀流の特性を持っているためです。
FoundationOne CDxは324遺伝子以上を網羅するパネル検査ですが、EGFR変異検査やBRAF変異検査などのコンパニオン診断としても承認されています。このような両方の機能を持つ検査の存在が、概念の区別を難しくしているといえるでしょう。
コンパニオン診断が「1対1」と呼ばれる理由——治療薬とのペアで機能する
コンパニオン診断が「1対1」と呼ばれるのは、1つの診断薬が1つ(または同系統の)治療薬とペアになって開発・承認されるからです。特定のバイオマーカーだけに絞った設計であるため、その対象については高い精度と信頼性を持ちます。
コンパニオン診断の開発は治療薬と並走する
薬を開発するメーカーは、臨床試験の段階からコンパニオン診断の開発も同時に進めます。なぜなら、治療薬の承認申請には「この薬が効く患者を正確に特定できる診断法の存在」が求められるからです。米国FDAをはじめ多くの規制当局は、薬とコンパニオン診断を「原則として同時承認」とする方針を取っています。
コンパニオン診断は「特定の薬を安全かつ効果的に使うために必要な情報を提供する」という明確な使命を持って設計されます。単にバイオマーカーを調べるのではなく、治療判断に直結する結果を出すことが求められる点が他の検査と異なります。
EGFRやHER2で見る「1対1」の関係
肺がんの領域では、EGFRという遺伝子に変異があるかどうかを調べるコンパニオン診断が、オシメルチニブなどのEGFR阻害薬とセットで使われます。乳がんではHER2タンパクの過剰発現を調べるコンパニオン診断が、トラスツズマブ(ハーセプチン)などの使用判定に欠かせません。
このようにコンパニオン診断の結果は「この薬を使う・使わない」という医師の判断を直接左右します。1つのマーカーに絞って詳細に調べるため、その特定マーカーに関しては高い精度で結果を出せることが強みです。
「陽性」か「陰性」かで、治療の道が決まる
コンパニオン診断の結果は通常「陽性(変異あり・タンパク発現あり)」か「陰性(変異なし・タンパク発現なし)」のどちらかで示されます。陽性であれば対応する治療薬の投与が検討され、陰性であれば別の治療選択が模索されます。この明快さがコンパニオン診断の大きな特徴です。
主なコンパニオン診断の例(がん種別)
| がん種 | バイオマーカー | 対応する治療薬の例 |
|---|---|---|
| 非小細胞肺がん | EGFR変異 | オシメルチニブなど |
| 乳がん | HER2過剰発現 | トラスツズマブなど |
| 大腸がん | KRAS/NRAS変異 | セツキシマブなど |
パネル検査が「網羅的」な理由——1回で多数の遺伝子を解読するNGS技術
パネル検査が網羅的と言われる理由は、NGS(次世代シーケンサー)という革新的な技術によって、数百もの遺伝子を1回の検査で同時に解析できるようになったからです。この技術の登場が、がん医療のあり方を大きく変えました。
NGS(次世代シーケンサー)という技術が支える仕組み
NGSとは、DNAの塩基配列を大量かつ高速に読み取ることができる技術です。かつては1つの遺伝子を調べるだけで数週間かかっていたものが、NGSの登場によって数百の遺伝子を数週間以内に、しかも少量の検体で調べられるようになりました。
腫瘍組織(手術や生検で採取した組織)から抽出したDNAをNGSで解析し、どの遺伝子にどのような変化が起きているかを網羅的に明らかにします。がん細胞のDNAと正常細胞のDNAを比較することで、がんに特有の変異を特定できるのが大きな強みです。
TMB・MSI・HRDなど複数のバイオマーカーを1度に評価できる強み
パネル検査の利点の1つは、遺伝子変異の有無だけでなく、免疫療法の効果予測に使われる複数のバイオマーカーを同時に評価できる点です。TMB(腫瘍遺伝子変異量)は、がん細胞がどれほど多くの変異を持つかを示す指標で、数値が高いと免疫チェックポイント阻害薬が有効な場合があります。MSI(マイクロサテライト不安定性)は、DNAの修復機能の異常を示す指標で、特定の免疫療法の適応判断に使われます。
パネル検査で評価できる主なバイオマーカー
| バイオマーカー | 内容 | 治療への関連 |
|---|---|---|
| TMB(腫瘍遺伝子変異量) | がん細胞が持つ変異の総数 | 免疫チェックポイント阻害薬の有効性予測 |
| MSI(マイクロサテライト不安定性) | DNA修復機能の異常 | ペムブロリズマブなど免疫療法の適応 |
| HRD(相同組換え修復機能欠損) | DNA修復経路の障害 | PARP阻害薬の有効性予測 |
がんゲノムプロファイリングの代名詞、FoundationOne CDxとは
日本でよく知られるパネル検査の1つがFoundationOne CDxです。324遺伝子以上の変異を解析しながら、TMBやMSIも同時に評価できます。さらに複数のがん種に対するコンパニオン診断としても承認されており、1回の検査で多くの情報を提供できる点が特徴です。
国内では他にもOncoGuide NCCオンコパネルが使われており、どのパネルを選ぶかはがんの種類や病状によって担当医が判断します。パネル検査の結果は「エキスパートパネル」と呼ばれる専門家チームで評価され、患者に最適な治療の選択肢が検討されます。
コンパニオン診断が特に役立つがん種と使われるシーンとは
コンパニオン診断は、標準治療の前に特定の遺伝子変異を確認し、「この薬を使うかどうか」を決定する場面で特に力を発揮します。対象となる薬があらかじめ明確な場合に、この検査は迷いなく活用できます。
肺がん・乳がん・大腸がんで活躍する代表例
コンパニオン診断が広く使われているがん種には、非小細胞肺がん(EGFR・ALK・ROS1などの変異)、乳がん(HER2の過剰発現・PIK3CA変異)、大腸がん(KRAS・NRAS・BRAF変異)などがあります。肺がんでは、EGFR変異の有無によって分子標的薬を使うかどうかが決まるため、治療開始前のコンパニオン診断が標準的な手順として定着しています。
乳がんのHER2検査は、トラスツズマブなどの抗HER2療法の適応を判断するために行われ、検査結果が治療方針を大きく左右します。大腸がんではRAS変異の有無がセツキシマブなどの抗EGFR抗体薬の使用を決める重要な判断基準となっています。
標準治療を始める前の「必須確認事項」として機能する
コンパニオン診断が優れている点の1つは、特定の治療薬を使う前の必須チェックとして機能することです。EGFR陰性の肺がん患者にEGFR阻害薬を投与しても効果が期待できず、むしろ副作用リスクだけを負わせることになります。正しい患者に正しい薬を届けるというプレシジョンメディシン(精密医療)の核心がここにあります。
検査結果が治療選択に直結するため、コンパニオン診断では精度と速さの両立が求められます。特定のマーカーに最適化された設計によって、少ない検体量でも正確な結果を出せる点が評価されています。
単一マーカーに絞るからこそ、信頼性が高い
コンパニオン診断が少数のマーカーに特化している理由は、臨床試験でその薬との関係が十分に検証されたバイオマーカーだけを対象とするからです。多くの遺伝子を一度に調べると「おそらく関係ある」という不確かな情報が混入するリスクがありますが、コンパニオン診断では「確実に薬の効果と関連する」と証明されたマーカーに絞ることで、結果の信頼性を高めています。
コンパニオン診断が確立している主なバイオマーカー
- 非小細胞肺がん:EGFR変異、ALK融合遺伝子、ROS1融合遺伝子、PD-L1発現
- 乳がん:HER2過剰発現・遺伝子増幅、PIK3CA変異、BRCA1/2変異
- 大腸がん:KRAS変異、NRAS変異、BRAF V600E変異
パネル検査が活きる場面——標準治療で行き詰まったときの新たな一手
パネル検査が威力を発揮するのは、標準的な治療の選択肢を試した後、または選べる治療が少ない状況に置かれたときです。広く遺伝子を調べることで、思いがけない治療の可能性が見つかることがあります。
再発・難治性がんで選択肢を広げる
標準治療が効かなくなった再発・難治性がんでは、次の一手を探すための情報収集が重要になります。パネル検査は担当医がすでに知っている変異以外にも、臨床試験の適応になり得る変異や、がん種を超えた「腫瘍横断的」な治療薬の候補となる変異を見つけ出す可能性があります。
日本のがんゲノム医療は「エキスパートパネル」という専門家会議と連動しており、パネル検査の結果をもとに、がんゲノム医療中核拠点病院などの専門医が治療の選択肢を検討します。
珍しい遺伝子変異が生む、思いがけない治療の道
パネル検査で発見される変異の中には、通常のコンパニオン診断では検索対象外となる稀なものも含まれます。NTRK融合遺伝子やRET融合遺伝子などは、がんの種類を問わず作用する腫瘍横断的薬剤の標的として注目されています。このような変異はパネル検査でなければ発見が難しく、検査が持つ網羅性の恩恵といえます。
パネル検査で見つかる可能性のある腫瘍横断的バイオマーカーの例
| 変異・マーカー | 対応薬剤の例 | 特徴 |
|---|---|---|
| NTRK融合遺伝子 | ラロトレクチニブなど | がん種不問で有効 |
| RET融合遺伝子 | セルペルカチニブなど | 肺がん・甲状腺がん等 |
| MSI-High | ペムブロリズマブ | 免疫療法の有効性予測 |
「変異なし」でも意味がある——陰性情報が持つ価値
パネル検査の結果が「有効な遺伝子変異が見つからなかった」という陰性だった場合も、その情報は無駄ではありません。特定の変異がないことは、逆にその変異をターゲットにした薬が効かないことを示し、不要な治療を避けるための根拠になります。
また、変異の少ない状態(TMB-Low)は治療戦略を考えるうえでの1つのヒントとなる場合もあります。陰性の結果も情報として医師にフィードバックされ、次の方針を立てるための素材になります。
検査を受ける前に知っておきたい、コンパニオン診断とパネル検査の実際
2つの検査にはそれぞれ異なる手順や条件があります。「いつ、どのように受けるのか」「どんな検体が必要なのか」を事前に知っておくことで、検査への心構えができます。
医師が検査を提案するタイミングと意思決定の流れ
コンパニオン診断は、特定の分子標的薬や免疫療法を使う前の段階で、担当医から提案されることがほとんどです。一方、パネル検査は主に標準治療の効果が限られてきた段階で、または診断当初から遺伝子背景を幅広く知りたい場合に提案されます。
どちらの検査を受けるかは、患者の状態・がんの種類・病期(進行度)・これまでの治療歴などを総合的に考慮して医師が判断します。担当医から検査の提案があった場合は、目的と期待される結果について十分に説明を受け、わからない部分は積極的に質問しましょう。
採取する検体の違い——組織・細胞・血液
コンパニオン診断もパネル検査も、多くの場合はがんの組織(生検や手術で採取した組織)を使います。過去に手術で採取し、病理標本(ホルマリン固定パラフィン包埋標本)として保存されているものを活用できるケースもあります。
採取できる組織量が限られている場合や、がんが転移していて生検が難しい場合には、血液中に流れ出たがん由来のDNA(ctDNA:循環腫瘍DNA)を使う「液体生検(リキッドバイオプシー)」が選択されることもあります。
結果が出るまでの期間と、その間にできること
コンパニオン診断では通常1〜2週間程度で結果が出ます。一方、パネル検査は多数の遺伝子を解析するため、結果が出るまでに3〜4週間程度かかることが多く、場合によってはそれ以上になることもあります。
結果待ちの期間は不安を感じやすい時間です。担当医や看護師に疑問点を相談したり、がん相談支援センターを活用して情報を整理したりすることが助けになります。
検査前・検査中に確認しておきたいこと
- 検査の目的と期待される結果について担当医に確認する
- 使用する検体(組織か血液か)の採取方法と保存状況を確認する
- 結果が出るまでの期間の目安を事前に聞いておく
液体生検(リキッドバイオプシー)との関係——血液で調べる新しい選択肢
液体生検は、血液中に存在するがん由来のDNAを解析することで、組織を採取せずにがんの遺伝子情報を得る方法です。コンパニオン診断とパネル検査の両方にこの技術が取り入れられつつあります。
液体生検とはどのような検査か
液体生検(リキッドバイオプシー)とは、血液や尿などの「液状の体液」を検体として、がん細胞が放出するDNA断片(ctDNA:循環腫瘍DNA)やがん細胞そのもの(CTC:循環腫瘍細胞)を検出・解析する検査です。体への負担が少なく繰り返し採取しやすいため、治療中のがんの変化をモニタリングする目的でも注目されています。
組織生検と液体生検の比較
| 比較項目 | 組織生検 | 液体生検 |
|---|---|---|
| 採取方法 | 手術・内視鏡・針生検 | 採血(血液) |
| 身体的負担 | 比較的大きい | 小さい・繰り返し可能 |
| 検出感度 | 高い | 早期がんでは低い場合も |
コンパニオン診断・パネル検査でも採用が広がる血液ベースの検査
近年、コンパニオン診断の分野でも血液を使ったctDNA検査が承認されるケースが増えています。たとえば、肺がんの治療効果が低下した後に新たに生じるEGFR T790M耐性変異を血液で確認するための検査は、組織採取が難しい場合の代替手段として実用化されています。
パネル検査でも、FoundationOne Liquid CDxなどの血液ベースのゲノムプロファイリング検査が普及しつつあります。
リキッドバイオプシーを使うときの限界と注意点
液体生検は組織生検に比べて感度が低い場合があります。血液中に流れ出るctDNAの量はがんの種類・大きさ・病期によって異なり、早期がんでは検出できないケースもあります。偽陰性(実際には変異があるのに検出されない)のリスクも完全には排除できません。
このため液体生検の結果は、組織検査の結果と合わせて総合的に解釈することが重要です。単独で結論を出すのではなく、担当医とともに複数の情報を照合して判断することが求められます。
よくある質問
コンパニオン診断とパネル検査は「精度の高さ」でどちらが優れているのでしょうか?
「精度」をどう定義するかによって答えが変わります。コンパニオン診断は特定の1〜数種類のバイオマーカーに絞った検査ですので、その対象マーカーに関しては高い感度と特異度で結果を出すことができます。臨床試験で薬の有効性とともに十分に検証されている点も、信頼性の根拠となっています。
一方でパネル検査は多くの遺伝子を一度に調べるため、個々のマーカーについてコンパニオン診断と同等の精度が保たれているかどうかは、検査ごとに異なります。特定の変異を確実に確認する目的ではコンパニオン診断が有利で、幅広く候補を探す目的ではパネル検査が向いています。目的に応じた使い分けが大切です。
パネル検査で遺伝子変異が見つかった場合、必ず新しい治療を受けられるのでしょうか?
残念ながら、変異が見つかれば必ず治療を受けられるというわけではありません。見つかった変異がすでに承認済みの薬の標的である場合は、その薬の適応が検討されます。ただし、稀な変異や、まだ承認されていない薬の標的である場合は、臨床試験への参加が候補となることが多いです。
エキスパートパネルと呼ばれる専門医による検討会で結果が評価され、最終的に利用できる治療オプションが患者さんにフィードバックされます。変異が見つかっても有効な治療につながる割合は現時点では限られており、担当医とよく相談しながら次の方針を立てることが大切です。
コンパニオン診断とパネル検査は同時に受けることができますか?
医学的には可能です。たとえばパネル検査を行い、その結果の中に含まれるコンパニオン診断相当の情報(EGFRやHER2の変異など)を治療判断に活用するという使い方があります。FoundationOne CDxのようにパネル検査とコンパニオン診断の両方の機能を兼ね備えた検査では、1回の検査で両方の情報を得ることができます。
ただし、受けられる検査の種類や組み合わせは、がんの種類・病期・採取できる検体の量などによって異なります。検査の選択については、担当医と十分に相談したうえで決めることをお勧めします。
コンパニオン診断の検査結果はどのくらいの期間で出るのでしょうか?
コンパニオン診断の種類と使用する検査技術によって異なりますが、一般的には1〜2週間程度で結果が出ることが多いです。免疫組織化学染色(IHC)やFISH法などを用いる検査は比較的早く結果が出る場合があります。一方、PCR法やNGS技術を使う検査ではやや時間がかかることもあります。
急いで治療を開始する必要がある場合は、担当医と検査の優先度や代替手段について相談することをお勧めします。また、検体の品質や施設の体制によっても期間は変わりますので、検査を依頼した施設に事前に確認しておくと安心です。
パネル検査の結果が「有効な遺伝子変異なし」だった場合、どう対応すればよいのでしょうか?
「有効な遺伝子変異が見つからなかった」という結果は、治療の選択肢がゼロになることを意味するわけではありません。変異が少ないということは、一部の免疫療法に適した状態である可能性も評価されます。担当医や専門医チーム(エキスパートパネル)が結果を総合的に判断し、標準治療の継続・変更、免疫療法の適応検討、あるいは新たな臨床試験への参加など、次の方向性を提案します。
また、パネル検査は1回で全てがわかるものではなく、がんが進行・変化した段階で再検査を行うことで新たな変異が見つかることもあります。落胆せず、担当医に「では次にできることは何か」を積極的に聞いてみてください。
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前田 祐助 医学博士 / 医師
慶應義塾大学医学部大学院にて、がんの発生メカニズム(発癌機構)や、慢性炎症と腫瘍の関係性に関する基礎研究に従事し、医学博士号を取得。 特に、胃がんにおける炎症微小環境の解析や、細胞シグナル伝達(COX-2/PGE2経路など)による腫瘍形成の研究において実績を持つ。 現在は、大学病院や研究機関で培った「根拠(エビデンス)に基づく医療」の視点を活かし、疾患の早期発見や予防医療の啓発活動を行っている。 【保有資格・所属】 医学博士(慶應義塾大学)/ 医師免許 / 日本内科学会 / 日本医師会認定産業医