全ゲノム解析の臨床応用への期待|これまでの検査で薬が見つからなかった方へ

全ゲノム解析の臨床応用への期待|これまでの検査で薬が見つからなかった方へ

遺伝子パネル検査を受けたにもかかわらず「対象となる薬がない」と言われた経験を持つ患者さんは、少なくありません。全ゲノム解析(WGS)は、ゲノム全体を網羅的に読み解く技術として、これまでの検査では見落とされてきた変異を発見できる可能性を持ちます。

日本でも国のプロジェクトとして普及が本格化しており、がんゲノム医療の新たな柱として期待が高まっています。本記事では、全ゲノム解析の仕組みから臨床での活用方法、検査を受けるまでの流れまでを、患者さん目線でわかりやすくお伝えします。

全ゲノム解析とは何か?がん治療の現場で注目が集まる理由

「全ゲノム解析」は、人間の遺伝情報(ゲノム)をすべて読み解く技術です。従来の検査ではカバーできなかった領域まで調べられるため、がん治療における新たな情報源として世界中で研究・臨床応用が進んでいます。

ヒトのゲノムを丸ごと読み解く、その仕組みとは

ヒトのゲノムは約30億の塩基対から成り立っています。全ゲノム解析はその全体を次世代シーケンサーで一気に読み取る技術であり、タンパク質を作るコード領域だけでなく、遺伝子の発現を調節する非コード領域や染色体の大規模な構造変化(構造変異)も検出できます。

臨床では腫瘍組織と血液(正常細胞)の両方からDNAを採取・比較することで「がんで後天的に生じた変異(体細胞変異)」を特定します。生まれつき持っている遺伝性の変異(生殖細胞系列変異)も同時に評価できる点が、大きな特長のひとつです。

従来の遺伝子パネル検査との根本的な違い

遺伝子パネル検査は、がんに関与するとされる特定の遺伝子(数十〜数百個程度)のみを解析します。多くの製品でゲノム全体の0.1%程度しかカバーしておらず、パネルに含まれない遺伝子の異常や融合遺伝子・構造変異などは見落とされることがあります。

全ゲノム解析はゲノム全域を対象とするため、パネル外の変異も含め、腫瘍変異負荷(TMB)・マイクロサテライト不安定性(MSI)・相同組換え修復欠損(HRD)なども一度の検査で評価できます。

遺伝子パネル検査と全ゲノム解析の主な違い

比較項目遺伝子パネル検査全ゲノム解析
解析範囲対象遺伝子のみ(ゲノム全体の約0.1%)ゲノム全体(100%)
検出できる変異点突然変異・小さな挿入欠失(一部の融合遺伝子)点突然変異・構造変異・融合遺伝子・コピー数変異など
変異シグネチャー解析困難または不可可能(TMB・MSI・HRDなど一括評価)

免疫チェックポイント阻害薬やPARP阻害薬が使われる時代になった背景

近年、免疫チェックポイント阻害薬やPARP阻害薬など、ゲノム情報に基づいて使用を判断する薬剤が相次いで承認されています。これらの薬剤は、腫瘍のゲノムプロファイルによって効果が大きく左右されます。

より広い範囲のゲノム情報を得ることで、患者さん一人ひとりに適した治療を探す精度が上がります。パネル検査で「対象なし」とされた方にも、全ゲノム解析によって新たな選択肢が開けることがあるのです。

これまでの検査で「薬がない」と言われた方に伝えたいこと

遺伝子パネル検査を受けても手がかりが得られなかった方にとって、全ゲノム解析はもう一段掘り下げた探索になりえます。従来の検査の「網の目」にかからなかった変異が、ここで見つかることがあります。

遺伝子パネル検査で「該当なし」になりやすいケース

パネル検査は、あらかじめ組み込まれた遺伝子の種類が検出精度を決定します。希少ながん種に多い変異や稀な融合遺伝子、非コード領域の変異はパネルの対象外になりやすく、「該当なし」という結果が返ってくることがあります。

特に複数の治療ラインを経てきた患者さんでは、既存のパネルでは見つけられない変異が治療の鍵になるケースも報告されています。また、正常組織との対比を行わないパネル検査では、体細胞変異と遺伝性変異の区別が難しい場合もあります。

全ゲノム解析が一度で読み取れる変異の幅広さ

全ゲノム解析では、点突然変異(SNV)・小さな挿入欠失(インデル)・コピー数変異(CNV)・構造変異(SV)・変異シグネチャーを一度に評価できます。融合遺伝子(ALK・RET・NTRKなど)の検出感度はパネル検査より高く、融合が生じた染色体上の位置まで特定できることがあります。

腫瘍変異負荷(TMB)の評価においても、ゲノム全体の情報をもとに算出するため、パネル由来の値より精度が高いとされています。これらの情報を総合することで、治療選択の幅が大きく広がります。

新たな治療標的が見つかることで変わること

全ゲノム解析によって治療標的が見つかった場合、既承認の分子標的薬の使用を検討できるほか、進行中の臨床試験への参加が検討されることもあります。HRDが確認されればPARP阻害薬、MSI-Hであれば免疫チェックポイント阻害薬の対象になりえます。

一方、特定の変異の「否定」によって「この薬は適さない」という情報が得られる場合もあり、不必要な投薬を避ける判断材料にもなります。それ自体が患者さんにとって重要な情報です。

全ゲノム解析で評価できる主な変異タイプと関連する治療戦略

変異タイプ関連する治療戦略
融合遺伝子(ALK・RET・NTRKなど)融合標的の分子標的薬
MSI-H(高頻度マイクロサテライト不安定性)免疫チェックポイント阻害薬
HRD(相同組換え修復欠損)PARP阻害薬・白金製剤
腫瘍変異負荷(高TMB)免疫チェックポイント阻害薬
コピー数変異(特定遺伝子の増幅)増幅標的の分子標的薬や臨床試験

がん種別に見る全ゲノム解析の臨床的な手ごたえ

全ゲノム解析は特定のがん種に限らず、固形がん全般での有用性が報告されています。実際の臨床研究では、パネル検査では見つからなかった変異が追加発見されるケースが少なくありません。

肺がん・消化器がん・乳がんで報告されている実績

非小細胞肺がんでは、ALK融合遺伝子をはじめとする複数の融合遺伝子が全ゲノム解析によって精度高く検出されています。複雑な染色体再編成(クロモスリプシス)から生じる融合遺伝子はパネル検査では検出が難しく、全ゲノム解析ならではの情報となります。

消化器がんでは、MSI-HをTMBと変異シグネチャーの両軸から評価できるため、免疫チェックポイント阻害薬の適否判断の精度が向上します。乳がんでもBRCA1/2の変異に加え、BRIP1などのHRD関連遺伝子の変異を評価でき、BRCA陰性でもHRD陽性であれば治療選択の幅が広がります。

原発不明がんの原発巣を特定する手がかりになることも

「原発不明がん」とは、転移は確認されているものの、原発巣がどこにあるのか病理検査では特定できないケースです。治療法の選択が非常に難しく、患者さんにとって深刻な状況が続きます。

全ゲノム解析では「変異シグネチャー」(喫煙・UV曝露などの痕跡がDNAに残されたパターン)を解析することで、がんの由来組織を推定できることがあります。オランダではこの技術を活用して原発不明がんの診断精度が向上したと報告されており、注目を集めています。

変異シグネチャーの主な種類と関連する原因・がん種

シグネチャー名関連する原因・特徴
SBS4タバコの煙への曝露(肺がんなどと関連)
SBS7a/7b紫外線への曝露(皮膚がんと関連)
SBS15・SBS20などミスマッチ修復欠損(MSI-Hと関連)
SBS3相同組換え修復欠損(HRDと関連)

希少がんや若年がんへの貢献も見逃せない

希少がんでは、標準的なパネルに対象遺伝子が含まれていないことが多く、全ゲノム解析のメリットが特に大きいとされています。骨・軟部腫瘍(肉腫)や脳腫瘍など、構造変異を重要な診断マーカーとするがん種では、全ゲノム解析が病理診断の補助にもなりえます。

小児・若年がんでは遺伝性素因(生殖細胞系列変異)を持つケースが多く、家族も含めた包括的な情報提供の観点からも有益です。英国の100,000 Genomes Projectでは、小児・若年がんや希少がんの患者さんを対象に全ゲノム解析が実施され、既存の検査では見つからなかった遺伝子異常が多数発見されました。

日本ではどこまで進んでいるのか?がんゲノム医療体制の現在地

全ゲノム解析の普及に向けた国の取り組みが本格化しています。患者さんが検査にアクセスできる環境が、着実に整備されつつあります。

厚生労働省の全ゲノム解析等実行計画とは何か

厚生労働省は2019年に「全ゲノム解析等に係る実行計画」を策定し、がんと希少・難治性疾患を対象に全ゲノム解析を推進しています。2022年の改訂版では、5年間で10万例以上のゲノムデータの収集を目標に掲げました。

計画では医療機関でゲノムデータを収集・解析し、エキスパートパネルによる結果の臨床返却を通じて患者さんの治療選択に役立てることを目指しています。収集されたデータは将来の創薬や学術研究にも活用される予定です。2023年9月時点で、すでに1万2,000例以上のがんゲノム解析が完了しています。

がんゲノム医療中核拠点病院と拠点病院の違いと選び方

全国には「がんゲノム医療中核拠点病院」(12施設)と「がんゲノム医療拠点病院」(33施設)が指定されており、全ゲノム解析の実施体制と遺伝カウンセリングの提供体制が整っています(2024年時点)。

中核拠点病院は拠点病院の支援機能も担っており、どこに住んでいても一定水準のがんゲノム医療にアクセスできる仕組みが構築されています。患者さんが直接問い合わせることもできますが、まず主治医に相談するのが最もスムーズな方法です。

実際に検査を受けるための流れ

全ゲノム解析を受けるには、まず主治医に希望を伝えることが出発点です。検査の適応(治療歴・病状・組織の保存状況など)を確認した上で、主治医が実施可否を判断します。必要に応じてがんゲノム医療拠点病院への紹介が行われます。

検査には腫瘍組織と血液(対照となる正常DNA)の両方が必要です。既存の保存組織(ホルマリン固定パラフィン包埋標本)が使えるケースも多くありますが、組織の品質によっては解析が難しいこともあります。事前に担当医と相談しておくと安心です。

がんゲノム医療の施設分類と特徴

施設分類主な特徴
がんゲノム医療中核拠点病院(12施設)エキスパートパネルの中心的な開催施設。遺伝カウンセリング・研究機能を持つ
がんゲノム医療拠点病院(33施設)中核拠点病院と連携して検査やカウンセリングを提供する
がんゲノム医療連携病院拠点病院に患者さんを紹介する機能を持つ一般病院

全ゲノム解析の結果が届いた後に何が起きるのか

検査結果の返却は単純ではありません。専門家チームによる慎重な検討を経て、患者さんに伝えられます。結果を受け取った後の流れを事前に知っておくと、戸惑いや不安が軽減されます。

多職種が集まる「エキスパートパネル」で何が話し合われるのか

エキスパートパネルとは、がん専門医・病理医・臨床遺伝専門医・遺伝カウンセラー・薬剤師などが集まり、全ゲノム解析の結果を臨床的にどう活かすかを検討する多職種の会議です。

検出された変異の治療標的としての有用性、既承認薬との対応関係、臨床試験への適応可否、遺伝性素因の有無などが総合的に評価されます。その結論は担当医を通じて患者さんに報告書として届けられます。

報告書に書かれていること、患者さんが知っておきたいこと

報告書には、検出された変異の詳細とその臨床的な意味、推奨される治療の方向性、該当する臨床試験の情報などが記載されています。ただし、変異が見つかったとしても、すぐに使える薬が必ず存在するわけではありません。

「意義不明の変異(VUS)」と呼ばれる、現時点では臨床的意義が明確でない変異が報告されることもあります。将来的な研究の進展によって評価が変わる可能性があるため、主治医や遺伝カウンセラーと継続的に相談することが大切です。

全ゲノム解析の報告書に含まれる主な情報

情報の種類内容の例
体細胞変異の一覧がんで後天的に生じた遺伝子変異の種類と染色体上の位置
治療標的の評価既承認薬・臨床試験に対応するかどうかの判定
変異シグネチャー解析TMB・MSI・HRDの評価結果
生殖細胞系列変異の情報遺伝性素因の有無(二次所見として)

生殖細胞系列変異が見つかった場合の対処法

全ゲノム解析では、がんで後天的に生じた体細胞変異だけでなく、生まれつき持っている遺伝性の変異(生殖細胞系列変異)も検出されることがあります。BRCA1/2やMLH1などの遺伝性がん素因遺伝子に変異が見つかった場合、血縁者にも影響する可能性があります。

このような場合、遺伝カウンセリングが強く推奨されます。患者さん自身の今後の健康管理だけでなく、ご家族への情報提供の方法や、家族が受けられる遺伝子検査の選択肢についても、専門の遺伝カウンセラーと一緒に考えていくことが大切です。

全ゲノム解析でも「答えが出ないこと」がある、正直に伝えたいこと

全ゲノム解析は非常に強力なツールですが、万能ではありません。この検査でも明確な答えが出ないケースや、解釈が難しい状況があることを、あらかじめ理解しておきましょう。

検出できないケースや解釈が難しい変異も存在する

腫瘍内で細胞の遺伝情報が均一でない「腫瘍内不均一性」がある場合、少数の細胞にしか存在しない変異は検出されないことがあります。腫瘍細胞の割合(TCF)が低い検体では感度が下がり、解析が困難になるケースもあります。

新鮮凍結組織とホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織では解析精度が異なり、FFPEでは人工的なDNA損傷によって偽陽性変異が生じやすくなることも知られています。使用する組織の種類によって結果の信頼性に差が出ることは、あらかじめ念頭に置いておく必要があります。

解析データの解釈は施設や専門家によって変わることがある

全ゲノム解析は膨大なデータを生成します。その解釈には高度な生物情報学の知識と豊富な臨床経験を持つ専門家チームが必要です。同じデータであっても、解析プラットフォームや解釈者によって結論が異なる場合があるため、施設の体制や実績を確認することが望ましいといえます。

倫理的な課題にも事前に備えておくことが大切

全ゲノム解析では、がんに直接関係しない遺伝情報(二次所見)が明らかになる場合があります。生命保険・雇用への影響、家族への情報共有の判断など、倫理的な問題が生じることもあります。

検査前に、どのような情報が開示されるのか、二次所見はどう扱われるのかを担当医や遺伝カウンセラーと十分に話し合っておくことを強くお勧めします。

全ゲノム解析を受ける前に確認しておきたいこと

  • 腫瘍組織の質と量が解析精度に影響することを主治医に確認する
  • 二次所見(本来の目的外で判明する遺伝情報)の扱いについて事前に話し合う
  • 結果の解釈に専門家チームの関与が欠かせないことを理解する
  • 遺伝情報の開示が保険・雇用などに与えうる影響を把握しておく
  • 家族への情報共有の意思決定について遺伝カウンセラーに相談する

全ゲノム解析を受けるために、今日からできる準備

「受けてみたい」という気持ちが芽生えたら、まず情報を整理し、適切な相談先を見つけることが大切です。焦らず、段階を踏んで準備を進めていきましょう。

まず主治医に伝えておくべき情報を整理する

主治医への相談では、これまでの治療歴と検査結果をまとめておくと話がスムーズです。「全ゲノム解析を受けたい」と率直に伝えるとともに、現在保存されている腫瘍組織の状況(採取時期・組織の種類)も事前に確認しておきましょう。

主治医との相談で確認しておきたいこと

  • 全ゲノム解析の適応となる病状かどうか
  • 保存されている腫瘍組織が解析に使用できるか
  • がんゲノム医療拠点病院への紹介の可否
  • 検査にかかる期間の目安
  • エキスパートパネルの開催施設と遺伝カウンセリングの体制

遺伝カウンセリングと精神的サポートを上手に活用する

遺伝カウンセリングは、検査前・検査後のどちらでも受けることができます。検査前には、どのような情報が得られるか、プライバシーや家族への影響などについて相談できます。検査後には、結果の解釈や次のステップへのサポートを受けることができます。

精神的な負担を感じた場合は、担当医や病院内の「がん相談支援センター」にも積極的に相談してください。検査の結果を待つ期間は特に不安が高まりやすいため、サポートを遠慮なく求めることが大切です。

セカンドオピニオンを積極的に考えてみるのも一つの方法

全ゲノム解析の結果を受け取った後、その解釈や治療方針について別の専門家の意見を聞くことも有益な選択肢です。特に稀少な変異や意義不明の変異(VUS)については、複数の専門医の見解を参考にすることで、より慎重な判断ができます。

セカンドオピニオンを希望する場合は、担当医に相談して診療情報提供書や検査結果のコピーを準備してもらいましょう。主治医への遠慮は無用です。患者さん自身が納得できる医療判断を行うために、積極的な情報収集は欠かせません。

よくある質問

全ゲノム解析は、どのようながん種でも受けることができますか?

全ゲノム解析は固形がん全般が対象となりますが、検査の適応は主治医が個別に判断します。特に標準治療が奏効しない進行・再発がんや、希少がん、原発不明がんの患者さんが検討されることが多い傾向があります。

腫瘍組織が十分に保存されていること、患者さんの全身状態が一定の基準を満たしていることなども確認が必要です。「全ゲノム解析について相談したい」と主治医に伝えることが最初の一歩です。

全ゲノム解析の結果が出るまでに、どれくらいの時間がかかりますか?

全ゲノム解析は、組織採取から報告書の返却まで、おおむね4週間から8週間程度かかるのが一般的です。施設や使用するプラットフォームによって異なりますが、研究報告によれば中央値で約11営業日というケースもあります。

エキスパートパネルの開催日程などによっても前後するため、担当施設に事前に確認しておくと安心です。結果を待つ期間の精神的なサポートについても、医療チームに遠慮なく相談してください。

全ゲノム解析で治療につながる変異が見つかった場合、すぐに治療を開始できますか?

変異が見つかったからといって、必ずすぐに新しい治療を始められるわけではありません。既承認薬に対応する変異であれば、主治医の判断のもとで治療を検討できます。

臨床試験の対象となる変異が見つかった場合は、参加施設や登録条件の確認が別途必要になります。全ゲノム解析の結果はあくまで「情報」であり、治療の最終判断は主治医と患者さんが一緒に行うものです。

全ゲノム解析で生殖細胞系列変異が見つかった場合、家族も検査を受けた方がよいですか?

生殖細胞系列変異(遺伝性の変異)が見つかった場合、血縁者にも同じ変異が受け継がれている可能性があります。家族もがんリスクを評価するための遺伝子検査を検討することが推奨される場合があります。

ただし、家族への情報共有や検査受診は、本人と家族の意思が最優先です。どのように伝えるか、何をどこまで共有するかについては、遺伝カウンセラーに相談することで、患者さんと家族双方にとって納得できる方法を一緒に考えることができます。

全ゲノム解析はどこで受けられますか?どの施設に相談すればよいですか?

全ゲノム解析を受けるには、まず現在の主治医に相談してください。主治医が検査の適応を確認した上で、がんゲノム医療中核拠点病院や拠点病院へ紹介してもらえます。現在かかっている病院がこれらの指定施設でない場合でも、連携を通じてアクセスできます。

厚生労働省やがん情報サービス(国立がん研究センター)のウェブサイトでは、指定施設の一覧を確認することができます。患者さんご自身で施設に問い合わせることも可能ですが、主治医を通じた紹介が、検査へのスムーズな導線となります。

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この記事を書いた人 Wrote this article

前田 祐助

前田 祐助 医学博士 / 医師

慶應義塾大学医学部大学院にて、がんの発生メカニズム(発癌機構)や、慢性炎症と腫瘍の関係性に関する基礎研究に従事し、医学博士号を取得。 特に、胃がんにおける炎症微小環境の解析や、細胞シグナル伝達(COX-2/PGE2経路など)による腫瘍形成の研究において実績を持つ。 現在は、大学病院や研究機関で培った「根拠(エビデンス)に基づく医療」の視点を活かし、疾患の早期発見や予防医療の啓発活動を行っている。 【保有資格・所属】 医学博士(慶應義塾大学)/ 医師免許 / 日本内科学会 / 日本医師会認定産業医