がん検査結果の読み方ガイド|判定結果(A〜E)の意味と再検査・精密検査の違い

がん検査結果の読み方ガイド|判定結果(A〜E)の意味と再検査・精密検査の違い

結果票のD判定や「要精密検査」は、がんの診断ではなく、異常の原因を詳しく調べるための指示です。A〜Eの記号だけで判断せず、判定の説明と「いつ、何を受けるか」を合わせて読むのが基本です。

封筒を開けた瞬間に重い病気を想像して、不安になるのは自然な反応です。まず受診が必要な項目と指示を確かめ、分からない部分を検診機関に尋ねれば、次に取る行動がはっきりします。

この記事では、判定区分の読み方、再検査と精密検査の違い、異常判定の受け止め方、受診を先延ばしにしないための対応を解説します。

がん検査結果のA〜Eは受診の指示と合わせて読む

A〜Eは、異常の有無や検査後の対応を表す区分です。がんの進み具合を表す段階ではないため、文字の順だけで病気の重さを決めず、結果票に添えられた説明まで確認します。

A〜Eの一般的な意味と施設による違い

人間ドックの検査や判定の基準を示す日本人間ドック・予防医療学会の区分では、Aは異常なし、Bは軽度異常です。2026年4月改定の区分で、Cは要再検査・生活改善、Dは要精密検査・治療、Eは治療中を表します。

判定一般的な意味結果票で確かめる点
A異常なし対象の検査項目と次回の検診時期
B軽度異常補足の説明と個別の受診指示
C要再検査・生活改善再検査する項目と指定された時期
D要精密検査・治療受診先の案内と受診時期
E治療中治療中の項目と主治医への相談内容

ただし、施設や検診の種類によって記号の使い方や説明が違います。この表は一般的な読み方であり、自分の結果票に印刷された凡例、つまり記号の説明を優先して読みましょう。

総合判定のあとに項目別の指示を確かめる

総合判定で受診が必要と分かったら、項目別の判定へ進み、どの検査がその理由になっているかを確かめます。たとえば、複数の項目のうち1つに要精密検査と書かれているなら、ほかの項目が異常なしでも、その検査について受診が必要です。

所見とは、検査で認められた変化を記した文章です。読む順番は、判定、対象の項目、所見、受診指示。見慣れない用語があっても、まず「再検査」や「受診」の記載を拾えば、必要な対応を見つけやすくなります。

自宅で結果票を開き、総合判定にC、項目別の欄に再検査の時期を見つけた場面なら、その時期を予定に記録します。時期の記載が見つからなければ、結果票を手元に置いて検診機関に連絡し、いつの受診を想定した判定か確認する方法があります。

治療中のE判定と前年からの変化

E判定は、その項目についてすでに治療を受けている状態を表します。AからEへ向かってがんが重くなる並びではないので、治療中の病気と今回指摘された項目が対応しているかを見て、結果票を主治医にも共有します。

前年と記号が変わったときは、所見の変化だけでなく、過去の精密検査の結果が判定に反映されたかも確かめましょう。精密検査で原因が確認され、その後の見守り方が決まれば、初回のD判定からCなどへ変わる場合もあるためです。

一方、記号だけが軽い区分に変わっていても、今回の再検査の指示まで消えたとは限りません。前年の結果票と見比べる際は、同じ項目の説明と受診時期を並べ、不明な変更点を検診機関に尋ねると確認が進みます。

再検査と精密検査は調べる目的が違う

要再検査は、結果をもう一度確認する指示、要精密検査は、指摘された異常の原因を詳しく調べる指示です。言葉だけで待てる期間を決めず、検査項目と受診時期を組み合わせて受け止めます。

要再検査は時期を決めて結果を確かめる

再検査では、前回の結果が続いているか、時間とともに変化するかなどを確認します。同じ検査をもう一度受ける場合もあり、指定された間隔には、変化を確かめるために待つという意味が含まれます。

ただし、検査に使う試料が十分でなく判定できなかった場合の再検査は、変化を待つための検査とは扱いが異なります。「再検査なら急がなくてよい」とまとめず、判定不能などの説明や、すみやかに受けるよう求める記載があるかを確かめてください。

C判定に生活改善と書かれていても、再検査の予定が同時に示されていれば、その再検査も予定どおり受けます。生活を見直した実感や体調のよさを理由に予定を外すと、指摘された変化がその後どうなったか分からないままになります。

要精密検査は異常の原因を詳しく調べる

精密検査では、最初の検査で指摘された異常が何によるものかを、追加の検査や診察で確かめます。結果票に「治療」と並んでいても、その時点で治療内容まで決定した意味ではなく、受診後の評価を踏まえて必要な対応が決まります。

指示主に確認する内容受け取った後の対応
要再検査結果の再確認や時間による変化対象項目と再検査時期の確認
要精密検査指摘された異常の詳しい原因受診先への連絡と時期の相談
判定不能による再検査判断に必要な検査結果やり直しの時期と方法の確認

精密検査の指示があるときは、自己判断で同じ検診を受け直す前に、その指示を出した検診機関へ相談します。同じ方法を繰り返すだけでは、今回確認すべき原因を詳しく調べる目的に届かない場合があるためです。

受診時期が不明なら結果票の発行元に尋ねる

再検査と精密検査のどちらも、判定に対応した時期に受けるのが基本です。たとえば米国の肺のCT検診では、体の断面を画像で調べた結果に応じて、間隔をあけた撮り直しと詳しい検査を区別しています。ただし、この区分を日本のA〜Eへ置き換えて読むことはできません。

「経過観察」とだけ書かれているなら、次に受ける検査と時期を検診機関へ尋ね、予定をはっきりさせましょう。時期の記載がない状態と、検査後の評価で待つ期間が決まっている状態は、分けて受け止めます。

受け先が分からない場合は、結果票を発行した検診機関や、普段受診しているかかりつけ医に相談できます。精密検査を受ける医療機関には、結果票と、発行されていれば紹介状を持参すると、何を指摘されたかを共有しやすくなります。

がん検査結果が異常でも診断はまだ確定していない

異常判定を受けた人の全員から、がんが見つかるわけではありません。異常を確かめるための判定と、詳しく調べた後の診断を区別し、検査の名前も見ながら結果を受け止めます。

がんが見つかる割合は検診の種類で変わる

「異常の人の何割ががんなのか」という数字は、どの検査で、どのような異常を指摘された人を調べたかで変わります。健康診断の総合判定がDだった人と、特定のがん検診で要精密検査になった人は、同じ物差しでは比べられません。

日本の市区町村で2003〜2013年に大腸がん検診を受けた人の全国集計では、要精密検査となった人のうち、実際にがんが見つかった割合は2.2〜3.1%でした1)。これは便に血液が混じっていないかを調べる便潜血検査の集計であり、ほかのがん検診や個人のA〜E判定へ同じ割合を当てはめる数字ではありません。

割合を読むときは、検診を受けた全員が分母なのか、異常を指摘された人が分母なのかも確かめます。同じ検診でも集計の対象が違えば数字の意味が変わるため、割合だけを抜き出して自分の結果と比べると判断を誤ります。

判定の文字だけから個人の確率は出せない

D判定は対応の必要性を表すため、文字だけからは「自分ががんである確率」を計算できません。同じ判定でも、指摘された部位や所見が違い、過去の検査との比較によっても評価が変わるためです。

知りたい点ががんの疑いの強さなら、「この所見では何を疑っているか」「その疑いを確かめるために何を調べるか」と尋ねると、結果票の文字から一歩進んだ説明につながります。検診全体の平均値を探すより、今回の異常についてどこまで分かっているかを整理するほうが、受診の判断に役立ちます。

がんと決まっていなくても精密検査は必要

がんが見つかるのが異常判定の一部であっても、要精密検査の指示を受けた本人が検査を省いてよい根拠にはなりません。まだ原因を確かめていない時点では、自分が詳しい対応を必要とする側かどうか判断できないためです。

受診後に確認するのは、「がんかどうか」だけではありません。今回の異常について結論が出たか、さらに検査や再診が必要かまで尋ねます。良性(がんではない変化)と判断されても、指定された確認が残っていれば予定を記録しておくと、受けそびれを防ぎやすくなります。

精密検査を受けにくい事情は具体的に相談する

受診をためらう理由があるときは、その理由を精密検査を受ける医療機関へ伝えると、日程や検査の説明について相談できます。体調がよいから待っているのか、予約や検査への不安で動けないのかによって、必要な対応が変わります。

症状がないと受診を後回しにしやすい

普段どおりに過ごせていると、結果票の指示よりも目の前の予定を優先しやすくなります。しかし、要精密検査の判定は、検査で確認すべき変化が認められたために出されています。自覚症状の有無にかかわらず、この指示は有効です。

症状が出たら受診するつもりで待つと、必要な確認の時期を自分で先へずらしてしまいます。日本の検診でも精密検査を受けていない人が確認されており、受けなかった人がいるという事実を、待ってよい理由には使えません。

今の体調と検査後の対応を切り離し、結果票に書かれた時期を基準に予定を決めましょう。受診の必要性に納得できない場合も、放置するより、何を確認するための検査かを検診機関へ尋ねるほうが疑問を解消しやすくなります。

仕事の都合や検査への不安を伝える

日程が合わない、検査が怖い、移動が難しいといった事情は、相談内容を具体的にするほど対応を検討しやすくなります。「受けられない」とだけ伝えるより、どの部分が難しいかを分けて伝えましょう。

受診しにくい事情伝える内容相談先
仕事や家庭の予定受診できる曜日と時間帯精密検査を受ける医療機関
検査に対する怖さ痛みや検査内容など不安な点精密検査を受ける医療機関
受け先が不明判定の内容と通える地域検診機関やかかりつけ医
移動や付き添いの調整通院に必要な手助け精密検査を受ける医療機関

予定の調整が難しくても、受診時期を変更してよいかの判断は別に必要です。都合のよい日を決める前に、結果票に書かれた時期を伝えると、医学的な必要性と実際の予定を合わせて相談できます。

医療機関からの再連絡だけを待たない

結果票を受け取った後は、追加の連絡が来るかどうかにかかわらず、記載された指示に沿って自分から連絡するのが基本です。米国の医師への調査でも、受診時期を過ぎた人への連絡体制に課題が示されており、医療側だけですべての受けそびれを拾う難しさがあります。

また、受診が遅れている場合には、医療機関からの連絡や相談の手助けが受診につながるという試験結果もあります。日本で受けられる支援は医療機関によるため、必要な手助けがあるなら、予約の連絡時に相談しておく方法があります。

先延ばしは異常の確認と診断を遅らせる

精密検査を受けないままにすると、原因が分からない期間が延び、がんがある場合には診断や治療の開始が遅れるおそれがあります。どれだけ待てるかを自己判断するより、指示された時期に受けられるよう、予約の段階から相談しましょう。

未受診のままでは原因の確認が止まる

異常の通知を受けてから時間が過ぎても、検査の原因が解決したとは判断できず、結果は未確認のまま残ります。痛みなどが現れるのを待つよりも、指摘された変化を調べ、次の対応が必要かどうかを確かめるほうが診断につながります。

イタリアの大腸がん検診の観察研究では、精密検査を受けなかった人は受けた人より、その後に大腸がんで亡くなる危険が高いと報告されています。これは実際の受診状況を追って比べる研究です。受診した人としなかった人では健康状態や生活背景も異なる可能性があるため、差のすべてを未受診だけの影響と断定するには慎重さが必要です。

この結果をほかのがん検診へそのまま広げるのではなく、該当する検診で指示された確認を最後まで受ける理由として受け止めます。未受診に気づいた時点からでも、今回の結果と経過した期間を検診機関へ伝え、受診時期を相談してください。

予約日と結果を確認する日には間隔がある

医療機関へ連絡した日が、そのまま検査を受ける日や結果が分かる日になるとは限らず、予約の調整にも時間がかかります。受診の期限に近づいてから連絡すると、希望する日程で検査を受けにくくなるため、まず予約の見通しを確かめましょう。

精密検査の実施や結果の確認までの時間には、地域や医療機関の事情も関係するという米国の乳がん検診後の研究があります。日本で何日待つかを示す結果とは異なるため、実際の日程は受診先に確かめ、指示された時期とのずれがあるかを相談します。

予約が指示された時期より先になるときは、予約先に判定内容と指定時期を伝えて相談します。検査を申し込んだ安心感だけで終えず、いつ受けて、どの方法で結果を聞くかまで把握しておくと、確認の中断を避けやすくなります。

精密検査後の再診まで予定を残す

精密検査を受けた後も、変化を確かめるための再診が指定される場合があります。その時点でがんと診断されていなくても、次回の検査が残っていれば、今回の確認がすべて終わったとは扱わず予定を保ちます。

乳がん検診では、いったん良性と評価された後に診断が遅れた例が報告されており、異常が残るときに指示された再検査を続ける意味があります。毎回新たな検査を求めるという意味ではなく、今回の所見について示された確認を途中でやめないという対応です。

次回予約が未定なら、精密検査を受けた医療機関へ、再診が必要か、必要ならいつかを尋ねましょう。結果の説明と次の予定を同じ場所に記録しておくと、後から別の医療機関を受診する場合にも、確認済みの内容を伝えやすくなります。

がん検査結果が異常なしでも続く症状は受診する

異常なしという結果があっても、新しい症状や続いている症状があれば、次の検診を待たずに受診しましょう。結果票は検査時点で調べた範囲についての評価であり、その後の体調の変化も含めて受診を判断します。

続くせきなどは結果票と一緒に相談する

せきが続く、以前と違う症状が出てきたなど、体の変化があるときは、異常なしの結果を理由に相談を先延ばしにしないでください。症状のある人を対象とした英国の研究でも、胸部エックス線で異常なしとされた後に肺がんと診断された例が確認されています。

この研究は、症状のない人が受ける検診の成績を示すものではなく、症状が残る人では検査結果だけで判断を終えない点を支えています。受診時には、検査を受けた日と症状が始まった時期を分けて伝えると、検査前からの変化か、その後に出た変化かを共有できます。

結果を受け取る前に体調が変わったとき

結果の到着前でも、症状が続いたり悪化したりしたときは、かかりつけ医などへ相談できます。結果票が届くまで待つ必要はありません。相談時には、検診を受けたことと検査の種類、結果はまだ届いていないことを伝えると、状況を共有しやすくなります。

現在の状況対応の基準相談時に伝える内容
異常なしで症状もない通常の検診予定や個別の指示次回時期が不明な場合はその確認
異常なしでも症状が続く症状について診療を受ける判断症状の始まりとこれまでの検査
結果待ちで症状が悪化結果の到着を待たない受診相談悪化の経過と受けた検査の種類

予約した再検査の日があっても、その前に体調が変われば相談する理由になります。「検査を受けたばかり」と遠慮するより、今の症状と検査時点の状態が同じかどうかを伝えるほうが、受診時期を判断しやすくなります。

症状がなければ次回の検診予定を確認する

異常なしで気になる症状もなければ、結果票に特別な指示があるかを確認し、通常の検診予定を続けるのが基本です。不安だけを理由に短い間隔で検査を重ねる前に、今回調べた範囲と次回の時期を確認すると、予定を整理できます。

以前の異常について定期的な診察を受けている人は、その診察の予定も保ちます。今回の結果票が異常なしでも、別に続けている診療を終えるかどうかは、その異常の経過を踏まえて判断されるためです。

結果票は、受診が必要なときだけでなく、次回の検査との比較にも使えます。検査日が分かる状態で保管し、今回の判定と次の予定を一緒に残しておくと、記憶だけに頼らず経過を伝えられます。

よくある質問

D判定は、がんが進んでいるという意味ですか?

D判定は一般に要精密検査・治療を表し、がんの進行度を示す記号とは異なります。結果票の凡例と対象項目を確かめ、個別に書かれた受診指示に沿って対応します。

去年も異常を指摘されて問題なかったので、今年は受診せずに待ってよいですか?

今年も受診を指示されているなら、昨年の結果だけで見送らず、今回の指示に沿って確認しましょう。同じ項目でも、所見が変わったのか、過去の精密検査の結果が今回の判定に反映されているのかで、受け止め方が違います。

昨年の結果を手元に用意し、検診機関へ今回の指示との関係を尋ねましょう。すでに診療を受けている項目なら、その医療機関にも新しい結果票を共有すると、重複や受けそびれを避けながら予定を相談できます。

受診の指定時期を過ぎてしまいましたが、今からでも連絡したほうがよいですか?

指定時期を過ぎていても、気づいた時点で検診機関や精密検査を受ける医療機関へ連絡してください。未確認の結果をそのままにするより、これまでの経過を伝えて受診時期を決めるほうが確実です。

連絡時は、検査日、指摘された項目、現在の症状を伝えると相談が進みます。都合がつかず遅れた場合は受診できる日程も添え、症状が出ている場合は、その変化を優先して伝えます。

精密検査を受けて何も言われていなければ、異常なしと思ってよいですか?

連絡がないという事実だけで異常なしと決めず、予定されていた結果説明が済んでいるかを確かめましょう。検査を受けた日と、結果を確認する日は別になる場合があるためです。

結果の受け取り方が分からない、説明の予定日を過ぎている、再診の有無を聞けていない場合は、精密検査を受けた医療機関へ連絡します。今回の結論と次の予定まで確認できれば、その後の対応を決められます。

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この記事を書いた人 Wrote this article

前田 祐助

前田 祐助 医学博士 / 医師

慶應義塾大学医学部大学院にて、がんの発生メカニズム(発癌機構)や、慢性炎症と腫瘍の関係性に関する基礎研究に従事し、医学博士号を取得。 特に、胃がんにおける炎症微小環境の解析や、細胞シグナル伝達(COX-2/PGE2経路など)による腫瘍形成の研究において実績を持つ。 現在は、大学病院や研究機関で培った「根拠(エビデンス)に基づく医療」の視点を活かし、疾患の早期発見や予防医療の啓発活動を行っている。 【保有資格・所属】 医学博士(慶應義塾大学)/ 医師免許 / 日本内科学会 / 日本医師会認定産業医