血液がん category

白血病の初期症状チェック|あざ・疲労感など見逃せないサイン

白血病の初期症状は、疲れやすさや顔色の悪さ、打った覚えのないあざ、長引く微熱など、日常のありふれた不調とよく似ていて見分けにくいのが特徴です。

そのため気づくのが遅れることもありますが、貧血・出血・感染という3つの系統に分けて考えると、見落としやすいサインに気づきやすくなります。

この記事では、あざや疲労感といった初期症状のチェックポイントを中心に、子どもと大人で気をつけたい違い、受診の目安や検査の流れまで丁寧に整理しました。

気になるサインがある方は、早めの相談につなげる手がかりとして役立ててください。

白血病の初期症状とは?まず押さえたい体のサイン

白血病の初期症状は、骨髄で異常な細胞が増えて正常な血液が作られにくくなることで現れます。大きく分けると、貧血による症状・出血しやすさ・感染しやすさの3つに整理できます。

血液の変化体に出やすい症状気づくきっかけ
赤血球が減る(貧血)疲れやすさ・息切れ・動悸・顔色の悪さ休んでも疲れが抜けない
血小板が減るあざ・点状出血・鼻血・歯ぐきの出血打った覚えのないあざ
白血球が減る・働きが落ちる発熱・のどの腫れ・感染を繰り返す微熱や風邪が長引く

一つひとつは珍しくない不調でも、複数が同時に続くときは注意が必要です。気になるサインが重なる場合は、自宅でのチェックも受診を決める手がかりになります。

貧血からくる疲労感・息切れ・顔色の悪さ

赤血球が減ると体に酸素が行き渡りにくくなり、少し動いただけで息切れや動悸を感じやすくなります。横になっても疲れが抜けない、顔色が青白いといった変化も、貧血が背景にあるサインかもしれません。

こうした症状は鉄分不足など別の原因でも起こりますが、休んでも改善しないときは一度血液の状態を調べてもらうと安心でしょう。

長引く微熱や倦怠感に隠れたサイン

白血球が正常に働かなくなると、体は感染から守られにくくなり、はっきりした風邪でもないのに微熱が続くことがあります。だるさや倦怠感が長引くのも、見逃されやすい初期のサインといえます。

数日で治る発熱と違い、原因のはっきりしない熱が2週間ほど続く場合は、早めの相談をおすすめします。

自宅でできる初期症状の見分け方を詳しく見る
白血病の初期症状セルフチェックの手順

あざや出血が白血病のサインになるのはなぜ?

あざや出血が白血病のサインになるのは、血を止める血小板が減るためです。打った覚えがないのにあざができる、出血がなかなか止まらないといった変化が初期の手がかりになります。

打った覚えのないあざ・なかなか消えないあざ

血小板が少なくなると、ほんの少しの刺激でも皮膚の下で出血し、あざとして残りやすくなります。ぶつけた記憶がない、左右にいくつも現れる、1週間以上たっても薄くならないあざは、ふだんの青あざとは性質が異なります。

色は紫から暗い赤茶まで幅広く、押しても薄くならないこともあります。気になるあざが繰り返すときは、血液内科への相談を検討してみてください。

あざの見分け方の目安

見るところふつうのあざ気をつけたいあざ
きっかけぶつけた記憶がある覚えがないのにできる
治り方1〜2週間で薄れるなかなか消えない
数や場所単発でぶつけた所複数・あちこちに出る

もちろんあざがあるからといって、すぐに白血病とは限りません。ほかの症状と合わせて、体全体の様子をみることが大切です。

鼻血や歯ぐきの出血・点状出血

皮膚以外でも、鼻血が出やすい、歯みがきで歯ぐきから血がにじむ、月経の出血が増えるといった粘膜の出血がみられる場合があります。足のすねなどに赤い小さな点が散らばる点状出血も、血小板が大きく減ったときのサインです。

こうした出血が続いたり、止まりにくかったりするときは、早めに医療機関で相談すると安心でしょう。

あざや出血のサインの見分け方をチェック
白血病のあざ・出血サインの特徴

子どもの白血病で見逃せない症状

子どもの白血病は、発熱・あざ・骨や関節の痛み・顔色の悪さなど、ありふれた体調不良とよく似た形で現れます。複数のサインが重なるときは、早めの受診が見逃しを防ぐ手がかりになります。

発熱・あざ・骨や関節の痛みに注意

小児の白血病では、原因のわからない発熱や顔色の悪さ、皮膚のあざが多くみられます。研究では、肝臓や脾臓の腫れ・顔色の悪さ・発熱・あざのいずれかが、半数を超える子どもにみられたと報告されています。

加えて、足を引きずる、関節を痛がるといった症状も少なくありません。成長痛と見分けにくいため、ほかのサインと合わせて様子をみることが大切です。

受診を考えたい子どものサイン

  • 顔色が悪く、すぐに疲れる
  • 機嫌が悪く、遊びたがらない
  • 足を引きずる・関節を痛がる
  • 原因のわからない発熱が続く
  • 小さなあざや出血が増える

小さな子どもは不調をうまく言葉にできません。いつもと違う様子が続くときは、周りの大人が早めに気づいてあげたいところです。

子どもに出やすい症状を知りたい方へ
小児白血病の症状チェックの要点

大人で白血病と症状が似ている血液の病気

大人で白血病と症状が似ている血液の病気には、悪性リンパ腫や多発性骨髄腫があります。重なる症状も多いため、自己判断せず検査で確かめることが正しい診断への近道です。

悪性リンパ腫との症状の違い

悪性リンパ腫は、首やわきの下、足の付け根などのリンパ節が痛みなく腫れることが多い病気です。寝汗や原因不明の体重減少、微熱といった症状は白血病とも重なります。

しこりに気づいても痛みがないため、放置されやすい点に注意が必要です。腫れが続くときは早めに相談してください。

多発性骨髄腫との症状の違い

多発性骨髄腫は中高年に多く、腰や背中など骨の痛み、骨折しやすさ、貧血による疲れやすさが特徴です。症状がゆっくり進むため、年齢のせいと思われて気づくのが遅れる場合もあります。

長引く骨の痛みや、繰り返す貧血が気になるときは、血液の検査を受けてみるとよいでしょう。

白血病・悪性リンパ腫・多発性骨髄腫の主な症状の比較

病気出やすい初期症状特徴
白血病疲労・あざ・発熱血液全体の数値が乱れる
悪性リンパ腫首やわきのしこり・寝汗リンパ節の腫れが中心
多発性骨髄腫腰や背中の骨の痛み・貧血中高年に多い

いずれも症状だけで区別するのは難しく、血液や画像の検査で見分けます。気になるサインが続くなら、早めの受診が安心につながります。

リンパの腫れなど見分けたい症状の解説を読む
悪性リンパ腫の初期症状とサイン

骨の痛みや貧血が続くときの情報を詳しく見る
多発性骨髄腫の症状と診断の進み方

白血病が疑われたときの検査と診断の流れ

白血病が疑われたときは、まず血液検査で血球の数値を調べ、必要に応じて骨髄検査で確定します。早く見つかるほど、その後の見通しに良い影響を与えるといわれています。

  • 症状が2週間以上続く
  • あざや出血を繰り返す
  • 微熱と倦怠感が重なる
  • 健診で血液の数値に異常
  • 不安が強く相談したい

当てはまる項目が複数あるときは、自己判断で様子をみすぎず、医療機関に相談すると安心です。

血液検査でわかること

血液検査では、赤血球・白血球・血小板の数や、異常な細胞がないかを調べます。白血病では白血球が極端に増えたり減ったり、貧血や血小板の減少がみられることがあります。

健診の血液検査で異常を指摘され、見つかるきっかけになるケースも少なくありません。数値の異常を指摘されたら、放置せず精密検査を受けましょう。

骨髄検査と遺伝子の検査

確定のためには、骨盤の骨などから骨髄液を採る骨髄検査を行い、異常な細胞の割合や種類を詳しく調べます。さらに遺伝子や染色体の検査を加えると、白血病の型や治療方針を見きわめる手がかりになります。

検査と聞くと不安になりますが、正しい診断は自分に合った治療への第一歩です。わからない点は遠慮なく主治医に尋ねてください。

どんな検査で何がわかるかを詳しくまとめました
血液がんの検査方法の全体像

早期発見が予後にどう関わるかをチェック
白血病の生存率と予後の見通し

白血病の主な治療と受診を急ぎたいタイミング

白血病の主な治療には、化学療法・分子標的薬・造血幹細胞移植があり、種類や進み具合によって組み合わせます。症状が急に強まるときは、ためらわず受診することが大切です。

白血病の種類主な治療ねらい
急性白血病化学療法・造血幹細胞移植速やかに細胞を抑える
慢性骨髄性白血病分子標的薬(TKI)長く病気を抑える
再発・高リスク移植・新しい薬再発を抑える

治療法は年々進み、長く付き合いながら生活を続けられる方も増えています。まずは正しい診断を受けることが出発点です。

白血病の主な治療の選択肢

急性白血病では、抗がん剤による化学療法で異常な細胞を抑えることが中心になります。再発の心配が高い場合や効果が十分でない場合には、造血幹細胞移植が検討されます。

慢性骨髄性白血病では、原因となる異常を狙う分子標的薬(TKI)という飲み薬で、長く病気を抑える治療が広く行われています。

早めの受診を考えたい症状

高熱が続く、出血が止まりにくい、息切れやだるさが急に強くなったといったときは、早めの受診が必要です。症状が一気に進むタイプもあるため、迷ったら早めに相談してください。

気になるサインをメモして持参すると、診察での相談がスムーズになります。一人で抱え込まず、専門家の力を借りることを考えてみてください。

移植の種類と特徴を知りたい方へ
造血幹細胞移植の種類と進め方

飲み薬による長期管理の解説を読む
慢性骨髄性白血病のTKI治療と長期管理

よくある質問

白血病の初期症状にはどのようなものがありますか?

白血病の初期症状は、疲れやすさや顔色の悪さといった貧血のサイン、あざや鼻血などの出血しやすさ、発熱や感染の繰り返しが中心になります。

どれも風邪や疲労と見分けにくいため、複数の症状が重なって続くときは、念のため受診を考えると安心でしょう。

白血病のあざは普通のあざとどう違いますか?

白血病でみられるあざは、ぶつけた覚えがないのにできたり、複数が同時に現れたりすることが特徴です。

血小板が減って血が止まりにくくなるために生じ、なかなか消えない場合もあります。気になるあざが続くときは血液内科への相談をおすすめします。

白血病の初期症状は何科を受診すればよいですか?

白血病の初期症状が気になるときは、まずかかりつけ医や内科を受診するとよいでしょう。

血液の数値に異常がみつかれば、血液内科を紹介してもらえます。症状をメモして持参すると、相談がスムーズになります。

白血病の初期症状は風邪と見分けられますか?

白血病の初期症状は発熱やだるさなど風邪とよく似ており、症状だけで見分けるのは難しいといえます。

ただ、あざや出血、長引く微熱などが重なる場合は、血液検査で確かめることがすすめられます。

白血病の初期症状が出てから進行は速いのですか?

白血病には急性と慢性があり、進み方は種類によって大きく異なります。

急性では症状が急に強まることがある一方、慢性ではゆっくり進み、健診で偶然みつかることも少なくありません。気になる症状は早めに相談してください。

Reference

Blackburn, L. M., Bender, S., & Brown, S. (2019). Acute leukemia: Diagnosis and treatment. Seminars in Oncology Nursing, 35(6), 150950. https://doi.org/10.1016/j.soncn.2019.150950

Clarke, R. T., Van den Bruel, A., Bankhead, C., Mitchell, C. D., Phillips, B., & Thompson, M. J. (2016). Clinical presentation of childhood leukaemia: A systematic review and meta-analysis. Archives of Disease in Childhood, 101(10), 894–901. https://doi.org/10.1136/archdischild-2016-311251

De Kouchkovsky, I., & Abdul-Hay, M. (2016). Acute myeloid leukemia: A comprehensive review and 2016 update. Blood Cancer Journal, 6(7), e441. https://doi.org/10.1038/bcj.2016.50

Howell, D. A., Smith, A. G., Jack, A., Patmore, R., Macleod, U., Mironska, E., & Roman, E. (2013). Time-to-diagnosis and symptoms of myeloma, lymphomas and leukaemias: A report from the Haematological Malignancy Research Network. BMC Hematology, 13, 9. https://doi.org/10.1186/2052-1839-13-9

Jabbour, E., & Kantarjian, H. (2020). Chronic myeloid leukemia: 2020 update on diagnosis, therapy and monitoring. American Journal of Hematology, 95(6), 691–709. https://doi.org/10.1002/ajh.25792

Shahab, F., & Raziq, F. (2014). Clinical presentations of acute leukemia. Journal of the College of Physicians and Surgeons Pakistan, 24(7), 472–476.

Terwilliger, T., & Abdul-Hay, M. (2017). Acute lymphoblastic leukemia: A comprehensive review and 2017 update. Blood Cancer Journal, 7(6), e577. https://doi.org/10.1038/bcj.2017.53

この記事を書いた人Wrote this article

前田 祐助

前田 祐助医学博士 / 医師

慶應義塾大学医学部大学院にて、がんの発生メカニズム(発癌機構)や、慢性炎症と腫瘍の関係性に関する基礎研究に従事し、医学博士号を取得。 特に、胃がんにおける炎症微小環境の解析や、細胞シグナル伝達(COX-2/PGE2経路など)による腫瘍形成の研究において実績を持つ。 現在は、大学病院や研究機関で培った「根拠(エビデンス)に基づく医療」の視点を活かし、疾患の早期発見や予防医療の啓発活動を行っている。

【保有資格・所属】
医学博士(慶應義塾大学)/ 医師免許 / 日本内科学会 / 日本医師会認定産業医