節目検診(特定年齢検診)を活用しよう|数千円お得になる受診のタイミング

節目検診(特定年齢検診)を活用しよう|数千円お得になる受診のタイミング

節目検診は、決まった年齢を受診のきっかけにできるがん検診で、自治体によっては費用の負担も軽くなります。市区町村から案内が届いたら、自分が受ける検査と受けられる期間から確かめると、予約の時期を決めやすくなります。

ただ、40歳・50歳に行う総合がん検診と、子宮頸がんのHPV検査を30歳から5年刻みで行う仕組みとでは、年齢を区切る意味が違います。費用の優遇も全国共通ではなく、誰もが数千円安くなるわけではありません。

この記事では、節目検診の対象と受けどき、費用や申し込みの確認点、節目を逃した場合と結果が届いた後の対応を解説します。

節目検診は年齢を合図に受診する機会

節目検診では、特定の年齢になった人に検診を案内し、受診する機会を設けます。年齢は予定を立てる合図であり、その年だけがんに注意すればよいという意味ではありません。

総合がん検診の対象は40歳と50歳

総合がん検診の対象は、その市区町村に住む40歳と50歳の人です。胃・子宮頸・肺・乳・大腸のがん検診を同時に受ける節目検診です。

ただし、名称に「総合」とあっても、住んでいる地域で受けられる項目や実施日程は案内で確かめましょう。乳がん・子宮頸がんの検診は女性が対象であり、全員に同じ検査を一律に行うものではありません。

「特定年齢」の数え方を案内で照合する

今年の対象かどうかは、「節目検診」「特定年齢検診」という名称より、案内に記された対象者の条件で決まります。年齢の基準日や生年月日の範囲を、自分の誕生日と照らし合わせましょう。

見る欄は、今年度の対象者を示す部分です。申し込む日の年齢だけで判断せず、生年月日の条件と受診期間を合わせて読むと、誕生日まで待つべきかという迷いを減らせます。案内の年度が違えば、同じ年齢の表示でも対象となる人は変わります。

読み方に迷ったときは、市区町村の健康づくりの担当課か保健センターへ、生年月日と希望する検診名を伝えましょう。

年齢の案内と前回の記録を組み合わせる

今年受ける項目は、節目年齢だけでなく、前回の受診日と結果も合わせて決めます。案内が届いた年を新しい出発点にするためにも、以前の検診で次回の時期を指定されていないか、結果の用紙を見直すと役立ちます。

たとえば、40歳になる年度に自宅で案内を開いたら、前回の結果を横に置き、受けていない項目と今回の対象欄を照合します。日程を決める前に手元にそろえたいのは、受診日・検査名・結果が分かる記録です。その記録を予約先へ伝えると、すでに受けた検査も含めて相談できます。

40歳・50歳の節目検診で受ける項目

40歳・50歳の案内では、検診名と実際の検査方法を対にして読むと、自分が何を受けるのか分かります。同じ節目でも、胃がん検診のように年齢や方法によって扱いが変わる項目があります。

40歳では胃がん検診の方法にも注意する

40歳は、肺・大腸のがん検診と、女性の乳がん検診の対象が始まる年齢です。子宮頸がん検診はそれより前から対象となるため、40歳の案内を初めての機会と捉える人も、すでに継続している人もいます。

一方、胃がん検診の対象は原則50歳以上で、当分の間、胃部エックス線検査は40歳以上を対象としても差し支えないとされています。40歳の総合がん検診という記載だけから、胃内視鏡検査も受けられると判断せず、対象年齢と検査方法の両方を読みましょう。

50歳の案内では検査名を具体的に読む

50歳では胃がん検診も原則の対象年齢に入るため、総合がん検診の案内にある検査方法を確かめます。国の指針に沿った主な検査は次のとおりで、問診は体調や過去の病気について質問に答えるものです。

検診名主な検査案内を読むときの着眼点
胃がん胃部エックス線検査または胃内視鏡検査胃の画像を撮る方法か、内視鏡で内側を見る方法か
肺がん胸部エックス線検査など胸の画像を撮る検査に加え、たんの検査の対象となるか
大腸がん便潜血検査便に混じる血液を調べるため、2日分の便を採る方法
乳がんマンモグラフィ乳房をエックス線で撮影する検査
子宮頸がん細胞診またはHPV検査単独法子宮の入り口から採った細胞などを調べる方法

肺がん検診のたんの検査など対象が限られる検査もあるため、表にある検査を申し込む際には年齢や喫煙歴に応じた案内を受けます。

「総合」でも見つからないがんはある

総合がん検診で調べるのは、決められた部位と方法に限られます。検診には早期発見によって死亡を減らす利益が期待できる一方、がんがあっても疑いありと判定されない偽陰性や、がんがなくても疑いありとなる偽陽性という不利益もあります。

また、検査に伴う体への負担もあるため、項目が多いほど自分にとってよいと決めつけず、案内にある利益と不利益を読んで受診を検討します。「異常なし」は、今回の方法でがんの疑いが指摘されなかったという意味です。

年齢を区切った案内を予約につなげる

案内を受け取っただけでは受診は完了しないため、対象欄を読んだら予約方法と受診日まで確かめると予定が具体的になります。受けたい気持ちがあっても、申し込み先が分からないままでは封筒を置いたままになりがちです。

受けやすい形の案内が行動を後押しする

決まった年齢で届く個人宛ての案内は、受ける時期を具体的に意識するきっかけになります。受診に必要な物や手続きが分かるほど、案内を読んだ後の行動も決めやすくなります。

ドイツで50歳を迎える住民18,560人を対象にした無作為化試験では、便潜血検査の容器を添えた案内により、1年以内の受診が15%から25%へ増えたと報告されています1)。容器を付けない案内だけでは増えず、年齢を知らせるだけでなく、すぐ受けられる形にする工夫も関わっていました。

ただし、これはドイツの検診制度で得られた結果です。日本の節目検診で同じ増加を見込んだり、案内に必ず検査容器が入っていると受け止めたりはできません。

届いた書類は用途を分けて読む

受診券は検診の対象であることなどを示して受付で使う書類、問診票は体調や病歴を記入する書類です。費用の免除などに使う無料クーポンが同封される自治体もあり、書類ごとに用途が違います。

書類主な用途最初に読む部分
検診の案内対象や受け方を知らせる対象者、実施期間、申し込み先
受診券対象者の確認や受付に使う氏名、対象項目、使用時の条件
問診票症状や過去の病気を伝える記入する欄と提出方法

受診券が届いていても予約が済んでいるとは限らず、問診票を書いただけでも申し込みは完了しません。封筒の中に予約の説明が見つからなければ、市区町村の広報紙やウェブサイト、保健センターで今年度の案内を確認できます。

対象の確認から当日の準備までを進める

申し込みは、対象と実施期間を確認し、案内に指定された方法で予約した後、検査に応じた準備をする順序です。総合がん検診を希望する場合は、まとめて申し込める項目と別の予約が必要な項目を同時に確かめると、予約の抜けを防げます。

  • 対象の照合 … 生年月日、希望する検診、前回の受診日
  • 受診先と日時の選択 … 指定された施設や会場、受けられる日
  • 申し込み … 案内に記された電話やインターネットなどの方法
  • 当日の準備 … 必要書類、支払い、食事や採便についての指示

準備の内容は検査で違うため、食事や薬の扱いを自分で一律に変更せず、予約先の説明に沿って進めます。

子宮頸がんのHPV検査は30歳から5年刻み

HPV検査単独法の節目年齢は、30歳から5年刻みで受けるための区切りです。費用の割引を示す年齢とは分けて読む必要があり、検査結果によって次に受ける時期も変わります。

30歳・35歳・40歳という区切りの意味

HPVはヒトパピローマウイルスの略で、子宮の入り口にあたる子宮頸部のがんに関わるウイルスです。HPV検査単独法では、このウイルスの検査を先に行い、その結果に応じて追加の検査へ進みます。

HPV検査単独法の対象は30歳以上の女性で、原則5年に1回、30歳から5年刻みの節目年齢で受けることが勧められます。この区切りは、検査の質や受診後の対応を一定に保つ精度管理のために設けられています。特に受診が勧められるのは30〜60歳の人と、61歳以上で追跡検査の対象となる人です。

実際に受けられる方法は市区町村の実施内容によるため、節目年齢の案内に「HPV検査単独法」と記されているかを確認しましょう。

陰性なら間隔をあけられる理由

HPV検査で陰性だった人は、その後に前がん病変が生じる危険が低いという研究結果があり、検診の間隔を長くする判断を支えています。前がん病変は、がんになる前の段階で細胞に異常が生じた状態で、外から自分で見て判断できる変化ではありません。

細胞診は採った細胞の形を調べる検査で、HPV検査は細胞診より前がん病変の見逃しが少ない一方、異常ありと判定される人が増える傾向があります。スウェーデンの限られた年代を追跡した研究では、HPV陰性の人は細胞診より長い間隔でも同程度の安全性を保てると報告されています。

その後の前がん病変の危険は、HPVが陽性か陰性かによって大きく分かれるという結果も、カナダの検診参加者の追跡で得られています。海外の結果は検査の性質を説明する根拠であり、日本で受ける年齢や間隔は国の指針と市区町村の実施内容に沿って判断します。

陽性の後は次の節目まで待たない

HPV検査が陽性なら、同じ検体を使った細胞診で次の対応を判断します。この振り分けのための細胞診をトリアージ検査といい、陰性だった人も翌年度の追跡検査が必要です。

結果や状況次の時期の扱い残しておく情報
HPV検査が陰性原則5年に1回の検診検査名と受診日、次回の案内
HPV陽性で、その後の細胞診が陰性翌年度に追跡検査追跡検査の対象という結果と指定時期
精密検査を指示された通常の節目年齢を待たず、受診の指示に対応結果の用紙と受診先の説明

「5年に1回」は、HPV陽性の後の検査を先延ばしにしてよいという意味ではありません。結果の用紙を受け取ったら、陽性・陰性の表示だけでなく、次回が通常の検診か追跡検査かまで読むと予定を取り違えずに済みます。

節目検診の費用は無料になる範囲まで確かめる

節目の年齢に無料や減額となる自治体では、対象の検診にかかる自己負担が軽くなります。安くなる額は通常の自己負担と優遇後の金額の差なので、年齢だけでは一律の節約額を出しにくくなっています。

節約できる額は今年度の対象欄で読む

費用を比べるときは、自分が受ける検査について、通常の自己負担と節目年齢の自己負担を並べます。通常の負担額が無料になればその分が軽減され、減額の場合は支払いが残るため、「節目」という言葉だけで無料と決めないようにします。

別の検査や別年度の金額は、比較に混ぜないようにしましょう。同じ胃がん検診でも方法が違えば費用の条件を読み替える必要があり、案内に複数の金額があるときは、自分の年齢と検査方法が重なる欄を確認します。

金額が分からなければ、市区町村の健康づくりの担当課か保健センターへ、今年度の対象年齢と希望する検査方法を伝えて確認しましょう。

追加の検査や指定外の受診は別途確認する

無料になる範囲は、自治体が定めた対象者と検査項目、受診先などの条件で決まります。検診の後に追加で受ける検査まで同じ扱いになるとは限らないため、予約時には検診当日の負担と、その後に生じうる費用を分けて尋ねると説明が明確になります。

受ける場面費用についての注意点確かめる相手
節目年齢の対象検査無料か減額か、当日に支払いがあるか市区町村の健康づくりの担当課
対象外の年齢や指定外の受診先同じ助成を使えるか、自己負担となるか保健センター
追加の検査や精密検査検診の費用に含まれるか、別途支払いが必要か検査を受ける医療機関

助成の対象かどうかが曖昧なまま受診すると、予定した金額と支払いが違うおそれがあるため、指定先かどうかは予約前に確かめておきましょう。

費用の優遇を待つ前に受診時期を確かめる

次の検診を受ける時期は、前回の検査方法と結果に書かれた予定を基に判断します。費用の優遇だけを基準に次の節目まで待つと、勧められた受診時期から遅れてしまうおそれがあります。

日本の市区町村単位の研究では、無料にするだけでは受診の増加と一貫して結びつかず、個人宛ての案内のほうが受診と関連していました。自治体ごとの関連を調べた結果なので、無料化に効果がないとは言い切れません。

そのため、費用が受診を迷う理由なら、負担額の確認と一緒に、今年受けられる日程も調べると判断が進みます。優遇を使えると分かっていても、予定に入らなければ受診に結びつかないためです。

節目を逃したときと結果が届いた後の対応

節目年齢を過ぎたら、通常の検診として今年受けられるかを確認できます。結果で追加の検査を指示されている人は、年齢の区切りよりその対応を優先します。

受けそびれたら今年受けられる枠を探す

40歳や50歳の総合がん検診を逃した場合でも、各がん検診の通常の対象に当てはまれば、受診できる機会を確かめられます。節目年齢の優遇を翌年も使えるかという問いと、今年検診を受けられるかという問いは分けて尋ねましょう。

HPV検査単独法を節目年齢に受けそびれた場合は、次の節目まで自動的に待つのではなく、前回の検査方法と受診日を保健センターへ伝えます。受けそびれた人の扱いを確認してから予約すれば、割引の年齢だけに合わせて検診を先延ばしにせずに済みます。

受診後に次回の予定を記録する

節目の検診を受けた後は、その検査に合った次回の時期を記録して、継続する予定につなげます。日本の住民を追跡した観察研究でも、便潜血検査を繰り返し受けていた人ほど、大腸がんで亡くなる危険が低かったと報告されています。

受診歴は本人の申告で調べられており、死亡の危険の差には検診を受ける人の生活習慣などの違いも影響しえます。研究の結果から独自に回数を増やすのではなく、検査方法ごとに示された時期を守るのが基本です。

結果を保管するときに次回の予定も同じ場所に残すと、年齢の案内がない年も受診時期を確かめられます。なお、待っている間に月経以外の出血や血の混じったたんが出た場合は、検診の予約日を待たずに医療機関へ相談してください。

要精検なら受診先への連絡を優先する

要精検とは、がんかどうかを詳しく調べる精密検査が必要という結果です。急ぐのは次の節目を調べる作業ではなく、結果の用紙を読み、案内された受診先へ連絡して検査の予約につなげる対応です。

「要精検」の文字を見て不安になるのは自然ですが、この段階でがんと確定したわけではありません。スウェーデンの大腸がん検診でも要精検の人の多くはがんではない一方、精密検査を受けないままの人では大腸がんの危険が高いと報告されています。

年齢の優遇が終わるかどうかにかかわらず、結果に沿って精密検査を受けてください。受診先の記載が見当たらない場合は、検診を受けた施設か保健センターへ結果を伝えると、次に連絡する先を確認できます。

よくある質問

40歳や50歳の誕生日まで予約を待つ必要がありますか?

誕生日まで待つかどうかは、案内の年齢の基準日と受診期間で決まります。申し込む日の年齢だけで判断せず、今年度の対象者欄にある生年月日の範囲と、予約できる期間を照合しましょう。

節目年齢なのに案内が届かないときはどうすればよいですか?

案内が届いていなくても、まず市区町村の広報紙やウェブサイトで今年度の対象と申し込み方法を確認できます。

対象に当てはまりそうなら、健康づくりの担当課か保健センターへ、生年月日と希望する検診名を伝えます。受診券が必要か、案内を待たずに申し込めるかまで尋ねると、次に取る行動が決まります。

35歳でHPV検査を受けそびれたら、40歳まで待ちますか?

受けそびれたという理由だけで、40歳まで待つとは決められません。前回の検査方法と結果によって、確認する受診時期が変わります。

前回の結果を用意して保健センターへ連絡し、節目年齢以外で受ける場合の扱いを確認しましょう。HPV陽性の後に追跡検査を指示されている人は、通常の節目年齢に合わせず、指定された検査の時期に従います。

節目検診の案内と前回の次回予定が違うときは、どちらに合わせますか?

節目の案内だけで前回指定された時期を変更せず、検査名と結果を予約先に伝えて確認します。

年齢で送られる案内と、前回の結果に応じた予定では、時期を決める条件が違います。結果の用紙に追跡検査などの指示があれば、その記載を伝えたうえで受診日を調整するのが確実です。

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この記事を書いた人 Wrote this article

前田 祐助

前田 祐助 医学博士 / 医師

慶應義塾大学医学部大学院にて、がんの発生メカニズム(発癌機構)や、慢性炎症と腫瘍の関係性に関する基礎研究に従事し、医学博士号を取得。 特に、胃がんにおける炎症微小環境の解析や、細胞シグナル伝達(COX-2/PGE2経路など)による腫瘍形成の研究において実績を持つ。 現在は、大学病院や研究機関で培った「根拠(エビデンス)に基づく医療」の視点を活かし、疾患の早期発見や予防医療の啓発活動を行っている。 【保有資格・所属】 医学博士(慶應義塾大学)/ 医師免許 / 日本内科学会 / 日本医師会認定産業医